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2023年2月

2023年2月23日 (木)

ヒメフタバラン(富士市)

私の住む静岡県東部で生育確認したフタバラン類は、アオフタバラン、タカネフタバラン、ミヤマフタバラン、コフタバラン、そしてヒメフタバランがあります。その中で、アオフタバランとヒメフタバランは同じくらいの高度で確認しています。

数年前の5月連休、花も終盤を迎えつつあるフタバラン類を、富士市域のスギ林で見付けました。「今頃咲くフタバラン?」初めての出会いでもあり、その種名も分かりませんでした。後日、高知の先輩のブログを見て、それがヒメフタバランである事を知りました。

富士市某所・・。

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ヒメフタバランが目覚めていました。標準的な葉の個体です。フタバランの仲間は、地下茎で栄養繁殖します。下の小さな葉の個体が、実生苗なのか栄養繁殖によるものなのかは分かりません。このまま、子孫を増やし続けてくれると嬉しいのですが・・。

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こちらは斑が入っています。富士市域では、ここでしか出会っておりません。

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冒頭の蕾をつけた個体を接写してみました。地域で、春咲くラン科植物の中でも一番早いと思います。

ラン科サカネラン属ヒメフタバラン(Neottia japonica (Blume) Szlach.)。葉の形態などにより、幾つかの品種が記載されています。


静岡県植物相調査報告書(1983年)によると、県東部の生育確認地として「御殿場。ごく稀。」とあります。私は富士市域の極狭い範囲ででこの植物と出会いました。その後、周辺の林内を探索して歩きましたが、他の場所では出会えずにいました。その場所は、標準タイプばかりでした。そして、新たに発見した場所で斑入り葉の個体と出会う事が出来ました。現時点で、3ヶ所に生育地を見付けましたが、何れも個体数は少なく間伐などにより姿を消してしまう恐れがあります。

静岡県西部には、ヒメフタバランの大群落があります。どうして県東部では極狭い範囲にしか生えていないのでしょう?富士市域で発見した生育地や御殿場市に記録がある事を考えると、気温の関係ではないと思えます。そういえば、アオフタバランも同様に、富士市域では小群落しか見ておりません。

2023年2月21日 (火)

セリバオウレン(富士市)

セリバオウレン・・昨年は、この植物に関わる機会が幾度かありました。富士市域で間伐作業を知り、一部を緊急避難しました。その間伐業者さんには、新たな生育地も教えてもらいました。更に、テンナンショウ属の調査に行った富士宮市某所でも、群落と出会いました。

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緊急避難場所へ様子見に行くと、咲き始めていました!

この植物の花は、個体毎にオシベとメシベ(子房)の数が様々です。図鑑により、いろいろな解説がされていますが、平凡社の図鑑にオウレン属は「花は両性、ときに単性」とあります。

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オシベのみでメシベの無いオス花です。スプーンのような短い部分が花弁で、その外側の長い部分が萼片です。キンポウゲ科の花は変り者が多いですね。

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ちょっと分かり難いですが、こちらはメシベが1個だけあります。

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もっとメシベの多い花です。

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ここで一番メシベの多かった花です。

以前、オシベが退化して腺毛のようになった花を見た事がありますが、この日は見かけませんでした。

キンポウゲ科オウレン属セリバオウレン(Coptis japonica (Thunb.) Makino var. major (Miq.) Satake)。 学名にjaponica・・オウレンの変種で、日本固有種なんですね。


昨日は、植物園で枯れ木・枝の片付けの後、唐鍬で除草作業を行いました。そして今日は、同じく唐鍬で再生畑の未耕作エリアの除草作業をやって来ました。これが、立ったまま除草作業などが出来てとても便利なのですが、結構腰に来ます。年寄歩きで帰宅したら、嫁さんに笑われました。

納屋を片付けていて、この唐鍬(とうぐわ)を見付けました。両親は「トンガ」と呼んでいました。正式な名称は何だろうと調べたら「唐鍬」でした。他にもいろいろな道具が出て来ました。祖父の代から使われていた道具類は、今でも役立つものがいろいろあります。時間のある時に手入れして整理しています。刃物砥ぎやノコギリの目立てなど慣れない作業ですが、少しずつ進歩はしていると思います。

※写真をクリックすると、中央に元サイズでポップアップ表示するのを忘れてしまいましたので、class="mb"を追記しました。

2023年2月10日 (金)

庭木の着生植物

民家の庭木にも、いろいろな植物が着生しています。先生宅の庭木で気になった着生植物を撮ってみました。自然に着生したものなので、こちらのブログに掲載します。

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昨年、私が発見したクモランです。思い起こせば、家の近くの梅林でも沢山のクモランを見付けました。探し求めるとなかなか出会えないのに、期待しないで何気なく覗いた場所で出会う事が多いです。

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先生が発見したシダ植物のマツバランです。下のカヤランと同じキンモクセイに着生していました。寒さで地上部が枯れていました。地下茎は生きていて、暖かくなると伸びてくるのだろうか?

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キンモクセイの樹幹には、数えきれないほどのカヤランが着生していました。この場所で出会う前は、キンモクセイがカヤランの宿主になるとは思いもしませんでした。帰宅して調べて見たら、家のキンモクセイにも少し着生していました。相性が良いようです。

地域の学生さん達に付き合って、民家の庭木に生える着生植物を調べて回りました。その結果、予想外に多くの着生ランと出会う事が出来ました。身近な場所の植物探索も面白いものです。


◇◇お知らせ◇◇

2月25日(土)~26日(日)の9時~17時、富士市中央図書館分館市民ギャラリーにて、従弟がデジタルアート展を開催します。以前、タブレットで見させてもらいましたが、どれも素晴らしい作品でした。興味のある方は、是非お出かけください。

富士市中央図書館分館のふじタウンマップ

※富士市のWebページにある分館市民ギャラリーの2月分催事予定は、26日(土)~27日(日)となっており、間違っていますのでご注意ください。

2023年2月 1日 (水)

林道脇のヒカゲノカズラ

昨日は、畑作業の後に1月分2回目の不法投棄監視パトロールに行って来ました。

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彼方に見える愛鷹山系呼子岳には、雪が残っていました。

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林道沿いのハイゴケは雪に覆われていました。車を降りると、肌を刺すような寒さでした。

そして、この辺りではヒカゲノカズラを所々で見かけます。この植物を、幼い頃から気に入っていますので撮ってみました。

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ヒカゲノカズラは、低山から亜高山帯まで広範囲に見る事が出来ます。

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以前撮ったヒカゲノカズラの胞子嚢穂です。

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こちらは、富士山南面で撮ったアスヒカズラです。広範囲に生育するヒカゲノカズラと違い、富士山南面では亜高山帯に生育しています。

葉の形態は異なりますが、胞子嚢穂の形態は良く似ています。その下の長く伸びた花柄のような部分を総梗(そうこう)と呼びます。

ヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属ヒカゲノカズラ(Lycopodium clavatum L. var. nipponicum Nakai)。中国名は、日本石松。タイプ標本は、長野県の浅間山で採取されたそうです。

ヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属アスヒカズラ(Lycopodium complanatum L.)。中国名は、扁枝石松。ヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属は、中国表記では石松科石松属となります。


ついでに・・。

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こちらは、東海大学自然史博物館で見たフウインボク(Sigillaria)の化石です。石炭紀に栄えたシダ植物で、ヒカゲノカズラ科が近縁とありました。ただ、高さが20~30mもあったそうですから、シダ植物というより樹木のようですね。このように大きなシダ植物は木生シダと呼ばれ、石炭の元になったそうです。


幼い頃、近くの山林でヒカゲノカズラを見付けました。名前も知らないこの植物が何故か気に入り、庭に植えて置きましたがいつの間にか枯れてしまいました。近所の植物好きのおじさんも「何度か植えてみたが、上手く育たない」と言っていました。

その記憶があったので、昨年春頃に少しだけ採取して試験的に植物園の一角に植えてみました。10ヶ月近く経過しても、まだ枯れずにいます。実は、同じヒカゲノカズラ科のスギランの落ち枝を挿しておいたところ、無事発根して6年目に胞子嚢を宿しました。挿木で発根する事は知りませんでしたが、花瓶に挿すような感覚でチョウチンゴケを植えた鉢に挿して置いたのです。もしかしたら、ヒカゲノカズラも挿木で発根するかもしれません。

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