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2023年10月

2023年10月31日 (火)

エンシュウハグマ

エンシュウハグマは、県東部某所の記録もありますが、私はまだ中・西部でしか出会った事がありません。かなり前に開花しているのを見たので、もう花は終わっていると思っていました。

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再訪すると、まだ咲いている個体がありました。同じ場所でも、開花時期にかなり個体差があるようです。

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県東部で沢山見られるキッコウハグマと違い、この場所の花は淡いピンク色をしています。LEDライトを使ったため、(見た目より)白っぽく写ってしまいました。

キク科モミジハグマ属エンシュウハグマ(Ainsliaea dissecta Franch. et Sav.)。


キッコウハグマは、閉鎖花が多く見られます。特に歳月を経た大きな株には閉鎖花が多いように思います。私は、エンシュウハグマを観察する機会が少ないので良く分かりませんが、この植物は閉鎖花をつけないのでしょうか?ご存知の方がいたら教えてください。

2023年10月29日 (日)

コシオガマ

先日、林業業者さんに保護してもらったある植物の様子を見に行きました。

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草が繁茂した木材搬出道を歩くと、キバナノアキギリの残り花が見られました。ここのキバナノアキギリは、他所に比べて大きめです。

すると、その隣に・・。

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あれっ、ピンクのキバナノアキギリ?遠目に見ると似た形態の花なので、一瞬そう思ってしまいました。

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近づいてみると、葉や花の形態が違います。コシオガマのようです。

ハマウツボ科コシオガマ属コシオガマ(Phtheirospermum japonicum (Thunb.) Kanitz)。旧分類体系では、ゴマノハグサ科とされています。


コシオガマは、半寄生植物の一年草です。来年もこの場所で見られるのでしょうか?調べてみると、宿主なしでも発芽・生存可能だそうですから、無事種子が散布されれば再会できる可能性が高いようです。

コシオガマについて調べていたら、寄生植物がどのようにして宿主の存在を認識できるのか、そのシステムに関する論文が幾つか見つかりました。以前から気になっているのは、亜高山帯のミヤマハンノキの根に寄生するオニクの事です。オニクは、一ヶ所で複数の個体が見られます。でも、沢山のミヤマハンノキがあるのに、限られた木の周辺でしか見る事が出来ません。同じミヤマハンノキでも、オニクに存在を認識させる物質の有無などが関係するのだろうか?植物の世界は、不思議がいっぱいで興味深いです。

2023年10月22日 (日)

アレチウリとクズ

アレチウリとクズ・・どちらも厄介な植物です。両者の混生している場所がありました。

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上がクズで下がアレチウリです。

【アレチウリ】

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アレチウリは蔓性の一年生草本です。繁殖力が凄まじく特定外来生物に指定されています。一年草なら駆除も難しくないだろうと思えますが、一株当たりの種子数が半端ではなく、ちゃんと駆除しないとあっという間に大きな群落を形成するそうです。

アレチウリは、雌雄同株(単性花をつける植物で、雌花と雄花が同一株)です。

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こちらが雄花で、雌花より大きい花です。

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こちらが雌花です。

ウリ科アレチウリ属アレチウリ(Sicyos angulatus L.)。

【クズ】

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クズは蔓性の多年草です。年数回、富士市を流れる沼川水系の草刈りに行きますが、クズがはびこっている場所は仮払い機でも大変です。Wikipediaでは「除草剤に強く、根絶は困難・・」とあります。

十数年放置状態でササとクズが繁茂していた我が家の茶畑では、ササとクズを刈取り駆除して野菜畑にしています。蔓を地際で切断すると、切断面から水分が出て来ます。新芽が伸びて来ますがそれを切ると、地中の根はやがて腐食して枯れます。地上部に伸びた蔓を切って片付けるのは大変でしたが、予想していたより駆除は楽でした。

花の写真は、以前撮ったものを掲載します。

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クズの花は、芳香があります。

マメ科クズ属クズ(Pueraria lobata (Willd.) Ohwi subsp. lobata)。


今週末は、天然記念物指定されている樹木を見て歩きました。何年か前に見た樹木が、変わり果てた姿になっている所もありました。専門的な知識のある人が関わっていても、言葉を話さない植物を末永く守っていく事の難しさを痛感しました。枯れてしまう前に、その子孫を残す事も視野に入れる必要があると思います。

2023年10月17日 (火)

ヒメツチグリ属?

モウソウチク林で見たキノコです。

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まとまって生えていました。ツチグリ(ディプロシスティス科ツチグリ属)と似ているけど形態が違う・・フクロツチガキやシロツチガキなどヒメツチグリ科ヒメツチグリ属のようです。

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こちらが幼菌です。

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白っぽい方が新しいのかな?

以前撮った写真ですが・・。

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襟巻の様な付属体がありますので、エリマキツチグリでしょうか?


今年は集中豪雨はあったものの、全体的に雨が少なかった影響で、例年より見かけるキノコが少なかったと思います。キノコに栄養依存している腐生ラン(菌従属栄養植物)にもなかなか出会えず、開花時期の遅れたものもありました。また、猛暑の影響で開花の早い植物もあり、花追い人は情報の収集に苦慮した事と思います。

2023年10月12日 (木)

予想以上に遅れたアキザキヤツシロラン

また新たな依頼を受けて、アキザキヤツシロランの生育するモウソウチク林に行って来ました。以前の記事で、今年は天候の影響もあり1~2週間遅れではないかと書きました。でも、この日現地を見て、この竹林においては一月以上の遅れと訂正します。

例年なら、彼方此方に子房が上を向き果柄の伸びた姿が見られる頃です。ところが子房が上を向いているものはあっても、遠目から目につくような果柄の長さのものはなく、まだ蕾の個体が沢山見られました。

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この場所で、今頃こんな光景が見られるなんて予想もしませんでした。

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今年は、前回迄の訪問時に、上のような太い花茎の個体があまり見られず心配でした。

上手く撮れませんでしたが・・。

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ここだけで、十数個体生えていました。初回訪問時は、林内各所でこんな光景が見られると思っていました。それが数個体しか確認出来ず、狐につままれたような思いでした。

私が知る県東部の竹林では、この場所が一番個体数を見る事が出来ます。遅れたとはいえ、例年と同じような光景が見られて本当に良かった!

ラン科オニノヤガラ属アキザキヤツシロラン(Gastrodia confusa Honda et Tuyama)。タイプ産地は、和歌山県日高郡湯川村(現御坊市)とあります。

2023年10月 6日 (金)

カギガタアオイ

カギガタアオイは尾根に生育する・・この場所も急勾配の尾根を上った辺りです。道は狭く、訪問するたび「もう再訪する事はないだろう」と思っていました。


事情があって、今年も様子を見に行って来ました。

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大雨により流れた土砂で葉柄が埋まっているものもあります。

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大きな葉の下に見える小さな葉は実生苗です。この場所では、実生苗が多く見られます。

そろそろ花が見られる頃だと思って探すと・・。

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まだ少し早いか・・。

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こちらはそろそろ咲きそうです。

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咲いていました!全体的に開花している花は僅かです。花が沢山見られるのは、もう1~2週間くらい先でしょうか?カギガタアオイは、ランヨウアオイ、アマギカンアオイ、タマノカンアオイと同じ分化系統である事が研究者により解明されています。ランヨウアオイ以外は花の形態が良く似ています。

おまけです。

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カギガタアオイの生育エリアをうろついていた沢蟹です。こんな上までご苦労さん!

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アケボノソウの花に蜜を吸いにやってきたハエの仲間です。花冠裂片の中間にある黄緑色の二つの点が蜜腺です。

Wikipediaによると、カギガタアオイの生育地として静岡県中西部と山梨県南部の富士川流域から天竜川流域に分布とありますが、ここは静岡県東部の富士宮市某所です。県内の生育地としては北東限になると思います。

カンアオイ属は種ごとに生育地域が限定されており、希少種の多い植物です。カギガタアオイは、環境省RDBでは絶滅危惧ⅠB類(EN)に指定されており、山梨県と静岡県では絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されています。

ウマノスズクサ科カンアオイ属カギガタアオイ(Asarum curvistigma F.Maek.)。タイプ産地は、秋葉山(静岡県浜松市天竜区春野町)とあります。


※掲載写真をクリックして、中央に元サイズでポップアップ表示させる命令(class="mb")を忘れていたので修正しました。FC2でもやってみたけど出来ません。HTMLで作成するのは便利な部分もあるけど、年寄りには難しい。

2023年10月 3日 (火)

ヤツシロラン類の生育地で見たキノコ

依頼を受けて、蕾の状態のクロヤツシロランとアキザキヤツシロランを探しに行きました。両種とも個体毎に開花時期に差はあります。でも、少し開花の早いクロヤツシロランの蕾の個体が見つかるだろうか?

【スギ林:クロヤツシロラン】

クロヤツシロランは、果柄が20cmほどに伸びたものもあります。初日は、土壌が乾燥気味で生育が遅れると思われるヒノキ林を探しました。でも、思ったより見つかりませんでした。

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翌日は、スギ林に移動しました。クロヤツシロラン自体がなかなか見つからず諦めかけていたところに、このスギの倒木が目に入りました。もしかしたら、クヌギタケ属以外のクロヤツシロランの共生菌の子実体?以前、このような子実体の生えた倒木の傍で、沢山のクロヤツシロランを見かけた事があります。

倒木に隠れるように、複数のクロヤツシロランが見つかりました。しかも、まだ蕾の個体もありました!無事依頼を達成する事が出来て良かった!除けたスギの落ち葉を元に戻し帰路につきました。クロヤツシロランの写真?コンデジを忘れたので無しです。

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こちらの子実体も同種と思われます。新たな実生床用に少し持ち帰りました。クロヤツシロランは、クヌギタケ属と近縁な菌群以外にも多様な菌群とも共生関係を持つことが示唆されたとあります。

【モウソウチク林:アキザキヤツシロラン】

蕾のアキザキヤツシロランを求めて再訪しました。それにしても暑いし、やぶ蚊とクモの巣に悩まされながら探索しました。

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枯れたモウソウチクに出現した子実体です。何というキノコだろう?

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ダイダイガサ(キシメジ科ダイダイガサ属)の幼菌も見つかりました。このキノコ、家の裏庭にも時々生えて来ます。名前を覚えたキノコは、みんなお気に入りです。

【アキザキヤツシロラン】

前回訪問から一週間後の、アキザキヤツシロランの様子を撮ってみました。

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落葉の下に潜んでいたアキザキヤツシロランの花芽です。この竹林で葉、例年9月20日頃に多くの花を見られたのに、まだこんな状態の塊茎がいくつか見つかりました。

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モウソウチクの葉が重なり合ってくっ付き一枚布のようになっていたため、伸び損ねた花茎です。

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前回、見られなかった場所に開花寸前の蕾がありました。例年より、1~2週間遅れという判断が正解だったようです。もう一度、この場所に行かなければなりません。やぶ蚊がいなければいいのですが・・。


研究者の先生たちにより、アキザキヤツシロランとクロヤツシロランの共生菌は、どちらもキシメジ科(Tricholomataceae)のクヌギタケ属(Mycena)もしくはその近縁属である事が解明されているそうです。実生栽培実験では、自生地の部材を採取して菌糸を繁殖させた実生床に種子を蒔いていますが、容器内に繁殖した菌糸が共生菌であるかは分かりません。プロトコウムが確認出来るか塊茎から伸びた根状器官が菌糸と接触した部分での変化で知る事になります。またその子実体の姿も分からずに、いわば当たって砕けろ方式で行って来ました。
◇修正しました(スマホのPCモードで見てくださっている方へ)
ダイダイガサ上段の白いキノコの写真が、パソコンで見ると並んでいますが、スマホのPCモードで見ると上下になっていました。ブログは、選択したテンプレートやプロバイダーによっても微妙な違いや癖があります。私はFC2とココログを使っており、どちらもHTMLで作成しています。写真を横並びに表示する時、各々のHTML文章をFC2では一文字空けてココログでは空けません。年寄には、いろいろ面倒です。

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