木本

2024年8月27日 (火)

ボタンヅル

畑の隣に、他所の家のササ藪があります。ヤマイモ、クズ、そしてボタンヅルなどの蔓性植物がササの上部を覆っています。ボタンヅルが花盛りだったので撮ってみました。

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ボタンヅルは、栽培されているクレマチスの仲間です。

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地域では普通に見られるため、出会っても同属のハンショウヅルのような有難味を感じません。むしろ「厄介な植物が生えてきた」という感想を持ちます。ボタンヅルは草本ではなく木本に分類されます。

よく似た種としてセンニンソウがあります。花も果実も良く似ていて区別が難しいですが、葉の形態が違います。

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葉に焦点の合った写真が見つかりませんでしたが、参考までにセンニンソウを掲載します。花は遠目に区別できないくらいよく似ているでしょ?

キンポウゲ科センニンソウ属ボタンヅル(Clematis apiifolia DC. var. apiifolia)。

2024年8月16日 (金)

クサギの花

草本植栽エリアの草取りをしていると、フウランやヤマユリのような芳香が漂ってきました。どちらもすでに花期は過ぎています。何だろう?

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鹿柵の向こうに沢山の花をつけたクサギが目に入りました。「芳香主はこれだ!」

風の抜ける場所だったため、写真がブレてしまいました・・。

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葉に独特の臭いがある事からクサギ(臭木)の和名が付けられました。でも、花は甘い香りがします。訪花昆虫は昼にアゲハチョウの仲間、そして日が暮れるとスズメガの仲間が訪れ受粉に寄与するとあります。同じくスズメガの仲間が送粉者となっているフウランの花と似た香りがすることに納得です。

シソ科クサギ属クサギ(Clerodendrum trichotomum Thunb. var. trichotomum)。旧分類体系では、クマツヅラ科とされています。


数年前、小中学生の自然観察で講師をやったことが幾度かありました。その時にクサギ(シソ科)とコクサギ(ミカン科)の葉について「臭いと思うかいい匂いと思うか?」と質問しました。すると、毎回どちらの葉もいい匂いという意見と臭いという意見がありました。感じ方は人それぞれで、決めつけてはいけない事を学びました。

2024年6月28日 (金)

サカキの花

サカキは、地域の山林内でも時々見る事が出来ます。所有林に実生苗が生えていたので、採って来て裏庭に植えました。20cm程度だったその苗は、時を経て2.5mほどに育ちました。

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見上げた枝に蕾がついていました。今回が初花だと思われます。

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咲き始めの花・・つま先立ち片手撮りです。よく見ると裏にクモが隠れています。

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花柱が長いですね。長花柱花は、自家受粉を防ぎ他家受粉を促進させる働きがあるそうです。

サカキ科サカキ属サカキ(Cleyera japonica Thunb.)。Wikipediaではモッコク科とされていますが、Ylistに倣いました。旧分類体系では、ツバキ科とされています。


奈良時代以前には、サカキ、ヒサカキ、シキミ、アセビ、ツバキなど神仏に捧げる常緑樹の総称が「サカキ」だったそうです。地域により違いがあるのかもしれませんが、現在サカキは神事に、シキミは仏事に、そしてヒサカキは両方に使われていると思います。そのように分かれたのは仏教が一般化した平安時代から中世以降で、明治時代の神仏分離令が出てから庶民の間でもこの傾向が広まったとあります。

2024年5月27日 (月)

コアジサイ

ハナミョウガの花に見とれていたら、コアジサイの花が見頃でした。出不精になっている間に、季節に取り残されているような気持になりました。ピンボケ写真ですが掲載します。

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コアジサイは、他のアジサイ属と異なり装飾花がありません。小さな両性花だけの花は、どこか優しい感じがします。

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花色は個体ごとに微妙な違いがあります。中には紫の色素がない白花(シロバナコアジサイ: f. albiflora (Honda) Okuyama)を見ることもあります。

アジサイ科アジサイ属コアジサイ(Hydrangea hirta (Thunb.) Siebold et Zucc.)。

秋に愛鷹山系を歩いていると、林縁だけでなくスギやヒノキの人工林内でも、黄色く紅葉した葉が良く目につきます。

Wikipediaに気になることが書かれています。「本種は山野の自生種は珍しくないが、栽培は困難である」・・植物園植栽用に挿し木で増殖しようと思っていたのですが、どうしてでしょう?


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植物園のビオトープでも見たモリアオガエルの卵がありました。樹下の水場では孵化したオタマジャクシが沢山泳いでいました。

昨日は畑の様子見に行きたかったのですが、家族にせかされて破れた網戸の張替えをしました。その間、家の水場でヤマアカガエルが鳴いていました。カエル予報でも、天気が崩れるようです。

2024年5月20日 (月)

マルバウツギ

今日は、事前の予報よりずっと早く天気が回復して、もったいないような良い天気でした。打合せがあって出かけた先で、いろいろな人との繋がりが判明し、話が弾んで長居してしまいました。

家の周りでは、ヒメウツギの花が終わりマルバウツギが咲いています。萌の散歩道に咲くマルバウツギの花を見るたび、一緒に歩いた日々の事が偲ばれます。

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小雨降る中で撮ったため、こんな写真になってしまいました。
マルバウツギはウツギより葉が丸いこと、花糸に翼があって肩がなだらかなことなどの識別点があります。そして一番わかりやすいのが「花の中心部にオレンジ色の花盤が目立つ」ことです。

アジサイ科ウツギ属マルバウツギ(Deutzia scabra Thunb. var. scabra)。


昨日は、研究者より嬉しい知らせがありました。前ブログに「生育高度により別種のような印象を受ける」と書いた植物があります。その記事を見た別の研究者から「他県でも同様のことを言っていた人がいる」と聞き、静岡県内の生育地を案内しました。

それから数年後、別の目的で採取許可を取ってもらい生態サンプルを採取して研究者に送りました。そのサンプルで新たな発見があり「別種と考えられる」と連絡がありました。地域限定ならいいな・・という思いもありましたが、生育確認されたのは静岡県だけではありませんでした。長年の思いが実を結び、昨晩研究者から記載論文が送られてきました。微力なお手伝いですが、成果に結びつくと嬉しいものです。

植物名は、もう少し伏せておきます。

2024年4月30日 (火)

ヒメウツギ

家の周りにヒメウツギの白い花が咲いています。ウツギと名の付く植物は多く、ウツギ属ばかりではありません。紛らわしいですね。

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他種に比べて丈が短く、多数の白い花をつけ見応えがあります。地域ではこの花が終わるころ、ウツギが咲きだします。

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「花糸は両側に翼状に広がる」・・花糸の形状は他種との識別点の一つになります。

接写用のコンデジTG-6は最近ピンボケが目立ちます。なんか最初に買ったTG-4の方が思ったように撮れた気がします。使い方が間違っているのだろうか?アル中でブレているわけではありませんよ。

アジサイ科ウツギ属ヒメウツギ(Deutzia gracilis Siebold et Zucc. var. gracilis)。


気温の高い日が続いています。少し草取りをしただけで汗だくになります。今年の夏も猛暑だろうか?昨年は熱中症になりかけた様な日が幾度かありました。気を付けなくては!

2024年4月27日 (土)

ウリハダカエデの花

何年前か分からなくなりましたが、裏庭植物園に地域産のウリハダカエデの苗を植えました。当時20cmくらいだったと記憶しています。歳月を経て3mを超すほどに育ちました。

今日、花の咲いているのに気づきました。。

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2階の踊り場と樹下から撮ってみました。我が家の場合は、黄色く紅葉してとても奇麗です。

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初めて見るウリハダカエデの花です。手の届く範囲はすでに終盤を迎えていました。

ウリハダカエデは、雌雄異株で稀に同株とあります。この木は花の様子から雄株のようです。

ムクロジ科カエデ属ウリハダカエデ(Acer rufinerve Siebold et Zucc.)。旧分類体系では、カエデ科とされています。

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こちらは父親が栽培していた園芸品種です。雌雄同株のようですが、ウリハダカエデの花粉で交雑しないのだろうか?

2024年3月28日 (木)

キブシの花

不法投棄監視パトロールに行った林道で、キブシの花などを撮ってみました。引きこもりのような生活を続けているうちに、春爛漫の季節になっていました。

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キブシは雌雄異株です。「雄花より雌花の方が短い」と図鑑の解説にあります。この写真ではちょっと比較しにくいですが、左が雄花で右が雌花です。

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こちらが雄花です。黄色い葯が見えています。

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こちらが雌花です。雄蕊が退化して緑色の柱頭が目立っています。

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花弁を外してみました。退化した雄蕊は花柱の1/3くらいの長さしかありません。

幾つか観察してみると、花序の長さには個体差がありますので、雌雄の区別は花の中を覗いてみるのが一番だと思います。

雌雄異株の植物は、自家受粉が避けられるため、多様な遺伝子を持った子孫が残せる利点があります。同時に、近くに両種がないと種子が出来ないので子孫が増やせない欠点もあります。この場所には、雄木と雌木が混在していました。どういうシステムで、実生苗が雄と雌の木になるのか知りたいものです。

キブシ科キブシ属キブシ(Stachyurus praecox Siebold et Zucc.)。

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林道から見た下界の様子です。中央右に見える山裾には富士川が流れています。ここは、ササユリの保護区から見える愛鷹山系某所になります。「そんな所に不法投棄物なんかあるのか?」・・あるのです。投棄されたものの大半は、分別してゴミ回収に出せるようなものです。わざわざ山中に持ってきて捨てる人の気持ちが理解できません。

2024年3月12日 (火)

ヒイラギナンテン

雨続きや用事が重なって慌ただしい日が続いて、また更新が滞ってしまいました。家族には「ボケなくていい」と言われています。

地域のスギやヒノキ林の中を探索すると、ヒイラギナンテンをよく見かけます。ヒイラギナンテンは、江戸時代に中国から渡来したそうです。

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葉がヒイラギに似ています。触ってみるとヒイラギほど痛くありません。全体の姿がナンテンに似ていることと併せてヒイラギナンテンの和名がつけられたそうです。どちらも魔除けなどの縁起木とされる植物ですから、2倍縁起のいい植物ということになります。

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萼片9枚、花弁6枚・・どちらも黄色なので全体が花弁のように見えるとあります。萼片は大小があるようです。

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薄暗い林床に生育していることが多い割には、結実率が高いので自動自家受粉するのかと思っていました。「昆虫などが雄しべに触れると刺激で内側に動いて受粉する」そうです。直接雄しべに触れないと動かない(受粉しない)のだろうか?今度確かめてみよう!

メギ科メギ属ヒイラギナンテン(Berberis japonica (Thunb.) R.Br.)。

帰化植物なのに、学名が「japonica」となっているのはどうして?

2024年3月 1日 (金)

ミツマタの花

29日は、委嘱を受けている不法投棄監視パトロールに行ってきました。ポイ捨てゴミばかり見ていると嫌になるので、時々近くの林内を覗いたりしています。

保管庫で眠っていた古い高倍率コンデジで、ミツマタの花を撮ってみました。手振れピンボケ写真ばかり・・カメラのせいです(笑)。

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ここは、テンナンショウ属の調査を依頼されたとき偶然見つけました。林床にはヤマルリソウやアケボノソウなども生えています。この日は、近くでウグイスが鳴いていました。人と出会うこともないので、のんびり自然と触れあえます。

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再生畑ではミツマタの花が咲いていましたが、この場所は比較的高所にあるので開花は少し遅くなります。

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よく見ると、咲き始めたものもありました!

ミツマタの花は花弁がなく、萼筒の先端が4裂して花弁のように見えます。花の形態はかなり違いますが、カンアオイ属と同じですね。

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枝が三つに分かれるのでミツマタの和名がつけられました。でも、二つ又やこのように四つ又になることも稀にあります。図鑑の解説と違うところを探していると、いろいろなことに気づくようになって植物観察が更に楽しくなります。

ミツマタは、中国、ヒマラヤ、東南アジア原産の帰化植物です。日本へは安土桃山時代~江戸時代頃渡来したとあります。富士山周辺では、栽培地の名残と思われる群落を見ることもあります。

ジンチョウゲ科ミツマタ属ミツマタ(Edgeworthia chrysantha Lindl.)。