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2024年1月

2024年1月27日 (土)

生きていたクモラン

八重枝垂桜の幹にクモランを発見したのは、数年前の事でした。ところがその個体は乾燥により枯れてしまいました。

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こちらが、この木で最初に発見したクモランです。比較的大きな株で、沢山の果実をつけていました。

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周囲を見ると、新たな株が着生していました。上の大株の子孫ではないかと思います。クモランは葉が退化し、葉緑素を持つ扁平な根で光合成を行っています。左の写真に写っているピンボケの白い着生根は、セッコクの根です。

ところで・・。

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こちらを見ると、白っぽい光沢のある部分と鮮やかな緑色で幅広の部分があります。前者は上の写真と同じ根で、後者は葉状体(仮称)です。種子が発芽して最初にこの葉状体が姿を現します。そして根が伸びやがて葉状体は姿を消していきます。葉状体は葉ではなく胚軸に由来する(発芽苗の茎のような)部分だそうです。

初めてクモランを見たときは、この葉状体に気づきませんでした。様々な進化を遂げてきたラン科植物の魅力は、こういう面白い生態にあります。庭木の植物観察も楽しいです。


山野を歩く機会も少なくなり、ブログの更新間隔が長くなってしまいました。それでも、ご訪問くださる方がいて嬉しいです。また、良いね💛も有難うございます。

2024年1月24日 (水)

ノダフジ

山野で見るフジ属は、蔓の巻き方向で区別すると聞きました。散歩道の蔓を見ると・・。

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杉野先生の静岡県の植物図鑑には「つるは左巻きに、他物に巻き付く」とあり、ヤマフジは逆巻きとあります。そして、松江の花図鑑にはノダフジは「つるの巻き上がる方向は左巻き(ねじの左巻きと同じ)(S巻き)」そして写真の解説に「蔓は左肩上がり(左巻き)」となっています。

三河の植物図鑑によるとノダフジは「右巻き(巻き上がる方向では左巻き)に巻きつく」、ヤマフジは「巻き上がる方向では右巻き」、「つるの場合の右巻き、左巻きは上から見ての状態をいうのが普通であるが、ネジと同じように考え、巻き上がる方向で、反対にいう場合もある。私の場合はネジの方向で考えてしまう。」とあります。

見る方向で変わるので、混乱してしまいますね。側面から見た文字の形でZ巻き、S巻きなんて表現もあるようです。S巻き或いは左肩上がりという表現がわかりやすいですね。

上の写真は、ノダフジ(フジ)ということになります。ところで・・。

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こんな蔓がありました。両方ノダフジと思われますが、上はZ巻き?下はまっすぐに伸びていました。蔓は枝や幹に絡みついて伸びるので、樹木が枯れた場合このような変わりものの蔓が現れるのだと思います。

マメ科フジ属フジ(Wisteria floribunda (Willd.) DC)。Ylistでは、フジを標準和名、ノダフジを別名としています。


NHKのBS放送で「ワイルドライフ」をご覧になったでしょうか?「つながる小さな命たち 牧野富太郎と南方熊楠が見つめた日本の自然」・・タイトルが気になり、文句を言われながら強引に嫁の見ていたチャンネルを変えました。すると、フィールドワークの案内をしたことのある研究者が2名登場しました。後半に「菌従属栄養植物」の文字が出てきたので、もしやと思って期待をしていると、我が家にとって息子のような存在の研究者が登場しました。彼の活躍は、自分の事のように嬉しいものです。元気そうな姿を見て、嫁さんの機嫌も直っていました。

2024年1月20日 (土)

ツツジに着生するカヤラン

我が家には、家の裏に生け垣で囲まれたミニ植物園があります。父母が植えたものに、私が苗から育てたカエデ属などがひしめき合っています。間引きした方がすっきりして良いのですが、どの植物にも思い入れがあり踏み切れません。

ツツジの木を剪定していると、その中の一本に15個体以上のカヤランが着生していました。

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蕾をつけたものや、果実の付いたものもありました。カヤランは、花の咲くころ細長い鞘が裂開し、種子を飛散します。

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以前撮った花を掲載します。カヤランの花はとても小さいけど、接写してみると洋ランを思わせるような綺麗な花です。バンダやコチョウランの近縁種とされています。

ラン科カヤラン属カヤラン(Thrixspermum japonicum (Miq.) Rchb.f.)。


ラン科植物は、種子に発芽の養分をほとんど持っていないので、菌類に栄養依存して発芽するそうです。樹上に着生するラン科植物は、樹皮に存在する菌類で発芽したことになります。腐生ランの実生栽培床では、湿度を維持していると(種は分かりませんが)菌糸を目視することができます。着生ランが栄養依存する菌類は、どんな状態で樹皮に分布しているのだろうか?目を凝らしても分かりません。

カヤランが着生する樹種は様々で、他の着生ランよりも栄養依存する菌類が多様なのかもしれません。今まで着生を確認した樹種は、スギ、ヒノキ、サクラ、ウメ、アセビ、ツツジ、イヌマキ、カシ、クヌギ、キンモクセイ、ゴヨウマツ、クロマツ、スモモ、カルミアなどです。

2024年1月10日 (水)

カラスザンショウとコカモメヅルの種子

8日・・久々に再生畑へ行ってきました。花の少ないこの季節は、ドライフラワーや果実の観察も楽しいです。再生畑に生えるカラスザンショウとコカモメヅルの果実を撮ってみました。

【カラスザンショウ】

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再生畑には、カラスザンショウの大木が2本ありました。片方は伐倒しましたが、もう一本残っています。

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こちらは花柄ごと落ちていた果実です。カラスザンショウは雌雄異株です。残った木には果実が生りますから、雌木ということになります。

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固めの果皮を剥がしてみると、黒っぽい種子が入っていました。沢山の果実が落下していますが、苗がほとんど見当たらないことから、この場所での発芽率はかなり低いものと思われます。

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カラスザンショウにも、他のサンショウ属と同じく棘があります。上部は細かい棘が沢山あり、下部は大きな棘が疎らにあります。

ミカン科サンショウ属カラスザンショウ(Zanthoxylum ailanthoides Siebold et Zucc. var. ailanthoides)。

【コカモメヅル】

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こちらは、コカモメヅルの果実です。果皮の中には、種髪(しゅはつ※)付きの種子が綺麗に収納されています。この再生畑では、よく似たコバノカモメヅルも見ることがあります。

(※ガガイモの仲間は種髪で、タンポポは冠毛)

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果皮の中から取り出すと同時に、綿毛を広げ風で飛ばされます。

キョウチクトウ科コカモメヅル(Vincetoxicum floribundum (Miq.) Franch. et Sav.)。旧分類体系では、ガガイモ科とされています。


今日は、芋からコンニャクを作りました。コンニャクの作り方は、Webにいろいろ掲載されています。今回は一般財団法人日本こんにゃく協会のホームページにある方法で作ってみました。

凝固剤には、扶桑化学株式会社の「こんにゃくの素」を使いました。ところが、その準備をするときに疑問がわきました。500gの芋に対して、水またはぬるま湯を200mlに2~3gとあります。2~3g?確か以前はもっと多かったような気がします。「こんにゃくの素」の説明書きを見ると芋1kgに対して25g(1袋)となっています。今回約500gの芋を使いましたから、12.5g必要になります。

右往左往して、説明書を見直すと日本コンニャク協会の方は水酸化カルシウムで、「こんにゃくの素」は炭酸ナトリウムとなっています。結果12.5gをぬるま湯に溶かし無事コンニャクが出来ました。気付いてよかった・・。

2024年1月 4日 (木)

フユイチゴ

近くの山林に、フユイチゴが生えています。散歩道で見かけた果実を撮ってみました。

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フユイチゴは、草本ではなく匍匐性の木本(小低木)です。

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果実はシロバナヘビイチゴのようなオランダイチゴ属の形態ではなくキイチゴの仲間と同じです。食用になりますが、キイチゴ属のモミジイチゴなどに比べて酸味が強いです。

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今頃果実を探すと、何者かに食べられこのように萼のみが残っているものを見かけます。残った萼に傷跡が見られないことから、小動物ではなく野鳥に食べられたのではないかと思われます。野鳥は赤い果実を好むようですし・・。

家の裏庭植物園に生えているフユイチゴは、野鳥によって種が運ばれたのかもしれません。この植物は、蔓に他のキイチゴ属のような棘は見られませんが、除去しようと素手で引っ張ると痛い目にあいます。

バラ科キイチゴ属フユイチゴ(Rubus buergeri Miq)。

地域では、フユイチゴの近縁種としてミヤマフユイチゴを見ることがあります。「葉先が尖る」とありますが、フユイチゴでも尖っている葉があります。フユイチゴに比べて葉の形が細長く二等辺三角形のようなイメージです。

2024年1月 1日 (月)

新年のご挨拶

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本年もよろしくお願いいたします(管理人:やまぶどう)

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