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2022年2月

2022年2月19日 (土)

カンアオイ属調査(カギガタアオイ)

先生に案内していただき、新たな場所のカンアオイ属を見に行って来ました。

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バラに悩まされながら左の様な急峻な斜面を登り、右の高台につきました。途中では見当たらず、この一番高い所だけに生えていました。一人で行く事は決して無いと思えるような場所でした。

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静岡県内でこの葉を見れば、カギガタアオイだろうと思えるようになりました。葉の艶、葉脈の様子、厚さ、葉柄などから判断して・・。ただ、他県で出会った場合はそうはいきません。

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こちらは、丸みのある小さな葉の個体です。写真中央上の花が分かるでしょうか?この花の開口部周辺に、白い襞が見えています。アマギカンアオイやタマノカンアオイと似た特徴です。この部分と生育地からもカギガタアオイであると判断出来ます。

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念のため、別の個体の花芯を撮ってみました。横顔ではないので分かり難いですが、花柱の先端が外側に向き鍵のようになっています。

ウマノスズクサ科カンアオイ属カギガタアオイ(Asarum curvistigma F.Maek.)。


最近の記事では、同種のカンアオイ属が幾度か登場します。でも、各々生育地が異なっています。カンアオイ属に注目するようになってからまだ日は浅いのですが、同種でも生育地によって違いのある事に気付きました。

この場所のカギガタアオイは、今まで見てきたものより葉柄が短く、葉も小さな個体ばかりでした。カンアオイ属は種ごとに生育地が限られていますが、同じ県内でも場所によって少しずつ変化が見られます。そういう部分も、この植物の興味深い所です。

2022年2月16日 (水)

セリバオウレンとヒメフタバラン(静岡県東部)

用事があって外出したついでに、セリバオウレンとヒメフタバランの様子を見て来ました。

【セリバオウレン】

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まだ花茎が短く、やっと開き始めたものが多く見受けられました。セリバオウレンは、雌雄異株となっていますが、雄花と雌花その中間型(両性花)があります。この花は両性花のようです。

右の様に、葉を食べられた個体が幾つかありました。シカかと思ったのですが、食痕のあるものが少ない事からウサギかもしれません。セリバオウレンは常緑ですので、緑の少ない時期に目をつけられやすいのかも?

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こちらの花は、かなり開いていました。雄花のようです。全体的に雄花の方が多く、また雌花よりも早く咲く咲くようです。テンナンショウ属も同じですね。

キンポウゲ科オウレン属セリバオウレン(Coptis japonica (Thunb.) Makino var. major (Miq.) Satake)。

【ヒメフタバラン】

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花茎が少し伸びていました。県東部にも、この野生ランの大きな群落が無いか気になっています。

ラン科サカネラン属ヒメフタバラン(Neottia japonica (Blume) Szlach.)。


元職時代やっていた仕事を頼まれました。その一つは、CADによる図面描きです。数年のブランクがあるため、以前のようなスピードで描く事は出来ません。思い出しつつ、手こずりながらやっています。目が痛い・・。

2022年2月14日 (月)

ミヤマシキミ

植物調査に行った林内で、ミヤマシキミの蕾を見付けました。

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ミヤマシキミは雌雄異株です。これらは多分雄株だと思います。雌の花はもっと小さな塊だったと思います。

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果実は赤く熟します。

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スマホのライトを透かして、葉表と葉裏を撮ってみました。無数の星が見えています。この星は油点と呼ばれ、組織の隙間に精油が溜まったもので、ミカン科植物の特徴です。

ミカン科ミヤマシキミ属ミヤマシキミ(Skimmia japonica Thunb. var. japonica)。


枝葉の様子がシキミに似ている事から和名がつけられたそうですが、シキミはマツブサ科で別科となります。どちらも有毒植物ですが、特にシキミの果実は、植物で唯一「毒物及び劇物取締法」で劇物に指定されています。有毒植物の上に、頻繁に農薬散布して栽培する恐ろしいFブランドです。

2022年2月 3日 (木)

オモトとカンアオイ

このところ畑の耕運機がけが続いたので、気分転換にスギ・ヒノキの林内を歩いて来ました。

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凹凸の激しい林で、このような斜面を上り下りしました。

【オモト】

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オモトが生えていました。別の場所には、覆輪タイプも生えていましたが、マニュアルモードに気付かず、ピンボケしてしまいました。この日は、どれもピンボケばかりでした。アルコール切れではありませんよ。

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山野を歩き始めた頃、オモトは全て植栽品の逸出だと思っていました。ところが、学名を見るとRohdea japonicaとなっていて、「東海以西〜九州の暖地の林の中に生える。」とあります。国外では中国にも生育するようです。

クサスギカズラ科オモト属オモト(Rohdea japonica (Thunb.) Roth)。キジカクシ科と思っていたのですが、最新のYlistでクサスギカズラ科となっていました。旧分類体系では、ユリ科とされていました。

【カンアオイ】

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カンアオイとも出会いました。スギ・ヒノキの人工林では、葉が1~2枚位の個体を良く見かけますが、株立ちしたものはあまり見かけません。

初めてカンアオイを見たのは、河川近くの鎮守の森でした。カンアオイは低地に生えるという先入観を持っていました。ところが、地域の分布を調べ始めると、冒頭のような斜面の上で見る事が多く、認識を新たにしました。

ウマノスズクサ科カンアオイ属カンアオイ(Asarum nipponicum F.Maek. var. nipponicum)。


オモトを調べていたら興味深い事が書かれていました。オモトはカタツムリの仲間によって花粉媒介されるそうです。諸説ありますが、カンアオイの花粉媒介者として、キノコバエ、ワラジムシ、ヤスデなどの他に、カタツムリやナメクジも挙げられています。ただ、カタツムリの仲間だとするとかなり小さい種でないと、萼筒の開口部から侵入し難いと思います。1万年で1kmというとてもスローな生育範囲の広がりも含めて、カンアオイ属は興味深いです。

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