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2023年4月

2023年4月29日 (土)

タチガシワ

27日は、ある植物の調査があって、久々に富士山南麓を歩きました。一日歩いたので、とても疲れました。

タチガシワに出会ったので掲載します。静岡県植物相調査報告書によると、県内各所に生育確認記録はあるものの、「少ない」とあります。富士山南麓でも、ある程度限られた場所でしか見る事が出来ません。

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深く5裂した合弁花冠は、淡黄紫色や緑褐色などと表現されていますが、個体毎に違いがあります。普通の花のようなオシベとメシベが見当たりません。オシベとメシベが癒合した先端の扁平な「蕊柱」が中心部にあり、それを副花冠が守っています。

この地味な花に訪れる送粉者は、どんな生き物でしょう?周辺をハナバチの仲間が羽音を立てて飛んでいましたが、今まで花に集った生き物はアリしか見ておりません。アリが送粉者なのだろうか?

キョウチクトウ科カモメヅル属タチガシワ(Vincetoxicum magnificum (Nakai) Kitag.)。旧分類体系では、ガガイモ科とされています。

2023年4月25日 (火)

ホソバオオアリドオシの花

再生畑②で除草作業をして来ました。少し前が異常に暑かった事もあり、今日は寒さを感じました。

隣接するスギ林を覗くと、ホソバオオアリドオシの花が咲いていました。

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デジイチを持って行ったのですが、ズームレンズではなくマクロレンズをつけたままでした。最近こんな事ばかり・・。

近づいてコンデジで撮りました。今年は花付が良いです。他の木にも沢山咲いていました。

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ホソバオオアリドオシは、町内の鎮守の森にも生育しています。ところが、そちらはシカの食害でかなり傷んでいました。こんな棘の痛い植物を食べて平気なのでしょうか?

アカネ科アリドオシ属ホソバオオアリドオシ(Damnacanthus indicus C.F.Gaertn. var. lancifolius Makino)。別名は、ホソバニセジュズネノキ (Koidzumi 1933),ホソバジュズネノキ (Makino 1904)。私はホソバニセジュズネノキと教わりましたが、Ylist標準和名は、ホソバオオアリドオシとなっています。

ミニ探索で出会った植物

昨日は、植物園に興味を持ってくれている新人と園内を回り、午後からは近くの山野をミニ探索しました。

写真はあまり撮りませんでしたが、気になった植物を二つ掲載します。

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いろいろなシダ植物の新芽が伸びて来ました。葉が展開したものもあれば、上の写真のようにやっと伸び始めたばかりのものも見受けられます。シダ植物が一番綺麗な季節だと思います。

ところで、このシダ植物・・ホソバショリマでしょうか?筑波の科学博物館のWebページに「葉身下部は羽片が次第に短くなり、耳状になる」「常緑性とされていますが、当園では地上部が冬枯れます」とあります。この二項目の解説とは合致していると思います。ただ、葉の長さが約60cmになるとあります。現在20cmくらいですから、これから3倍ほどになるのだろうか?

ホソバショリマは、本来暖かい地域に生育するシダ植物で、ラン科植物と同じく温暖化の影響で生育地が北上しているようです。日本では、とても希少な植物だそうです。もう少ししたら、詳しい先生に見ていただこうと思っています。

少し場所を移動して・・。

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ルイヨウボタンかと思って近づいたら、ヤマシャクヤクでした。予期せぬ場所での出会いでした。

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こちらは、別の日にもっと低いところで見た花です。花の寿命は短く、丁度良いタイミングで出会う事の難しい植物です。


ここ数年は、植物に興味のない嫁さんを相棒に、カンアオイ属などの探索をして来ました。それ以外に、山野を歩く事は殆どなくなりました。でも、こうして植物に興味を持っている人と歩くのは楽しいものです。また、植物園に目を向けてくれる新人さんが現れた事は、とても心強いです。そういえば、昨日は牧野富太郎博士の誕生日でした。今日は誰かさんの誕生日、「お誕生日おめでとう!」だけで済まそう・・。

2023年4月21日 (金)

シロバナハンショウヅル

県東部で目にするハンショウヅルの仲間は、センニンソウ、ボタンヅル、ハンショウヅル、トリガタハンショウヅル、そしてシロバナハンショウヅルなどがあります。シロバナハンショウヅルの花が咲いていたので、撮ってみました。

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今年も花が少ない・・と思って上を見たら。沢山咲いていました。

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花弁のような部分は萼片です。萼片は淡黄白色とありますが、蕾の時は淡緑色を帯びています。

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ハンショウヅルとトリガタハンショウヅルは、萼片が似た形態(半鐘形)をしていますが、シロバナハンショウヅルは広鐘形で、お皿のような感じです。

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どちらも、シロバナハンショウヅルの葉です。苗の時は左のようにスリムで鋸歯が目立ちます。ハンショウヅルとトリガタハンショウヅルは、花形や葉の形が似ています。

キンポウゲ科センニンソウ属シロバナハンショウヅル(Clematis williamsii A.Gray)。タイプ産地は、静岡県下田市。


山野でハンショウヅルの仲間を初めて見た時は、蔓性の草本と思っていました。ところが調べてみると、落葉木本性蔓植物とあります。

林床を探索すると、ハンショウヅルやトリガタハンショウヅルの小さな株を結構見かけます。でも、開花株を見る事は稀です。開花株は林縁で見る事が多いので、日照不足も関係していると思いますが・・。林床に生え絡み付く樹木が傍に無い個体は成長が遅く(蔓があまり伸びず)、なかなか開花に至らないような印象を持っています。

2023年4月19日 (水)

チゴユリとイカリソウ

植物園には、広葉樹優先の保護林があり、地域の自然を残すために、保護林への導入植物の植栽は行わない事になっています。事前の植生調査で、キンラン属やチゴユリ、イカリソウなどが確認されました。

12日に行った時、チゴユリとイカリソウが咲いていたので撮ってみました。

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草丈の短いとても可愛い花です。生育地では、かなりの個体数が確認出来ます。それは、この植物が種子繁殖以外に地下茎で栄養繁殖するからです。ただ、地域で見られる場所は限られています。

イヌサフラン科チゴユリ属チゴユリ(Disporum smilacinum A.Gray)。旧分類では、ユリ科とされていました。

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複数個体確認してあります。うっかり踏みつけないように名札をつけました。こちらも、見られる場所が少なくなりました。

メギ科イカリソウ属イカリソウ(Epimedium grandiflorum C.Morren var. thunbergianum (Miq.) Nakai)。

ついでに、静岡県に生育しない種ですが、参考までに・・。

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トキワイカリソウです。新潟の友人が、ユキツバキと共に送ってくれました。フォッサマグナ区系に生育する種として、保全区に植えてあります。県内産のイカリソウは、冬に地上部が枯れますが、こちらは常緑です。とは言っても、極寒の時期に雪に覆われる新潟と違い、静岡県では寒風に晒されるため、かなり葉が傷みます。冬を越す葉(根生葉)は、厚く光沢があります。

メギ科イカリソウ属トキワイカリソウ(Epimedium sempervirens Nakai ex F.Maek.)。


NHKの朝ドラ「らんまん」が放送されている関係で、牧野富太郎博士に関する特集番組が多くなりました。ダーウィンが来た!「ようこそ!牧野富太郎の植物らんまんワールド」やNHK趣味の園芸「牧野富太郎 植物への愛」など・・。NHKが本腰を入れると、著名な出演者が名を連ねるだけでなく、バックアップ体制も凄いですね。

趣味の園芸では、ボランティアにも触れていました。高知の牧野植物園や練馬の牧野記念庭園でも、ボランティアが活躍しているそうです。関連した識者の方から、植物園の維持は難しく、ボランティアへの期待も大きいと聞いた事があります。規模は小さいですが、身近なところで富士山こどもの国「花の谷」なども、ボランティアが活躍しています。建設中の植物園も、末永く維持していくために一考の余地があると思っています。

2023年4月18日 (火)

ランヨウアオイ

富士市の西部~富士宮市にかけて、ランヨウアオイが生育しています。沼津市、函南町、伊豆半島でも確認していますが、何故か富士市東部~愛鷹山系西部ではオトメアオイとカンアオイばかりで、ランヨウアオイにはまだ出会った事がありません。

植物園の一角に自生しているランヨウアオイを撮ってみました。カンアオイ属は、葉表の模様が同じ種でも様々です。初めて出会った頃は、別種かと思ってしまいました。

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比較的目立つ亀甲模様です。同じ亀甲模様でも葉の形など変化があります。

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オトメアオイやカンアオイに多く見られる雲紋です。

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こちらは薄い雲紋が見えます。これ以外に、斑点状の白い斑が入るものや無地のものも見受けられます。葉の大きさや葉柄の長さなどは、生育地の環境によってかなり違いがあります。

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花期は、3~5月となっています。葉を捲ると花が咲いていたので撮ってみました。

新しい解析手法で、国内のカンアオイ属に関する分化系統が解明されたそうです。ランヨウアオイは、カギガタアオイ、アマギカンアオイ、タマノカンアオイと同系統との事ですが、花を見るとランヨウアオイだけ萼筒開口部に小板状の突起した襞が見られません。ただ蕾の時はアマギカンアオイに似た感じがします。アマギカンアオイとタマノカンアオイはとても良く似ています。葉はタマノカンアオイの方が薄く感じます。

ウマノスズクサ科カンアオイ属ランヨウアオイ(Asarum blumei Duch.)。

静岡県東部で秋咲きの記録もありますが、私はまだ出会った事がありません。ご存知の方、教えてください。

2023年4月12日 (水)

ヒトリシズカとニリンソウ

地域では、ヒトリシズカの花が終盤を迎える頃、ニリンソウが咲き出します。

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ヒトリシズカとニリンソウの混生です。ニリンソウは、一茎に花を1~3個つけます。土壌栄養の関係なのか、殆ど1個だけの小群落もあります。3個のものは、極稀に見かけます。

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ヒトリシズカの花はとても変わっています。花弁も萼もなく、白いブラシのような部分はオシベの花糸です。その付け根の下側に見える黄色い部分が葯です。花糸の付け根の上側にメシベの柱頭が見えます。

センリョウ科チャラン属ヒトリシズカ(Chloranthus quadrifolius (A.Gray) H.Ohba et S.Akiyama)。中国名は銀線草・・花糸の特徴を表しているのでしょうか?

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ニリンソウの花弁のような部分は萼片で、その形や数に変異の多い植物です。萼片の外側は紫褐色を帯びる事があります。キンポウゲ科の花は、変わり者が多いですね。

キンポウゲ科は有毒種が多い中で、このニリンソウは食用になるそうです。トリカブトなどに似たこの葉を見ると、手が出しにくいですね。

キンポウゲ科イチリンソウ属ニリンソウ(Anemone flaccida F.Schmidt)。


昨日のネットニュースで、横浜市立金沢動物園で希少植物の保護エリアが荒らされ、ほぼ全てが引き抜かれる被害が発生したという記事がありました。園の意向で、同様の被害を防ぐために種名の公表は控えているそうですが、掲載された写真でその植物が何であるか分かりました。

東京都の緑地公園を2~3ヶ所訪れた事があります。そこにも、ある希少植物が保護されていました。来園者が見て楽しめるように一般公開しているわけですが、注意書きなどを見ると中に入って盗掘する輩もいるようです。今回の横浜市立金沢動物園の被害写真を見た時、私の住む地域ならイノシシやシカに荒らされたと思えるような光景でした。盗掘というより悪戯の感が強い印象を受けました。頑丈なフェンスで囲ってしまえば、被害は防げるのかもしれませんが・・。みんなに見て楽しんでもらう事と希少種保護を両立させる事の難しさがここにあります。

2023年4月 9日 (日)

フジキクザクラ二年目の春

地域には、フジザクラと呼ばれるマメザクラが生育しています。通常は下向きに咲く5弁花をつけますが、富士宮市の天子ヶ岳で八重咲の変種が発見され、大石寺のお上人様によってフジキクザクラと命名されました。

一昨年、記載者の先生から子株をいただき裏庭に植えてあります。花が咲き始めたので、撮ってみました。

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蕾の様子です。左の花柱は1本ですが、右には複数の花柱が見えています。

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こちらは、株元から新しく伸びた柔軟な枝を折り曲げて、取り木をするために途中を土に埋めたものです。何故か、この枝だけ早く開花しました。

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この花にも、花柱が複数見えています。母種のマメザクラはほぼいっぺんに花を咲かせますが、このサクラはポツポツ咲きます。また母種よりかなり遅れて咲き出します。

バラ科サクラ属フジキクザクラ(Cerasus incisa (Thunb.) Loisel. var. incisa f. chrysantha H.Ohba)。シノニム:Prunus incisa Thunb. f. plenissima S.Watan.

記載された当時は、西欧や北米に倣ってサクラ類をスモモ属(Prunus)としていましたが、現在はサクラ属(Cerasus)に分類するのが主流となっているため、Ylist標準学名は後者となっています。

大石寺以外では、国指定特別天然記念物「狩宿の下馬桜」で知られる井出家の庭、或いはその西の方に位置する熊久保農村公園内の朝日小滝の近くでも見る事が出来ます。見頃はもう少し先かもしれません。

2023年4月 5日 (水)

ムサシアブミ

山野を歩く機会が少なくなったため、季節の移ろいに取り残されたような感覚になる事があります。地域でも、様々なテンナンショウ属が姿を現し始めています。伊豆半島に生育し開花の早いナガバマムシグサが、葉を展開し子房が膨らみ始めた頃、ムサシアブミの花が咲き始めました。

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少し前まで葉は見えなかったのが、いよいよ姿を現し始めました。丁寧に折り畳まれた傘のようですね。

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こちらには、花が見えています。ムサシアブミは、栄養繁殖が盛んな種だと思います。毎年、親株の横に増えています。

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他のテンナンショウ属に比べて、独特の花形をしています。

サトイモ科テンナンショウ属ムサシアブミ(Arisaema ringens (Thunb.) Schott)。

カンアオイ属にテンナンショウ属、思えば変わった植物に興味を持ち始めたものです。特に、蛇の苦手な私はテンナンショウ属はあまり好きではありませんでした。この2種類の植物は、識別の難しい種が多い事や地域によって生育する種がある程度限定されている事など似たところがあります。

2023年4月 4日 (火)

植物園に多いスミレ

広大な植物園の敷地には、いろいろな植物が生育しています。スミレ属もその一つで、今を盛りと賑わっています。個体数の多い3種を撮ってみました。

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何と言っても圧倒的な個体数を誇るのが、タチツボスミレです。最奥にある広葉樹主体の保全林には、日当りの良い所に上のような光景が広がっています。下の写真の葉を見ると、葉脈が紅紫色なのでタチツボスミレの品種アカフタチツボスミレ( f. variegata Nakai)でしょうか?

スミレ科スミレ属タチツボスミレ(Viola grypoceras A.Gray var. grypoceras)。

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林縁には、エイザンスミレも生育しています。静岡県植物相調査報告書によると、良く似たヒゴスミレは遠州地方の「鳶巣山、秋葉山」に希とあります。栽培品が逸出しても、種子が遠く飛ばされ残り難いようです。県東部に生育するという人もいますが、私はまだ東部で確認した事がありません。

スミレ科スミレ属エイザンスミレ(Viola eizanensis (Makino) Makino)。

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マルバスミレも、各所で見る事が出来ます。最新のYlistによると、ケマルバスミレもマルバスミレに含まれています。

スミレ科スミレ属マルバスミレ(Viola keiskei Miq.)。

この他に、ツボスミレの白花とピンクの花も咲き始めていました。スミレ属を気にして見るようになったのは、植物園の手伝いを始めてからなので、種名は少しずつ覚え始めています。


元職を引退してから、自己都合(の予定)で内職や素人農業などをやっています。「定年を迎えると時間を持て余す」と知人が言っていましたが、決してそんな事は無くやる事は沢山あります。現役時代は、納期や工程に追われる事の多い仕事で「やれる事は出来るだけ早く片付ける」という心構えが必要でした。歳と共にだんだんルーズになり、思い描いていた予定が渋滞するようになって来ました。

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