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2023年5月

2023年5月31日 (水)

マルバハッカ?

昨日の午前中は、シロバナのタニウツギ属の情報を貰い、雨の中探索に行きました。早く確認に行かないと、花が落ちてしまう事も考えられます。

GPSの位置情報を見ながら辿り着いた場所で、気になった植物に出会いました。

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広角レンズをつけたデジイチは車の中に置いてあったためコンデジで撮りました。このような群落が、広範囲に広がっていました。

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シソ科ハッカ属みたいだ!葉を毟ってニオイをかぐと、ハッカ系の芳香がして来ました。

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葉裏には、沢山の毛が生えていました。

山野で、ハッカに似た植物を見かける事は良くあります。ただ、葉を揉んでニオイをかぐと予想外(好まないニオイ)でがっかりする事があります。図鑑でニホンハッカを調べると、この植物と葉の形態などが異なります。この植物は何だろう?

帰宅してWeb図鑑を見ながら悩んでいると、父親が植えた斑入りのハッカ属が頭に浮かびました。そういえば似ている!比較のために写真を撮ってみました。

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この斑入り葉の種は、マルバハッカ(アップルミント)の変種でパイナップルミントと呼ばれているそうです。上の植物は、マルバハッカではないかと思いますが、如何でしょう?

高度700mを超す山野にどうしてこんな群落が出来たのでしょう?この場所には盛り土があり、その土と一緒に運ばれて来たマルバハッカが、走出枝(ランナー)によってクローン集団を形成したのではないでしょうか?帰化植物の怖さを再認識しました。

シソ科ハッカ属マルバハッカ(Mentha suaveolens Ehrh.)。

2023年5月28日 (日)

ヤマシャクヤク

ヤマシャクヤクの花の寿命は短く、そのホンワカした花姿と共に人気の植物です。標高の低い所ではとっくに花が終わり、果実期に入っていますが、この辺りではまだ蕾の個体も多く見受けられました。

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ベニバナヤマシャクヤクを思わせる様な立ち姿のヤマシャクヤクです。

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この場所では、このようなヤマシャク一家が多く見られました。実生苗も多く、ホッとした気持ちになりました。

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気温のせいか訪花昆虫は少なく、調査を依頼されているフタスジカタビロハナカミキリは見られませんでした。

ボタン科ボタン属ヤマシャクヤク(Paeonia japonica (Makino) Miyabe et Takeda)。品種のケヤマシャクヤク(f. hirsuta H.Hara)と混在している場所もあります。同じくベニバナヤマシャクヤクも品種のケナシベニバナヤマシャクヤク( f. glabra (Makino) Kitam.)と混在している事があります。また、図鑑によってはベニバナヤマシャクヤクはメシベが5本とありますが、定まってはいないと思います。

2023年5月27日 (土)

クルマバツクバネソウ

植物調査に行った時、時間の関係もあってあまり写真を撮れませんでした。薄暗い写真で恐縮ですが、少しだけ掲載します。

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クルマバツクバネソウとオオミネテンナンショウです。この辺りで多く見られるテンナンショウ属は、このオオミネテンナンショウとヒガンマムシグサ(ハウチワテンナンショウType)です。

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静岡県で生育確認されている種は、ツクバネソウとクルマバツクバネソウがあります。後者は、比較的標高の高い所で見かけます。

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シュロソウ科ツクバネソウ属クルマバツクバネソウ(Paris verticillata M.Bieb.)。クロンキスト、エングラーでは、ユリ科に分類されています。

以前撮った写真ですが・・。

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この左側に写っているのは、品種のムラサキクルマバツクバネソウ( f. purpurea)だろうか?この周辺では、複数個体確認出来ました。


四国へ行ったついでに、富士市に住む友人ご夫婦の出身地である仁淀川流域も覗いて来ました。そこに、横倉山自然の森博物館がありました。図鑑を見ると、牧野博士が記載したヨコグラツクバネソウ(Paris tetraphylla A.Gray f. sessiliflora (Makino) H.Hara)が掲載されていました。クルマバツクバネソウの花柄が殆ど無くなったような姿でした。天気が良く時間があれば、探索してみたい魅力的な山のようでした。また行く機会があるか分かりませんが、図鑑を買って来ました。

2023年5月26日 (金)

トウゴクミツバツツジ

依頼を受けて、ある植物の調査に行きました。最近引籠り気味の私が思い描いていた季節感より、ずっと進んでいました。

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針葉樹と広葉樹の混じる林内に、ピンクの花が目につきました。トウゴクミツバツツジです。

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このところ、ますますピンボケ写真が多くなりました。全て、年齢とカメラのせいにしています。

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ミツバツツジはオシベの数が5本ですが、このツツジはもっと沢山あります。

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爪先立ちしてコンデジで片手撮りしました。オシベの数が10本、花柱の下に毛が生えています。トウゴクミツバツツジの特徴です。

ツツジ科ツツジ属トウゴクミツバツツジ(Rhododendron wadanum Makino)。Ylistでは、品種のカイミツバツツジ( f. kaimontanum)もトウゴクミツバツツジに含まれています。


先日、NHKの登山番組を見ていると、ヤマツツジの次にミツバツツジが登場しました。標高からするとトウゴクミツバツツジではないかと思っていたのですが、出演者の説明とテロップともにミツバツツジでした。ところがアップで写った写真にはオシベの数が多く、花柱の毛もはっきり写っていました。山歩きを楽しむ番組ですが、映し出される植物を見て種名を当てるのも楽しみの一つです。

調査対象植物はなかなか見つからず、歩き疲れて別の日に出直そうかと思い始めた辺りにまとまって生えていました。山野の植物との出会いはそんなものです。ある人が沢山あったよ!と言っても、別の人からすれば全然見つからない事もあります。そこが、一人探索の魅力でもあります。

2023年5月23日 (火)

ガンゼキラン

愛媛の孫に会いに行ったついでに、高知県立牧野植物園へ寄ってガンゼキランを見て来ました。静岡県植物目録にも掲載されている種なので、本ブログに掲載する事にしました。

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ちょうど見頃でした。それにしても凄い株数です。ラン科植物の中では、丈夫で増殖しやすい種のような印象を持ちました。

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葉はエビネに似た感じですが、花はかなり違いますね。

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コンデジで接写・・LEDリングの関係で、萼片や花弁の色がおかしくなってしまいました。

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ガンセキランの和名は、この偽球茎に因んで付けられたそうです。

ラン科ガンゼキラン属ガンゼキラン(Paraphaius flavus (Blume) J.W.Zhai, Z.J.Liu et F.W.Xing)。中国名は、黃花鶴頂蘭 (黃鶴頂蘭)。


静岡県植物相調査報告書には、分布北限としてある場所名が記されていますが、そこに現存するかは不明です。牧野植物園では、農家から譲り受けた個体を増殖してこの見事な群落を作り上げたそうです。調査などで絶滅の危機に瀕している事が判明したら、移植も視野に入れた積極的な保護対策が必要だと思います。対象と考えられる希少植物が、身近なところにも複数存在します。

2023年5月22日 (月)

ハコネウツギ

山野を歩き始めた頃、箱根方面で紅白の花をつけるタニウツギ属を見付けました。白花から赤花に変わるハコネウツギかと思ったのですが、詳しい方から「ハコネにはハコネウツギは無い」と聞きました。

私は今まで、ハコネウツギを見た事は無かったかもしれません。静岡県内に生育する種ですが、この写真は県外の植物園で撮りました。

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紅白の花が咲いていました。

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ズームして・・。

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「花は漏斗形で上半分が急に幅が広くなる」。同じく白色から赤色に変わるニシキウツギは、筒部が先端に向かって次第に太くなります。

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葉裏の特徴として「裏面脈状に毛が散生」とあります。密生と散生・・すべてを比較しないと分かり難いですね。

スイカズラ科タニウツギ属ハコネウツギ(Weigela coraeensis Thunb.)。

杉野孝雄先生の図鑑には、ニシキウツギに良く似ているが葉裏の中肋の毛が少ないアマギニシキウツギが掲載されています。

静岡県植物目録に掲載されているタニウツギ属(Weigela)として、サンシキウツギ、ハコネウツギ、シロバナハコネウツギ、ベニバナハコネウツギ、ニオイウツギ、ニシキウツギ、ベニバナニシキウツギ、シロバナニシキウツギ、アマギベニウツギ、アマギアオウツギ、ヤブウツギ、シロバナヤブウツギ、キバナウツギがあります。その他に地域の識者の命名によるものもあって、いつも悩んでばかりです。迷った時は、タニウツギ属という事で・・。

2023年5月13日 (土)

キンラン

キンランは、エビネと共に身近なところで出会う事の出来る野生ランです。植物園内の保全林にも、キンランが生育しているので撮ってみました。

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事前の植生調査で、キンランの多い事に驚きました。同属のササバギンランやギンランも確認しています。

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接写してみました。ラン科植物の花は、どれもアニメのキャラクターのような面白い表情をしていますね。

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花粉塊と唇弁の隆起にピントを合わせたつもり・・。唇弁は訪花昆虫(送粉者)の足場になったり、誘引するためにその色や形などが進化して来たそうです。長い年月をかけてこの形になった進化の過程を想像するのも面白いです。

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こちらは、シカ柵の外に咲いていたのをズームで撮りトリミングしました。花色が白っぽい上に、萼片や花弁がかなり開いています。昨年も同じような形態の花が咲きましたので、固定された変異だと思います。

ラン科キンラン属キンラン(Cephalanthera falcata (Thunb.) Blume)。


新たな二つのブログで再出発してから、一年半近くが経とうとしています。片や果樹・野菜そして実生の山野草を含めた植物栽培や日常のもろもろをテーマにし、もう一つは静岡県内で生育確認された植物に限定した本ブログになります。

記事数は、幅広いカテゴリーからも前者の方がずっと多く、後者はマメに山野を歩かなくなった事や写真を撮っても掲載を控えている植物がある事から、記事数も少なくなっています。ところが、本ブログのアクセスカウンターは前者の倍ほどになり、現時点では管理人にとって予想外の結果になっています。

2023年5月 6日 (土)

ヤマウツボ

ヤマウツボは、光合成をしないで樹木の根(ブナ科、カバノキ科、ヤナギ科など)に寄生して生活している植物です。この不気味な姿の植物に初めて出会ったのは、富士山南麓でした。

時には、数十本の群落を見る事もあります。

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左は、花柱が姿を現し始めたばかりの若い個体です。

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こちらは、上より約200m低い標高の場所で撮りました。下半分くらい花冠が落ち、萼だけ残っています。

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萼には腺毛が散生しています。

ところで・・。

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ギンリョウソウモドキ(アキノギンリョウソウ)が姿を現す頃、この不思議なものと出会いました。その数年後、イノシシに荒らされたと思われる場所で、この物体が「白い多肉質の鱗片葉で覆われるヤマウツボの地下茎」である事を知りました。

ハマウツボ科ヤマウツボ属ヤマウツボ(Lathraea japonica Miq.)。旧分類体系では、ゴマノハグサ科に含まれていました。

2023年5月 5日 (金)

馬頭観音で見た花

不法投棄監視パトロールで見かけた花を、2種掲載します。

【キヨスミミツバツツジ】

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一般的なミツバツツジの花は散った頃ですが、ここではまだ咲いていました。

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手の届く最下の花を見ると、クモが隠れていました。あれっ、この花はオシベの数が多い・・母種のミツバツツジは、オシベが5本です。

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手繰り寄せて観察すると、オシベが10本あります。キヨスミミツバツツジのようです。オシベが10本のミツバツツジの仲間には、花柱の下部に毛のあるトウゴクミツバツツジもありますが、こちらには毛がありません。

地域では、ミツバツツジとキヨスミミツバツツジの交雑種でアワミツバツツジ(Rhododendron x kuratanum S.Watan.)も生育しています。こちらは、オシベが7~9本で葉柄に少し粘りがあります。

他地域産で、アワミツバツツジ(Rhododendron decandrum (Makino) Makino f. lasiocarpum H.Hara)という種があります。最新のYlistでは、ワタナベミツバツツジをアワミツバツツジの標準和名としていて、ケトサノミツバツツジ(Rhododendron dilatatum Miq. subsp. decandrum (Makino) X.F.Jin et B.Y.Ding f. inobeanum (Honda) Minamitani)をアワミツバツツジの標準和名としています。

ツツジ科ツツジ属キヨスミミツバツツジ(Rhododendron kiyosumense (Makino) Makino)。

【ナツトウダイ】

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蚊の様な訪花昆虫が、腺体の蜜を吸っていました。

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面白い形の花ですね。花弁のような三日月の部分は蜜を出す腺体です。この写真では良く分かりませんが、中央部にオス花とメス花があり雌性先熟とあります。雄性先熟のキキョウと反対ですね。雌性先熟と雄性先熟に分かれたのはどんな理由からなのでしょう?

身近で見られる植物も、進化の過程を想像しながら観察すると面白いですね。

トウダイグサ科トウダイグサ属ナツトウダイ(Euphorbia sieboldiana C.Morren et Decne.)。

2023年5月 4日 (木)

オオバウマノスズクサ

先月末の不法投棄監視パトロールで、オオバウマノスズクサの花を見付けたので掲載します。

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オオバウマノスズクサは、蔓性の木本です。特徴ある大きな葉は、良く目につきます。見比べると、葉形に変異があります。

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花の横顔です。面白い形をしていますね。中に入った訪花昆虫が簡単に出られない構造になっていて、中で動き回るため受粉出来るそうです。機会があれば花を解体してみようと思っています。

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少し高い所に咲いていたので、蔓を引き寄せて撮ってみました。

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開口部を上から覗くと個体毎に違った模様が見えますので、機会があったら見てください。

ウマノスズクサ科ウマノスズクサ属オオバウマノスズクサ(Aristolochia kaempferi Willd.)。

ウマノスズクサ類はジャコウアゲハの食草になっていて、葉は有毒植物を含むため、ジャコウアゲハは自身を毒化して外敵から身を守っているそうです。アサギマダラがキョウチクトウ科(ガガイモ科)の植物を食草として身体を毒化するのと同じですね。

2023年5月 1日 (月)

ナベワリ

昨日の明け方の雨は凄かった!雨樋の立下げパイプでは追い付かず、樋から直接落ちていました。今回の連休は、雨予報の日が多いですね。

富士山南麓で見た、ちょっと変わった花をつける植物・・ナベワリを撮ってみました。

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芽覚めて直ぐに花を咲かせるため、まだ葉が丸まっていました。葉の基部から伸びた細い花柄がお分かりでしょうか?ナベワリは単子葉植物ですので、一枚葉の苗も所々で見かけます。

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花はぶら下がって下向きに咲きます。

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ちょっと起こして正面顔を撮ってみました。二枚対になった花弁がありますが、外側の花弁は片方が大きくなっています。送粉者に適合するための進化でしょうか?それにしても、ぶら下がった花に集るのは大変でしょうね。

静岡県植物相調査報告書によると、県内各所で生育確認されており「稀ではない」とあります。でも、下向きに咲く花は葉に隠れて目立たないため、気にして歩かなければ気づき難いと思います。

ビャクブ科ナベワリ属ナベワリ(Croomia heterosepala (Baker) Okuyama)。

有毒だそうですので、ご用心!

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