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2022年12月

2022年12月29日 (木)

12月下旬のナチシダ

不法投棄監視パトロールのついでに、前回見付けたナチシダの様子を見て来ました。県東部で初めて見たナチシダは、冬に葉が萎れていました。この場所は、そこより高い高度にあります。

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林道沿いにも点在していました。やはり葉が萎れかけていました。

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こちらも・・。

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この状態から復活するのだろうか?Wikipediaによると「常緑性だが分布域の北限近くでは冬に地上部が枯れる」とあります。やはり萎れた葉は枯れてしまうようです。

イノモトソウ科イノモトソウ属ナチシダ(Pteris wallichiana J.Agardh)。

ついでに・・。

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このオオバノイノモトソウによく似た綺麗な斑のシダ植物は、マツザカシダだと思います。

イノモトソウ科イノモトソウ属マツザカシダ(Pteris nipponica W.C.Shieh)。Ylist標準和名はマツカシダ、別名マツカシダとなっています。


先生から、ナチシダの北限自生地が静岡県にあると伺いました。その場所は静岡県賀茂郡河津町梨本大畑で、1953年に国指定の天然記念物に指定されています。当時は北限だったのかもしれませんが、温暖化の影響なのか更に北へ生育地を広げつつあるようです。

以前も触れましたが、手元にある細倉先生らによる1,990年頃の富士市域の調査リストにナチシダは掲載されておりません。ところが、ここ数年富士市西部と東部で100個体を超すような生育地を確認しています。伊豆天城で初めて出会った大形のシダ植物は、富士市域でも珍しい存在では無くなりつつあります。

2022年12月26日 (月)

凍てつくシシガシラ

12月2回目の不法投棄監視パトロールに行って来ました。

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林道の寒さは半端ではなく、車から降りて少し歩くと指先が痛く感じました。

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この林道脇の法面には、シダ植物のシシガシラが見られます。個体数を多く見られる種ですが、何処にでも見られるわけではなく、地域の生育場所はある程度限定されているように思います。

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真ん中に立ちあがっているのは胞子葉です。良く似たオサシダの胞子葉が基部に向けて徐々に小さくなるのに対して、こちらは急に小さくなっています。

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胞子葉の上部両面を接写してみました。

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法面でなく側溝脇の個体は霜に覆われていました。殆どの栄養葉が、変色して枯れているようでした。同じ種でも、生育地の環境によって厳しい生き方を強いられているようです。

シシガシラ科シシガシラ属シシガシラ(Struthiopteris niponica (Kunze) Nakai)。 大場先生の植物分類表によると、Blechnum(ブレクヌム/ヒリュウシダ属)にStruthiopterisも包含(incl.)されているとありますが、Ylistの標準学名に倣いました。


以前、興味深い論文を見付けました。それはシダ植物に含まれる重金属(比重が4以上の金属)を調べたものでした。土壌中の重金属濃度が高い場所でも、元気に育っている植物があるそうです。ある地域のシシガシラから鉛や亜鉛が検出されたそうで、こういう植物を重金属蓄積植物と呼ぶそうです。蓄積される重金属は植物によって異なり、各々の指標植物とされています。一番気になる金は、ヤブムラサキに蓄積されるとあります。ヤブムラサキを見る目が変わりますね。

2022年12月25日 (日)

オニノヤガラ収穫の記事

オニノヤガラは、菌従属栄養植物・・腐生ランです。稀ではありますが、富士市域でも出会う事があります。本日のWebニュースに「オニノヤガラが収穫期」というタイトルで新華社通信(中華人民共和国の国営通信社)の記事が掲載されていました。

以前撮ったオニノヤガラの花を掲載します。

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高度1,000mを超すウラジロモミの林で・・。

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我が家から最短のヒノキ林で・・。

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ウラジロモミ林とヒノキ林の花を接写してみました。

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花被片は筒状になっています。唇弁の縁は細裂し髭のような感じですね。

記事がどのくらいの期間残るのか分かりませんが、「オニノヤガラが収穫期」と検索すると、幾つかヒットすると思いますので、塊茎の様子などはそちらで見てください。

ラン科オニノヤガラ属オニノヤガラ(Gastrodia elata Blume)。中国名は、天麻 (高赤箭)・・漢方薬として、めまいや頭痛、リュウマチなどに効果があるそうです。

尚、You Tubeは下記のURLで見られます。

オニノヤガラの収穫 You Tube


この腐生ランは、種子発芽時と生育時で共生菌が異なるそうです。同じくオニノヤガラ属のヤツシロラン類実生栽培の師匠は、オニノヤガラの発芽に成功しています。私も以前種子をいただいたのですが、共生菌が合わなかったのか失敗に終わりました。

中国では、オニノヤガラの栽培法が確立されていて、2種類の菌や種子・苗などが売られているそうです。種子が手に入ったら、再挑戦してみたいものです。富士山南麓では、シカの食害により種子が熟すまで残るものが殆ど見られません。掲載した写真の場所を見に行ったのですが、残念ながら姿を消していました。

オニノヤガラやキバナノショウキランは、翌年全く同じ場所に姿を見せない事から、花を咲かせるとその個体の塊茎は枯れてしまうのではないかと思っています。

2022年12月18日 (日)

マツバラン

ラン科植物以外でも、〇〇ランと名の付く植物がいろいろあります。シダ植物のマツバランもその一つです。

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クンシランの鉢にマツバランが生えて来ました。我が家で栽培しておらず自然に生えて来たものなので、本ブログに掲載します。

富士市域でもマツバランは見られますが、街中で見る事が多く我が家のような山間の地で見る事は稀です。どこから胞子が飛んできたのだろうか?

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マツバランは樹上に着生したものを良く見かけます。これは、街中にある中学校の校庭で撮りました。黄色い粒のようなものは熟した胞子嚢群です。

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地上に生える事もあります。静岡市の鎮守の森で撮りました。

「茎だけで葉を持たない」とありますが、根も無く上の写真の地中には地下茎が伸びているそうです。地下茎には菌類が共生しているそうで、ラン科植物のようですね。深山に生えるヒメハナワラビやミヤマハナワラビも、菌類と共生していると聞きました。彼方此方に生えてくるシダ植物もあれば、難しい生き方をしている種もあるようです。

マツバラン科マツバラン属マツバラン(Psilotum nudum (L.) P.Beauv.)。中国名は「松葉蕨」・・シダ植物だし、ランよりは良いかな?

2022年12月13日 (火)

フユイチゴ

雨が上がったので、萌の散歩道を歩いてみました。

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ここは、今では希少となった落葉広葉樹林です。地主さんにお願いして、植物観察目的での立ち入りやセンサーカメラの設置、そしてコナラなどの実生苗が育ちやすいように、ササ刈りをさせてもらう許可を得てあります。

林縁には・・。

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フユイチゴが、食べ頃の果実をつけていました。丈夫な茎が地上を這う匍匐性の常緑低木です。草本かと思っていたのですが、木本なんですね。トチオトメのように花托が発達したオランダイチゴ属ではなくてキイチゴ属です。

茎には毛が密生し、棘も生えています。素手で引き抜こうとすると痛い目に遭います。

よく似た種にミヤマフユイチゴがあります。県内各所で生育確認されているようですが、私の探索範囲では出会う事は稀です。

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カンアオイ属の調査に行った伊豆天城で出会ったミヤマフユイチゴです。フユイチゴと違い、葉の先端が尖っています。

バラ科キイチゴ属フユイチゴ(Rubus buergeri Miq.)。

バラ科キイチゴ属ミヤマフユイチゴ(Rubus hakonensis Franch. et Sav.)。


萌が旅立って一月半ほど経ちました。散歩道を歩くと寂しさが増してくるというよりは、瞼に浮かぶ萌の姿がより鮮明になります。十五年間一緒に歩いた散歩道を、これからも歩こうと思い時々草刈りをしています。

2022年12月 4日 (日)

不法投棄監視パトロールで出会った植物(11月下旬)

不法投棄監視パトロールは、林道中心で行っています。途中気になった植物を撮ってみました。最近は、研究者の依頼を受けて行う調査を除けば、パトロールのついでに行う植物観察が主となってしまいました。

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リュウノウギクとリンドウの花が咲き残っていました。

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ツルリンドウの果実です。この山系では、各所で見かけます。小さな果実ですが、暖色系の果実はとても目につきます。

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こちらは、テンナンショウ属の果実です。エリアからしてスルガテンナンショウだと思います。テンナンショウ属はイノシシの被害に遭わないという人もいますが、この林道沿いでは芋を掘られたテンナンショウ属を何個体か見かけました。

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ヒカゲノカズラとヤクシマヒメアリドオシランです。新たな場所を探索するごとに、ヤクシマヒメアリドオシランの生育地を発見しています。自身の探索範囲におけるラン科植物では、このヤクシマヒメアリドオシランが圧倒的な個体数を誇ります。急速に拡大しているという印象を持っています。

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これはイケマ属だと思います。変種で花弁の反り返らないタンザワイケマが記載されていますが、現時点ではこれがそうなのか分かりません。富士山では良く見かけますが、この周辺でイケマ属に出会うのは稀です。

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