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2023年6月

2023年6月30日 (金)

ナチシダとコキンバイザサ

不法投棄監視パトロールで出会った植物・・続きです。

【ナチシダ】

富士市域でナチシダに初めて出会ったのは、今は亡き「萌」との散歩道でした。そこには、ナチシダとオオバノハチジョウシダが一体ずつ生えていました。オオバノハチジョウシダは、地上部が枯れずに冬を越しますが、ナチシダは地上部が枯れてしまいました。

その後、富士市域でナチシダの群落を2ヶ所確認しました。1ヶ所は不法投棄監視パトロールのコースになっている林道脇の人工林でした。晩秋に地上部が枯れたのを確認してから訪問した事が無かったので、ついでに確認して来ました。

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新たな葉が展開していました!

発見時、この辺りに多いウラジロかと思って林内を覗いたら、100個体を優に超えるナチシダの群落でした。周辺の林内も調べましたが、線状間伐して明るくなった林内だけに確認出来ました。

イノモトソウ科イノモトソウ属ナチシダ(Pteris wallichiana J.Agardh)。

イノモトソウ科のシダ植物は、シカの摂食対象にならないそうなので、今後ますます増えていくものと思われます。

【コキンバイザサ】

同じ林床の木材搬出道に、コキンバイザサの花が咲いていました。一般的な開花時期は5~6月となっていますが、別の場所の観察ではもっと長く、秋に花を見た事も幾度かあります。

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この場所では初確認なので、花が咲いていなければ気付かなかった事でしょう。事前に生育が確認出来ていれば、未開花株でも葉の触診でスゲの仲間と区別する事は出来ます。

キンバイザサ科コキンバイザサ属コキンバイザサ(Hypoxis aurea Lour)。


最近では、研究者の依頼以外では不法投棄監視パトロールのついでに山野の植物を観察するくらいで、探索範囲がますます狭くなって来ました。それでも視点を変えて観察すると、新しい発見がいろいろあって楽しいものです。以前は、諸先輩のWeb記事などを見て、珍しい植物が掲載されているとそわそわしていましたが、そういう気持ちになる事は殆ど無くなりました。

考えがあって掲載しない植物もあり、前ブログに比べて訪問者の方もずっと少なくなりました。それは仕方ない事ですが、ブログタイトルを静岡県→富士・富士宮市の植物探索にした方が良かったなんて思っています。

2023年6月28日 (水)

ツチアケビ

今月2回目の、不法投棄監視パトロールに行って来ました。施錠された林道のゲート奥に・・。

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頂部を野生動物に食べられたと思えるツチアケビを発見!近年、このような姿を良く見かけます。シカによる食害ではないかと思います。

そして別の場所では・・。

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凄い!単体で生える事もありますが、このように群生する事も珍しくありません。

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花を接写してみました。洋ランを思わせるような綺麗な花ですね。

ラン科ツチアケビ属ツチアケビ(Cyrtosia septentrionalis (Rchb.f.) Garay)。

ツチアケビは多年草との事ですが、続けて全く同じ場所で見られる事は稀です。菌類から開花・結実に十分な養分を得られないと、地下茎だけで複数年生き続けるようで、3年後に花を見た事があります。

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中国名は「血紅肉果蘭」。その名を思わせる様な、こんな液果を実らせます。果肉の中には小さな種子が入っていて、種皮はとても硬いと聞きました。自動自家受粉するそうで、当初は膨らみ始めた子房を沢山見ますが、落ちてしまうものも多く赤く熟す果実が数個しかついていない事もあります。野鳥が種子の運び手の一種とありますが、食痕のある果実を見るのは稀です。


菌従属栄養植物(腐生ラン)の記事が続きました。2023年8月3日付で、福音館書店から次のような本(月刊誌)が発売されます。小学生向けとなってはいますが、光合成を止めた植物の生態を学ぶのに最適な本だと思います。興味のある方は、読んで見てください。

「植物」をやめた植物たち (たくさんのふしぎ2023年9月号) 雑誌 – 2023/8/3

2023年6月27日 (火)

タシロラン

先日、再生畑の未耕作エリアの草刈りをしていて、タシロランを切り飛ばしてしまいました。気付いたのはその1本だけでしたので、写真を撮って腊葉標本とする事にしました。

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光合成をせず、100%菌類(木材腐朽菌のイタチタケなど)に栄養依存している菌従属栄養植物です。

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ガラス細工のような花です。

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下の方の子房は膨らんでいました。図鑑には、開花後3~4日で種子散布し・・」とあります。

ラン科トラキチラン属タシロラン(Epipogium roseum (D.Don) Lindl.)。

初めて富士市内でこの植物を見たのは、所有する別の畑でした。一昨年は、今回草刈りした再生畑でも見付けました。びっしり生えていたササを刈取り、その場所が草地になってからの事でした。大学生が卒業論文の発表用にまとめた資料の中には、隣の集落に生えていたタシロランが掲載されていました。地域でも生育地を拡大しつつあるようです。

ただ、地上に姿を現してから一週間程度で姿を消してしまう事もあるそうで、昨年見た場所でも再会のタイミングが難しい植物のようです。

2023年6月22日 (木)

ナヨテンマ

ナヨテンマ・・私はこの植物に出会った事がありませんでした。以前、ある先生から、県内に沢山生育している場所があると伺った事があります。友人から送ってもらった写真を見て、「ヤツシロラン類の花に似ている!」と思い、直接観察したくなりました。

位置情報を教えてもらい、嫁さんと一緒に昨日探索に行って来ました。

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初めて目にしたナヨテンマです。予想していたより花茎が細く丈が高い!

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やはり、ヤツシロラン類の花に良く似ています。

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花茎にアブラムシが集っていました。あまり見かけない色の種です。

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比較のためにヤツシロラン類の花を掲載します。左がアキザキヤツシロランで右がハルザキヤツシロランです。似ているでしょ?ただ、ヤツシロラン類は花茎が短く、受粉すると花柄が驚くほど伸びて来ます。ナヨテンマは花茎が長く開花時期から目立っています。受粉すると花柄が少し伸びるようです。花茎が長い事に関しては、オニノヤガラやシロテンマなどと同じですね。

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花筒が萎み子房の膨れているものもありました。しかも横向きだったものが上を向いています。種子散布が近いと思われます。

ラン科オニノヤガラ属ナヨテンマ(Gastrodia gracilis Blume)。


私は丹沢の師匠に教わり、ヤツシロラン類の実生栽培実験を行って来ました。実験容器の中で、ハルザキヤツシロラン、アキザキヤツシロラン、クロヤツシロランの花を見る事が出来ました。ナヨテンマは、オニノヤガラの生薬名と同じテンマの名がついていますが、DNA情報を用いた解析の結果、オニノヤガラよりもヤツシロラン類に近縁である事が分かったそうです。

その事から、師匠と一緒にナヨテンマの実生栽培にも挑戦してみたくなりました。果実が熟す時期が不明ですが、現地の様子から2週間後くらいには果実が割れ種子を散布する個体があるのではないかと思います。植物に興味がなく渋い顔の嫁さんに、その頃の同行をお願いしました。

2023年6月20日 (火)

ヒメムヨウラン

先日、亜高山帯に生育するヒメムヨウラン調査の下見に行って来ました。低域では果実期に入っていると思いますので、少し高度を上げて探索しました。

この植物は、腐生ランの中でも比較的目にする事は多いと思います。でも、年によって生育場所が変わり、沢山見られた場所でも翌年姿の見えない事があります。もしかすると、花が咲くと枯れる一回稔性?また、自動自家受粉するのか結実率は高く、果実殻の沢山ついたドライを良く見かけます。

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予想通りまだ蕾でした。花柄が横を向いていますので、もう少しで開花すると思います。

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花茎の下側から徐々に横を向いて来ます。腐生ラン(菌従属栄養植物)の出芽~開花時期に関しては、同じ場所でも結構個体差があるように思っています。

下見の時点では、開花している個体は見つかりませんでしたので、以前撮った写真を掲載します。

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花穂の色は、個体毎に様々です。右のような褐色の色素の無いものも極稀に見受けられます。

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多くのラン科植物は、花柄子房が180度捻じれて唇弁が下につきますが、ヒメムヨウランの花は、花柄子房に捩れが無く唇弁が上を向いています。中にはホザキイチヨウランのように、360度捻じれて唇弁が上を向く超変り者もいます。面白いですね。

ラン科サカネラン属ヒメムヨウラン(Neottia acuminata Schltr.)。

ムヨウランの名がついていますが、ムヨウラン属(Lecanorchis)ではなくサカネラン属(Neottia)なんですね。そういえば、フタバランの仲間もサカネラン属に改められています。ヒメムヨウランとフタバラン類の繋がりが分かりました。何の事?それは秘密です。

2023年6月15日 (木)

アオジガバチソウ

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ここは、駿河湾と伊豆の山々が望める絶景ポイントです。伊豆半島には、再訪して植物調査したい場所があります。でも、最近は腰が重くなって来ました。

周辺の林床を探索していると・・。

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予期せぬ場所に、ジガバチソウが生えていました。この辺りでは、初確認です。

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近づいてみると、花全体が緑色です。側萼片の先端にちょっぴり暗視褐色の色素があるけど、まぁ品種のアオジガバチソウで良いかな?

ラン科クモキリソウ属アオジガバチソウ(Liparis krameri Franch. et Sav. var. krameri f. viridis Makino


午前中、畑に行って草刈りをしていると、雨が降って来ました。慌てて片づけ始めたら、うっかり通電中の電気柵に触れてしまいました。ゴム長靴を履いていてもあのショック・・イノシシやシカは裸足なので、もっときついだろうと思います。

雨が続くと、イノシシがミミズを掘った痕跡が彼方此方に見られます。それでも、電気柵の周囲には足跡も見られません。設置してあるから完ぺきとは言えませんが、網よりは効果があります。今日は、自身でその効果を体験しました。

2023年6月14日 (水)

ササユリ

そろそろササユリの花が咲く頃だと思って、様子見に行って来ました。

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咲いていました!

微力ながら、この場所のササユリの保護に関わらせていただくようになったのは、一昨年の秋からです。今年は、他の人が手鎌でススキを浅刈りしてくれました。何時か、地域の有志で「ササユリを守る会」なんてのが出来る事を願っています。

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この場所のササユリは、他所に比べて花色の濃い個体が多く見られます。他県に生育するヒメサユリを連想させます。

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一茎二花の個体が、昨年より増えていました。

少し場所を変えて調査すると・・。

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新たな個体が複数発見出来ました。その付近の林床を見ると、実生苗も結構見られました。

ユリ科ユリ属ササユリ(Lilium japonicum Houtt.)。品種としてシロササユリとベニバナササユリが記載されていますが、どの程度の花色なのか私には分かりません。


昨年は、種子を採取して実生床に播種しました。ササユリは単子葉植物です。無事発芽して一枚葉が地上部に姿を現すのは、翌々年の春になります(実生床の条件によっては、翌年の晩秋に姿を現す事もあります)。無事苗が得られたら、付近の樹木を伐採したエリアに植えて生育地の拡大を図りたいと考えています。

2023年6月 6日 (火)

ヤエドクダミ

NHKの朝ドラ「らんまん」で、長屋に咲くドクダミがテーマに取り上げられていました。ドクダミは、何処でも見かける植物ですが、古くから民間薬として利用されて来ました。幼い頃は、不味い煎じ薬を幾度も飲まされました。

不法投棄監視パトロールで、面白い形態のドクダミの花に出会いました。実は、5月に行った愛媛県松山駅の近くでも、似た花を見かけました。気になる植物との出会いは続くものです。

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このような形態の花を、前ブログ「やまぶどうの徒然日記」でも取り上げた事があります。その場所は町内にあったのですが、地主さんが除草剤を散布したため全滅しました。

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一般的な花はこのような姿です。白い花弁のような部分は葉が変化した総苞片で、花はその上に見える穂状の部分(花序)です。

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更に接写してトリミングしてみました。オシベとメシベだけの小花が見えています。この写真では分かり難いですが、一つの小花はオシベが3個、メシベが1個で柱頭が3~4裂しています。

ドクダミ科ドクダミ属ドクダミ(Houttuynia cordata Thunb.)。
ドクダミ科ドクダミ属ヤエドクダミ(Houttuynia cordata Thunb. f. plena (Makino) Okuyama)。

ヤエドクダミは品種ですが、富士市植物仮目録(中山Ver.2023)に、生育確認場所を記して追記しました。


昨日は、図面描きに飽きたので、家族が買って来たサツマイモの蔓を午前中に挿して来ました。初めて挑戦するシルクスイートです。

シルクスイートは、カネコ種苗株式会社が春こがねと紅まさりを交配して作出したそうです。ホームセンターで売られていた蔓には、カネコ種苗許諾済み、海外持出禁止の札がついていました。種苗法で海外持出制限がかけられているようですね。この品種は、多くのWebページでその美味しさが解説されています。また、寒さにも強いとあり、山間の地の栽培にも向いているようです。

2023年6月 3日 (土)

ハンショウヅル

不法投棄監視パトロール対象の一つとなっている林道には、ハンショウヅルも時々見られます。園芸品種として栽培されているクレマチスの野生版ですね。

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ちょうど見頃でした。紅紫色の花弁のような部分は萼片です。キンポウゲ科は変わりものが多いですね。

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萼片は肉厚で丈夫そうですが、触れたりすると落下しやすいです。撮影する時はご用心!

キンポウゲ科センニンソウ属ハンショウヅル(Clematis japonica Thunb.)。白花品種のシロハンショウヅル( f. cremea (Makino) Ohwi)もあるそうですが、私はまだ見た事がありません。

花形が広鐘形(萼片がハンショウヅルより短くて広い)のシロバナハンショウヅル(Clematis williamsii A.Gray)があり、またハンショウヅルに似た形態で、白花をつける種としてトリガタハンショウヅル(Clematis tosaensis Makino)があります。こちらは別名がアズマハンショウヅル,シロハンショウヅルとなっています。ちょっと紛らわしいですね。

オカタツナミソウ

5月二回目の不法投棄監視パトロールで出会った植物・・一番手は、オカタツナミソウです。

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花は終盤を迎えているものが多く、少ししか残っていませんでした。花が終ると左のように花序部が伸びて来ます。少しでも遠くに種子をばら撒くためでしょう。

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茎の先端に花穂がつきます。地域で見るシソ科の中でも、花や葉色が淡く優しい印象を受けます。

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変わった形の果実ですね。「円錐状の突起がある」と表現されています。

シソ科タツナミソウ属オカタツナミソウ(Scutellaria brachyspica Nakai et H.Hara)。

タイプ標本は、埼玉県飯野(Hanno)となっています。静岡県では、「東部と中部の山地に分布するが少ない」とあります。撮影した林道沿いでは、各所で見る事が出来ます。


昨日から夜半にかけての雨は凄かった!風も強く、屋外の様子を見行っただけでびしょ濡れになりました。下界では、浸水により各所が通行止めになったと聞きました。大きな被害が無ければいいけど・・。

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