冬を迎えるコイチヨウラン
11月になると、富士山五合目に通じる静岡県側の三つのルートが、順次通行止め(冬季閉鎖)になります。
確認したい事があって、滑り込みで亜高山帯の針葉樹林へ行って来ました。
倒木にトウヒが並んで生えていました。針葉樹の香りが心地良い林内でした。
確認したかったのはこの植物・・コイチヨウランです。とても小さな葉の植物なので、生育場所を知っていても、再会するにはその辺りをうろつかなければなりません。
同じ環境に生育する一枚葉のイチヨウランは、秋に葉の更新があります。今年活躍した葉と来年活躍する葉の両方が見られる時期があります。
コイチヨウランはどうなのか確認したかったのですが、今回は分かりませんでした。ただ、フタバラン類のように冬に地上部が枯れるのではなく、葉をつけたまま厳しい深山の冬を迎える事は分かりました。
針葉樹の樹皮を取り除くと、小さな苗が姿を現しました。細かい毛(根毛)が沢山生えています。根毛は、根の表面積を増やして、水分や養分の吸収率を高める働きをするそうです。針葉樹林に生育する野生ランの多くは、根が地中深くに伸びるのではなく、地上に堆積した落ち葉の中に伸びているという印象を持っています。落ち葉の中に潜む菌類から養分をもらうためでしょうか?
この場所で花を確認したかったのですが、マイカー規制時の届け出が面倒で今年は断念しました。ここでは、何ヶ所かに小集団があり、一度は開花時期に訪れたいと思っています。
ラン科コイチヨウラン属コイチヨウラン(Ephippianthus schmidtii Rchb.f.)。
静岡県側の富士山国有林は、数年前からエリアを決めての有害鳥獣駆除ではなく、全域を対象に駆除作業が行われています。
各所に、このような啓発看板が取り付けられています。「許可者以外は立入禁止」とあります。実は、11月31日まである許可を取ってもらってあります。その付帯事項として「また、本年度も富士山においては、有害鳥獣捕獲事業を実施しております。もちろん、富士山スカイライン沿線付近では猟銃は使用致しませんが、もし銃声が聞こえた場合は、林内奥への進入は御控え願います。」とあります。場所によっては、ライブカメラで監視している所もあるようです。入林される方は、くれぐれもご用心!
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