シダ植物

2024年6月30日 (日)

マンネンスギ

研究者の依頼を受けて、ある植物の標本採集に行って来ました。そこにシダ植物のマンネンスギが生えていたので撮ってみました。

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地面を這っているのは、マンネンスギと同属のヒカゲノカズラです。ヒカゲノカズラを最初に見た時は、カイニンソウ(海人草/標準和名はマクリ)を連想しました。幼いころ回虫の駆除薬として飲まされた記憶があります。とても不味かったです。

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この場所はスギ・ヒノキの人工林ですが、初めて出会ったのは富士山の亜高山帯でした。比較的高度の高いところに生育しているようです。少し形態は異なりますが、低山の小川脇などでマンネンスギに似たミズスギに出会うこともあります。

スギのミニ盆栽のようなこのシダ植物を気に入って、見かけるといつも写真を撮って来ましたが、その度、撮るのが難しいと感じています。

植物園の手伝いをするまでは、シダ植物で興味を惹いたのはヒカゲノカズラ科のヒカゲノカズラとマンネンスギくらいでした。

ヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属マンネンスギ(Lycopodium dendroideum Michx.)。


植物園の草本エリアに何種類かのシダ植物を植えてあります。シダ植物は簡単に根着く種もあればそうでない種もあり、当初思っていたよりかなり難しいことを知りました。

導入植物は、採集後自宅で鉢植えして根着くのを待ってから、植物園に移植する方式をとっています。理由は、マメな管理ができないため枯れてしまう恐れがあるからです。シダ植物の地上部が枯れてしまい諦めて鉢をひっくり返すと、新しい根が伸びていることがあります。また植えなおして数か月置くと新芽が伸びて来ました。半年~一年と時間をかけて結果の分かる種も多いです。

現在、このマンネンスギを鉢植えして様子を見ています。採集後半年以上経過していて新芽が姿を現していますので、そろそろ移植しようかと思っています。趣味家の人の話では、ヒカゲノカズラ科の栽培は難しいそうです。手間のかかる植物の栽培も、上手くいけば楽しいものです。

2024年6月 7日 (金)

ホソバショリマ再び

昨日は、一般の人が入れない場所の植生調査をさせていただきました。主目的はラン科でしたが、予期せぬ出会いがありました。

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切っ掛けは僅か3本のこの葉でした。「あれっ、下の方に小さな耳状の羽片がある!ホソバショリマじゃないか?」周辺を探しましたが、この一株以外は見つかりませんでした。

付近には、よく似た葉色のシダ植物が繁茂しています。この葉が出芽して間もないと思われる姿だったことも気づく要素となりました。ホソバショリマは常緑ですが、この地域では冬に地上部が枯れます。そして同じく冬に地上部が枯れる他のシダ植物よりも遅れて新葉が伸びて来ます。

いったん車に戻り、長期戦覚悟で再探索を開始しました。

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上の3本の葉の所から数百メートル歩いた場所で、この群落と出会いました。

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ホソバショリマだ!そして周辺を注意深く探索すると・・。

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更に大きな群落がありました。そしてここから離れた他の場所でも2か所の群落を発見しました。

現地はササ刈がされていましたが、地上部の無い冬に刈るため群落は無事でした。管理者の方に現地を見ていただき、群落の保護をお願いしました。

ヒメシダ科ヒメシダ属ホソバショリマ(Thelypteris beddomei (Baker) Ching)。中国名は「長根金星蕨 」・・根の特徴や葉色を上手く表現された命名だと思います。


杉野孝雄先生の静岡県産希少植物図鑑に「東部の富士宮の限られた場所にある。筆者により田貫湖で発見されたのが、本州では最初の記録。静岡県は分布の東源自生地である。」とあります。

また、国立科学博物館つくば実験植物園のWebページに「当園のものは北限産地とされる富士宮市産を一鉢いただいたものが、現地同様に小川の土手に見事な群落が再現されました。」とあります。

ホソバショリマの群落を見るのは、これが2度目です。主目的は果たせませんでしたが、今回は自身で発見した事もあり、より嬉しい成果を得る事が出来ました。

2023年9月 9日 (土)

富士市域のナチシダ

萌が健在だった頃、イノモトソウ科の大形のシダ植物であるナチシダとオオバノハチジョウシダを一株ずつ散歩コースで見付けました。当時は、シダ植物に目を向けていなかったため「見た事のない種」としてちょっとだけ気にしていました。機会があり、識者の先生に腊葉標本を見ていただいて種名を知りました。

伊豆天城周辺にカンアオイ属の調査に行った時、沢山のナチシダと出会いました。特徴的な葉身のこのシダ植物は、追記前の富士市植物仮目録(中山Ver.)にも掲載されていないし、杉野先生の静岡県の植物図鑑にも「東部には分布しない」とあります。

ところが、富士市域で2ヶ所の大群落と出会いました。その片方の自生地を覗いて来ました。

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群落の一角です。写真を撮った背後は、線状間伐されて明るくなった人工林で、ナチシダの大群落が広がっています。

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「葉は鳥足状に分岐して広五角形に広がっている・・」日本では、このような葉身を持つシダ植物は他にないそうです。

このシダ植物は常緑性とありますが、発見した富士市域では冬に地上部が枯れます。この場所も、冬に確認した時は枯れていました。そして春になると新葉が伸びて来ました。同じくオオバノハチジョウシダも常緑性ですが、冬に地上部の枯れるところもあります。萌の散歩道では、両種が数メートル離れているだけでしたが、オオバノハチジョウシダは枯れませんでした。葉の厚みの違いによるものではないかと思っています。

イノモトソウ科イノモトソウ属ナチシダ(Pteris wallichiana J.Agardh)。


最近は、考えがあって写真を撮っても掲載しない植物があります。その上、時期を変えて同じ植物を掲載する事が多くなりました。希少植物をWeb検索して訪問される方が激減したためか、二つに分けたブログ記事の月間アクセス数の合計は、前ブログに遠く及びません。でも、固定した訪問者(リピーター)の方がいてくださいます。管理人にとっては、それが一番の励みになります。これからも、懲りずに拙いブログへご訪問頂いただけると嬉しいです。
季節を変えて観察すると、今まで気づかなかった事に目が向くようになります。植物を含めた自然観察の面白さは、そんなところにあるのではないでしょうか?

2023年6月30日 (金)

ナチシダとコキンバイザサ

不法投棄監視パトロールで出会った植物・・続きです。

【ナチシダ】

富士市域でナチシダに初めて出会ったのは、今は亡き「萌」との散歩道でした。そこには、ナチシダとオオバノハチジョウシダが一体ずつ生えていました。オオバノハチジョウシダは、地上部が枯れずに冬を越しますが、ナチシダは地上部が枯れてしまいました。

その後、富士市域でナチシダの群落を2ヶ所確認しました。1ヶ所は不法投棄監視パトロールのコースになっている林道脇の人工林でした。晩秋に地上部が枯れたのを確認してから訪問した事が無かったので、ついでに確認して来ました。

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新たな葉が展開していました!

発見時、この辺りに多いウラジロかと思って林内を覗いたら、100個体を優に超えるナチシダの群落でした。周辺の林内も調べましたが、線状間伐して明るくなった林内だけに確認出来ました。

イノモトソウ科イノモトソウ属ナチシダ(Pteris wallichiana J.Agardh)。

イノモトソウ科のシダ植物は、シカの摂食対象にならないそうなので、今後ますます増えていくものと思われます。

【コキンバイザサ】

同じ林床の木材搬出道に、コキンバイザサの花が咲いていました。一般的な開花時期は5~6月となっていますが、別の場所の観察ではもっと長く、秋に花を見た事も幾度かあります。

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この場所では初確認なので、花が咲いていなければ気付かなかった事でしょう。事前に生育が確認出来ていれば、未開花株でも葉の触診でスゲの仲間と区別する事は出来ます。

キンバイザサ科コキンバイザサ属コキンバイザサ(Hypoxis aurea Lour)。


最近では、研究者の依頼以外では不法投棄監視パトロールのついでに山野の植物を観察するくらいで、探索範囲がますます狭くなって来ました。それでも視点を変えて観察すると、新しい発見がいろいろあって楽しいものです。以前は、諸先輩のWeb記事などを見て、珍しい植物が掲載されているとそわそわしていましたが、そういう気持ちになる事は殆ど無くなりました。

考えがあって掲載しない植物もあり、前ブログに比べて訪問者の方もずっと少なくなりました。それは仕方ない事ですが、ブログタイトルを静岡県→富士・富士宮市の植物探索にした方が良かったなんて思っています。

2023年4月25日 (火)

ミニ探索で出会った植物

昨日は、植物園に興味を持ってくれている新人と園内を回り、午後からは近くの山野をミニ探索しました。

写真はあまり撮りませんでしたが、気になった植物を二つ掲載します。

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いろいろなシダ植物の新芽が伸びて来ました。葉が展開したものもあれば、上の写真のようにやっと伸び始めたばかりのものも見受けられます。シダ植物が一番綺麗な季節だと思います。

ところで、このシダ植物・・ホソバショリマでしょうか?筑波の科学博物館のWebページに「葉身下部は羽片が次第に短くなり、耳状になる」「常緑性とされていますが、当園では地上部が冬枯れます」とあります。この二項目の解説とは合致していると思います。ただ、葉の長さが約60cmになるとあります。現在20cmくらいですから、これから3倍ほどになるのだろうか?

ホソバショリマは、本来暖かい地域に生育するシダ植物で、ラン科植物と同じく温暖化の影響で生育地が北上しているようです。日本では、とても希少な植物だそうです。もう少ししたら、詳しい先生に見ていただこうと思っています。

少し場所を移動して・・。

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ルイヨウボタンかと思って近づいたら、ヤマシャクヤクでした。予期せぬ場所での出会いでした。

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こちらは、別の日にもっと低いところで見た花です。花の寿命は短く、丁度良いタイミングで出会う事の難しい植物です。


ここ数年は、植物に興味のない嫁さんを相棒に、カンアオイ属などの探索をして来ました。それ以外に、山野を歩く事は殆どなくなりました。でも、こうして植物に興味を持っている人と歩くのは楽しいものです。また、植物園に目を向けてくれる新人さんが現れた事は、とても心強いです。そういえば、昨日は牧野富太郎博士の誕生日でした。今日は誰かさんの誕生日、「お誕生日おめでとう!」だけで済まそう・・。

2023年2月10日 (金)

庭木の着生植物

民家の庭木にも、いろいろな植物が着生しています。先生宅の庭木で気になった着生植物を撮ってみました。自然に着生したものなので、こちらのブログに掲載します。

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昨年、私が発見したクモランです。思い起こせば、家の近くの梅林でも沢山のクモランを見付けました。探し求めるとなかなか出会えないのに、期待しないで何気なく覗いた場所で出会う事が多いです。

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先生が発見したシダ植物のマツバランです。下のカヤランと同じキンモクセイに着生していました。寒さで地上部が枯れていました。地下茎は生きていて、暖かくなると伸びてくるのだろうか?

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キンモクセイの樹幹には、数えきれないほどのカヤランが着生していました。この場所で出会う前は、キンモクセイがカヤランの宿主になるとは思いもしませんでした。帰宅して調べて見たら、家のキンモクセイにも少し着生していました。相性が良いようです。

地域の学生さん達に付き合って、民家の庭木に生える着生植物を調べて回りました。その結果、予想外に多くの着生ランと出会う事が出来ました。身近な場所の植物探索も面白いものです。


◇◇お知らせ◇◇

2月25日(土)~26日(日)の9時~17時、富士市中央図書館分館市民ギャラリーにて、従弟がデジタルアート展を開催します。以前、タブレットで見させてもらいましたが、どれも素晴らしい作品でした。興味のある方は、是非お出かけください。

富士市中央図書館分館のふじタウンマップ

※富士市のWebページにある分館市民ギャラリーの2月分催事予定は、26日(土)~27日(日)となっており、間違っていますのでご注意ください。

2023年2月 1日 (水)

林道脇のヒカゲノカズラ

昨日は、畑作業の後に1月分2回目の不法投棄監視パトロールに行って来ました。

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彼方に見える愛鷹山系呼子岳には、雪が残っていました。

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林道沿いのハイゴケは雪に覆われていました。車を降りると、肌を刺すような寒さでした。

そして、この辺りではヒカゲノカズラを所々で見かけます。この植物を、幼い頃から気に入っていますので撮ってみました。

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ヒカゲノカズラは、低山から亜高山帯まで広範囲に見る事が出来ます。

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以前撮ったヒカゲノカズラの胞子嚢穂です。

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こちらは、富士山南面で撮ったアスヒカズラです。広範囲に生育するヒカゲノカズラと違い、富士山南面では亜高山帯に生育しています。

葉の形態は異なりますが、胞子嚢穂の形態は良く似ています。その下の長く伸びた花柄のような部分を総梗(そうこう)と呼びます。

ヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属ヒカゲノカズラ(Lycopodium clavatum L. var. nipponicum Nakai)。中国名は、日本石松。タイプ標本は、長野県の浅間山で採取されたそうです。

ヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属アスヒカズラ(Lycopodium complanatum L.)。中国名は、扁枝石松。ヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属は、中国表記では石松科石松属となります。


ついでに・・。

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こちらは、東海大学自然史博物館で見たフウインボク(Sigillaria)の化石です。石炭紀に栄えたシダ植物で、ヒカゲノカズラ科が近縁とありました。ただ、高さが20~30mもあったそうですから、シダ植物というより樹木のようですね。このように大きなシダ植物は木生シダと呼ばれ、石炭の元になったそうです。


幼い頃、近くの山林でヒカゲノカズラを見付けました。名前も知らないこの植物が何故か気に入り、庭に植えて置きましたがいつの間にか枯れてしまいました。近所の植物好きのおじさんも「何度か植えてみたが、上手く育たない」と言っていました。

その記憶があったので、昨年春頃に少しだけ採取して試験的に植物園の一角に植えてみました。10ヶ月近く経過しても、まだ枯れずにいます。実は、同じヒカゲノカズラ科のスギランの落ち枝を挿しておいたところ、無事発根して6年目に胞子嚢を宿しました。挿木で発根する事は知りませんでしたが、花瓶に挿すような感覚でチョウチンゴケを植えた鉢に挿して置いたのです。もしかしたら、ヒカゲノカズラも挿木で発根するかもしれません。

2023年1月24日 (火)

ウチワゴケとマメヅタ

近くの林内の溶岩に着生していたウチワゴケとマメヅタを撮ってみました。

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この溶岩を覆っているのは?

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コケ植物かと思ったら、ウチワゴケでした。コケの名がついていますがシダ植物です。胞子嚢群は、何処についているのだろう?

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胞子嚢群を包膜が包んでいます。

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コケシノブ科アオホラゴケ属ウチワゴケ(Crepidomanes minutum (Blume) K.Iwats.)。中国名は、團扇蕨・・扇の塊或いは丸い扇のような形のシダ植物かな?

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こちらの石には、ウチワゴケとマメヅタが着生していました。

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胞子嚢群は見当たりませんでしたので、別の時に撮った写真を下に掲載します。

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栄養葉は円形~楕円形ですが、胞子葉は狭披針形で立ち上がっています。栄養葉だけ見ると、ラン科植物のマメヅタランに良く似ています。ピンボケが激しくて恐縮です。

ウラボシ科マメヅタ属マメヅタ(Lemmaphyllum microphyllum C.Presl  マメヅタ)。中国名は、伏石蕨 (抱樹蕨)・・石に伏す・樹を抱く~着生の様子を上手く表現している名だと思います。

胞子嚢群の付き方は、種によって様々です。考えてみれば、種子植物の果実(種子)もいろいろな形があります。また栄養繁殖の仕方も、両者(種子植物とシダ植物)いろいろあって興味深いです。其々、子孫を残すために多様な進化を遂げていて、素人ながらにその経緯を想像するのも楽しいです。


今冬一番の寒さとの予報なので、再生畑②のホウレンソウに、ネットを被せて来ました。でも、日中思ったほど寒くはなく、伐採木の片付けで汗をかくくらいでした。今夜あたりから冷えるのかな?今迄暖かかったから、人も植物も心配です。

2023年1月 6日 (金)

コンテリクラマゴケ

かなり前から、家の庭にカタヒバとコンテリクラマゴケが生えて来ました。どちらも繁殖力旺盛で除草が大変です。コンテリクラマゴケは、「青みを帯びた葉が美しいので観賞用に栽培される」とあります。私は青緑色のような葉を見て、ちょっと不気味な印象を受けました。

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季節によっては、もっと青みを帯びた感じになります。

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「ある程度の耐寒性があり・・」場所によっては、色変わり(紅葉)したり枯れる葉もありますが、スギ・ヒノキ林などでは青緑色を保ったまま冬を越します。

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紅葉した葉の表裏を撮ってみました。

コンテリクラマゴケは、コケの名がつきますがシダ植物です。中国原産の帰化植物で、富士市や富士宮市でも、大きな群落が複数個所見られます。クラマゴケやタチクラマゴケに比べてずっと大きくなります。

イワヒバ科イワヒバ属コンテリクラマゴケ(Selaginella uncinata (Desv.) Spring)。

中国名は翠雲草。葉表が紺色で光沢がある事から和名がつけられたそうです。葉表の色は、季節や生育場所の環境でかなり変化します。放置すると繁茂しますので、要注意です。

2022年12月29日 (木)

12月下旬のナチシダ

不法投棄監視パトロールのついでに、前回見付けたナチシダの様子を見て来ました。県東部で初めて見たナチシダは、冬に葉が萎れていました。この場所は、そこより高い高度にあります。

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林道沿いにも点在していました。やはり葉が萎れかけていました。

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こちらも・・。

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この状態から復活するのだろうか?Wikipediaによると「常緑性だが分布域の北限近くでは冬に地上部が枯れる」とあります。やはり萎れた葉は枯れてしまうようです。

イノモトソウ科イノモトソウ属ナチシダ(Pteris wallichiana J.Agardh)。

ついでに・・。

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このオオバノイノモトソウによく似た綺麗な斑のシダ植物は、マツザカシダだと思います。

イノモトソウ科イノモトソウ属マツザカシダ(Pteris nipponica W.C.Shieh)。Ylist標準和名はマツカシダ、別名マツカシダとなっています。


先生から、ナチシダの北限自生地が静岡県にあると伺いました。その場所は静岡県賀茂郡河津町梨本大畑で、1953年に国指定の天然記念物に指定されています。当時は北限だったのかもしれませんが、温暖化の影響なのか更に北へ生育地を広げつつあるようです。

以前も触れましたが、手元にある細倉先生らによる1,990年頃の富士市域の調査リストにナチシダは掲載されておりません。ところが、ここ数年富士市西部と東部で100個体を超すような生育地を確認しています。伊豆天城で初めて出会った大形のシダ植物は、富士市域でも珍しい存在では無くなりつつあります。