2024年10月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
無料ブログはココログ

« 2021年7月 | トップページ | 2021年9月 »

2021年8月

2021年8月27日 (金)

ミヤマウズラ

不法投棄監視パトロールの途中、ミヤマウズラの花が咲いていたので撮ってみました。ミヤマ(深山)の名がつきますが、比較的低山で見る事の多い植物です。

Ap8240095Ap8240082

Ap8240089Ap8240093

ここでは、近くの樹幹にも着生しています。そちらは、今年初花が咲きましたが、花茎しか残っていませんでした。

ミヤマウズラは、ある程度まとまって生えていても、いつの間にか姿を消してしまったり、個体数が減少してしまう事があります。園芸採取が原因ではないと思える事例が、幾つかありました。

Ap8240088

Ap8240086

口を開けたヒナのようでしょ?ラン科植物の花は、何かの顔やアニメのキャラクターのようなものが多くて面白いです。鳥の羽のような部分は、側萼片です。

ラン科シュスラン属ミヤマウズラ(Goodyera schlechtendaliana Rchb.f.)。


ある林道の中央に、木製のバリケードがありました。設置者名は無く、設置理由も記載されておりません。林道とは言え公道ですので、設置者に文句を言ってやろうと、バリケードを除けて進入しました。でも、特に異常もなく誰が設置したのか分かりませんでした。林政課にでも問い合わせてみようと思っています。
富士山こどもの国や造成中の植物園で植栽保護している植物は、「権兵衛の種蒔き日記」に掲載しています。

2021年8月26日 (木)

ナツエビネ

森林の間伐業者さんから連絡があったので、間伐林を見に行って来ました。

Aimg_6256Aimg_6258

久々に会うナツエビネは、二株とも無事でいました。

Ap8240005Ap8240010

反り返った萼片や側花弁が、この花に高貴な印象を与えてくれます。エビネと違い距は無く、サルメンエビネに近い種であるとされています。

Ap8240003_20210826053501Ap8240007_20210826053501

一つのシュートに複数の花序がつくのも、エビネとの違いです。果実が膨らんでいました。無事熟して、種子を飛散させてくれると嬉しいのですが・・。


この場所には、何種類かの希少植物が生育しています。今春、間伐の情報を得て、陳情書を作成し業者さんの所へ打ち合わせに行きました。

間伐業者さんは、地主/森林管理者さんから依頼を受けて作業します。そこに、素人が個人名でお願いに行っても、門前払いされるかもしれません。ところが、この業者さんは、私の願いに耳を傾け、現地も見に来てくれました。そして、今回作業を始めた旨の連絡をくれました。行政関連部署宛の陳情書も作成しましたが、きっと面倒になるだけなので提出は止めました。

請け負った業者さんは、そのエリアだけ間伐しないわけにはいきません。重機の入る作業道の位置選定、間伐する木の選定、枝等を落とさない事や間伐材の運び出し方など、可能な範囲で気を使っていただく事になりました。

ただ、いくら気を使っていただけたとしても、間伐すれば光環境などが変わって来ます。ここの植物が、無事生き残るか分かりません。でも、生き残る可能性は高くなります。

2021年8月21日 (土)

イヌショウマ

植物園保全区の様子を見て来ました。私に分かる範囲で、既存植物のリストを作成してありますが、行く度新たな種に気付き追記しています。

Aimg_6174

この林床は、地表処理をして、ある植物の保全区とする予定です。人力では、片づけきれないので、重機班が空くのを待っています。

近づいて見ると・・。

Aimg_6142_20210821164501Aimg_6144_20210821164501

イヌショウマの蕾が見られました。地域では、良く似たサラシナショウマよりも早く咲き、小花に花柄が無い事で識別出来ます。

Aimg_6146

Aimg_6148

咲き始めた個体もありました。次回行った時には、見頃になっているかもしれません。

小型のハナアブと、ジャノメチョウの仲間が訪花していました。後翅裏の蛇の目紋が5個ありますから、ヒメウラナミジャノメでしょうか?

キンポウゲ科サラシナショウマ属イヌショウマ(Cimicifuga biternata (Siebold et Zucc.) Miq.)。


日曜は雨予報のため、富士山こどもの国「花の谷」の草刈りは延期になりました。ミツガシワなどの葉に、光を当ててやるためなので、早めに行う必要があります。この手間が、株の充実や個体数の差となって如実に現れる事を、この2~3年間で関わった複数の希少植物で経験しました。

2021年8月17日 (火)

オオバノハチジョウシダ

萌の散歩道で、ずっと気になっていたシダ植物があります。周辺を探しましたが、同じと思えるものにはまだ出会っておりません。

そのシダ植物は、オオバノハチジョウシダと教えていただきました。

Aimg_6053Aimg_6055

地際から葉の先端まで、1m以上あります。

Aimg_6070Aimg_6078

「羽片の先端は尾状になる」(左の写真)「最下部羽片の下向き第一小羽片は、長く伸び羽状深裂する事が多い」(右の写真)とあります。

Ap8170029Ap8170028

ソーラス(胞子嚢群)は、葉裏の縁に沿ってついています。

Ap8170005Ap8170014

ソーラスの付かないところには、葉縁に鋸歯があります。

Ap8170027

羽軸と裂片中肋との交点には、小さな棘があります。これは何のため?

Ap8170002

新芽が一つ出ていました。

散歩道では、シカの食害に遭ったシダ植物を良く見かけます。でも、この大きくて目立つシダ植物は食べられた痕跡がありません。美味しくないのか、シカには好まれないようです。

イノモトソウ科イノモトソウ属オオバノハチジョウシダ(Pteris terminalis Wall. ex J.Agardh var. terminalis)。


シダ植物は、葉の形態で識別の容易な種もありますが、多くは図鑑を見ても難しく、詳しい人に現物を見て教えてもらわないと自信をもって識別する事が出来ません。一人歩きが殆どなため、今迄あまり目を向けて来ませんでした。縁あって、詳しい先生と知り合えましたので、少しずつ教えていただきながら、自分の活動範囲で見られるものを覚えようと思っています。

2021年8月16日 (月)

アマゾントチカガミ

一昨年、遊歩道の草刈りのボランティアで、アマゾントチカガミを見付けました。南米原産との事なので、我が家では冬に枯れてしまうだろうと思いつつ、一株採取して屋外で水草に浮かべて置きました。

Ap8160066Ap8160069

僅か一株だったのが、枯れるどころか無事に冬を越し水面を覆ってしまいました。野生化すると、かなり危険な植物のようです。

Ap8160068

水槽の中は、長く伸びた根でいっぱいになっています。

Ap8160067

葉身は円形で、表面には斑が入っています。「花期は不定であるが6~9月頃に開花」とあります。花が咲いたら、また掲載したいと思います。

トチカガミ科トチカガミ属アマゾントチカガミ(Limnobium laevigatum (Humb. et Bonpl. ex Willd.) Heine)。

2021年8月12日 (木)

キツネノカミソリ

雨予報にびくびくしながら、畑の草取りなどに行きました。午前中は、降られずに済んで助かりました。

隠れ里のような再生畑②の入り口に、キツネノカミソリが咲いていたので撮ってみました。

Aimg_6002Aimg_5999

Aimg_5991

Aimg_5984

キツネノカミソリは、明るい林床や林縁などに生育しています。キツネノカミソリの花が終わり始めた頃、同属のヒガンバナが咲きます。どちらも良く似た葉を出しますが、並べてみると違いが良く分かります。それはまた別の機会に・・。

ヒガンバナ科ヒガンバナ属キツネノカミソリ(Lycoris sanguinea Maxim. var. sanguinea)。


繁茂する雑草を除草していると、コジュッケイが2羽飛び出して来ました。その辺りに近づくと、巣の中に卵を産んでありました。網に囲まれた場所なので、小動物に襲われる危険は少ないと思います。親が戻ってくるか心配だと家族に話したら「いかに草だらけにしてあるか分かる」と嫌味を言われてしまいました。

2021年8月 9日 (月)

ハコネクサアジサイ

不法投棄監視パトロールで出会った植物・・続きです。

Bp7300359

車中から気付いた小さなピンクの花・・シモツケの若木かと思ったら、クサアジサイのようです。

Bp7300358Bp7300357

あれっ?クサアジサイは葉が互生のはずなのに、一番上を除いて対生です。上の写真も同じですね。しかも、このエリアの個体は、どれも装飾花がありません。

Bp7300383Bp7300382

少し先で、装飾花の付いた個体を一株だけ見付けました。こちらも、葉は対生です。

Bp7300347

Bp7300353

アジサイ属(旧クサアジサイ属)で、葉が対生のタイプはハコネクサアジサイの変種名がつけられています。また、全体的にクサアジサイより小型とあります。

アジサイ科アジサイ属ハコネクサアジサイ(Hydrangea alternifolia Siebold var. hakonensis (Ohba ex H.Ohba) Hasseg. et Katsuy.)。


クサアジサイ属には、異分類として葉の対生するミヤマクサアジサイ(Cardiandra alternifolia Siebold et Zucc. f. oppositifolia (Honda) F.Maek.)が記載されています。

また、葉が互生のクサアジサイでも、除草作業などで主茎が切断された時に、切断の刺激で葉腋から出た枝につく葉は、対生になる事が多いそうです。この場所の個体は、どれも小型な上に切断痕はなかったので、ハコネクサアジサイとしました。

2021年8月 8日 (日)

オオハンゲ

7月末に、月二回目の不法投棄監視パトロールに行って来ました。大雨による林道補修のためか、通行止めの所が幾つかありました。

パトロールのついでに、富士市内で初めてオオハンゲの生育を確認した場所の様子を見て来ました。

Ap7300325Ap7300330

Ap7300327Ap7300328

カラスビシャクが大きくなったような花が咲いていました。発見当初より、かなり個体数が増えているようです。

Ap7300331

Ap7300332

良く見ると、実生苗がありました。下の写真には、発芽したての苗と種子が写っています。栄養繁殖もするようですが、種子の発芽率も高いようで更に増えて行くと思われます。

サトイモ科ハンゲ属オオハンゲ(Pinellia tripartita (Blume) Schott)。


発見者・発見場所等の掲載根拠を記した富士市植物仮目録(N-type)の手元版には未記載だったため、腊葉標本を作製し追記しました。尚、富士市が公開した植物目録には、まだ未記載のようです。

2021年8月 2日 (月)

ハクンラン属

塵取りのような形の小さな花を初めて見たのは、もう十数年前の事になります。その場所からは、いつの間にか姿を消してしまいました。

その後、調査依頼を受けて、冬の林内を探し回りました。この小さな植物を、開花時期ではない冬に探したのは、ある理由がありました。それはまた別の機会に・・。

Bp7280236Bp7280289

Bp7280222Bp7280195

Bp7280229

ラン科植物は、翌年の花期に再訪しても、全く同じ場所で花を見る事の出来ない種があります。このハクウンラン属も同様で、開花株の位置が年によって違うようです。アリドオシランと同様に根は退化していて、菌類への栄養依存度が高いものと思われます。


日本のランハンドブックには、ハクウンラン属について「長らくVexillabium属に分類されていたが、近年Kuhlhasseltia 属に含める事が適当である事が分かった。」とありますが、最新のYlistではOdontochilus(オオギミラン属)の学名が標準となっています。

タイトルをハクウンラン属としたのは、掲載した種がハクウンランなのかオオハクウンランなのか、確信が持てていないからです(草丈や葉の大きさだけでは識別の難しい理由が、この場所にはあります)。両者は染色体数が異なるそうなので、専門家の方に調べてもらおうと思っています。

« 2021年7月 | トップページ | 2021年9月 »