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2022年4月

2022年4月30日 (土)

ウワミズザクラ

4月、二回目の不法投棄監視パトロールに行って来ました。もう終わりかと思っていた、ウワミズザクラの花が咲いていました。

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高度500mくらいでしょうか?雨が降って来てしまいました。

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こちらは、高度300m付近で撮りました。一部花が変色し始めていました。花序枝に葉がついている事から、良く似たイヌザクラと識別出来ます。

以前、晴天時に高倍率のコンデジで撮った写真も掲載します。

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地域では結構見かけますが、これがサクラの仲間だと言っても信じない人の方が多いかも?似た環境に咲くマメザクラやヤマザクラと違い、花期でもあまり目立ちません。

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果実です。樹下には、驚くほど沢山の苗を見る事があります。でも、成長するものはホンの一部だけで、暫くすると殆ど姿を消してしまいます。

バラ科ウワミズサクラ属ウワミズザクラ(Padus grayana (Maxim.) C.K.Schneid.)。

サクラ属(Prunus)とされていましたが、最新のYlistでは、ウワミズザクラ属(Padus)を標準としています。

2022年4月26日 (火)

チゴユリとイカリソウ

植物園の保護林に、チゴユリとイカリソウの花が咲いていたので撮ってみました。

【チゴユリ】

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一般的には一茎一花ですが、稀に一茎二花もあります。シカ柵の外に咲いていたので、接写出来ませんでした。

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俯いて咲くので、少し顔を上げてもらいました。

イヌサフラン科チゴユリ属チゴユリ(Disporum smilacinum A.Gray)。

旧分類体系では、ユリ科とされていました。種子繁殖以外に地下茎で栄養繁殖しますが、冬に親株の地上部が枯れてしまうため、翌春はクローンだけが姿を現すそうです。

【イカリソウ】

保護林の植生調査の時に、イカリソウを見かけました。その辺りを調べると、複数個体見付ける事が出来ました。

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イカリソウは、面白い形態の花をつけます。

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送粉者か分かりませんが、訪花昆虫がいました。どうやって距の蜜を吸うのか見たいものです。

メギ科イカリソウ属イカリソウ(Epimedium grandiflorum C.Morren var. thunbergianum (Miq.) Nakai)。

日本海側に生育するトキワイカリソウを、ブログ友から送ってもらいました。太平洋側のイカリソウは冬に地上部は枯れますが、トキワイカリソウは常緑だそうです。一緒に送ってもらったユキツバキと共に、植物園の保全区に植えました。

2022年4月23日 (土)

スギ・ヒノキ林で気になった植物

21・22日は、孫くらいの年齢の3人の研究者と一緒に、富士市内のスギ・ヒノキ林に行って来ました。そこで、気になった植物を集めてみました。

【ヒトツボクロ】

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目的は、ヒトツボクロの調査でした。富士市域では点在して生育している事が多く、同じ林内で個体数を見る事の少ない野生ランです。この場所は数百個体が生育しており、稀なエリアだと思います。

【ミヤマウズラ】

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ミヤマウズラが、数個体生育していました。

【ベニシュスラン】

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ベニシュスランも、所々で見る事が出来ました。中には、葉脈紋が暗くシュスランと思えるような個体もありました。

【アオフタバラン】

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アオフタバランも、何ヶ所かで見る事が出来ました。似た種として比較されるタカネフタバランは、もっと標高の高い亜高山帯低域で見られます。雨に濡れていなければ、葉が白っぽいのでタカネフタバランとの識別点になります。

フタバランの仲間は、種子繁殖以外に根茎で栄養繁殖もします。林床の環境が大きく変わらなければ、増えてくれると思います。

ラン科植物としては、これ以外にヤクシマヒメアリドオシラン、トンボソウ、コクランが確認出来ました。

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スミレの仲間は、ナガバノスミレサイシンとエイザンスミレが咲いていました。ヒナスミレもありましたが、花期は終わっていました。


研究者のフィールドワークの手伝いは、とても新鮮で興味深い作業です。昨今では、分析技術や使用機材などが十数年前とは比べようもないくらい進歩しているようです。ますます高度なスキルが要求され、大変な分野だと素人ながらに感じました。

前日の予報では、21日の午後から雨でした。ところが、夕方から早朝にかけてだけ雨が降り、調査の時間帯は天気が良く順調に進みました。遠方からやって来た研究者の目的が、無事達成できてホッとしています。また、彼らと一緒に山野を歩きたいものです。

2022年4月17日 (日)

イラクサとレンプクソウ

植物園の保全区で、除草作業をして来ました。その時見かけた植物を、2種掲載します。

【イラクサ】

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うっかり、素手で抜きとってしまいました。毒虫に刺されたような痛みで、イラクサと気付きました。葉の先端は尖るとありますが、この個体はあまり尖っておりません。

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この細い棘に気付きませんでした。イラクサの葉は対生で、良く似たムカゴイラクサ属(ムカゴイラクサ、ミヤマイラクサ)の葉は互生です。

イラクサ科イラクサ属イラクサ(Urtica thunbergiana Siebold et Zucc.)。

【レンプクソウ】

この植物を初めて見たのは、先生宅の庭でした。地下茎が伸び栄養繁殖するそうで、彼方此方に生えていました。その後、植物園の保全区にも生育している事を知りました。

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花は5個が固まってつくとありますが、頂部の花と側部の花の形態が異なるそうです。次回ちゃんと観察したいと思います。

ガマズミ科レンプクソウ属レンプクソウ(Adoxa moschatellina L.)。旧分類ではレンプクソウ科とされていました。旧スイカズラ科がレンプクソウ科に含められたと書かれたWebページもありますが、最新のYlistに倣いました。

2022年4月13日 (水)

スミレ属2種

今迄、あまり興味を持って見て来なかったため、スミレ属の識別は苦手です。でも、中には気になる種もあります。その内の2種を掲載します。名前が間違っていたら教えてください。

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初めてこの茶色い葉を持つ植物を見た時は、スミレだとは思いませんでした。その後、蕾~花を見てスミレである事が分かりました。

ヒカゲスミレの品種で、葉の表面と裏面が茶褐色なのがタカオスミレ、葉の表面が茶褐色で裏面が淡緑色のものをハグロスミレと呼ぶそうですが、Ylistではタカオスミレにまとめられています。この個体は葉裏が淡緑色なので、ハグロスミレという事になりますが、葉表の色は時間の経過と共に変化します。

スミレ科スミレ属ヒカゲスミレ(Viola yezoensis Maxim.)。

タカオスミレ/ハグロスミレ(Viola yezoensis Maxim. f. discolor (Nakai) Hiyama ex F.Maek.)。

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タチツボスミレの白花品種です。同じく花の白いオトメスミレは時々見かけますが、シロバナタチツボスミレはまだ2ヶ所でしか出会った事がありません。

両者の違いは距と萼に紫の色素のあるのがオトメスミレ、距が白か淡い緑の色素があって萼の緑色のものがシロバナタチツボスミレだと思っています。花は母種より遅れて咲きます。
スミレ科スミレ属シロバナタチツボスミレ(Viola grypoceras A.Gray f. albiflora Makino)。

2022年4月 6日 (水)

静岡県東部のカギガタアオイ再び

静岡県におけるカギガタアオイの主産地は、中・西部です。稀な東部の産地を再訪しました。

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こんな、急勾配の尾根に生育しています。前回もそうですが、林道が極狭い事もあり、もう再訪する事は無いだろうと思いつつ上りました。

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食痕のある葉は、昨年からの古葉です。右の2枚が新葉です。

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こちらは両方とも新葉のようです。昨年、12月下旬に訪問した時に比べて、ずっと葉数(個体数)が多く見られました。過酷な環境に生育するカンアオイ属は、その名に反して冬に葉を落とす事もあり、春になって新葉が姿を現します。

本葉をつけた小さな個体も、沢山見る事が出来ました。実生苗が育っているようで、安心しました。

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こちらにも、子葉をつけた実生苗が生えていました。これは、萎れた萼筒に包まれた種子が、アリなどの種子散布者に運ばれず親株の根元で発芽したものだと思います。

右の写真に、昨年秋に咲いた花が写っています。この花の種子が熟し、発芽してこのような子葉を展開するのは、来年の春になると思われます。

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昨年、初めてカンアオイ属の種子を蒔いて、今年子葉が展開して来ました。その経験が無かったら、これがカンアオイ属の子葉(双葉)だとは思わなかった事でしょう。

ウマノスズクサ科カンアオイ属カギガタアオイ(Asarum curvistigma F.Maek.)。

2022年4月 2日 (土)

ヒメオドリコソウとオランダミミナグサ

畑に耕運機をかけたり、雑草を取ったりしていると、斑入り葉をつけた雑草を目にする事があります。引きこもりのような生活を送っていると、そんな些細な事も嬉しいものです。

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標準タイプのヒメオドリコソウです。

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畑の真ん中あたりに、斑入り葉の個体がありました。そのまま残してあります。花が咲いていましたが、土を除けたら落ちてしまいました。

シソ科オドリコソウ属ヒメオドリコソウ(Lamium purpureum L.)。

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庭の草取りをしていて、斑入り葉のオランダミミナグサを見付けました。こちらは、斑がかなり部分的です。

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こちらも除草対象ですが、そのままにしてあります。

ナデシコ科ミミナグサ属オランダミミナグサ(Cerastium glomeratum Thuill.)。


斑入り葉の出来る原因を調べてみましたが、私にはとても難しく直ぐに挫折しました。斑入りが実生で引き継がれるものと、そうでないものがあると思います。白い部分は葉緑体が無いため、光エネルギーを受け→化学エネルギーに変え→二酸化炭素から糖分を合成する事が出来ないそうです。そのため、白い斑の多い個体は通常タイプに比べて小型です。アルビノの個体になると、一部のラン科植物や通常葉を持つ枝茎と根茎で繋がっている場合などを除いて、やがて枯れてしまいます。

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