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2023年3月

2023年3月29日 (水)

シロバナタチツボスミレ

植物園の一角に自生しているシロバナタチツボスミレを撮ってみました。

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まだこれからのようです。思えば、別の場所でも母種より遅く咲いていました。

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一つだけ咲いていました!

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萼片が緑色です。同じくタチツボスミレの白花品種であるオトメスミレ(f. purpurellocalcarata (Makino) Hiyama ex F.Maek.)は、萼片に紫褐色の色素が残ります。また個体毎の濃淡はありますが、距(天狗の鼻)にも紫褐色が出現します。シロバナタチツボスミレは、どちらかというと淡い緑色を帯びます。

また、母種より日陰を好み、全体的に弱々しい印象を受けます。

スミレ科スミレ属シロバナタチツボスミレ(Viola grypoceras A.Gray f. albiflora Makino)。タイプ産地は、高知県高岡郡越知町(おちちょう)の横倉山とあります。


昨日は、植物園で除草、整地、丸太枠組み、クリンソウ他の実生苗植付を行って来ました。そして本日は、一番広い再生畑②の耕運機掛けなどで、足元がふらつくくらい疲れました。帰宅して腰が痛いなんて言うと、労わりの言葉もなく五月蠅がられます。

2023年3月27日 (月)

タカオスミレ(ヒカゲスミレ)

暖かな日が続き、山間の地でもマメザクラやソメイヨシノの花が咲いています。この季節になると、諸先輩のWeb記事などを見てそわそわしていたものですが、最近ではそういう気持ちを持つ事は少なくなりました。

今日は、今年度最後の不法投棄監視パトロールに行ったついでに、少しだけ気になる場所を覗いてみました。

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落葉と似た葉色のスミレ属です。初めて出会った場所では、環境の変化で殆ど見かけなくなってしまいました。でも、この場所ではある程度個体数を見る事が出来ます。

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初期には褐色が目立ちますが、時間の経過とともに褐色は薄れて緑色になっていきます。当初は、スミレ属とは思わず褐色の葉を持つ珍しい植物という認識でした。

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葉裏は、淡緑色(白緑色)です。仕切り線の下に、「葉表の色が葉裏に透けて現れる」とあります。向かって左側の葉脈脇が少し茶褐色に見えますが、ここの個体はどれも微妙です。気にして見なければ淡緑色という表現になります。

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花期はもっと先になりますので、以前撮った写真を掲載します。

スミレ科スミレ属タカオスミレ(Viola yezoensis Maxim. f. discolor (Nakai) Hiyama ex F.Maek.)。中国名は、陰地堇菜・・薄暗く湿り気のある林下に生育する種である事が連想されます。


初めてこの植物を見た頃に図鑑やWeb記事を調べると、葉表が茶褐色で葉裏も茶褐色を帯びる(葉表の色が葉裏に透けて現れる)種がタカオスミレで、葉表だけが茶褐色で、葉裏は淡緑色の種がハグロスミレ(f. sordida Hiyama ex F.Maek.)となっていました。ところが、最新のYlistではハグロスミレはタカオスミレに含まれていますので、タイトルをタカオスミレとしました。

みんなヒカゲスミレで良いじゃないか?なんて思ってしまいます。そういえば、母種のヒカゲスミレって出会った事があったかな?

2023年3月20日 (月)

シロバナヒナスミレ

一昨年の春、未開花株を見てから姿が見えなくなりました。一時期は、数十個体生育していたのですが・・。環境が変わり、絶えてしまったと諦めていました。

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その辺りを覗いてみると、生き残っていました!

他も探そうと思ったのですが、踏みつけてしまう恐れがあるので、この株の写真を撮って止めにしました。

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側弁基部に毛が生えています。図鑑の解説によると、毛のない個体もあるようですが、地域で見る花はどれも毛があるように思います。

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横顔。距は太く短いとありますが、この花は距が少し長い・・。

スミレ科スミレ属シロバナヒナスミレ(Viola tokubuchiana Makino var. takedana (Makino) F.Maek. f. albiflora Hayashi)。タイプ標本は、高尾山で採取されたそうです。


初めてこの花に出会った頃は、まだ植物にそれほど興味を持っておりませんでした。しかも、スミレはどの種も同じに見えていました。

ある知人にシロバナヒナスミレが咲いていたと話すと、間違いではないかと言われました。そこで、大阪のスミレの会に加入しているブログ友に、鑑定をお願いしました。生体標本が届く前に、メールで送った写真を見て会員の間で話題になったそうです。「現物を見るまでもなく、シロバナヒナスミレに間違いありません。」との返信がありました。その後、実生で増やし会の仲間で大切に育てていると連絡がありました。

山野の希少な植物を採取して送るなんて!とお叱りを受けるかもしれません。右も左も分からない頃の事ですので、ご容赦ください。正直な話、昨今でも許可を取ってもらい研究者から依頼されたサンプル採集をする事もあります。いろいろな経験を経て、微力ながら地域の植物保護に目を向けるようになりました。

2023年3月19日 (日)

スズカカンアオイ

この植物と初めて出会ったのは、静岡県西部の森町でした。地域で見るカンアオイ属に比べて葉表に艶(光沢)があります。

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これが、2016年に撮った写真です。ブログ記事のコメントで、スズカカンアオイと教えてもらいました。

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今春、ハルリンドウを見に行った近くで見かけたスズカカンアオイです。撮り方が悪いため反射してしまいました。

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株元を見ると花が咲いていました。スズカカンアオイの花は、萼筒よりも萼裂片が長い特徴があります。

ウマノスズクサ科カンアオイ属スズカカンアオイ(Asarum rigescens F.Maek. var. brachypodion T.Sugaw.)。タイプ標本は、滋賀県坂田郡伊吹町(現米原市)で採取されたとあります。


短い探索経験ですが、スズカカンアオイは静岡県中・西部では広範囲に見る事が出来ます。静岡県植物相調査報告書にも、中部:稀ではない/西部:普通とあります。また、同書には南伊豆の記録もありますが、私はまだ伊豆で出会った事はありません。別の資料(清邦彦/1972)によると、東部の富士宮市でもスズカカンアオイの生育が確認されています。

結構山奥の尾根のようなところにも生育しているため、一瞬カギガタアオイかと思ってしまう事があります。花がついていれば、それで確認出来ますが、慣れてくると葉表の艶や葉の厚み(触診)、そして葉柄に近いところの葉形でも区別出来るようになります。葉の大きさや葉柄の長さなども識別ポイントの一つになりますが、生育地の環境で変化があるため難しいです。

2023年3月15日 (水)

カイコバイモ

14日は、地域で保護したい(してもらいたい)植物の生育地などを見て歩きました。

少し足を延ばして、数年ぶりにカイコバイモの保護区域も覗いてみました。運よく、そこの地主さんと会って、いろいろなお話を聞く事が出来ました。

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この場所は、杭とトラロープで仕切られています。薄暗い上に手持ちズームでは、ピンボケ写真ばかりです。

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ロープ脇にも咲いていました。この花は他に比べて花被片が長く見えます。開き切っていないからかな?

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斜面に生えていたので、コンデジ片手持ちで中を撮ってみました。

ユリ科バイモ属カイコバイモ(Fritillaria kaiensis Naruh.)。
タイプ産地は、山梨県南巨摩郡南部町。アツモリソウやスルガジョウロウホトトギスと同じく、特定第一種国内希少野生動植物種に指定されています。自生株の採取や損傷は原則できませんが、栽培増殖技術が確立されており、許可を受けた農場などでは増殖、販売、譲渡、展示などが可能です。


希少植物の保護対策として、間伐や皆伐による林床の環境変化に対応するなら、適した環境の場所に移植する事も一案です。イノシシやシカなどの被害に対応するなら、電気柵や丈夫なシカ柵(網)の設置などが考えられます。でも、花追い人など希少植物を見たい人もいますので、その事も考えなければなりません。

保護用にロープなどを張ると、ピンポイントで生育地が特定されますが、そのまま置いても情報拡散の凄まじい昨今では、いずれ知れ渡る事になるでしょう。この場所のように一般公開して、官民一体で腰を据えた管理が出来ればそれが一番良いのかもしれません。私有地を公開してくれた地主さんの迷惑にならないように、また出来るだけ負担を掛けないようにする事が大切ですね。

2023年3月10日 (金)

ハルリンドウ(静岡県西部)

ハルリンドウは、静岡県植物相調査報告書によると、中部と西部各所で生育確認されています。東部富士川沿いの小山の記録もありますが、私はまだ東部で出会った事はありません。

西部某所・・そろそろ咲く頃だろうと思い、様子見に行って来ました。

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咲き始めていました!でも、この場所はまだ蕾の個体が多く、一週間ほど早かったようです。

以前、同じ場所で3月下旬に撮った写真を掲載します。

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見事でしょ?

リンドウ科リンドウ属ハルリンドウ(Gentiana thunbergii (G.Don) Griseb. var. thunbergii)。

中国名は、叢生龍膽。叢生(そうせい)とは、群がって生える事、または茎や花茎などが根ぎわから束のように集まって生ずること・・このリンドウの特徴が良く分かります。

2023年3月 9日 (木)

ナガバマムシグサ

数年前の秋、伊豆半島で見慣れない葉のテンナンショウ属に出会いました。果実を採取して撒いたところ、少しだけ発芽して生き残り、昨年初花を咲かせました。

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その時撮ったテンナンショウ属です。富士市域で見る種よりずっと細い葉が印象的でした。周辺を探索すると、同様に葉の細い個体ばかりでした。

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このテンナンショウ属には、もう一つ気になる特徴がありました。写真は本日撮ったものです。地域で真っ先に姿を現すのは、スルガテンナンショウです。ところがこちらはもっと早く姿を現します。

※静岡県西部では、スルガテンナンショウのメス花が咲き始めたところもありますが、東部の富士市域ではまだ地上部に姿を現しておりません。

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そして昨年、こんな花を咲かせました。

テンナンショウ属の識別は難しく、一般的な図鑑に掲載されていない種がたくさんあります。私は、富士市域に生育するテンナンショウ属の訪花昆虫調査を手伝った縁で、専門家の方と知り合う事が出来ました。

「伊豆半島に生育し、葉が細く出芽時期がかなり早い」と書いて関連写真を送ったところ、ナガバマムシグサと教えていただきました。タイプ産地は、伊豆天城とあります。

サトイモ科テンナンショウ属ナガバマムシグサ(Arisaema undulatifolium Nakai subsp. undulatifolium)。

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