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2024年8月

2024年8月27日 (火)

ボタンヅル

畑の隣に、他所の家のササ藪があります。ヤマイモ、クズ、そしてボタンヅルなどの蔓性植物がササの上部を覆っています。ボタンヅルが花盛りだったので撮ってみました。

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ボタンヅルは、栽培されているクレマチスの仲間です。

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地域では普通に見られるため、出会っても同属のハンショウヅルのような有難味を感じません。むしろ「厄介な植物が生えてきた」という感想を持ちます。ボタンヅルは草本ではなく木本に分類されます。

よく似た種としてセンニンソウがあります。花も果実も良く似ていて区別が難しいですが、葉の形態が違います。

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葉に焦点の合った写真が見つかりませんでしたが、参考までにセンニンソウを掲載します。花は遠目に区別できないくらいよく似ているでしょ?

キンポウゲ科センニンソウ属ボタンヅル(Clematis apiifolia DC. var. apiifolia)。

2024年8月21日 (水)

ナギラン

今朝は6時前に家を出て、県中部某所へ行って来ました。やぶ蚊とクモの巣に悩まされながら歩いていると、ナギランが目に留まりました。

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一株、二株・・この植物を知らなければ、オオバノトンボソウと間違えたかもしれません。

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60cmくらいの範囲に、三株確認できました。

オオバノトンボソウより葉が固く葉柄が長いので、見慣れると花期以外でも区別出来るようになります。この植物に出会いたくて県中部の荒山を駆け巡ったことがあります。思い入れも植物の識別に役立っているようです。

この植物は静岡県において「伊豆、東部、中部、西部の記録があり、西部は各地にある。他地域は少ない。」とあります。私の住む東部では記録はあるものの未確認だったので、中部に足を延ばして初めて出会う事が出来ました。その一週間後、オオバノトンボソウが多くみられる東部某所で、花をつけたナギランに出会いました。希少植物との出会いはそんなものです。

ラン科植物は、光合成をしながらも菌類に栄養依存していることが知られています。また塵のような種子は養分を殆ど持たないため、発芽も菌類に栄養依存しています。ナギランは、立派な葉を持ち御覧のように新葉も伸びていますが、他のラン科植物に比べて菌への依存度が高く、暗い場所でも生育出来るそうです。ただ菌類が好みそうな湿潤な場所というより、乾燥気味の斜面で見ることが多いように思います。

早起きして県中部まで行った目的?それは秘密です。目的は無事達成でき、義母の笑顔を見て帰路につきました。

ラン科シュンラン属ナギラン(Cymbidium nagifolium Masam.)。

2024年8月18日 (日)

マネキグサ

シソ科の植物は、富士市植物仮目録2023年中山Ver.(富士市が公開したものとは異なります)に約60種記載されています。比較的群生を見る種が多い中で、希少種とされる種もあります。このマネキグサも環境省、静岡県ともに準絶滅危惧(NT)に指定されています。

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花は小さいですが、暗紅紫色に白い縁取りがとても印象的です。

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見比べると、花形にも個性があって面白いです。

シソ科マネキグサ属マネキグサ(Loxocalyx ambiguus (Makino) Makino)。オドリコソウ属(Lamium)に分類されることもありますが、最新のYlistに倣いました。


生育地では数えきれないほどの個体数を見る事が出来ます。地下茎による栄養繁殖が盛んなだけでなく、実生苗も結構確認できます。それなのになぜ「稀」なのでしょう?

それは種子散布方式に原因があるのではないかと思っています。この植物の種子は重力散布されるのではないでしょうか?鳥や獣、或いは風により散布されるのならもっと彼方此方で見られると思います。湿地の植物で同じくシソ科のヒメハッカは、種子が重力散布されます。そして、他の植物が繁茂する自生地に於いて実生苗と思われる丈の短い芽の大半は、地下茎から伸びたものです。これは、栽培実験で確認しています。植物がどういう経緯で現在のような生態(繁殖方式)を選択したのか想像するのも楽しいです。

2024年8月16日 (金)

クサギの花

草本植栽エリアの草取りをしていると、フウランやヤマユリのような芳香が漂ってきました。どちらもすでに花期は過ぎています。何だろう?

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鹿柵の向こうに沢山の花をつけたクサギが目に入りました。「芳香主はこれだ!」

風の抜ける場所だったため、写真がブレてしまいました・・。

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葉に独特の臭いがある事からクサギ(臭木)の和名が付けられました。でも、花は甘い香りがします。訪花昆虫は昼にアゲハチョウの仲間、そして日が暮れるとスズメガの仲間が訪れ受粉に寄与するとあります。同じくスズメガの仲間が送粉者となっているフウランの花と似た香りがすることに納得です。

シソ科クサギ属クサギ(Clerodendrum trichotomum Thunb. var. trichotomum)。旧分類体系では、クマツヅラ科とされています。


数年前、小中学生の自然観察で講師をやったことが幾度かありました。その時にクサギ(シソ科)とコクサギ(ミカン科)の葉について「臭いと思うかいい匂いと思うか?」と質問しました。すると、毎回どちらの葉もいい匂いという意見と臭いという意見がありました。感じ方は人それぞれで、決めつけてはいけない事を学びました。

2024年8月10日 (土)

キツネノカミソリ

年々行動範囲が狭くなり、世間から取り残されている昨今です。それでも、庭や畑で季節を感じる事が出来ます。

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隠れ里のような畑の入り口に、キツネノカミソリが咲いていました。

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キツネノカミソリは結実するものとしないもの(三倍体)があるそうです、ここの個体はどれも果実が膨らんでいました。

ヒガンバナ科ヒガンバナ属キツネノカミソリ(Lycoris sanguinea Maxim. var. sanguinea)。

和名の由来は諸説あるようですが・・。「キツネ」の顔に似た形状の花と日本古来の「カミソリ」に似た形状の葉から「キツネノカミソリ」と名付けられたという説がしっくり来ます。

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