カギガタアオイ三度
昨日は、静岡県北東限と思われるカギガタアオイの生育地へ行って来ました。この場所への訪問は、これが三度目です。気温が低い上に、風が強くて寒かった!
現地を訪れ、今春に確認した時に比べて個体数の少ないのが気になりました。
ありました!なんか変・・葉柄が見えていない。どうも、大雨により土砂が流れて埋まってしまったようです。個体数が少ないと感じたのは、そのためだと思います。
右はヒメカンアオイのような葉ですが、どちらもカギガタアオイです。本葉が展開して間もない苗の内は、右のような葉をつけます。
これからと思っていた花が咲いていました。開花からある程度時間が経過しているようで、蕾の個体が見られませんでした。厳しい環境の尾根に生育するため急ぎ足なのかもしれません。
こちらの株元には、実生苗が生えていました。ここでは、実生苗を見る事が多いです。
カギガタアオイは「尾根に生育する事が多い」と聞いていました。確かにこの場所は急峻な尾根の上です。更に「北面に生育する事が多い」と聞いて、前回見なかった場所を覗くと結構生えていました。
花の中を覗いてみました。花柱の先端が鈎形に曲がっているのが分かります。萼筒内部の隆起線も重要な識別ポイントだそうですが、本数に範囲があり種によっては不明瞭なものもあって私には難しいです。
ウマノスズクサ科カンアオイ属カギガタアオイ(Asarum curvistigma F.Maek.)。
ところで・・。
この個体・・萼裂片が短い上に正面顔がカンアオイ(カントウカンアオイ)のように見えます。見つかったのはこの一個体だけです。ただ、地域に生育するカンアオイで、このような葉表の模様は見た事がありません。サンプル採取して、専門家の方に鑑定をお願いしました。
この生育地はとても道が狭く、行く度「もう来る事は無いだろう」と思っていました。この日は、依頼を受けて専門家の方を案内しました。カンアオイ属に目を向けるようになってまだ2~3年の初心者ですが、専門的に研究されている方と話す機会が得られたのは、とても嬉しい事です。探索を続けて来て疑問に思っていた事を、まとめて聞いてみました。とても勉強になり、カンアオイ属に対する関心が更に深まりました。
植物園の先生にも会って頂こうと思っていたのですが、次の訪問地へ向かうため時間が取れませんでした。一気に何ヶ所か調査を行うのは、熱意だけでなく体力が無ければ出来ません。研究者は大変ですね。再会を願って、帰路につきました。
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