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2023年9月

2023年9月28日 (木)

アキザキヤツシロラン別の自生地

アキザキヤツシロランの異変が気になり、少し離れた別の自生地へ行って来ました。

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モウソウチクの密度が高い場所ですが、ここは少し空いていました。

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彼方此方探しまわり、上の場所でこの2個体を見付けただけでした。

期待して訪れたモウソウチク林でしたが、アキザキヤツシロランの姿が見えません。どうした事でしょう?前回訪問した場所と同じく、例年より成長が遅れて短い花芽をつけた塊茎が落ち葉の中に潜んでいるのだろうか?

諦めきれずやぶ蚊とクモの巣に悩まされながら探索していると、面白い形態のキノコが生えていました。

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キツネノ○○とかいうスッポンタケ科のキノコの子実体だと思います。ご存知の方、教えてください。

「コイヌノエフデ」と教えていただきました。フジタケさん、ありがとうございました。

残念な気持ちで行きとは別のコースを歩いていると、エビネが生えていました。一時期、園芸採取などにより姿の見られなくなったエビネですが、復活の兆しを感じながら帰路につきました。

2023年9月25日 (月)

モウソウチク林で見た気になる植物

【タシロラン?】

アキザキヤツシロランの異変を調べるために、モウソウチクの落ち葉を除けたところ、見た事のあるような塊茎らしきものを発見しました。

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「塊茎から細い根茎が地中を這い、途中と先端に球状の塊茎を作って増える」・・Web記事にあったタシロランの解説です。

そして、次はタシロランの種子を蒔いた実験容器内に出現した物体です。実生栽培実験なので、別ブログ「権兵衛の種蒔き日記」に掲載した写真です。

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モウソウチク林で発見した物体と似ていませんか?こちらの容器は、菌糸の繁殖を期待して、ヒトヨタケ属の発生しやすい刻んだ稲わらで覆ったため現在の姿は見られません。既に菌糸が繁殖し始めています。共生菌かは不明ですので、ある意味かけですが・・。

モウソウチク林で見た塊茎らしきものからタシロランの花が咲くかは、たぶん確認出来ない(※)と思いますが、両方の写真を比較してタシロランの塊茎だと思っています。

※タシロランは、「地上部に8日しか存在しなかったというデーターもある」と日本のランハンドブックの解説にあります。

2023年9月22日 (金)

アキザキヤツシロランの異変

そろそろ、富士市域某所のアキザキヤツシロランが咲き始める頃なので、様子見に行って来ました。ところが、全然姿が見えない・・どうしたのだろう?

彼方此方歩き回って、一本の立ち枯れたモウソウチクの周りに差し掛かると・・。

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咲いていました!このような姿を求めて訪れたのに、このモウソウチクの周りでしか見る事が出来ませんでした。

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今年は他の花と同様に、いつもより早く開花しているかもしれないと思って出かけました。この竹林では、今迄このような花数の多いアキザキヤツシロランを沢山見る事が出来ました。

こんな写真を掲載すると、眉を顰める諸先輩も多いとは思いますが・・。

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この生育地の異変が気になり、堆積したササの葉を除けて塊茎を探してみました。ヤツシロラン類は、地中深く塊茎があるのではなく、枯葉や枯竹のすぐ下にあります。伸び始めは半透明だった根状器官が変色して、一部に疣の様なものが出来ています。菌糸から養分を吸収した証です。また、塊茎から出ているのは花芽で、これは開花株という事になります。まだ2cm程度です。

範囲を広げて確認すると、このような状態の塊茎が幾つか見つかりました。今夏は、雨不足で野菜の葉先が枯れる事もありました。アキザキヤツシロランが栄養依存する林床の菌糸が繁殖できず、花芽の成長が遅れたのではないでしょうか?上に掲載した開花株の周りは、ある理由があって土壌湿度が保たれて(安定して)いたものと思われます。また9月下旬になっても最高気温が30度を超すような日が続いています。伸び始めた芽が傷んだのかもしれません。掲載したような塊茎が無事開花に至るのか週ごとに観察したいと考えています。

2023年9月21日 (木)

クロヤツシロランの花

今日は、久々に下界の田園地帯へ行って来ました。稲わらを貰う事になっていたのですが、なかなか取りに行けず本日早朝やっと行く事が出来ました。ギリギリセーフで、雨に濡れずに済みました。それにしても凄い雨でした。

富士市域の山間地で、クロヤツシロランの花が咲いていました。

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痛みもなく、ちょうど見頃でした。

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この花は、少し角度を変えて撮ると違った印象を受けます。アキザキヤツシロランと違い、花茎が短く地際に咲くので見つけ難いし撮り難い花です。

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この場所は、一茎に5~6個の花が見られました。栄養依存する菌糸の状態が安定しているようです。果実期には驚くほど果柄が伸びます。まとまって生えていると思って基部を見ると、一茎から複数本の果柄が伸びている事が分かります(果柄の数が開花株の個体数ではありません)。

ラン科オニノヤガラ属クロヤツシロラン(Gastrodia pubilabiata Y.Sawa)。

静岡県版RDBでは、クロヤツシロランが準絶滅危惧(NT)に指定されていますが、アキザキヤツシロランは指定がありません。県東部で見る限り、逆ではないかと思っています。日本のランハンドブックなどによると、クロヤツシロランは後で記載された種で、長年アキザキヤツシロランと混同されていたようです。手元にある目録にもそれを裏付けるような生育地情報が記録されています。

静岡県植物相調査報告書には、クロヤツシロランの生育地として遠州方面しか掲載されておりません。また生育場所として「竹林の中の腐葉土」となっています。竹林にも生えますが、県東部ではスギ・ヒノキ林に生育する個体数の方が圧倒的に多く、また常緑広葉樹林でも稀に見る事があります。

2023年9月16日 (土)

ヒガンバナとアレチウリ

【ヒガンバナ】

彼方此方でヒガンバナが咲き始めました。ボランティアで、年数回草刈りして来た河川の遊歩道脇でも咲き出したと思います。富士市の工場地帯を流れる沼川水系滝川の右岸遊歩道で、凡その場所は日本製紙吉永工場辺りからジヤトコ本社工場の東辺りです。興味ある方は、見に行ってください。

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植物園のビオトープ入口で撮影しました。三倍体のため種子が出来ないそうですが、球根の分球で増えたとは思えないような場所でも見る事があります。

ヒガンバナ科ヒガンバナ属ヒガンバナ(Lycoris radiata (L'Hér.) Herb.)。

【アレチウリ】

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同じく植物園の敷地内の一角です。草本保全区に生えていたアレチウリは、マメに駆除したため姿を消しましたが、別のところにも生えていました。来週、ビオトープ内の除草に行った時駆除予定です。もっと早く気づけばよかった・・。

アレチウリは、特定外来生物に指定されていて、NPO法人富士山クラブなどが駆除活動を行っていますが、山梨県が対象である場合が殆どです。富士市域では、平地で見る事が多く個人レベルでは手が出せないくらいの大群落を形成している所が幾つかあります。

ウリ科アレチウリ属アレチウリ(Sicyos angulatus L.)。最初に確認されたのは、何と静岡県の清水港とあります。

2023年9月 9日 (土)

富士市域のナチシダ

萌が健在だった頃、イノモトソウ科の大形のシダ植物であるナチシダとオオバノハチジョウシダを一株ずつ散歩コースで見付けました。当時は、シダ植物に目を向けていなかったため「見た事のない種」としてちょっとだけ気にしていました。機会があり、識者の先生に腊葉標本を見ていただいて種名を知りました。

伊豆天城周辺にカンアオイ属の調査に行った時、沢山のナチシダと出会いました。特徴的な葉身のこのシダ植物は、追記前の富士市植物仮目録(中山Ver.)にも掲載されていないし、杉野先生の静岡県の植物図鑑にも「東部には分布しない」とあります。

ところが、富士市域で2ヶ所の大群落と出会いました。その片方の自生地を覗いて来ました。

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群落の一角です。写真を撮った背後は、線状間伐されて明るくなった人工林で、ナチシダの大群落が広がっています。

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「葉は鳥足状に分岐して広五角形に広がっている・・」日本では、このような葉身を持つシダ植物は他にないそうです。

このシダ植物は常緑性とありますが、発見した富士市域では冬に地上部が枯れます。この場所も、冬に確認した時は枯れていました。そして春になると新葉が伸びて来ました。同じくオオバノハチジョウシダも常緑性ですが、冬に地上部の枯れるところもあります。萌の散歩道では、両種が数メートル離れているだけでしたが、オオバノハチジョウシダは枯れませんでした。葉の厚みの違いによるものではないかと思っています。

イノモトソウ科イノモトソウ属ナチシダ(Pteris wallichiana J.Agardh)。


最近は、考えがあって写真を撮っても掲載しない植物があります。その上、時期を変えて同じ植物を掲載する事が多くなりました。希少植物をWeb検索して訪問される方が激減したためか、二つに分けたブログ記事の月間アクセス数の合計は、前ブログに遠く及びません。でも、固定した訪問者(リピーター)の方がいてくださいます。管理人にとっては、それが一番の励みになります。これからも、懲りずに拙いブログへご訪問頂いただけると嬉しいです。
季節を変えて観察すると、今まで気づかなかった事に目が向くようになります。植物を含めた自然観察の面白さは、そんなところにあるのではないでしょうか?

2023年9月 8日 (金)

バアソブ開花

山野を歩き始めた頃は、バアソブとジイソブ(標準和名:ツルニンジン)の違いを聞いても良く分かりませんでした。でも、見慣れると結構違いのある事に気付きます。

もう、十年近くなるでしょうか?バアソブを見た事の無かった私に、ブログ友が種子を送ってくれました。それを蒔いて、発芽~開花に至るまで手元で観察する事が出来き、苗の状態でもバアソブとジイソブの識別が出来るようになりました。

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バアソブの花は小さいとあります。目にする事の多いジイソブに比べて小さいですが、所見では自信が持てませんね。花筒の裂片が短い事も特徴です。

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花での識別点で一番わかりやすいのは、花筒内部にあるこの霧点です。ジイソブの場合は、霧点ではなくベタの模様があります。

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花以外では、種子が違います。以前も登場した写真ですが・・。

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左がジイソブ、右がバアソブです。ジイソブの方には翼があり、種皮の色も違います。

キキョウ科ツルニンジン属バアソブ(Codonopsis ussuriensis (Rupr. et Maxim.) Hemsl.)。

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この写真は果実期のものです。良く見ると、花柄が下から伸びています。花が終ると反転して上向きになります。面白いですね。

2023年9月 3日 (日)

不法投棄監視パトロールで出会った野生ラン

山間の地では秋風を感じる季節になりましたが、まだまだ異常に暑い日が続いています。林道が主体のパトロールでもベストが汗でびっしょりになりました。

8月下旬のパトロールで見かけた野生ランを掲載します。

【ミヤマウズラ】

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サクラの古木に着生するミヤマウズラです。何年か前から見守っていますが、今年初めて花をつけました。

【コクラン】

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この場所には、クモキリソウもあったはずですが、見当たりませんでした。Liparisの仲間は、突然姿を消してしまう事があります。比較的目にする事の多いコクランも、沢山見かけた場所を再訪すると全然姿の見えない事があります。案外気難し屋なのかもしれません。

【ヤクシマヒメアリドオシラン】

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数年前から、この小さな野生ランの分布を調査・記録しています。この場所は、ナチシダ(シダ植物)を調べていて今回発見しました。地域における野生ランの個体数では、このヤクシマヒメアリドオシランがダントツだと思っています。

【ツチアケビ】

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花の時期に掲載したツチアケビです。果実期に入り赤いウィンナーソーセージが沢山ぶら下がっていました。種子が熟すのは何時くらいだろうか?


最近では、山野を歩く機会が少なくなりました。希少植物の生育地を訪れると、目にしたくない光景を見る事が多く、以前のような探索熱は無くなりました。でも、たまに歩くと違った視点で植物を見る事が出来るので、それはそれで良かったと思っています。

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