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2022年6月

2022年6月29日 (水)

タシロラン再び

この季節は、少し畑に行かないでいると雑草が繁茂して唖然とする光景になっています。頭が痛い・・。

畑に行ったついでに、先日掲載したタシロランの様子を見て来ました。

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最初に見たものは花柄子房が膨らみ、中には果皮が裂開して種子を飛散させている個体もありました。開花後3~4日で種子散布するとありますが、確かにそのようです。

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新たに姿を現した個体です。開花と同時に花柄子房が膨らみ始めているように見えます。

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塊茎を掘ってみました。もしかしたら、この腐生ランも花が咲くと枯れてしまうのかもしれません(一回稔性)。

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タシロランの共生菌は、イヌセンボンダケやイタチダケなど(ナヨタケ科/ヒトヨタケの仲間)だそうです。この場所には、伐採したササが敷き詰められています。子実体を探してみましたが、右のタイプしか見当たりませんでした。これは、ホウライタケの仲間でタシロランの共生菌にはならないそうです。


ヤツシロラン類のように実生栽培に挑戦してみようと思い、種子を採取して来ました。イヌセンボンダケを探しに行く時間的余裕が無いので、この畑のササと生育場所の土を採取して実生床の準備をしました。別の実生床として、細かく切った稲わらを堆肥処理すればヒトヨタケの仲間が出現するかもしれません。はたして無事発芽してくれるだろうか?

2022年6月25日 (土)

クモランの赤ちゃん

何時からか、庭の枝垂桜にクモランが着生しています。ところが・・。

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一昨年から様子がおかしく、根の大半が枯れ始めました。水を吸収・貯蔵する機能に秀でた着生根の塊のような植物とはいえ、水枯れが長く続いたせいかもしれません。

そして良く見ると・・。

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コケの中に、緑色の葉のようなものが見えます。初期に姿を現すクモランの葉状体です。葉状体は葉ではなく、胚軸に由来する扁平な器官とあります。

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葉緑素を持ったクモランの根と違い、色が濃く平たい事が分かるでしょうか?これから根が伸び、やがて葉状体は姿を消します。

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トウヒの盆栽に着生したクモランの開花株で、三本の細い花茎が見えています。葉状体はとっくに姿を消し、沢山の根が伸びています。ちょっと不気味ですね。


山間の地に住んでいると、庭木などにカヤラン、ヨウラクラン、クモランなどが着生する事があります。ヨウラクランとクモランに注目すると、ヨウラクランは花数が多い割に結実するものは数えるほどしかありません。でも、彼方此方で実生苗を見る事が出来ます。クモランは、花数は少なく花の寿命が短い割に、結実率の高い野生ランです。自動自家受粉するのかもしれないと思っています。あくまでも素人の見解ですが・・。
本日の記事は、パソコンで作成して置いたものをスマホにより公開します。

2022年6月21日 (火)

タシロラン

再生畑②未耕作エリアの草刈りをしようと思い出かけました。

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昨年、この辺りにタシロランが生えていました。今年はどうだろうか?右側の背の高い植物は、アサギマダラ誘引用のヒヨドリバナです。

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今年も、生えていました!まとまって生えているのではなく、点在して10個体ほど確認出来ました。

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左は、地上部に姿を現して間もないようです。ちょっとシャクジョウソウを思わせます。

右の花は、ペンギンが泳いでいる(飛べないので)姿に見えませんか?

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これから姿を現すものもありました。草刈りは止めて、もう少し様子を見る事にしました。

ラン科トラキチラン属タシロラン(Epipogium roseum (D.Don) Lindl.)。

別名:タカトリラン、リュウキュウムヨウラン。中国名は、虎舌蘭となっています。唇弁が虎の舌に似ているのでしょうか?タイプ産地はネパールとなっていますが、熱帯アフリカ、熱帯アジア、中国大陸や台湾など広範囲に分布しているようです。


タシロランは、もっと暗めの林内などに生育するものとばかり思っていました。初めて出会ったのは、クリの木の下で直射日光の射さない薄暗い場所でした。でも、ここで2年連続見る事が出来たので、こういう環境でも生育する事になります。

木材腐朽菌を栄養源として生活する菌従属栄養植物です。種子が採取出来れば、師匠から教わったヤツシロラン類と同じ方法で開花に至る事が出来るかもしれません。この場所には、伐採した笹が敷き詰められています。木材腐朽菌の餌は、その笹ではないかと思っています。ただ、この野生ランはあっという間に姿を消してしまうので、種子採取のタイミングが難しい植物です。

2022年6月17日 (金)

キツリフネとフジタイゲキ

【キツリフネ】

植物園の保全区には、ツリフネソウの仲間が自生しています。一年草なので、絶えてしまわないようにある程度残して除草しています。花期はもう少し先だろうと思っていたら、フライングしている個体がありました。

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この植物を初めて見たのは、高度1,400mくらいの車道脇でした。標高の高い所に生え、ツリフネソウよりも開花時期が遅いと思っていました。ところが、我が家の近くでも見つかり、逆に同じ標高ならキツリフネの方が早く咲く事を知りました。

ツリフネソウ科ツリフネソウ属キツリフネ(Impatiens noli-tangere L.)。別名のホラガイソウの方がイメージ的に合っていると思います。

【フジタイゲキ】

お客さんから頂いたフジタイゲキ・・植栽なので、権兵衛の種蒔き日記に掲載しようかと思いましたが、県内生育種なのでこちらに掲載します。

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同属のノウルシやナツトウダイは果実が実り休眠を始めたものもありますが、フジタイゲキはまだ花を見る事が出来ます。

トウダイグサ科トウダイグサ属フジタイゲキ(Euphorbia watanabei Makino subsp. watanabei)。

タイプ産地は富士山麓ですが、掛川市でも生育が確認され、市、生育地域、地権者の間で保護地区協定が締結されているそうです。この個体は、ある地域で造成が行われた時の救済株と伺いました。この植物園で、保護・増殖していければと思っています。


昨日は、植物園保全区のシダ植物エリアの地ならしと植栽、周辺の草刈りなどを行って来ました。昼食時の30分以外、休憩なしで行うのでとても疲れました。そして今日は、再生畑の草取りを行い、腰と指が痛くなりました。もう、無理の出来ない歳である事を認識しなければ・・。

2022年6月14日 (火)

亜高山帯で出会った面白い花

調査依頼などが無ければ、山野を歩く機会も少なくなりました。少し前に出会った面白い形態の花を掲載します。

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タケシマランです。以前から気になっていたのですが、左のように分岐枝を出すものとそうでない小形のものがあります。小形で葉の縁に毛があればヒメタケシマランとの事ですが、まだ葉縁の毛を確認しておりません。

ユリ科タケシマラン属タケシマラン(Streptopus streptopoides (Ledeb.) Frye et Rigg subsp. japonicus (Maxim.) Utech et Kawano)。

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ツクバネソウです。面白い形の花でしょ?

シュロソウ科ツクバネソウ属ツクバネソウ(Paris tetraphylla A.Gray)。旧分類体系ではユリ科とされていました。

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こちらは、クルマバツクバネソウです。ツクバネソウは低山から広範囲に生育しますが、クルマバツクバネソウは比較的標高の高いところで見かけます。

シュロソウ科ツクバネソウ属クルマバツクバネソウ(Paris verticillata M.Bieb.)。

久々に訪れた亜高山帯の針葉樹林は、とても新鮮でした。以前は、当たり前のように目にしていた植物が、特別なものに思えて来ます。

2022年6月12日 (日)

セリバオウレンその後

今春、間伐業者さんから、セリバオウレンの新たな生育地が見つかったとの連絡を受けました。業者さんがそれに気付いたのは花期でした。既に間伐用の作業道で分断されていて、一部には伐採した木の枝などが山積みされていました。

とても私の手では片づけられないため、現地でその枝などの撤去をお願いしました。近くに行ったついでに、その後の様子を見て来ました。

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生育場所から移動された枝葉の一部です。重機を使っても、大変だっただろうと思います。

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無事種子が熟したようで、果皮の頂部が開いていました。これで、また生育範囲を広げてくれる事でしょう。

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小さな植物を確認していると、ヤマアカガエルが飛び出して来て驚かされました。


林床の植物を気にしていたら、間伐や皆伐作業は捗りません。それに、セリバオウレンも、興味ある人以外には他と同じ雑草でしかありません。極端な言い方をすれば、自分の畑で農作業をしていたら、その草を取らないでくれと言われたようなものです。

別の場所で、セリバオウレンの保護をお願いした事が切っ掛けで、この場所の情報をくれた上に枝葉の片付けもしてくれました。素人目に見ても、それ相応の工賃がかかっています。申し訳ない気持ちと感謝の気持ちで、セリバオウレンの生育する林床を後にしました。

2022年6月11日 (土)

ミヤマザクラ

ある依頼を受けて、亜高山帯へ行って来ました。目的地の近くに、ミヤマザクラの花が咲いていたので撮ってみました。

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5月下旬には、まだマメザクラ(フジザクラ)が咲き残り、ミヤマザクラは蕾でした。

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上の蕾が、約20日後に見頃をむかえていました。それにしてもオシベが多いですね。35個前後あるそうです。

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総状花序(花柄がある)をつけます。ウワミズザクラなどもそうですが、サクラの仲間もいろいろありますね。

バラ科サクラ属ミヤマザクラ(Cerasus maximowiczii (Rupr.) Kom.)。


葉の基部にある蜜腺の写真を撮りましたが、ピンボケが激しかったので掲載をやめました。蜜腺から出る蜜は何処で作られ、何の目的で葉の基部にあるのでしょう?送粉者誘引のためなら、花に蜜があれば良いと思われます。

あるWebページに興味深い事が書かれていました。「アリを誘引してガの幼虫などを寄せ付けないため」・・アリに蜜を与える代わりに、害虫に葉を食べられないように守ってもらっているわけですね。アリは害虫の卵も食べてくれます。種によって蜜腺の位置が少し違っているのにも、それなりの理由があるのかもしれません。そんな事を考えると、謎解きみたいで面白いです。

2022年6月10日 (金)

アケボノシュスラン?

アマクサシダを観察していたところ、見慣れない植物が生えていました。

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シュスラン属のようですが、初めて見るタイプです。

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日本のランハンドブック①低地・低山編で見ると、アケボノシュスランのようです。花追い人のWebページは開花時期の写真ばかりですが、葉に注目すると良く似ています。

開花時期に再訪して、花を確認出来たらタイトルの?マークを外そうと思います。

2022年6月 9日 (木)

ササユリ

ササユリは、静岡県中西部では比較的出会う事もありますが、東部では出会えるところが少なくなってしまいました。

草刈りで姿を消してしまったと思われていたササユリが、復活して花を咲かせていると聞き様子見に行って来ました。

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思っていたより沢山生えていました。開花株だけでも、30個体くらいありました。

昨年の草刈り後(7月下旬)に訪問した時は、ちょっと似た葉をつけるナルコユリばかりが切られずに残っていましたが、ササユリは見当たりませんでした。他所で見るものより丈が短めなのは、生育期に刈り取られた為かもしれません。とにかく復活してくれてよかった・・。

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ここの個体は、他所に比べて花色の濃いものが多い!

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中には、タカサゴユリを思わせる様な白っぽい花もありました。

ユリ科ユリ属ササユリ(Lilium japonicum Houtt.)。


この日は、個体数確認と茎葉に絡み付いた蔓などを除去して、周りの日照を遮りそうな植物を少しだけ切り詰めて来ました。未開花株でウィルス感染していると思われる個体が、少し見受けられました。それらと盗掘防止策も含めて、積極的な保護・増殖を検討して行く必要があると思います。
【富士の種蒔き権兵衛のコメント】
昨年、ササユリの種子を蒔いてみました。ところが、未だに発芽してくれません。無菌播種ではどうなのか分かりませんが、Wikipediaによると「初めて地上発芽するのは、通常翌々年の春である(地下遅発芽様式)」とあります。翌々年の春に発芽するベニバナヤマシャクヤクに似ていますね。

「ポツンと一軒家」の中で、湿らせたミズゴケの中にササユリの種子を埋め込んでおく方法が一番うまく発芽してくれると言っていましたので、次に種子が入手出来たら試してみるつもりです。ラン科以外でも、気難しい植物がいろいろあります。

2022年6月 8日 (水)

ハモグリバエ(ラン科植物)

ラン科植物の未熟な果実(花柄子房)に卵を産み付け、その幼虫が中の種子を食べてしまうランミモグリバエの被害が全国的に深刻な状況だそうです。

このような被害も、時々見かけます。ハモグリバエによるものと思われます。

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コアツモリソウです。小さな葉なので、侵入されると大きなダメージを受けやすいですね。

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コアツモリソウは群落をつくる事から、フタバラン類と同じく栄養繁殖するのではないかと思っていました。この小さな苗は、栄養繁殖によるものではないでしょうか?

葉や側花弁に食痕があります。虫を探したけど、見つかりませんでした。

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こちらは、クマガイソウの葉です。それにしても、こんな薄い葉に良く潜れるものですね。

キンランの葉などでも、ハモグリバエの侵入しているものを見た事があります。

ラン科植物は、人間も含めていろいろな敵がいるようですね。少しでも助けてやることが出来れば良いのですが・・。希少植物の保護は、とても難しいと思います。

2022年6月 3日 (金)

テンナンショウ属探索(広義:カントウマムシグサ)

地域の識者の間では、カントウマムシグサとされている2種です。

ある草原で・・。

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仏炎苞の色違いですが、地域の識者の間では両方ともカントウマムシグサとされています。特徴的ではありますが、専門家でも同定に困っている種だそうで、現時点では広義のカントウマムシグサとしているそうです。

そしてこちらも・・。

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素人目に見ても、上とは異なった種に見えますが、こちらも広義のカントウマムシグサと教わりました。

サトイモ科テンナンショウ属カントウマムシグサ(Arisaema serratum (Thunb.) Schott)。


勉強させていただいているWebページに、カントウマムシグサの名はありません。掲載した種はマムシグサ節に含まれ、現時点では広義のカントウマムシグサとして扱われているようです。今後の研究が待たれます。交雑もあるそうで、とても、私のような素人に太刀打ち出来る植物ではありませんが、地域の産地毎に教えていただこうと思っています。

2022年6月 1日 (水)

テンナンショウ属探索(イズテンナンショウ)

二ヶ所で撮ったテンナンショウ属です。テンナンショウ属は難しいので、教わるたびにブログ図鑑に記録しておくつもりです。

ある林道脇で・・。

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湿った草原で・・。

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このテンナンショウ属の名前を聞いて驚きました。撮影場所が、和名の由来となった産地ではなかったからです。最近、富士山麓でも確認されているそうです。

サトイモ科テンナンショウ属イズテンナンショウ(Arisaema izuense Nakai )。

現時点のYlistでは、ヤマグチテンナンショウ(Arisaema suwoense Nakai)に含まれるとされています。ただ、山口産に比べて伊豆産の方が小葉が多いそうです。


図鑑では、オオマムシグサの花に似ています。見付けた時、他種に比べて丈の低い印象を受けました。あるWeb図鑑に「花序柄は短く、葉と同じ高さか低い」とあります。また、イズテンナンショウの付属体は、黄白色~紫白色で紫の斑があり、オオマムシグサの付属体は、黄白色か薄緑色となっています。

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