キリシマギンリョウソウ(静岡県)
キリシマギンリョウソウの記載論文とリリース資料が、発表前(11月17日)に研究者から送られて来ました。新聞は11月30日の朝刊解禁、そして放送・Webは0時解禁となりますので、本ブログに掲載いたします。
2020年版の静岡県植物目録には、ベニバナギンリョウソウ(Monotropastrum humile (D.Don) H.Hara f. roseum (Honda) Yonek.)が掲載されています。地域の識者の間では、それが二段目以降の写真に掲載したタイプとして認識されていると思います。
ところが、ベニバナギンリョウソウは、新潟県で採取されたタイプ標本を元に品種記載されたもので、上の写真のようなギンリョウソウの(子房部がピンク色の)色変わり品だそうです(研究者により、タイプ標本がこの形態である事が確認されています)。
ツツジ科ギンリョウソウ属ベニバナギンリョウソウ(Monotropastrum humile (D.Don) H.Hara f. roseum (Honda) Yonek.)。
そして、こちらは静岡県某所で撮影したギンリョウソウ属です。
上のギンリョウソウとは形態が異なっています。また、この近くに生育している一般的に見られるギンリョウソウは、既に子房が膨らみ始めていました。
世間では、このように花被片まで赤味を帯びる個体が、ベニバナギンリョウソウと呼ばれており、Webでベニバナギンリョウソウを検索すると、このタイプの画像が表示されます。
ところが、品種記載されたギンリョウソウの色変わりであるベニバナギンリョウソウ(最上段の写真)とは、花期が異なる事、地上部だけでなく地下の形態も異なる事、菌根菌が異なる事、そして新しい解析手法により遺伝的にも区別出来る事が分かったため、このタイプを別種として記載したそうです。
タイプ標本は、鹿児島県霧島市で採取されましたが、研究者の調査ネットワークで四国、近畿、中部地方にも分布している事が分かったそうです。静岡県でも生育が確認された事から、このブログに掲載しました。
ツツジ科ギンリョウソウ属キリシマギンリョウソウ(Monotropastrum kirishimense)。
※静岡県内で、このタイプのギンリョウソウ属を見かけた方、情報をいただけると有り難いです。いただいた位置情報などは、研究者以外へ提供する事はありません。
連絡先アドレス:yamabudou@hotmail.com
詳しくは、下記Webページをご覧ください。
« 静岡県東部のナチシダ | トップページ | 不法投棄監視パトロールで出会った植物(11月下旬) »
「菌従属栄養植物」カテゴリの記事
- やっと見つけたクロヤツシロラン(2024.10.03)
- 今年も遅いアキザキヤツシロラン(2024.10.01)
- 予想以上に遅れたアキザキヤツシロラン(2023.10.12)
- ヤツシロラン類の生育地で見たキノコ(2023.10.03)
- アキザキヤツシロラン別の自生地(2023.09.28)
キリシマギンの件、ツイッタ-で本日発表されたのを確認しました。
画像撮影は御名になっていますね。だったら大変に喜ばしいと思い
ますね。最近先生と一緒に研究されていたようでしたのです。
24年前に確認されたものが本日新種として確認されたともありますね。
この世界も早いもの勝ちですから良かったですね。大変綺麗な個体です。
ただそちら此方と大勢がからんでいますね。本家本元が疎かにならないよう
祈ってますです。この辺が気にくわない処ですね。
投稿: kikirakin | 2022年11月30日 (水) 16時51分
kikirakin様
今晩は。
コメントありがとうございました。
写真を使って貰えて嬉しかったです。
微力ながらお手伝いした甲斐がありました。
一時期は、普通のギンリョウソウの果実を追い続けた事もあります。
それは別の論文のためでした。
サンプルなどが役に立たない事もありますが、こうして成果に結びつくと本当に嬉しいです。
もう一つ期待している種があります。
記載に結びついてほしいと願っています。
投稿: やまぶどう | 2022年11月30日 (水) 18時02分