菌類

2023年10月17日 (火)

ヒメツチグリ属?

モウソウチク林で見たキノコです。

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まとまって生えていました。ツチグリ(ディプロシスティス科ツチグリ属)と似ているけど形態が違う・・フクロツチガキやシロツチガキなどヒメツチグリ科ヒメツチグリ属のようです。

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こちらが幼菌です。

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白っぽい方が新しいのかな?

以前撮った写真ですが・・。

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襟巻の様な付属体がありますので、エリマキツチグリでしょうか?


今年は集中豪雨はあったものの、全体的に雨が少なかった影響で、例年より見かけるキノコが少なかったと思います。キノコに栄養依存している腐生ラン(菌従属栄養植物)にもなかなか出会えず、開花時期の遅れたものもありました。また、猛暑の影響で開花の早い植物もあり、花追い人は情報の収集に苦慮した事と思います。

2023年10月 3日 (火)

ヤツシロラン類の生育地で見たキノコ

依頼を受けて、蕾の状態のクロヤツシロランとアキザキヤツシロランを探しに行きました。両種とも個体毎に開花時期に差はあります。でも、少し開花の早いクロヤツシロランの蕾の個体が見つかるだろうか?

【スギ林:クロヤツシロラン】

クロヤツシロランは、果柄が20cmほどに伸びたものもあります。初日は、土壌が乾燥気味で生育が遅れると思われるヒノキ林を探しました。でも、思ったより見つかりませんでした。

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翌日は、スギ林に移動しました。クロヤツシロラン自体がなかなか見つからず諦めかけていたところに、このスギの倒木が目に入りました。もしかしたら、クヌギタケ属以外のクロヤツシロランの共生菌の子実体?以前、このような子実体の生えた倒木の傍で、沢山のクロヤツシロランを見かけた事があります。

倒木に隠れるように、複数のクロヤツシロランが見つかりました。しかも、まだ蕾の個体もありました!無事依頼を達成する事が出来て良かった!除けたスギの落ち葉を元に戻し帰路につきました。クロヤツシロランの写真?コンデジを忘れたので無しです。

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こちらの子実体も同種と思われます。新たな実生床用に少し持ち帰りました。クロヤツシロランは、クヌギタケ属と近縁な菌群以外にも多様な菌群とも共生関係を持つことが示唆されたとあります。

【モウソウチク林:アキザキヤツシロラン】

蕾のアキザキヤツシロランを求めて再訪しました。それにしても暑いし、やぶ蚊とクモの巣に悩まされながら探索しました。

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枯れたモウソウチクに出現した子実体です。何というキノコだろう?

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ダイダイガサ(キシメジ科ダイダイガサ属)の幼菌も見つかりました。このキノコ、家の裏庭にも時々生えて来ます。名前を覚えたキノコは、みんなお気に入りです。

【アキザキヤツシロラン】

前回訪問から一週間後の、アキザキヤツシロランの様子を撮ってみました。

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落葉の下に潜んでいたアキザキヤツシロランの花芽です。この竹林で葉、例年9月20日頃に多くの花を見られたのに、まだこんな状態の塊茎がいくつか見つかりました。

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モウソウチクの葉が重なり合ってくっ付き一枚布のようになっていたため、伸び損ねた花茎です。

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前回、見られなかった場所に開花寸前の蕾がありました。例年より、1~2週間遅れという判断が正解だったようです。もう一度、この場所に行かなければなりません。やぶ蚊がいなければいいのですが・・。


研究者の先生たちにより、アキザキヤツシロランとクロヤツシロランの共生菌は、どちらもキシメジ科(Tricholomataceae)のクヌギタケ属(Mycena)もしくはその近縁属である事が解明されているそうです。実生栽培実験では、自生地の部材を採取して菌糸を繁殖させた実生床に種子を蒔いていますが、容器内に繁殖した菌糸が共生菌であるかは分かりません。プロトコウムが確認出来るか塊茎から伸びた根状器官が菌糸と接触した部分での変化で知る事になります。またその子実体の姿も分からずに、いわば当たって砕けろ方式で行って来ました。
◇修正しました(スマホのPCモードで見てくださっている方へ)
ダイダイガサ上段の白いキノコの写真が、パソコンで見ると並んでいますが、スマホのPCモードで見ると上下になっていました。ブログは、選択したテンプレートやプロバイダーによっても微妙な違いや癖があります。私はFC2とココログを使っており、どちらもHTMLで作成しています。写真を横並びに表示する時、各々のHTML文章をFC2では一文字空けてココログでは空けません。年寄には、いろいろ面倒です。

2023年9月28日 (木)

アキザキヤツシロラン別の自生地

アキザキヤツシロランの異変が気になり、少し離れた別の自生地へ行って来ました。

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モウソウチクの密度が高い場所ですが、ここは少し空いていました。

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彼方此方探しまわり、上の場所でこの2個体を見付けただけでした。

期待して訪れたモウソウチク林でしたが、アキザキヤツシロランの姿が見えません。どうした事でしょう?前回訪問した場所と同じく、例年より成長が遅れて短い花芽をつけた塊茎が落ち葉の中に潜んでいるのだろうか?

諦めきれずやぶ蚊とクモの巣に悩まされながら探索していると、面白い形態のキノコが生えていました。

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キツネノ○○とかいうスッポンタケ科のキノコの子実体だと思います。ご存知の方、教えてください。

「コイヌノエフデ」と教えていただきました。フジタケさん、ありがとうございました。

残念な気持ちで行きとは別のコースを歩いていると、エビネが生えていました。一時期、園芸採取などにより姿の見られなくなったエビネですが、復活の兆しを感じながら帰路につきました。

2023年8月25日 (金)

散歩道のカエンタケ

昨日も今日も雨予報でした。日が射す時間帯もあって迷いましたが、倉庫の工具の整備と刃物を研ぎました。

数日前、萌の散歩道のササ刈をした時に、カエンタケを見付けたので撮ってみました。

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ここは、晩年の萌の散歩コースです。驚くほどのジャンプ力があったのに、晩年はこの倒木を跳び越す事も出来ませんでした。

カシノナガキクイムシの被害により、枯れた木が倒れ始めました。立ち枯れ状態で伐倒すれば良いのですが、バランスの悪いコナラなどを思った方向に倒すのは素人の私には難しく、倒れるのを待って切断するしかありません。

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和名の通り、燃え盛る炎のようですね。

ボタンタケ科トリコデルマ属カエンタケ(Trichoderma cornu-damae)。

カエンタケは毒キノコで、生の子実体3g程度が致死量となるそうです。またフグ毒のテトロドトキシンと同じく、まだ解毒剤は無いそうです。強力な毒の上に解毒剤が無いなんて恐ろしいキノコですね。

カエンタケは、枯れたコナラなどの株元に出現するので、木材腐朽菌の仲間だと思っていました。ところが、木材の中に生育している他種の菌糸に栄養依存していると考えられているそうです。キノコの世界も不思議がいっぱいですね。

2022年10月22日 (土)

保全区の菌類(10月下旬)

植物園植栽植物は別ブログに掲載していますが、保全区などの自生種はこちらに掲載しています。除草作業で見付けたキノコを少し掲載します。

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管理車道脇に数個体生育していました。誰かが引き抜いてありました。手持ちの図鑑では、コガネタケに似ています。

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このオレンジ色のキノコは、土壌湿度の高い場所に沢山生えていました。チャワンタケの仲間でしょうか?傘表の色からするとヒイロチャワンタケかな?

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こちらは、ハタケシメジと教わりました。図鑑で見るとホンシメジにそっくりです。食用になり美味しいそうですが、またどこかで見かけても確信をもって識別出来ません。

幼い頃は、近くの山林でもシイタケだけでなくナメコやクリタケも生えていて、父親が採って来たものを食べた記憶があります。山野を歩く内に、少しだけですが食用になるキノコを覚えました。一度教わっても、場所を変えて幾つかのキノコを見てこないと、自信をもって識別出来ません。図鑑の写真も、其々見比べると別種のように見える事が多々あります。その時期の天候や子実体の発生からの経過時間などによっても姿が変わって見えます。キノコは難しいです。

2022年10月12日 (水)

キノコいろいろ(10月中旬)

萌の散歩道で出会ったキノコを集めてみました。

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この人の手のような不気味なものは何だろう?

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すぐ傍にこちらが生えていました。カエンタケです。上もカエンタケかもしれません。例年は、もっと早い時期に見かけるのに・・。

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こちらは以前撮った写真ですが、カエンタケの名にふさわしい形態でしょ?

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コナラなどに良く見るモミジウロコタケです。

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こちらは名前が分かりません。カシノナガキクイムシの被害で立枯れしたコナラにびっしり生えていました。

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このキノコは、時々姿を現して直ぐに傷んでしまいます。師匠からウスヒラタケと教わりました。

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こちらはマンネンタケ(霊芝)でしょうか?マンネンタケは栽培法が確立されているそうです。最近では、食用キノコの菌もいろいろ売られています。誰かハナイグチの栽培法を研究してくれないかな・・。以前、部材を集めて菌糸の増殖に挑戦してみましたが、見た事のない子実体が姿を現しました。


自己都合生活の予定が詰まって来ました。「今やれる事は少しでも早く片付ける」という意欲は無くなって、いろいろため込んでストレスになります。そういう時の気分転換に近くの山野を歩いていますが、その範囲もだんだん狭くなって来ました。その内、裏庭の自然観察が主体になるかもしれません。それでも、のんびり自然と向き合えるのは、幸せな事だと思います。

2022年9月11日 (日)

植物園保護林のキノコ②

続きです。

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この日一番目についたキノコです。傘裏がスポンジ状なので、イグチ科でしょうか?シワチャヤマイグチだそうです。師匠、有難うございました。

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同じく傘裏がスポンジ状で、上より少し小さなキノコです。

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下から見ると、スギエダタケを思わせるような小形のキノコです。

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この手のキノコも名前が分かりません。山野を歩き始めたばかりの頃は、どれもサルノコシカケの仲間と呼んでいました。

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こんな細い枝に生えるキノコも、各所で見られました。

除草作業の後であわてて撮ったため、ピンボケ写真ばかりでした💦。


今日は、富士山こどもの国へ草刈りに行きます。このところ作業日に都合がつかず、久々になります。登録メンバーが各自の都合で行っても、継続して作業の出来る体制作りが必要です。関係者と話し合ってみようと思います。

2022年9月 9日 (金)

植物園保護林のキノコ①

植物園の奥に位置する保護林・・落葉・常緑広葉樹を優先とする林です。限られた面積ではありますが、林床には希少な植物も見られ魅力的な場所です。

先日行った時に、少しだけキノコを撮ってみました。名前は殆ど分かりませんが、キノコ(菌類)とラン科植物との関わり合いに興味を持ち始め、目を向けるようになりました。

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別種のような感じですが、両方カメムシタケです。左の方が若い子実体でしょうか?このキノコは、カメムシから出現しています。宿主ともに引き抜いて標本にすると、すぐに臭気を放つようになります。菌がカメムシの腐植を抑止しているのかもしれません。

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こういうキノコは、枯れ木から出ているような印象を持っていましたが、地面から出ていたと思います。地中に枯木が埋まっていたか確認しておりません。目立つキノコで20cmくらいありました。師匠からボタンイボタケと教わりました。

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こちらも林床に生えていました。ちょっとウスタケに似た形態です。ユキラッパタケだそうです。

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ホウキタケの仲間は、スギの木の下に生えていました。右は常緑広葉樹の下に生えていました。とても小さな子実体でした。

②に続きます。


この季節、富士山などに行くと、食べられる🍄に詳しい人には時々出会います(得てして、そういう人は不愛想です)。ところが、食べられないキノコや硬いキノコの名前が分かる人にはあまり出会いません。キノコに目を向けて歩くと、その形態がバラエティーに富んでいる事や子実体の美しさに驚かされる事があります。キノコの師匠が魅了され、追い続ける気持ちが少し分かります。

2022年8月21日 (日)

エリマキツチグリ?

萌の散歩道で見かけたキノコ・・ツチグリの仲間です。数日前から気になっていたので、撮ってみました。8月11日の「フクロツチガキ?」に似ていますが、見比べると違った形態をしています。

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幼菌と胞子袋(Web図鑑では、袋形の内皮と表現されています)が見え始めた状態です。

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胞子袋の周囲が、エリマキ状になっていますので、エリマキツチグリだと思います。

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幼菌と成菌、成菌の裏返しです。地面に接する部分は極僅かで、軽く触れただけで離脱します。


先日、植物園の除草作業をして来ましたが、その頃から足の親指の付け根が傷むようになりました。何処かにぶつけた記憶もなく、レントゲン撮影でも骨に異常は見られませんでした。腫れもあり、毒虫に刺されたのかもしれません。暫くは無理をしないで大人しくしていようと思います。二日ほど、萌の朝散歩を嫁さんに代わってもらいました。萌は、異常を感じたのか、やけに私にすり寄って来ます。

2022年8月11日 (木)

フクロツチガキ?

菌類(子実体)の識別は難しい!それは、似たものが多いからです。

人工林の林床に生育する植物の下見に行って、ツチグリの様なキノコを見付けました。

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このキノコを初めて見たのは、アキザキヤツシロランの生える竹林でした。家の近くで見るツチグリと似ているけど、感じが違う・・。図鑑で見ると、フクロツチガキかシロツチガキのようです。胞子袋の頂部の感じから、フクロツチガキではないかと思います。間違っていたら教えてください。

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幼菌もありました。たまに歩くと、いろいろなものに気付いて楽しいです。

ある先生から観察日記のようなミニ新聞と著書をいただきました。手描きの詳細画と共に、一般的な図鑑には無い視点で観察されていてとても勉強になり興味深いです。歳と共に行動範囲が狭くなっていきます。先生のミニ新聞を拝見して、この先の楽しみ方を学ぶ事が出来ました。

ついでに・・。

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ここは、かなり急勾配の人工林で、少しだけ水の流れる沢があります。周辺を探索していると、時々サワガニが姿を現します。サワガニは、水場からかなり離れた場所や道路脇などでも見かけます。旅好きな生き物のようですね。