草本

2024年5月 7日 (火)

ヒロハコンロンソウ

今日は予報通り一日雨で、視察予定は順延となりました。そこで、PCの整理と観察写真のまとめなどをしています。

コケイランに出会った近くで見つけた植物です。暗っぽい写真で恐縮です。

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この写真では少しわかりにくいですが、葉柄の基部に出っ張りがあります。図鑑では「葉柄基部に耳状の付属体」とあります。

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この植物は、ヒロハコンロンソウだと思います。間違っていたら教えてください。

手元にある「富士市植物仮目録2023年版(中山Ver.)」には、生育地として一個所の地域が記載されています。杉野孝雄先生の「静岡の植物図鑑」によると県内各地の山地に分布とありますが、私はこれが二回目の出会いになります。

適正な環境なら群生するタイプの植物だと思いますので、「沢山あるよ!」と言われる方が多いかもしれません。でも、私にとっては希少植物の部類に入ります。

アブラナ科タネツケバナ属ヒロハコンロンソウ(Cardamine appendiculata Franch. et Sav.)。

2024年5月 5日 (日)

コケイランと不明な植物(セリバヒエンソウ)

先日、ある場所の探索をしていてコケイランに出会いました。その後の予定もあり急ぎ足で探索しましたが、約百メートルの範囲で開花株が5株見つかりました。

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最初に見つけたのは、駐車した車の前でした。植物に興味のない嫁さんでは、指さしても気づかないかもしれません。

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こちらはスゲの生える湿地の近くです。葉が見当たりませんでした。近くに生えるサイハイランも花後に葉が枯れ、秋に新葉が姿を現します。開花株でも葉の枯れる時期に個体差があるようで、まだ青々したものもありました。同属のコハクランに比べて柔らかでシュロソウを思わせるような感じです。

静岡県内の諸先輩のWebページに掲載されているコケイランの花の唇弁は、上右の写真のように無地のものが多いと思います。ところが隣県の山で見た個体には紅紫色の斑点がありました。Wikipediaにも同様の解説がされています。

気になるのは、低山の個体は小川脇など湿り気の多い場所で見られますが、隣県の個体はススキの生える小さな山の上に生えていました。とても湿り気の多い場所というような感じではありません。もしかして変種?なんて思っています。

ラン科コケイラン属コケイラン(Oreorchis patens (Lindl.) Lindl.)。


次に行った場所で出会ったこの植物・・葉は見ていたかもしれませんが、花は初見だと思います。⇒セリバヒエンソウと教えていただきました。nohana様、有難うございました。原産地は中国で明治時代に渡来した帰化植物とありますが、研究者による逸出帰化との記述もあります。

キンポウゲ科デルフィニウム(オオヒエンソウ)属セリバヒエンソウ(Delphinium anthriscifolium Hance)。

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花には距があり、その外側には毛が生えています。少し明るい林縁に生えていました。この植物の名前がわかる方、教えてください(静岡県東部富士宮市にて撮影)。


一昨日は再生畑の未耕作エリアの草刈、今日は別の休耕畑の草刈と耕運機かけをやって来ました。休みながらゆっくりやればいいのですが、せかせかやるので流石に疲れました。性分なので仕方ありません。まだ残った作業があります。頭の痛いことです。

2024年4月16日 (火)

ヤマエンゴサク

調査依頼を受けて行った林内で、ヤマエンゴサクの花を見かけました。南麓ではそれほど珍しい植物ではありませんが、生育エリアはある程度限定されています。

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花色も様々です。

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紅紫系の花もありました。

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この亀の手のような苞が特徴です。今回は撮りませんでしたが、小葉の形も色々で見比べると楽しいです。

ケシ科キケマン属ヤマエンゴサク(Corydalis lineariloba Siebold et Zucc.)。

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同じ林床に、ジロボウエンゴサク(Corydalis decumbens (Thunb.) Pers.)も咲いていました。花色に濃淡はありますが紅紫色です。ヤマエンゴサクより小形で繊細な感じがします。


ヤマエンゴサクは多年草ですが、新緑のころには地上部が姿を消してしまうスプリング・エフェメラルです。同属で家の周りに生育するムラサキケマンは越年草で、種子の発芽率が高い種のようです。ヤマエンゴサクの発芽率はどうなのか種子繁殖に挑戦してみたいと思っています。

調査依頼を受けた植物?それは研究対象なので秘密です。

午前中、畑行って未耕作エリアの草刈りをしました。キツネアザミの成長が早いこと・・ロゼット状態だと思っていたら、あっという間に花茎が伸びてきました。これから畑に行く度除草が中心作業になります。頭の痛いことです。

2024年4月14日 (日)

コガネネコノメ

植物の探索を始めたばかりのころ、目覚めたばかりのバイケイソウに誘われて入った林内で、この黄色い四角の花に出会い感激しました。

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花数は個体ごとに様々です。6個前後が多く、中には12個のものもありました。

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林床ではハナバチなどの羽音が聞こえていましたが、この花には写真のような昆虫が集っていました。

コンデジのピント設定を間違えて、いつも以上にピンボケ写真になってしまいました。

ユキノシタ科ネコノメソウ属コガネネコノメソウ(Chrysosplenium pilosum Maxim. var. sphaerospermum (Maxim.) H.Hara)。

「走出枝は花の後によく発達し・・」とあります。早い時期の訪問では、昨年より花が少なく数が減ってしまったような印象を受けることがあります。未確認ですが、走出枝にも花が咲くのではないでしょうか?

2024年4月 7日 (日)

テンナンショウ属

テンナンショウ属の識別は難しく、私には苦手な種です。数年前、訪花昆虫の調査に協力したのを機会に、少しでも覚えようと思っていますが後退してばかりです。

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左は家の周りでもよく見られるスルガテンナンショウで、右は西の方に多いムサシアブミです。栽培品の逸出なのか、県東部でも稀にみることがあります。

サトイモ科テンナンショウ属スルガテンナンショウ(Arisaema yamatense (Nakai) Nakai subsp. sugimotoi (Nakai) H.Ohashi et J.Murata)。

サトイモ科テンナンショウ属ムサシアブミ(Arisaema ringens (Thunb.) Schott)。

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さてこちら・・実は実生発芽させた個体です。地域でも一番早く姿を現すスルガテンナンショウよりも更に早く咲きます。種子の採取地は伊豆半島です。Web図鑑より庇の形状が少し短いですが、専門家の方にナガバマムシグサと教えていただきました。地域で見る種に比べて、葉の細さに目が行きました。

サトイモ科テンナンショウ属ナガバマムシグサ(Arisaema undulatifolium Nakai subsp. undulatifolium)。


富士山周辺では、まだ図鑑に掲載されていないミクニテンナンショウ、オオミネテンナンショウ、ホソバテンナンショウ、ヒガンマムシグサ(ハウチワテンナンショウタイプ)、オオマムシグサに似たイズテンナンショウなども写真帳で同定していただきました。

個体変異もあり、私にはまだまだ自信をもって識別することができません。静岡県中部には、テンナンショウ属の素晴らしいWeb図鑑を公開されている方(星山耕一様)がいらっしゃいますので、下記にリンクを張っておきます。メールアドレスも記載されています。

【テンナンショウ属Arisaema】

2024年3月24日 (日)

カヤランの苗再び

ツツジの枝に生えてきたカヤランの実生苗を、追跡観察してみました。

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当初は、クモランの葉状体(仮称)かと思っていたカヤランの発芽間もない姿です。

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こちらは、葉状体の端部から普通葉が出ています。

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左には普通葉が2枚見えます。普通葉だけが2~3枚の個体を見かけますので、そのくらいまで成長すると葉状体は姿を消すようです。クモランでいえば、葉緑素を持った着生根が伸びた頃に姿を消していきます。発芽間もない苗の栄養補助器官のようなものだと思います。

右はカヤランの果実です。一般的なラン科植物の果実と違い、果皮の片側だけが裂開します。種子が飛散するころに、蕾を見ることが出来ます。沢山のカヤランの苗を見て、森町の古民家で見たフウランの実生苗を思い出しました。イヌマキの枝にびっしり生えていました。そういえば果実や種子の形態が似ています。毛糸の繊維のような種子は、風で飛ばされ樹皮に留まりやすいようです。

ラン科カヤラン属カヤラン(Thrixspermum japonicum (Miq.) Rchb.f.)。

ヨウラクランの苗

山間の地にある我が家の庭木では、いろいろな着生ランを見ることが出来ます。種子発芽からどのように成長していくのか、観察してみたいと思っていました。

イヌマキの枝に着生していたヨウラクランの実生苗を撮ってみました。接写用のコンデジを使いましたが、あまりに小さいのでピンボケになってしまいました。

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こちらの苗は、スケールで測ってみると葉幅が1mmに満たないとても小さなものです。

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こちらが、今回見つかった一番小さな発芽苗です。上に写っているのはセッコクの着生根で、直径1mm程度です。苗がいかに小さいか分かると思います。

ラン科は単子葉植物です。一枚葉の苗を探していますが、まだ発見できません。

ラン科ヨウラクラン属ヨウラクラン(Oberonia japonica (Maxim.) Makino)。


着生ランの根は、水分や養分を吸収・貯蔵する特殊な構造をしているそうです。でも、乾燥により枯れてしまう実生苗も多いと思います。枝に着生する個体は枝の上側ではなく、下側についているものが殆どです。

あるWebページに、温帯から亜寒帯に生育するラン科植物の種子は、完熟すると休眠に入り冬の寒さを経験させないと休眠から覚めない・・というようなことが書かれていました。地域に生育する着生ランは、今頃果皮が裂開し種子を飛散させるものがあります。種子を飛散させる時期によって、例外もあるのではないでしょうか?

2024年3月14日 (木)

姿を消したコクラン

再生畑の隣に、スギ・ヒノキの混合林があります。林床にはコクランが生えていました。様子を見に行くと、姿が見えません。どうしたのだろう?

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上部を何ものかに食べられていました!

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こちらはオオバコのようです。最初はシカかと思ったのですが、他の食痕や足跡からもウサギではないかと思われます。

以前撮った写真ですが・・。

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コクランは、クモキリソウ属(Liparis)とされていて、同属他種は冬に地上部の枯れるものが多いですが、基本的には冬に地上部(葉)が枯れません。

先生から「日本で生育が確認されたラン科植物」の一覧表をあずかり、新記載種やDNA情報の解析により、属名(学名)の変更になったものを追記・訂正しています。少し前までは、コクランは上記のようにクモキリソウ属(Liparis)とされていましたが、最新のYlistでは、下記の二つの学名が標準として記載されていて、従来の学名Liparis nervosa (Thunb.) Lindlは、synonymとなっています。

Empusa nervosa (Thunb.) T.C.Hsu:文献情報(原記載文献など): Orchadian 15: 40 (2005).
Diteilis nervosa (Thunb.) M.A.Clem. et D.L.Jones:文献情報(原記載文献など): in T.C.Hsu & S.W.Chung, Ill. Fl. Taiwan 2: 18 (2016).

2023年4月11日付けの編集によるYlistでは、他の種でも標準学名が2種類記載されたものがあります。これはどうしてでしょう?

2024年2月24日 (土)

カヤランの実生苗

家族が休みの日は、できるだけ外出しないで家にいます。ところが、今日は見捨てられ一人ぼっちでした。PC作業に飽きたので、萌がいたら・・なんて思いながら、裏庭植物園を眺めて歩きました。

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カヤランの着生していたツツジの枝を見ると、前回見逃した枝に沢山の実生苗が生えていました。

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左は上右の枝を少し角度を変えて接写しました。そして、この枝の裏側を見たのが右の写真です。あれっ?クモランの発芽初期に見られる葉状体(仮称)のようだ!

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こちらの枝にも、同じようなものが見えています。これはカヤランだろうか?さらに右のマメヅタの赤ちゃんのようなものは?

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この写真をよく見ると、片方(写真の上側)は葉状体のような形態で、もう片方は先端が尖ったカヤランの成長した株と同じ形態の葉が見えています。葉状体のようなものはクモランではなくカヤランの発芽間もない姿のようです。これも、クモランと同じく葉ではなく胚芽に由来する(発芽苗の茎のような)部分で、普通葉が成長し根が伸びるとともに姿を消していくのではないかと思います。

掲載した写真で発芽したてに一番近いのは、マメヅタの赤ちゃんのような上右の写真のようです。クモラン同様、庭木に着生していたからこそ気付いたことです。今後は、この葉状体のようなものの変化を観察していくつもりです。

成長が遅く・・と書かれたWebページもありますが、盆栽や庭木に着生しているヨウラクランやカヤランは、ラン科植物にしては開花に至るのが速い方だと思っています。

ラン科カヤラン属カヤラン(Thrixspermum japonicum (Miq.) Rchb.f.)。

2024年2月18日 (日)

ヒメフタバラン(県東部)

この野生ランに初めて出会ったのは、十数年前の五月連休でした。同じくらいの標高にも見られるアオフタバランや、亜高山帯に生育する種は初夏以降に咲くのに、もう花柄子房の膨らみ始めたものもありました。発見時点では、種名が分かりませんでした。

数年後に別の場所でも見つけましたが、いずれも個体数は少なく極狭い範囲でしか見られませんでした。県西部で大群落に出会うまではそういう種だと思っていました。

一番高度の低いところでは、そろそろ姿を現しているかもしれないと思い、様子見に行ってきました。

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冬に地上部は枯れますが、新たな葉が展開していました。右には蕾を持った個体が見えています。

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ヒメフタバランは、地下茎で栄養繁殖もします。掘ってみないと分かりませんが、こちらは栄養繁殖苗かな?

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花期は、3~5月とあります。この場所では、3月に花が見られるかもしれません。ヒメフタバランは、光合成をしながら主としてロウタケ科の菌類にも栄養依存しているそうです。ロウタケ科というとキンランやササバギンランなどの菌根菌としても挙げられています。

ラン科サカネラン属ヒメフタバラン(Neottia japonica (Blume) Szlach.)。フタバラン属(Listera)はDNA情報による解析の結果サカネラン属(Neottia)に改められました。

オオフタバラン(Makino 1893)の別名もあります。この場所の個体はそれほど大きくありませんが、30cmくらいになるものもあるようです。フタバラン類の中では大型に属する事から牧野博士によって命名されたようです。

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