ヒメフタバラン(県東部)
この野生ランに初めて出会ったのは、十数年前の五月連休でした。同じくらいの標高にも見られるアオフタバランや、亜高山帯に生育する種は初夏以降に咲くのに、もう花柄子房の膨らみ始めたものもありました。発見時点では、種名が分かりませんでした。
数年後に別の場所でも見つけましたが、いずれも個体数は少なく極狭い範囲でしか見られませんでした。県西部で大群落に出会うまではそういう種だと思っていました。
一番高度の低いところでは、そろそろ姿を現しているかもしれないと思い、様子見に行ってきました。
冬に地上部は枯れますが、新たな葉が展開していました。右には蕾を持った個体が見えています。
ヒメフタバランは、地下茎で栄養繁殖もします。掘ってみないと分かりませんが、こちらは栄養繁殖苗かな?
花期は、3~5月とあります。この場所では、3月に花が見られるかもしれません。ヒメフタバランは、光合成をしながら主としてロウタケ科の菌類にも栄養依存しているそうです。ロウタケ科というとキンランやササバギンランなどの菌根菌としても挙げられています。
ラン科サカネラン属ヒメフタバラン(Neottia japonica (Blume) Szlach.)。フタバラン属(Listera)はDNA情報による解析の結果サカネラン属(Neottia)に改められました。
オオフタバラン(Makino 1893)の別名もあります。この場所の個体はそれほど大きくありませんが、30cmくらいになるものもあるようです。フタバラン類の中では大型に属する事から牧野博士によって命名されたようです。
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