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2024年7月20日 (土)

ハゼランの花

夕方庭を歩いていると、ハゼランが咲いていました。ハゼランは南米原産で明治初年に園芸植物として渡来したそうです。

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奇麗な花ですが、とても小さいです。

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訪花昆虫は、小さなアリとこのコバエだけでした。

ハゼラン科ハゼラン属ハゼラン(Talinum paniculatum (Jacq.) Gaertn.)。旧分類体系では、スベリヒユ科とされています。


「ハゼランはスベリヒユ科の一年草」と書かれた本があります。ところが庭のハゼランを何年か見て来て、多年草ではないかと思っていました。調べてみると、原産地では多年草だが渡来したころの日本では一年草として扱われ、温暖化により冬越し出来るようになって、多年草と訂正されたようです。
「ハゼランは午後の2~3時間しか開かない」とあります。また花は午後三時頃咲くので「三時草」「三時花」「三時の貴公子」「三時の天子」などと呼ばれている地域もあるそうです。杉野孝雄先生が地域の一個体について開花時間を調べたところ、16時頃咲く花が50%くらいと一番多く、「17時30分頃から萎み始め18時30分にはほぼすべての花が萎んだ」とあります。

夕方咲き短時間で萎れてしまう花の送粉者はどんな生き物だろう?外国の調査では、何種類かの訪花昆虫はいたがかなり少ないとあります。そしてハゼランは自家受粉の割合が高いことが分かっているそうです。

親株が生育している場所の環境に合う遺伝子を持つ子孫を残すため自家受粉を行い、病気や環境変化に対応できる多様な性質の遺伝子を残すために訪花昆虫による他家受粉を行っていると考えられているそうです。前者を優先させるために訪花昆虫の少ない夕方開花し、また開花時間をセーブしているということでしょうか?視点を変えて見ると、庭の植物達も非常に興味深い生き方をしていますね。

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コメント

はじめまして。
以前のブログから拝見しております。

質問があります。
運良く今年初めてヒナノシャクジョウに出会うことが、出来ました。
貴殿のブログを拝読し、ヒナノシャクジョウの近くにホンゴウソウもある可能性が高いと知りました。
ホンゴウソウはヒナノシャクジョウのどれくらい後に出ますか?
探そうと思いましたが、踏みつけ等怖くてやめました。
もしよろしければ教えて下さい。

ゆみさま、今日は!
拙いブログを訪問いただき有難うございます。

ヒナシャクジョウとホンゴウソウの植物体の出現時期は、だいたい重なると思います。私の知る生育地の場合、開花時期に関してはヒナノシャクジョウが少し早いように思います。ヒナノシャクジョウは複数の蕾を付けますが、だいたい一つ一つ咲きます。先端が開いていて黄色いのが開花中、茶色いのは咲き終わり或いは終盤を迎えた花です。
そしてホンゴウソウは、雌花がノイチゴの様な形で下部につき、先端部に雄花がつきます。雄花が開くのは少し遅れ、周囲のヒナノシャクジョウが咲き終わりに近いころかと思います。雄花が遅れるのは、自家受粉を回避するためではないかと思っています。

ヒナノシャクジョウとホンゴウソウが高確率で混生することは、その道の専門家である神戸大学の末次博士に聞きました(息子のような世代の彼とは、十数年の付き合いを継続中です)。言い方を変えれば、小さいけど目につきやすいヒナノシャクジョウを見つけたら、ホンゴウソウがあると思って探すということになります。ホンゴウソウは、その色彩と小さな植物故、地面をなめるように探す必要があります。例えばスギの落ち葉などをそっと摘まんで確認します。退けたスギの落ち葉は湿度維持のために元に戻してあげてください。見つけたら棒などを挿しておかないとすぐに分からなくなってしまいます。全体的にみると、ヒナノシャクジョウの方が広範囲に生育している感じです。

無事、出会えることを祈っております。

やまぶどうさん、こんなに親切にお返事頂き嬉しいです(^.^)
そうでしたか、時期は同じでしたか…
私が観察したところは人に踏まれる場所であり、既に踏まれている株もありました。
私は踏み行って探そうとも思いましたが、見たことないホンゴウソウ、及びヒナノシャクジョウも踏み潰すと思い、やめました。
後、観察後の環境を整えることも大切なんですね。そこまで考えが及んでませんでした。もう来週は遅いでしょうから、来年の観察の楽しみに取っておきます。

一つ一つのお花への愛情を感じ、感銘を受けます。
少なくとも人間がお花を減らす側にはならないよう、私も意識いたします。
温かいお言葉ありがとうございました。

ゆみ様、今晩は。
私は素人ですが、伊勢原市在住の師匠からヤツシロラン類などの実生栽培技術を教えていただきました。
光合成をしない腐生植物の中でも、ヒナノシャクジョウやホンゴウソウは、光合成をする樹木などの根から養分をもらい生きている菌に栄養依存しています。
腐朽菌(枯枝葉を栄養源にしている菌類)に栄養依存するヤツシロラン類よりも更に難しい生き方をしています。
そんなことを知ってから、今までと違う視点で植物を見るようになりました。
個性豊かな生態を知ると、植物の珍しさよりも頑張っている姿に心を奪われます。
そんな付き合い方も楽しいものです。
またコメントをお待ちしております。

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