野生ラン

2026年7月12日 (日)

ヒメヤツシロラン

この植物は、静岡県の山野では生育確認されておりません。2016年8月下旬に、研究のために採集された塊茎を友人の研究者が送ってくれました。産地は鹿児島県三島村です。当時は丹沢の師匠の指導を受け、地域のヤツシロラン類の実生栽培を学んでいました。

塊茎と共に一握りの現地の土が入っていました。プラ容器に焼成赤玉土を敷き、その土をバラまきました、そして、地域のササを切り裂き敷き詰めました。パネルヒーターで加温しながら、土壌湿度を維持しておきましたが、半年ほどして土を掘り起こしてみると塊茎は姿を消していました。それでも、菌糸が姿を現していたのでそのままにしておくと、2018年6月に一本の花径が伸びて来ました。

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そして、6月下旬にこんな花が咲きました。初めて目にするヒメヤツシロランの花に感激しました。

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花後の7月下旬に根が伸びて来て、8月~9月と菌糸が絡み付いた個所に、コブのような器官が姿を現しました。菌糸が共生菌である証です。

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2019年にも一本の花径が伸びて来ましたが、花径はか細く開花に至らず蕾が落下してしまいました。菌糸不足と思い、新たにササの刻んだものを容器内に敷き詰めました。

昨年も一本の花径が伸びて来ましたが、やはり開花に至らず蕾が落ちてしまいました。そして、一昨日久々に容器を覗いてみると・・。

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なんと、5本もの花径が姿を現していたのです。訂正:④と⑤の間にもう1本あったので、計6本でした。

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塊茎を送ってもらってから10年も小さな容器内で代を繋げていたのです。私の実験容器内ではありますが、国内外来種としてこのブログに掲載する事にしました(山野を歩く機会が少なくなってネタ切れ対策です)。

ところで、塊茎を受け取った半年後に確認した時は、生き残った塊茎は見つけられなかったのにどうして花径が伸びて来たのでしょう?プロトコームか見逃してしまうようなとても小さな塊茎が残っていて成長したか、土の中に種子が紛れていてそれが菌糸に栄養依存して発芽成長した事などが考えられます。

それともう一つ・・塊茎は複数の根を伸ばしますが、栄養繁殖はしないという認識を持っていました。もしかしたら、ウチョウランの仲間のように栄養繁殖もするのではないかなんて思いながら、容器内の花径を眺めました。

この報告を研究者にしようと思っていたら、昨日別件で久々のメールがありました。思い起こせば、こういう偶然は過去何度かありました。人使いの荒い依頼も多いですが、彼からの連絡は嬉しいものです。

※写真上で左クリックすると、横幅900ピクセルの写真がポップアップ表示されます。写真外で左クリックすると、ポップアップ表示は消えます。

2026年6月23日 (火)

ツチアケビの花

今日は、不法投棄監視パトロールに行って来ました。パトロールコースの林道脇で、ツチアケビの花が咲き始めていました。

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沢山の花径が伸びる事もありますが、1~2本だけの所は翌年から数年見られないことが多いです。この場所は、昨年花径が倒れてしまったせいか今年も伸びていました。オニドコロの蔓が触れ止めになっているようですね。

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ツチアケビは、ラン科植物です。縁にギザギザのある黄色い唇弁は、洋ランのデンドロビュームを思わせて奇麗です。

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下手に手を触れると、花柄子房と共にポロポロ落ちてしまう事があります。チリのような種子を宿す蒴果が多いラン科の中でも、この種は果肉の中に種子を宿す液果です。しかも、光合成をおこなわず、ナラタケに栄養依存している変わりものです。

ラン科ツチアケビ属ツチアケビ(Cyrtosia septentrionalis (Rchb.f.) Garay)。


◇追記◇
6月24日13時過ぎに、Niftyさんから「【重要】メールパスワード漏えいの可能性に伴う変更手続きのお願い」というタイトルでメールが送られて来ました。「メールアドレスおよびメールパスワードが第三者に漏えいした可能性がある」ので、ログイン及びメールパスワードの変更を25日中にしてほしいとの内容でした。早速、Niftyのホームページにアクセスして変更手続きを行い、新しいパスワードで本ブログにアクセスし、記事に追記をしています。

こういう関係のパスワードは、紙ベースで一覧表を作って家族にもその所在を告げてあります。電子マネーも含めて、世の中はとても便利になって来ました。でも、セキュリティー対策が追いつかず、便利と危険が表裏一体のような感じがして、年寄りには馴染みにくいです。

2026年3月13日 (金)

ヒメフタバラン実生苗の確認

同じような記事で恐縮です。3月12日に、ヒメフタバランの移植エリア周辺を覗いたところ、実生苗が確認できたので記録に残します。

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移植保護エリアは、石積みと丸太の間です。実生苗は丸印の奥に生えていました。

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ここには、開花株も1本ありました。丸太枠内の個体から1m以上離れたところに生えていたので、最初の実生苗が成長したものと思われます。

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その横にも・・。

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こちらは更に奥に生えていました。とても可愛い双葉が4個確認できます。踏みつけないように付近の立ち入りは止めました。もっとあるかもしれません。

移植当時の写真は、LAN-DISKにアクセス出来ないためアップで来ませんが、記憶では5株前後植えただけでした。12日に確認した双葉は50個体以上ありました。移植したのが2020年か2021年だったと思いますので、5~6年の間に10倍に増えたことになります。


植物は移植先で上手く育つかやってみないと分かりません。中でもラン科植物は、種子に発芽の養分を殆ど持たないため共生菌に栄養依存して発芽する上に、その後も共生菌への栄養依存度が高いので難易度の高い種です。

フタバラン類は地下茎で栄養繁殖するため、環境が合えば増殖して群落を形成しやすい種です。でも、それだけでは不十分で、移植先で実生苗が育つことも重要です。今のところ、この場所の環境はヒメフタバランに適していると判断できます。増えたことも嬉しいですが、それ以上に実生苗の育っていることが嬉しい!

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長年の探索経験から、薄暗い林床に生育する野生ランは、土壌湿度の安定した場所を好んで生育していると思っています。そのためこの林床で一番低い石積みの下を選びました。そして共生菌が繁殖しやすいようにスギ・ヒノキの枯れ葉や球果を敷き詰めました。

2026年3月 6日 (金)

移植先のヒメフタバラン

Windows11の更新に伴う幾度かの不具合で、自作パソコン「Pengin」は引退する事になりました。Penginの姿を模ったケース本来のOSであるLinuxで復活出来るか模索中です。

また更新が滞り、ご訪問くださった皆様には大変申し訳ありませんでした。パソコンを新しくしてから初めての更新になり、前記事のセリバオウレンは、すでに果実期に入ったものもあります。


数年前、静岡県東部でヒメフタバランの生育地を2個所発見しました。最初の場所はベニシュスランが広範囲に生えている針葉樹林でしたが、ヒメフタバランは一坪に満たないくらい狭い範囲でしか確認できませんでした。二番目の場所は、カンアオイ属の調査で入った渓谷沿いの急勾配の針葉樹林でした。こちらは更に個体数が少なく、落ち葉が無く裸地に近い状態だったため移植する事にしました(山林の所有者が不明なため盗掘です)。

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最初の場所には無かった斑入り葉の個体です。高度が150mくらい低いところに移植したため、もう蕾が上がっています。

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こちらは葉の長いタイプです。

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もう咲いている個体もありました。

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小さな葉の個体も幾株か見られました。フタバランの仲間は、地下茎で栄養繁殖しますのでこれが実生苗なのか栄養繁殖苗なのか掘ってみないと分かりません。でも、人為的に敷き詰めたスギの葉や球果のお陰か、移植した時点よりもこの場所で確実に増えています。それが一番嬉しい!

静岡県西部のヒメフタバラン生育地は、数えきれないくらいの大群落でした。東部で私が出会った場所はごく狭い範囲だったため、周辺を探索して歩きましたが本家と思われる群落にはまだ出会えておりません。

ラン科サカネラン属ヒメフタバラン(Neottia japonica (Blume) Szlach.)。

フタバラン類は、フタバラン属(Listera)からサカネラン属(Neottia)に改められました。

2025年11月25日 (火)

馬頭観音の植物

一か月ぶりの更新になります。高齢者のブログは「生きている証」・・やまぶどうは、何とか生きています。

不法投棄監視パトロールのコースの一つに、馬頭観音の祀られているところがあります。そこに生育する植物を撮ってみました。

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キッコウハグマの花が咲いていました。各所で見かけることの多い植物ですが、閉鎖花をつけるため咲いている花の少ない場所もあります。花を開くのは若い小形の株が多く、閉鎖花は大株になるほど多いように思います。

小さいけど綺麗な花です。よく見ると3個の花が合体していることが分かります。ピンクの花をつけるエンシュウハグマを思い浮かべ、花弁の形がより整ったこの花がピンクだったらなんて考えました。

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こちらは独特の香りがするリュウノウギクです。この辺りから上ではよく見かける野生菊です。

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隣には、ラン科シュスラン属のミヤマウズラが生えていました。シュスラン属は地下茎で増え群落をつくることもありますが、共生菌への依存度が高く環境の変化により姿を消してしまうことがあります。結構気難しい植物であるという印象を持っています。

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ヤマツツジの苗です。ツツジの仲間は種を蒔いても上手く発芽してくれません。ところが場所によってはミニ盆栽のような苗が沢山見られます。畑に作っているミニ植物園への導入種として、ツツジの仲間も検討中です。長年山野を探索していると、身近で見られる植物に目を向けることを忘れ、その魅力に気付かない事が多々あります。

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ホコリタケかと思ったらずっと大きい・・ノウタケの仲間かな?


民家から離れた場所にあるこの馬頭観音の周りには気になる植物がいろいろ生育しています。以前はササユリも咲いていましたが、いつの間にか姿を消してしまいました。ラン科では前記のミヤマウズラの他に、シュンラン、コクラン、クモキリソウ、オオバノトンボソウ、ヤクシマヒメアリドオシランなど、そしてツツジ科にのウメガサソウも見られます。

この馬頭観音には、お供えをして見守っている人がいました。その方は数か月前に他界されました。この後、それを引き継ぐ人がいるのだろうか?

2025年9月19日 (金)

カヤランとクモラン

9月10日に地域の水口(水源)調査に行ってきました。その時、針葉樹林の林床でカヤランとクモランを見つけました。

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強風によって着生していたスギの細枝とともに落下したようです。地域の人工林を歩くと、このように落下しているのを時々見かけます。そのままではやがて枯れ死してしまうと思われるので、持ち帰りました。

【カヤラン】

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左が上のカヤランで、右は以前持ち帰ったカヤランです。着生していた枝ともにサザンカの幹に麻紐で固定してあります。

次は庭木に着生したカヤランです。最近、庭木の各所で見かけるようになりました。

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こちらはツツジの枝に着生したカヤランです。準備の早い着生蘭で、もう来春咲く蕾が姿を現しています。

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カヤランは着生する樹種が多様な種ですが、中でもツツジの枝は共生菌が豊富なようで沢山の苗が見られます。

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過去のブログ記事でも掲載しましたが、この2枚の写真には発芽間もない状態のカヤランが見られます。扁平な器官で、葉緑素を持ち一見葉のように見えます。特に下の写真の右上に伸びている部位に注目してください。これは葉ではなく胚芽に由来する器官で普通葉が出現するとやがて姿を消していきます。

ラン科カヤラン属カヤラン(Thrixspermum japonicum (Miq.) Rchb.f.)。

【クモラン】

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針葉樹の盆栽・・トウヒの寄せ植えに着生しているクモランです。自動自家受粉するようで、結実率は高く毎年右のように沢山の果実が見られます。

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縦長の左側の写真(左に伸びる根の脇の部分)とこの写真(Xになっている部分)には、カヤランと同じような扁平な器官が写っています。こちらは葉緑素を持った着生根が成長すると姿を消していきます。

ラン科クモラン属クモラン(Taeniophyllum aphyllum Makino)。


ところで、Wikipediaによると、クモランに関して「着生場所から引き離した場合、絶対と言ってよいほど再活着しない」とあります。以前、研究者からの依頼で県中部に生育するクモランを採集しに行ったことがあります。そこは県東部で見るものより着生根が長く、別の個体の上に被さり合うように生えていました。根を傷めないで簡単に掴み取れました。前記のことが気になっていたので、一塊を苔の生えた桜の木に固定して毎日水遣りしたところ無事活着しました。この着生蘭は、長期乾燥によって根が枯れ死することが多いように感じています。着生根ですからスプレーでの水遣りも有効だと思います。枝に着生したままなら、冒頭のカヤランのようにして根が動き始めるまでマメにスプレーすれば、活着の可能性は高いと思います。

この二種類の着生蘭は、他種に比べて樹種を選ばず発芽しやすいようですが、長く観察しているといつの間にか姿を消してしまうことがあり、場所を移動しながら代を繋げているというような印象を持ちました。このことは日本の蘭ハンドブック「カヤラン」の解説でも触れられています。同じく発芽率の高いヨウラクランも同様に感じています。庭木の着生蘭観察も興味深く楽しいです。

2025年9月17日 (水)

ヒガンバナと十日後のシュスラン

NPOからの依頼で、ヒガンバナの花が咲き出す前に、富士市の下界を流れる沼川沿い遊歩道の草刈りをして来ました。今年は連絡がないので心配していたら、もう山間の地でも花が咲き始めました。NPOの役員と途中から参加してくれたジヤトコさんだけで刈ったのだろうか?長年参加してきた市民メンバーは、数人だけ残りみんな年寄りになってしまいました。

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こちらは一足先に咲いたキツネノカミソリです。同科同属ですが、キツネノカミソリの果実が膨らみ始めた頃、ヒガンバナの花が咲き出します。

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十日後のシュスランの花です。花茎の先端部まで咲いていました(控えめな性質なので、あまり開きませんが・・)。

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上手く根付くか分からないので、緊急避難したのは一株だけでした。花茎から少し離れた場所に見える小さな株は、親株から伸びた栄養繁殖苗です。この苗は地上部が残ったまま冬を越しますが、花茎部は枯れて地下茎だけ残ります。今のところ、この場所の環境は適しているようです。


最終的には、環境の変化により小型化してしまった地域某所のベニシュスランを少し移植して、花を咲かせたいと思っています。それが、少し前に不法投棄監視パトロールで通りかかったところ、作業道の草刈りがされていました。すでに自生地の間伐作業がされてしまったかもしれません。近々確認してこようと思っています。

植物保護の考え方や方法は人それぞれです。諸先輩の多くは「自然のままに!」というご意見を持たれていると思います。でもそれでは守れない植物を幾度も目にして来ました。情報拡散による園芸採取はもちろんですが、野生動物の食害や、草刈り・笹刈りがされなくなったために姿を消してしまった希少種もあります。ただ、個人レベルで保護できる植物はホンの少しで、傍から見れば単なる自己満足と言われるかもしれません。それでも何もしないより良いと最近思うようになりました。

2025年9月 5日 (金)

シュスランの花

日々行動範囲が狭くなってきた為、こちらのブログの更新が滞り気味になってしまい、訪問者の皆様にはご迷惑をおかけしております。

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以前掲載したシュスランが咲き始めました。このシュスランは「緊急避難」という名目である場所から移植しました。諸先輩のWebページや図鑑などには「照葉樹林や落葉樹林下に生育」とありますが、針葉樹の人工林が大半を占める静岡県東部においては、ベニシュスランとともにスギ・ヒノキの林床で見かける場合が殆どです。

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花は紅を帯びた白色であまり開きません。

ラン科シュスラン属シュスラン(Goodyera velutina Maxim.)。


私の限られた探索範囲では、シュスランよりもベニシュスランに出会うことが多く、Webページの記述と逆の印象を持っていました。ベニシュスランに関しては、幾度か生育地を訪問している内にシュスラン属の中でも一番気難しい植物ではないかと思うようになりました。

現在、各所で人工林の間伐や皆伐が行われています。森林組合さんなどにお願いして気を使ってもらっても、林床の光条件が変わることによって共生菌の繁殖環境が変化し、個体は小型化して花を咲かせなくなります(素人の私見です)。その保護には移植も視野に入れる必要がありますが、群生することもある割に気難しい植物なので、安定して生育できる条件を模索する必要があります。

以前、腐生ランを栽培する実生床と同じ考えに基づきプラ容器で実験してみました。実験は上手く行きましたが、小さな容器なので共生菌の状態を長く保つことは困難です。そこで、移植したこのシュスランに注目してきました。上手く花を咲かせてくれれば、移植して保護する目標も明るいものになります。ただ、移植により保護できる個体数は微々たるものですが・・。

2025年8月 7日 (木)

シュスランとヤクシマヒメアリドオシラン

シュスラン属は群生することが多いようですが、結構気難しい野生ランだという認識を持っています。私の探索範囲で、シュスランを見かけるのは稀です。数年前に、先生と保護林の間伐木の選定をしていた時見つけたシュスランを一株移植しました。

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移植後、昨年初めて花茎が伸び花を咲かせました。今年も蕾が見えています。未開花の茎葉も地下茎で繋がっている栄養繁殖株(クローン)です。

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蕾を持った茎の節の辺りに注目すると、細かい根のようなものが伸びていました。以前腐生ランの実生床と似た環境の容器内で、ベニシュスランを栽培したことがあります。その時も同じようなものが伸びて来ました。そして2年後に容器内の多くが花を咲かせました。

また素人の考察ですが・・。私はこの毛根のようなものが、腐生ランの根状器官と同じ働きをするのではないかと思っています。目につかない時もあるので、共生菌から栄養を供給する時期に顕著に表れるのかもしれません。

ついでに・・。

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こちらはチリのような種子を撒いた場所に姿を現した、ヤクシマヒメアリドオシランです。

実は、ヤクシマヒメアリドオシランは、数年前にプラ容器での実生発芽に成功しています。

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変化が見られなかったため、容器内の部材を掘り起こしてみると、このような地下茎が出てきました。地下茎は全て研究者に送ったので、開花に至るまで育てておりません。そこで、シュスランと同じ場所に播種してみました。

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これがシュスランとヤクシマヒメアリドオシランの共生菌かは分かりませんが、移植場所に敷設したスギ・ヒノキの球果や枯葉に繁殖していました。


素人には共生菌の検出・確認が出来ません。でも、野生ランが生育する場所の部材を敷設して湿度維持をすれば、共生菌が繁殖する可能性は高くなります。

この場所で、ヤクシマヒメアリドオシランが発芽し、葉が展開してきました。そしてシュスランも2年続けて蕾が出来ました。今のところ環境は良いと思います。この場所でベニシュスランの生育実験を行ってみようと思っています。プラ容器内での生育実験は上手く行き多くの株が花を咲かせました。ただ、小さなプラ容器で継続してその環境を維持するのは困難で、やがて葉が小型化してしまいました。

地域で目にするシュスラン属は、ミヤマウズラ、アケボノシュスラン、シュスランそしてベニシュスランなどがあります。植物園での栽培経験も含めてベニシュスランが一番難しいと思います。小型化しないで維持できるようになれば、間伐や皆伐で林床の光条件が変わってしまった場所の個体を移植して保護できます。

2025年3月22日 (土)

富士市域のヒメフタバラン

手にした当時の富士市の目録にヒメフタバランが掲載されていましたが、確認場所として富士山二合目とありました。高度と合目は考え方が異なりますが、須山口登山道・下山道の高度1,600m辺りに一合五勺の表示があります。その上の辺りということになり、この記録は早春に咲くヒメフタバランではないと思っています。

数年前に、研究者から依頼されてヤクシマヒメアリドオシランやハクウンランの調査をしていた時、同じ林内で4月下旬に咲いているフタバランの仲間と出会いました。一坪にも満たないような狭い範囲でした。後日その植物がヒメフタバランであることを知りました。

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その場所で撮ったヒメフタバランです。Ylistには、ナガバ、ミドリ、フイリなどの品種(現在は異分類として扱われています)が掲載されていましたが、ここでは写真のような葉の個体ばかりでした。

その後、愛鷹山系某所のスギ林の一角でも出会いました。その場所も生育範囲は極狭く、別の場所に本家があるだろうと思いましたが、急こう配の林床なので探索は諦めました。数年前には間伐が行われ生存が危ぶまれる状態でした。

ラン科フタバラン属ヒメフタバラン(Neottia japonica (Blume) Szlach.)。

二番目の場所は一番目に見つけた場所の半分くらいの高度でしたから、三月半ばには花が見られました。数株を別の林床に移植してみました。厳密に言えば盗掘ですね。

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咲いていました!

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実生発芽或いは地下茎による栄養繁殖苗と思われます。隣のヒノキの球果と比べてみてください。苗が出現したということはこの場所の環境が合っているようです。

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フタバラン属(Listera)はサカネラン属(Neottia)に改められました。最初は違和感を持ちましたが、花の形態もサカネランに似ています。


昨日は検診に行ってきました。毎日血圧を測定・記録していますが、診察室で測った値は自宅での数値よりもかなり高くて驚きました。経験的に一回だけの測定は当てにならないと思っています(高めの数値になる)。持参した測定表がいい加減に思われるような値だったのに、病院は一回だけしか測りませんでした。また血圧が上がってしまう・・。

より以前の記事一覧