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菌従属栄養植物

2026年5月 3日 (日)

「森に咲く銀色の花」ギンリョウソウ

友人の研究者から本が届いたので紹介いたします。株式会社福音館書店発行の「月間たくさんのふしぎ」シリーズです。同シリーズでは、「「植物」をやめた植物たち」という本を、以前紹介させていただきました。

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表紙の写真(左)と静岡県中部某所で私が撮った写真(右)です。ピンク色のこのギンリョウソウ属は、2022年11月30日の0時に放送・Web解禁で新種として発表されたキリシマギンリョウソウです。その後、県内複数個所で生育が確認されたようです。

出版社の案内には「小学生向き科学雑誌」とありますが、中を見ると他の雑誌や図鑑に書かれていない内容で大人向けとしても読み応えがあります。少し難しい内容ですが、豊富な写真とイラストでとても分かりやすく解説されています。新種記載における着眼点や手順、そして研究者のご苦労の一端を垣間見る事が出来て、とても興味深いです。

興味ある方は是非読んでみてください。2026年6月1日発行/発行所 株式会社福音館書店〒164-0012東京都中野区本町2-46-1-2F。定価880円(本体800円+税10%)です。

2025年7月12日 (土)

ツチアケビの花

不法投棄監視パトロール以外で、山野を歩く機会は殆ど無くなりましたが、今年二ヶ所目のツチアケビに出会いました。

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夕方の薄暗い林床に、ひっそりと佇んでいました。ツチアケビは群生することも、単体で生えることもあります。後者の場合、順調に果実を実らせた場所では翌年姿を現さず、数年後にまた花茎が伸びてくることがあります。

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ツチアケビはラン科植物です。洋ランのデンドロビュームのような唇弁がとても綺麗です。

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研究者によって、種子の運び手の一種が野鳥(ヒヨドリ)であることが確認されています。でも、写真のような食痕がある果実を見るのは稀です。

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果実は、蒴果ではなく地域に生育するラン科植物としては珍しい液果を付けます。果肉が黒化して熟れた後には、翼のある小さな種子が残ります。

ここからは素人の考察です。種子は野鳥やシカなどに食べられて散布されるも、それは稀だと思います。前記したように食痕のある果実はあまり見かけず、晩秋に黒くなるまで残っている果実が結構見られます。野鳥やシカにあまり好まれない味なのかもしれません。野鳥などに食べられた種子は親株から離れた場所に運ばれ、栄養依存するナラタケが存在する可能性の高い親株の周りには、黒化してボロボロになった果実から多くの種子が散布されると思っています。

ところで、種子の翼は何のためにあるのでしょう?蒴果なら風によって飛散する役目と考えられますが、液果の場合はどんな役割をするのだろう?

ラン科ツチアケビ属ツチアケビ(Cyrtosia septentrionalis (Rchb.f.) Garay)。中国名は「血紅肉果蘭」・・特徴をよく捉えた種名だと思います。


昨日は、役所での会議がありました。元職時代は現場でも会社でも、面倒なくらい多くの会議や打ち合わせがありました。会社勤務から離れ、家と畑の間で引きこもりのような生活を送っていると、会議や打ち合わせを負担に感じるようになります。最近は出不精になり、買い物もネット注文を家族に依頼しています。困ったものです。

2024年10月14日 (月)

本の紹介

2023年7月末に、【月間たくさんのふしぎ「植物」をやめた植物たち】という本の紹介をしました。その本は、発売早々に売り切れてしまいましたが「たくさんのふしぎ傑作集」として再版されることになりました。

「植物」をやめた植物・・ほとんどの植物は、光合成により成長に必要な養分を自分で作り出していますが、光合成をやめて菌類から100%養分をもらって生きている植物があります。地球上には約30万種の植物が生育していると言われていますが、そのうち約1,000種は光合成をやめた植物だそうです。

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出版予定日は2024年11月8日で、現在Amazonnなどで予約受付中です。価格は税込み1,430円です。単行本となり表紙も厚くなった(ハードカバー化された)ため、雑誌だった初版発売時とは価格が上がっています。

発行所は、株式会社福音館書店です。こちらの「これから出る本」のページからも購入できます。初版年月日は、2024年11月10日となっています。Amazonnと違っていますので、申し込みの際はご確認ください。

難しい分野ですが、児童向けという事もありイラストを交えてとても分かりやすく解説されています。一般の人がなかなか出会う事の出来ない珍しい植物達がいろいろ掲載されていて、植物観察を趣味としている大人にも非常に興味深い本だと思います。管理人にとっても、思い出深い写真が幾つか掲載されています。

2024年10月 3日 (木)

やっと見つけたクロヤツシロラン

例年なら、山間地のクロヤツシロランは、花も終盤になり果柄が驚くほど伸び始める頃です。ところが、それが見当たりません・・。

今日は、未耕作畑の草を刈った後で、別の山林を調べてみました。

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探索したのはこんなスギ林です。所々に野生動物の蒐場があります。念のため、長年一人探索の相棒を務めてくれた武道具の杖(つえでなくじょうと読んでください)を持っていきました。

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シックイタケの菌糸でしょうか?

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40分ほど探して見つかったのはこの一個体だけでした。昨年沢山見つかった倒木の脇は、全然見つかりませんでした。歳と共にセンサーの感度が鈍って来たのかも?

昨年よりも更に暑い日が続いたために、塊茎が腐ってしまったのか?それとも、まだ日中は30℃を超す様な日があるので花茎が伸びて来ないのだろうか?でも、やぶ蚊の多さは例年と変わりません。

2024年10月 1日 (火)

今年も遅いアキザキヤツシロラン

土・日は、町内のお祭りの準備や片づけがありました。幸い、当初の大雨予報が外れたおかげで無事に終了しました。諸々があって遅くなってしまった植物の調査に、昨日行って来ました。

依頼を受けたのは、アキザキヤツシロランの調査です。

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やぶ蚊に刺されながら孟宗竹林内に入ると、所々でこんな光景が目に留まりました。腐生ラン(菌従属栄養植物)に興味を持つ前は「気持ち悪い!」と感じるだけでした。腐生ランは、発芽から生育まで100%菌類に栄養依存しています。写真の菌がアキザキヤツシロランの共生菌かは分かりませんが、そうだとしたらこの林内での個体数が期待できます。

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彼方此方探して見つかったのはこの蕾だけでした。昨年も、初回の探索で発見したアキザキヤツシロランは数個体だけでした。その後、複数回訪れ例年(の見頃)より一月以上遅れていることが分かりました。今年はさらに遅いような印象を持って孟宗竹林を後にしました。

草刈のボランティアに参加している富士市沼川遊歩道沿いのヒガンバナも出現が遅れて心配でした。Webニュースで、埼玉県日高市の巾着田のヒガンバナも例年に比べて遅れていることを知りました。秋に咲く花は、気温の低下を感じて開花するそうです。アキザキヤツシロランも、猛暑のせいで地上部に姿を現すのが遅れているのではないかと思います。

2023年10月12日 (木)

予想以上に遅れたアキザキヤツシロラン

また新たな依頼を受けて、アキザキヤツシロランの生育するモウソウチク林に行って来ました。以前の記事で、今年は天候の影響もあり1~2週間遅れではないかと書きました。でも、この日現地を見て、この竹林においては一月以上の遅れと訂正します。

例年なら、彼方此方に子房が上を向き果柄の伸びた姿が見られる頃です。ところが子房が上を向いているものはあっても、遠目から目につくような果柄の長さのものはなく、まだ蕾の個体が沢山見られました。

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この場所で、今頃こんな光景が見られるなんて予想もしませんでした。

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今年は、前回迄の訪問時に、上のような太い花茎の個体があまり見られず心配でした。

上手く撮れませんでしたが・・。

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ここだけで、十数個体生えていました。初回訪問時は、林内各所でこんな光景が見られると思っていました。それが数個体しか確認出来ず、狐につままれたような思いでした。

私が知る県東部の竹林では、この場所が一番個体数を見る事が出来ます。遅れたとはいえ、例年と同じような光景が見られて本当に良かった!

ラン科オニノヤガラ属アキザキヤツシロラン(Gastrodia confusa Honda et Tuyama)。タイプ産地は、和歌山県日高郡湯川村(現御坊市)とあります。

2023年10月 3日 (火)

ヤツシロラン類の生育地で見たキノコ

依頼を受けて、蕾の状態のクロヤツシロランとアキザキヤツシロランを探しに行きました。両種とも個体毎に開花時期に差はあります。でも、少し開花の早いクロヤツシロランの蕾の個体が見つかるだろうか?

【スギ林:クロヤツシロラン】

クロヤツシロランは、果柄が20cmほどに伸びたものもあります。初日は、土壌が乾燥気味で生育が遅れると思われるヒノキ林を探しました。でも、思ったより見つかりませんでした。

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翌日は、スギ林に移動しました。クロヤツシロラン自体がなかなか見つからず諦めかけていたところに、このスギの倒木が目に入りました。もしかしたら、クヌギタケ属以外のクロヤツシロランの共生菌の子実体?以前、このような子実体の生えた倒木の傍で、沢山のクロヤツシロランを見かけた事があります。

倒木に隠れるように、複数のクロヤツシロランが見つかりました。しかも、まだ蕾の個体もありました!無事依頼を達成する事が出来て良かった!除けたスギの落ち葉を元に戻し帰路につきました。クロヤツシロランの写真?コンデジを忘れたので無しです。

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こちらの子実体も同種と思われます。新たな実生床用に少し持ち帰りました。クロヤツシロランは、クヌギタケ属と近縁な菌群以外にも多様な菌群とも共生関係を持つことが示唆されたとあります。

【モウソウチク林:アキザキヤツシロラン】

蕾のアキザキヤツシロランを求めて再訪しました。それにしても暑いし、やぶ蚊とクモの巣に悩まされながら探索しました。

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枯れたモウソウチクに出現した子実体です。何というキノコだろう?

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ダイダイガサ(キシメジ科ダイダイガサ属)の幼菌も見つかりました。このキノコ、家の裏庭にも時々生えて来ます。名前を覚えたキノコは、みんなお気に入りです。

【アキザキヤツシロラン】

前回訪問から一週間後の、アキザキヤツシロランの様子を撮ってみました。

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落葉の下に潜んでいたアキザキヤツシロランの花芽です。この竹林で葉、例年9月20日頃に多くの花を見られたのに、まだこんな状態の塊茎がいくつか見つかりました。

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モウソウチクの葉が重なり合ってくっ付き一枚布のようになっていたため、伸び損ねた花茎です。

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前回、見られなかった場所に開花寸前の蕾がありました。例年より、1~2週間遅れという判断が正解だったようです。もう一度、この場所に行かなければなりません。やぶ蚊がいなければいいのですが・・。


研究者の先生たちにより、アキザキヤツシロランとクロヤツシロランの共生菌は、どちらもキシメジ科(Tricholomataceae)のクヌギタケ属(Mycena)もしくはその近縁属である事が解明されているそうです。実生栽培実験では、自生地の部材を採取して菌糸を繁殖させた実生床に種子を蒔いていますが、容器内に繁殖した菌糸が共生菌であるかは分かりません。プロトコウムが確認出来るか塊茎から伸びた根状器官が菌糸と接触した部分での変化で知る事になります。またその子実体の姿も分からずに、いわば当たって砕けろ方式で行って来ました。
◇修正しました(スマホのPCモードで見てくださっている方へ)
ダイダイガサ上段の白いキノコの写真が、パソコンで見ると並んでいますが、スマホのPCモードで見ると上下になっていました。ブログは、選択したテンプレートやプロバイダーによっても微妙な違いや癖があります。私はFC2とココログを使っており、どちらもHTMLで作成しています。写真を横並びに表示する時、各々のHTML文章をFC2では一文字空けてココログでは空けません。年寄には、いろいろ面倒です。

2023年9月28日 (木)

アキザキヤツシロラン別の自生地

アキザキヤツシロランの異変が気になり、少し離れた別の自生地へ行って来ました。

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モウソウチクの密度が高い場所ですが、ここは少し空いていました。

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彼方此方探しまわり、上の場所でこの2個体を見付けただけでした。

期待して訪れたモウソウチク林でしたが、アキザキヤツシロランの姿が見えません。どうした事でしょう?前回訪問した場所と同じく、例年より成長が遅れて短い花芽をつけた塊茎が落ち葉の中に潜んでいるのだろうか?

諦めきれずやぶ蚊とクモの巣に悩まされながら探索していると、面白い形態のキノコが生えていました。

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キツネノ○○とかいうスッポンタケ科のキノコの子実体だと思います。ご存知の方、教えてください。

「コイヌノエフデ」と教えていただきました。フジタケさん、ありがとうございました。

残念な気持ちで行きとは別のコースを歩いていると、エビネが生えていました。一時期、園芸採取などにより姿の見られなくなったエビネですが、復活の兆しを感じながら帰路につきました。

2023年9月25日 (月)

モウソウチク林で見た気になる植物

【タシロラン?】

アキザキヤツシロランの異変を調べるために、モウソウチクの落ち葉を除けたところ、見た事のあるような塊茎らしきものを発見しました。

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「塊茎から細い根茎が地中を這い、途中と先端に球状の塊茎を作って増える」・・Web記事にあったタシロランの解説です。

そして、次はタシロランの種子を蒔いた実験容器内に出現した物体です。実生栽培実験なので、別ブログ「権兵衛の種蒔き日記」に掲載した写真です。

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モウソウチク林で発見した物体と似ていませんか?こちらの容器は、菌糸の繁殖を期待して、ヒトヨタケ属の発生しやすい刻んだ稲わらで覆ったため現在の姿は見られません。既に菌糸が繁殖し始めています。共生菌かは不明ですので、ある意味かけですが・・。

モウソウチク林で見た塊茎らしきものからタシロランの花が咲くかは、たぶん確認出来ない(※)と思いますが、両方の写真を比較してタシロランの塊茎だと思っています。

※タシロランは、「地上部に8日しか存在しなかったというデーターもある」と日本のランハンドブックの解説にあります。

2023年9月22日 (金)

アキザキヤツシロランの異変

そろそろ、富士市域某所のアキザキヤツシロランが咲き始める頃なので、様子見に行って来ました。ところが、全然姿が見えない・・どうしたのだろう?

彼方此方歩き回って、一本の立ち枯れたモウソウチクの周りに差し掛かると・・。

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咲いていました!このような姿を求めて訪れたのに、このモウソウチクの周りでしか見る事が出来ませんでした。

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今年は他の花と同様に、いつもより早く開花しているかもしれないと思って出かけました。この竹林では、今迄このような花数の多いアキザキヤツシロランを沢山見る事が出来ました。

こんな写真を掲載すると、眉を顰める諸先輩も多いとは思いますが・・。

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この生育地の異変が気になり、堆積したササの葉を除けて塊茎を探してみました。ヤツシロラン類は、地中深く塊茎があるのではなく、枯葉や枯竹のすぐ下にあります。伸び始めは半透明だった根状器官が変色して、一部に疣の様なものが出来ています。菌糸から養分を吸収した証です。また、塊茎から出ているのは花芽で、これは開花株という事になります。まだ2cm程度です。

範囲を広げて確認すると、このような状態の塊茎が幾つか見つかりました。今夏は、雨不足で野菜の葉先が枯れる事もありました。アキザキヤツシロランが栄養依存する林床の菌糸が繁殖できず、花芽の成長が遅れたのではないでしょうか?上に掲載した開花株の周りは、ある理由があって土壌湿度が保たれて(安定して)いたものと思われます。また9月下旬になっても最高気温が30度を超すような日が続いています。伸び始めた芽が傷んだのかもしれません。掲載したような塊茎が無事開花に至るのか週ごとに観察したいと考えています。