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2021年7月

2021年7月28日 (水)

ベニシュスラン

不法投棄監視パトロールのついでに、ベニシュスランの様子を見て来ました。

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このようにスギの葉の堆積した場所が、好みのようです。

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一般的には、一茎に1~3個の花をつけます。

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一茎4~5個の花をつける個体も、稀に見受けられます。

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園芸界では、葉の斑が綺麗なラン科植物をジュエリーオーキッドと呼ぶそうです。

ラン科シュスラン属ベニシュスラン(Goodyera biflora (Lindl.) Hook.f.)。

中国名は、「大花斑葉蘭」・・シュスラン属では、一番大きな花をつけます。葉の斑も綺麗です。良く特徴をつかんでいて、的を射た名前ですね。


この自生地では、時々葉の赤くなった個体を見る事があります。土壌の乾燥などにより枯れ始めたものと思っていました。

ところが、スギの葉が厚く堆積して土壌湿度の高い所でもそういう個体を見る事があります。印をつけて観察すると、スギの葉や地面に潜った茎から複数の新芽が伸び始めていました。その新芽は、展開した後でも元の葉よりも一回り小さな葉になり、一見実生苗のようです。別の自生地では、そのような小さな葉ばかりで開花株があまり見られませんでした。共生菌の状態悪化など、環境の変化に対応し、生き残るための術なのかもしれません。

2021年7月25日 (日)

キソチドリ

亜高山帯の針葉樹林内では、比較的多くのキソチドリを見る事が出来ます。地域に生育する個体を比較して見ました。

【キソチドリ】

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一番下の葉が大きく、同じ林内でも葉の形に変異があります。中には、葉幅が広く卵形を思わせる様なものも見受けられます。

花数が少なく疎らにつきます。

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二つの葯室が離れていて、側花弁(万歳している部分)の先端が細く伸びています。

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この自生地の場合、開花状態の距は後方に伸びていました。違う解説のWeb記事もありますが、自身の観察によります。

ラン科ツレサギソウ属キソチドリ(Platanthera ophrydioides F.Schmidt)/広義。

ophrydioidesの仲間は、ナガバノキソチドリ、ヒトツバキソチドリ、オオキソチドリなどの変種が記載されていますが、私はまだ識別ポイントをちゃんと理解しておりません。日本のランハンドブック②の発刊を心待ちにしています。


キソチドリとナガバノキソチドリの比較という記事でしたが、ブログを見てくださった方から、掲載した写真はホソバノキソチドリではなく、ヤマサギソウではないかとのご指摘を頂きました。図鑑を確認すると背萼片と側花弁が集まり兜状になるとあり、掲載した写真の特徴と異なっていましたので、記事のタイトルをキソチドリに訂正致します。

またお気づきの点がありましたら、ご指摘頂けると有り難いです。宜しくお願い致します。

2021年7月20日 (火)

富士山こどもの国自生種

富士山こどもの国「花の谷」エリアでは、いろいろな植物を見る事が出来ます。ボランティア作業の時、撮った写真を掲載します。

【ウツボグサ】

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花穂が弓を入れる靭(うつぼ)に似ている事から名付けられたそうです。私ではその発想は出来ません・・。

この植物は、花の谷以外でも各所で見る事が出来ます。

シソ科ウツボグサ属ウツボグサ(Prunella vulgaris L. subsp. asiatica (Nakai) H.Hara)。

【ネジバナ】

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ネジバナも、所々で見る事が出来ます。先輩の話では、秋に咲く種も見られるそうなので、とても楽しみにしています。アキネジバナ(f. autumnus)は、品種として記載されています。

ラン科ネジバナ属ネジバナ(Spiranthes sinensis (Pers.) Ames subsp. australis (R.Br.) Kitam.)。

【ノハナショウブ】

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ハナショウブの原種です。この植物に初めて出会ったのは、隣の市にある広大な草原でした。そこには、花の谷と同じくカキランも沢山生育していました。

アヤメ科アヤメ属ノハナショウブ(Iris ensata Thunb. var. spontanea (Makino) Nakai ex Makino et Nemoto)。

【クモキリソウ】

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花の時期は過ぎていますが、ラン科植物ファンとしてはこんな光景を見ると嬉しくなります。

ボランティア作業が終わってから、周辺の林内を探索して歩きました。この他にも、何ヶ所かで見かけました。少しずつ、植物相の現状調査をしていきたいと思っています。

ラン科クモキリソウ属クモキリソウ(Liparis kumokiri F.Maek.)。


この園内に、地域であまり見る事の出来なくなった希少植物が守られて(或いは生育して)いる事を知る人は少ないかもしれません。でも、ボランティア作業を通して、熱心なファンの人も少なからずいる事を知りました。この場所に最も目を向けるべきなのは、行政かもしれません。保護を唱えるだけでは、希少種は守れません。

2021年7月16日 (金)

ムラサキニガナとキツリフネ

植物園に自生しているムラサキニガナとキツリフネを撮って見ました。

【ムラサキニガナ】

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ラン科植物や光合成をしない植物ばかり追い求めていた頃は、あまり出会う事がありませんでした。見ていても、気にならなかったのかもしれません。県西部のある林内で変わった形態の葉に気を引かれ、ムラサキニガナと知りました。

キク科ムラサキニガナ属ムラサキニガナ(Paraprenanthes sororia (Miq.) C.Shih)。

【キツリフネ】

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遊歩道から望遠で撮ったら、花以外にピントが合ってしまいました。老眼なので、いつもこんなものです。

初めてキツリフネを見たのは、標高1,400mくらいの道路脇だったと思います。当初は、ツリフネソウよりも遅く咲くと思っていましたが、低山では早く見る事が多いような気がします。

ツリフネソウ科ツリフネソウ属キツリフネ(Impatiens noli-tangere L.)。


今日は、天気も良く暑い一日でした。放置状態だった果樹野菜畑の草刈り、片付け、耕運機がけを行ってきました。終わりころには、足元がふらつくくらい疲れました。いつも汗びっしょりです。洗濯係の渋い顔が、目に浮かびます。

2021年7月13日 (火)

トモエソウ(富士山こどもの国)

トモエソウは、数あるオトギリソウ属の中でも、大きくて見応えのある花を咲かせます。この日は、某中学校の写生大会でした。まだ蕾の固いものが殆どでしたが、この株だけみんなのために咲いてくれました。

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花を上から見ると、歪んで巴形をしている事から名付けられました。葉が細い(皮針状線形)個体をホソバトモエソウと呼ぶそうですが、品種・変種記載はされていないようです。

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オトギリソウ科オトギリソウ属トモエソウ(Hypericum ascyron L. subsp. ascyron var. ascyron)。


1983年発行の静岡県の「植物相調査報告書」によると、県内各地で生育が確認されています。富士山こどもの国では、ある程度個体数を見る事は出来ますが、周辺を探索しても出会う事は稀です。草原などの、生育適地が少なくなってしまった事が、減少の最大要因ではないでしょうか?

2021年7月11日 (日)

コハクラン

依頼された用事があって亜高山帯へ行った時、ついでにコハクランの様子を見て来ました。

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この地を訪れたのは、3年ぶりでしょうか?「あれっ、葉が無い!」今まで、数年間観察を続けて来ました。葉を落として花をつけている個体も稀にありましたが、通常は葉がありました。

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葉をつけた個体が見つかりました。でも、右の様に傷んだものばかり・・。何があったのだろう?

生育地を発見した翌年以降、GPSを持って広範囲に分布調査をして歩きました。今回様子見に行ったところは、その中でも一番個体数の多かったエリアです。ところが、葉で見る個体数は激減していました。コハクランは、葉を落とし休眠する事も多いと思っていますが、今までこんな事はありませんでした。

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背萼片、側花弁、側萼片が琥珀色である事から、和名が付けられました。霜降り肉を連想させるような唇弁の形や斑紋も、個体毎に様々です。

ラン科コハクラン属コハクラン(Oreorchis indica (Lindl.) Hook.f.)。


どうも、一番懸念していたグループに、この場所が知られてしまったようです。この日、これからコハクランを見に行くと言って話しかけて来た小父さんが、ある植物名と具体的な生育地を挙げて、自身が見つけたと言っていました。その希少植物は、問題のグループの観察会で発見されたとの情報を得ていました。

花観察をして歩く人が、ブログ記事などで盗掘に触れそれを批判する事は多いですが、自らの安易な情報提供(情報交換)が瞬く間に拡散し、盗掘者を誘引する事もあると、肝に銘じるべきだと思います。

2021年7月10日 (土)

コウリンカとカセンソウ(富士山こどもの国)

【コウリンカ】

静岡県では、東部の山地に分布します。草地に生育する種なので、生育地の減少やシカの食害などで、稀な存在になりつつあると思います。

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垂れるように反り返っている線形の舌状花が印象的です。自身でちゃんと観察した事はありませんが、最初は水平で、次第に垂れ下がり、反り返るそうです。

キク科コウリンカ属コウリンカ(Tephroseris flammea (Turcz. ex DC.) Holub subsp. glabrifolia (Cufod.) B.Nord.)。キオン属(Senecio)とされた事もあります。

【カセンソウ】

こちらは、静岡県の西部、中部、東部、伊豆に分布します。古い記録では、西部・中部は稀とあり、その他は稀でないとありますが、私の探索範囲の東部でも、稀な方だと思います。

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コウリンカと、同じ環境に生育します。

キク科オグルマ属カセンソウ(Inula salicina L. var. asiatica Kitam.)。中国名は、「柳葉旋覆花」・・未開花の個体を見ると、柳のような細めの葉がちょっと見クサレダマに似た感じです。このエリアでは、少し離れたところに複数株生えており、どれもまだ蕾でした。


本日は、富士山こどもの国花の谷で、来週予定されている中学校写生大会の準備を手伝って来ました。掲載したコウリンカは、ここを管理してくれている方が実生栽培したものです。植栽植物を掲載しているブログ「権兵衛の種蒔き日記」に掲載しようかと思ったのですが、カセンソウと共に、この近くの草原に自生しているため、こちらに掲載する事としました。

2021年7月 9日 (金)

菌類

このブログは、維管束植物(種子植物+シダ植物)だけを掲載するつもりでしたが、登場場所が無いので菌類も掲載する事にしました。

雨が続き、キノコや変形菌(粘菌)の仲間が、各所で見られるようになりました。最近、家の周りで見たものを集めてみました。

【変形菌の仲間】

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エダナシツノホコリは比較的出会う事の多い種ですが、とても小さいので近づいて見ないとそれと気づきません。

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こちらは、良く見ると分岐していたので、ツノホコリと思います。

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マメホコリは、栽培棚の板に出現していました。時間の経過と共に、右のように変色して来ます。

【キノコの仲間】

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ホウライタケの仲間でしょうか?

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こちらは、ヒノキの枝に出現していました。

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カシノナガキクイムシの被害で枯れてしまったコナラの根際に、カエンタケが出現していました。幾つかは、野生動物に荒らされたようです。人が触れるだけで皮膚がただれる様な、強力な毒を持ったキノコに触れて無事だったのだろうか?

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今春、枯れたコナラの幹に、シイタケの種ゴマを打ち込みました。白い出っ張りは、シイタケ菌かな?本当は伐採して植菌したかったのですが、太すぎて素人伐採は危険と判断して止めにしました。


明日はボランティアで、富士山こどもの国へ草刈りに行きます。どこへ行っても、草との戦いがついて回ります。

2021年7月 7日 (水)

シテンクモキリ

地域では、クモキリソウ属の野生ランをいろいろ見る事が出来ます。クモキリソウ、ジガバチソウ、コクラン、ギボウシラン、フガクスズムシソウ、スズムシソウなど・・そして一番標高の高い所で見られるのが、このシテンクモキリです。

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熟練した諸先輩が、スタンドを使って撮影しているのに、面倒くさがりの私は何時も手持ち撮影です。ピンボケするのは当たり前ですね。

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唇弁基部の濃紫斑から和名がつけられましたが、無班の個体も時々見かけます。

各地に地域名があり、富士山周辺ではフガククモキリと呼ばれていたようです。個人的には、この名を気に入っています。2008年に記載された種で、古い図鑑には掲載されておりません。


クモキリソウ属は、種子繁殖以外に栄養繁殖でも増えますが、突然姿を消してしまう事があります。それは、身近なところで見られるコクランについても同様です。気温の急激な変化に耐えきれないのか、あるいは病気によるものなのか分かりませんが・・。

2021年7月 6日 (火)

カゲロウラン復活

家の近くで見付けた三個体のカゲロウラン・・シカのたまり場になっていたので、別の場所へ移植しました。

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発見したのは果実期でした。

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移植後は、このように元気に育っていました。

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そして、昨年は無事に花を咲かせました。

ところが、今冬は例年よりも寒い日が数日あり、種子散布後地上部が凍みて枯れてしまいました。暖かい地域が本来の生育地である事を考慮して、発見場所よりも少し高度の低い所に移植したのですが・・。

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先日見に行くと、新芽が出現していました!地中の根茎が、生きていたようです。無事で良かった!

ラン科キヌラン属カゲロウラン(Zeuxine agyokuana Fukuy.)。ヒメノヤガラ属(Hetaeria)とする見解もありますが、日本のランハンドブック①に倣いました。


発見当時の葉と、移植後の葉の違いなどから、冬に地上部が枯れ根茎だけが生き残り、また新芽が伸びるというサイクルを繰り返していたのかもしれません。
県中部へ、今春ハルザキヤツシロランを見に行った折、カゲロウランが生育していたという場所を教えてもらいましたが、姿が見えませんでした。凍み枯れる限界を超えたものは、地下茎だけになって生き残って来たのではないでしょうか?

2021年7月 2日 (金)

亜高山帯の針葉樹林で出会った野生ラン

半月ほど前になりますが、用事があって亜高山帯の針葉樹林へ行って来ました。引きこもり生活をしているので、今年初めての亜高山帯探索でした。たまに行くと、視点が変わって今迄と違う楽しさがあります。

【イチヨウラン】

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この辺りのイチヨウランは、既に咲き終わっていました。複数個所見て歩きましたが、記憶のある個体が、殆ど姿を消していました。連れ去られたのか、枯れてしまったのか、あるいはシカの食害に遭ったのだろうか?

また、以前から思っていたのですが、毎年開花位置が違っています。花が続けて咲く事は、少ないのかもしれません。

【コイチヨウラン】

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林床に生えるマイヅルソウを見ていると、植物密度の高い所がありました。コイチヨウランのミニ群落のようです。

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花期はもっと先なので、以前撮った花を掲載します。

【ヒメミヤマウズラ】

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この辺りでは、あまり出会う事の無いヒメミヤマウズラが生えていました。個体数は少ないですが、次の探索意欲を沸かせてくれます。

【ヒメムヨウラン】

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ヒメムヨウランも、所々で見る事が出来ました。多くの野生ランの様に、花柄子房が180度捻じれて、唇弁が下につくタイプではなく、捻じれが無いため唇弁が上についている変わり者です。中には、360度捻じれるホザキイチヨウランのような超変り者もいて、ラン科植物は面白いです。

この他には、蕾を持ったキソチドリが目につきました。針葉樹の香りを浴びて、久々に懐かしい故郷へ帰省したような気持ちになりました。

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