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2024年9月

2024年9月23日 (月)

ホソバショリマの調査と保護

この場所でホソバショリマを発見したのは、今年6月上旬の事でした。それから約3ヶ月後の9月中旬に様子見に行って来ました。

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ススキやカヤツリグサの仲間が繁茂していたので、大きなものだけ管理者の方に断って鎌で刈り取りました。

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発見当初とかなり違った印象を受けました。若草色でとても奇麗だった葉が変色し始めていました。例年にない暑さのせいか、或いは水不足によるものなのか不明です。

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上の群落の隣にも・・。この場所以外にも、2ヶ所の群落を発見しました。その中には日光を遮る大きな樹木の林床もありました。生育範囲はある程度広いですが、丈が短く掲載した写真の場所のように密集しておりませんでした。定期的な観察を続け、状況によっては移植も視野に入れる必要があると思います。

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この角度から見ただけでは、周辺で沢山見られるヒメシダ属と区別がつきません。

葉身下部を確認すると・・。

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このように、小さな耳状の羽片があります。最初に発見された杉野孝雄先生のお手紙には下部の羽片が縮小する「ニッコウシダ」と思ったがどうも違うようなので、京都大学の田川基二先生に同定をしていただきホソバショリマと判明したとあります。

そして「ホソバショリマは現在でも本州では稀で、東限(科博では北限と表現)自生地なので大切に出来ればと思います。」と締めくくられていました。


杉野先生が本州で最初に発見されたのは、今から70年くらい前になるそうです。このシダ植物は根茎が長く匍匐し群落を形成しますが、生育地がごく限られていて、発見後姿を消してしまった場所もあると聞きました。常緑とされているそうですが、静岡県東部では冬に地上部が枯れます。しかも、他のヒメシダ属に比べて遅く姿を現します。本来の生育地であるとされる熱帯山地林の個体に比べてかなり厳しい環境で生育していることになります。

この希少な植物を保護するためには、この地での生育サイクルを把握することから始める必要があります。同じ地域のあちこちで見つからない事から、胞子による発芽もかなり限定された条件があると考えられます。管理者の方の承諾を得て、観察用に少し生体サンプルをいただき栽培を始めています。地上部の枯れる頃に連絡をいただき、混生するササ刈のお手伝いをすることにしました。

2024年9月20日 (金)

クズの花

昨日は、午前中だけ畑に行って来ました。隣の耕作放棄地にクズの花が咲いていたので撮ってみました。

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所有地から一段下がった隣の耕作放棄地には、ササが繁茂しその上をクズの蔓が覆っています。

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よく見ると奇麗な花です。近づくと良い香りがします。

マメ科クズ属クズ(Pueraria lobata (Willd.) Ohwi subsp. lobata)。


かつて茶ノ木を植えてあった我が家の畑は、長年放置状態だったため茶ノ木が3~4mに伸び、間を埋め尽くすようにササが繁茂し、上部をクズなどの蔓性植物が覆っていました。

人力での再生は難しいと思ったのですが、試しに少しずつ伐採してみました。一番大変だったのは、隙間なく生えていたササです。最初は剪定ばさみを使って切っていましたが、埒が明かないのでササ刈に向くと書かれた仮払い機の刃を使って伐採すると思ったより順調に進みました。次に苦労したのは、クズなどが絡み付いたササの片づけです。数本まとめて片付けるとかなり引っ張る力が要ります。元職時代は、マウスを持つのが主たる仕事だったので、軟弱な体力に泣きました。

Wikipediaなどによると「除草剤に強く根絶は困難」「地上部の蔓を刈り取っても、地下に根茎が残りすぐに蔓が再生する」とあります。でも、人力で伐採・再生した我が家の畑には、現在クズは生えておりません。蔓の基部で切断すると樹液(水?)が沢山出てきます。そこから蔓が伸びてきた場合は、マメに切り取ります。すると根茎は腐り絶えていきます。

2024年9月13日 (金)

カンガレイとヒルムシロ属

湿地の植物に出会う機会は少なく、いつも興味深く見ています。カンガレイとヒルムシロ属が生えている小さな沼地がありました。

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最近、ピンボケ写真が多く恐縮です。アル中で手が震えているわけではありませんよ。

水面から突き出ている棒状の茎がカンガレイです。茎は丸くなく3稜形です。よく似た種にサンカクイがあります。小穂に短い枝の付く(小穂が茎から少し離れている)のがサンカクイです。

富士山こどもの国「花の谷」に生えているのはカンガレイと教わりましたが、ボランティアで草刈していると、小穂に短い枝のある個体も見受けられました。「花の谷」には両種が生育しています。

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水面を覆うように葉が浮いているのはヒルムシロ属です。ヒルムシロ属は、何種類かあるそうです。小田貫湿原に生育する種は、葉が赤みがかることが多くその特徴からフトヒルムシロ(Potamogeton fryeri A.Benn.)ではないかと思っています。ヒルムシロ属の同定には、沈水葉や果実の形状を確認する必要があるとの事で、現時点では確認できませんのでタイトルはヒルムシロ属(Potamogeton)としました。


昨日は植物園の除草作業をするつもりでしたが、急遽予定を変更して今春発見したシダ植物ホソバショリマの生育地の調査に行きました。そのついでに、鎌でススキなどのイネ科植物やササを刈り取り汗を流してきました。

発見当初は、管理者による冬の草刈でススキやササがあまり伸びておらずホソバショリマの葉が全体を覆いとても奇麗でした。昨日見た状況は、葉が変色し始めて発見時の面影はありませんでした。暖地の植物なので、静岡県東部では冬に地上部が枯れます。その兆候なのか、或いは梅雨時の雨不足や異常な高温による影響なのか分かりませんが・・。

管理者の方と相談して、今後の保護活動をお手伝いすることになりました。植物保護の第一歩は、マメな現地の観察だと思います。杉野孝雄先生が最初に県東部で発見されてから、70年くらいの歳月が経過しています。地下茎で栄養繁殖し群生する種ですが、現在でも生育地は極稀と聞いています。案外環境の変化に弱い種なのかもしれません。

2024年9月11日 (水)

ヒガンバナとオオハンゲ

ヒガンバナとオオハンゲ・・双方に関りはありませんが、月・火と続けて出会った花です。

【ヒガンバナ】

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9月6日(土)ジヤトコさんの駐車場へ朝7時集合で、沼川遊歩道沿いへ移植したヒガンバナの開花前の草刈をやって来ました。もう花茎が伸びているかと思ったのですが、私の担当エリアには見当たりませんでした。今年は梅雨時の雨不足や異常な高温が影響して遅いのだろうか?などとみんな心配していました。

掲載写真は、遊歩道より高度300m以上高い場所で9日に撮りました。花茎の成長は早いのでもう姿を現しているとは思いますが・・。ヒガンバナは、季節を感じる事の出来る花の一つで気に入っています。

ヒガンバナ科ヒガンバナ属ヒガンバナ(Lycoris radiata (L'Hér.) Herb.)。

【オオハンゲ】

数年前に、富士市内某所で出会い、葉を見てムサシアブミかと思いました。花を探すとムサシアブミではなくカラスビシャクにそっくりでした。図鑑でオオハンゲと知りました。葉の形態は似ていますが、双方を比較するとムサシアブミの方がずっと大きいです。

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左が昨日見たオオハンゲで、右が以前撮ったカラスビシャクの花です。オオハンゲの花は次々と咲くようで、最初に花を見てから何か月か経過しています。周囲には実生苗も結構見られますが、数年間観察して来て生育域が広範囲に広がっていかないので、種子が蟻によって運ばれるのかもしれません。

サトイモ科ハンゲ属オオハンゲ(Pinellia tripartita (Blume) Schott)。

2024年9月 5日 (木)

コバノカモメヅル

山野を歩くことが少なくなりましたが、山間の地に住んでいるので気になる植物に出会う機会は多い方です。畑の近くにコバノカモメヅルの花が咲いていました。

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沢山咲きますがとても小さな花です。

良く似た植物でコカモメヅルがあります。和名も紛らわしいですね。以前撮った写真ですが・・。

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花冠の裂片がコバノカモメヅルの方が長く花も大きいですね。葉の形態も少し異なりますが、花が無いとわかり難いと思います。

キョウチクトウ科カモメヅル属コバノカモメヅル(Vincetoxicum sublanceolatum (Miq.) Maxim. var. sublanceolatum)。

キョウチクトウ科カモメヅル属コカモメヅル(Vincetoxicum floribundum (Miq.) Franch. et Sav.)。

旧分類体系では、ともにガガイモ科とされています。


今日から日曜まで外せない予定があります。畑にも行けないため、次に行った時の雑草の状態を考えると恐ろしいです。たまには家族に手伝ってもらいたくて、その話をすると二人とも目線を逸らしてしまいます。少しは草取りも覚えてもらいたいのですが・・。

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