ヒメヤツシロラン
この植物は、静岡県の山野では生育確認されておりません。2016年8月下旬に、研究のために採集された塊茎を友人の研究者が送ってくれました。産地は鹿児島県三島村です。当時は丹沢の師匠の指導を受け、地域のヤツシロラン類の実生栽培を学んでいました。
塊茎と共に一握りの現地の土が入っていました。プラ容器に焼成赤玉土を敷き、その土をバラまきました、そして、地域のササを切り裂き敷き詰めました。パネルヒーターで加温しながら、土壌湿度を維持しておきましたが、半年ほどして土を掘り起こしてみると塊茎は姿を消していました。それでも、菌糸が姿を現していたのでそのままにしておくと、2018年6月に一本の花径が伸びて来ました。
そして、6月下旬にこんな花が咲きました。初めて目にするヒメヤツシロランの花に感激しました。
花後の7月下旬に根が伸びて来て、8月~9月と菌糸が絡み付いた個所に、コブのような器官が姿を現しました。菌糸が共生菌である証です。
2019年にも一本の花径が伸びて来ましたが、花径はか細く開花に至らず蕾が落下してしまいました。菌糸不足と思い、新たにササの刻んだものを容器内に敷き詰めました。
昨年も一本の花径が伸びて来ましたが、やはり開花に至らず蕾が落ちてしまいました。そして、一昨日久々に容器を覗いてみると・・。
なんと、5本もの花径が姿を現していたのです。訂正:④と⑤の間にもう1本あったので、計6本でした。
塊茎を送ってもらってから10年も小さな容器内で代を繋げていたのです。私の実験容器内ではありますが、国内外来種としてこのブログに掲載する事にしました(山野を歩く機会が少なくなってネタ切れ対策です)。
ところで、塊茎を受け取った半年後に確認した時は、生き残った塊茎は見つけられなかったのにどうして花径が伸びて来たのでしょう?プロトコームか見逃してしまうようなとても小さな塊茎が残っていて成長したか、土の中に種子が紛れていてそれが菌糸に栄養依存して発芽成長した事などが考えられます。
それともう一つ・・塊茎は複数の根を伸ばしますが、栄養繁殖はしないという認識を持っていました。もしかしたら、ウチョウランの仲間のように栄養繁殖もするのではないかなんて思いながら、容器内の花径を眺めました。
この報告を研究者にしようと思っていたら、昨日別件で久々のメールがありました。思い起こせば、こういう偶然は過去何度かありました。人使いの荒い依頼も多いですが、彼からの連絡は嬉しいものです。
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