« 2021年3月 | トップページ | 2021年5月 »

2021年4月

2021年4月30日 (金)

ナギランとナツエビネ

今日は、間伐予定の山林を見て来ました。樹林下に生育する植物は、間伐により光条件が変わったり、伐採枝などが積み重なる事により、衰弱して姿を消してしまう事があります。

ナギランとナツエビネは、数年前に小雨降る林内で同じ日に出会いました。どちらも富士市域では稀な存在だと思います。

【ナギラン】

Ap6250031_20210430185101

発見時に花が咲いていたので、ナギランと分かりました。その後、何者かに踏まれた痕跡があり、その翌年この2個体は姿を消してしまいました。

Aimg_4290

そして本日、この個体を見付けました。少し離れた場所にありましたので、種子繁殖した苗と思われます。子孫を残していてくれた事に感謝です。

ナギランの葉は、同じ林内に生育するオオバノトンボソウの苗葉に似ていますが、株元に鞘状葉がある事で識別できます。

【ナツエビネ】

Aimg_4292

ナツエビネは、葉だけの時はエビネとの識別が難しい植物です。エビネの花が終わって果実期になった頃、蕾が上がっていたので気付きました。

この写真には、3本の花茎が残っています。一つのシュートに複数の花茎をつけるのも、エビネとの識別点になります。


このエリアには、この2種以外にも環境省や静岡県で絶滅危惧種に指定された植物が、複数生育しています。保全区としてもらいたいエリアに、テープで表示して来ました。間伐業者さんと関係する行政窓口へ、お願いに行く予定です。上手く話しがつくと良いのですが・・。

昨日~今日、別の場所に生育する希少植物保護に関しても、お二人の意見を伺い、隣県で長年保護活動をされて来た方に指導していただく事になりました。思いは持っていても、浅学な私だけではなす術もありません。アドバイスしてくださる方がいた事は、とても有り難い事です。

2021年4月28日 (水)

ハルザキヤツシロラン

ハルザキヤツシロランを、見て来ました。Web用に加工して、掲載しようとしたのですが、事情があって写真の使用を控える事としました。そこで、以前撮った写真を掲載します。

Ap4291365Ap4291317

今まで見てきたのは、一茎に1~3個の花をつけるものばかりでしたが、右は4個ついていました。薄暗い林床に、この色彩ですから、うっかりすると踏みつけてしまいます。

Ap4291351Ap4291352_20210428182401

Ap4291384Ap4291371_20210428182601

花芯を捉える事の難しい野生ランです。中には、オレンジ色の袈裟を纏ったお坊さん(髄柱)がいます。

次は、ちょっと感じの違う花です。

Zharu0011

A1553241272_20191226175501_20210428183301

最上段に比べてずっと色白でしょ?プラ容器の中に自生地を再現して、塵のような種子から育てた箱入り娘です。


ハルザキヤツシロランは、中部、西部、伊豆で生育が確認されていますが、東部では、まだ確認されていないようです。東部で花を確認された方、或いは初夏にヤツシロラン類の果実を見付けた方、情報を頂けると有り難いです。

2021年4月24日 (土)

オオバウマノスズクサ

2~3日前、再生畑近くの笹藪に、オオバウマノスズクサが巻き付いているのを見付けました。

Aimg_4137Aimg_4143

蔓を辿ってみると、蕾がありました。今日見た時も咲いていなかったので、以前撮った写真を掲載します。

O067O070

O057Ou085t

良く似た花を咲かせるタンザワウマノスズクサがあるそうですが、私はまだ見た事がありません。タンザワウマノスズクサの特徴として、葉裏の葉脈上の毛が開出する事が挙げられています。

また、花筒内部が左の様に褐色のベタなのがオオバウマノスズクサで、豹紋になっているのがタンザワウマノスズクサだそうです。そこで、右の花に注目してください。

Ou090Ou090t

少し上から覗くと、クレヨンしんちゃんがいます。

Umanosuzukusa_3sUmanosuzukusa_7s

こちらには、金太郎がいます。地域で見る花には、このようなものが時々見受けられます。オオバウマノスズクサとタンザワウマノスズクサは、花期も生育地も重なる様なので交雑する事もあるそうです。

葉裏の葉脈の毛を確認したかって?この花を撮った時は、オオバウマノスズクサしか知らなかったので見ておりません。

ウマノスズクサ科ウマノスズクサ属オオバウマノスズクサ(Aristolochia kaempferi Willd.)。


実生栽培している人がいます。植物は、育てて分かる事が多々あります。
※師匠、勝手にリンクを貼ってすみません。

2021年4月18日 (日)

コケイラン

コケイランは、県内各所で生育確認記録はあるものの、出会う事は稀だと思います。県東部某所で開花情報を頂いた翌日に、菌類の師匠からも意外な場所での確認情報を頂きました。

Ap4150079Ap4150078

Ap4150063Ap4150052_20210418081101

初めて果実を見ました。これは昨年の果実殻なので、今年の果実期に種子が採取出来たら、ヤツシロラン類の様に自生地再現栽培で発芽に挑戦してみたい・・。

Ap4150065Ap4150071

Ap4150068Ap4150064

花を接写してみました。ここで見た個体は、唇弁が無班のものばかりでした。この日は、なぜかブレた写真が多くて残念でした。アルコール切れではありませんよ。

K066_2K049_2

こちらは、アツモリソウの探索に行って偶然出会った個体です。この場所には、比較的広範囲に生育していました。でも、どの個体にも葉が見られませんでした。花期に葉を落とす事もあるようです。

萼片、側花弁、花茎と花柄子房などが紫褐色です。でも、花の構造を見るとコケイランの特徴を有しています。「唇弁基部の縦二列の隆起、細い小側裂片、前部はやや広がり縁に縮れた欠刻がある」。Webで画像検索すると、これと似た花も各所で見られ、唇弁の斑紋、萼片や側花弁の色などに変異の多い野生ランのようです。

Kohaku_6Kohaku_7a

同属で、亜高山帯の針葉樹林に生育する、コハクランの花も掲載します。萼片や側花弁が幅広ですが、全体的に似ているでしょ?偽球茎がある事や、葉の形も似ていると思います。葉はコハクランの方が固く、コケイランの葉はシュロソウを思わせる様な柔らかめの葉でした。

コハクランの花をかなりな数見てきたつもりですが、コケイランの様に唇弁が無班の個体には、まだ出会った事がありません。

ラン科コケイラン属コケイラン(Oreorchis patens (Lindl.) Lindl.)。


富士山こどもの国(花の谷)、並びに富士宮市に造成中の植物園の記事は、「権兵衛の種蒔き日記」に掲載しています。

2021年4月17日 (土)

フジキクザクラの花弁数

少し前に、八重咲のマメザクラ・・フジキクザクラの記事を掲載しました。先生のご厚意で、貴重な子株をいただく事が出来ました。

Ap4170108Ap4170110

Ap4170105Ap4170114

解説板に「花弁数は、20枚~400枚まで変化し・・」とあります。先端部に咲いていた花を、解体して数えてみました。極小さな花弁まで入れると、117枚ありました。「暇だなぁ~」なんて声が聞こえて来そうですね。でも、400枚も数えた人がいるんですから・・。

咲いている花数は少なく、まだ小さな蕾が沢山あります。本当に、ポツポツ咲くという表現通りです。基本種に比べて、かなり変わった生態を持っているようです。



この日は、ある財産区の山林を見に行きました。最近は、畑や不法投棄監視パトロールのついでに植物観察するくらいで、山野を探索する事は少なくなりました。たまに行くと、比較的目にする事の多い植物達も新鮮に映ります。

2021年4月14日 (水)

コミヤマスミレ

所有林の一角に、コミヤマスミレが生えていたので撮ってみました。

Aimg_4008

小さな花ですが、薄暗い林床では比較的目立っていました。

Ap4120054

Ap4120055Ap4120057

花だけ見ると、フモトスミレに似ています。萼片が有毛で、反りかえっている事が特徴の一つとあります。

葉色の変異が多く、初めて出会ったのは茶色の葉を持つ個体でした。日照によるのかと思ったら、同じ林内でも緑の葉と茶系の葉の個体が棲み分けていました。愛鷹山系の渓谷沿いなど、比較的薄暗く土壌湿度の高い所で見る事の多いスミレです。

スミレ科スミレ属コミヤマスミレ(Viola maximowicziana Makino)。

2021年4月12日 (月)

富士市域のサクラソウとベニバナヤマシャクヤク

20年ほど前に、富士市域で、サクラソウとベニバナヤマシャクヤクの生育が確認されたという場所を、見に行って来ました。その場所は、周囲の樹木が大きくなり、草原性の植物が生育するような環境ではなくなっていました。

ところが・・。

【サクラソウ】

Ap4110030

Ap4110032

何と、サクラソウ(Primula sieboldii E.Morren)が生き残っていました!

Ap4110036Ap4110034

日照不足のせいか、開花株は少ないようです。1983年の植物相調査報告書には、「昔は富士山麓に多生したが今は殆ど絶えた」とあります。40年近く前の報告書でその記述ですから、まさに幻の花と言えます。その時代に戻る事は出来ませんが、エリアを限定して保護育成して行く事は出来ます。

【ベニバナヤマシャクヤク】

Ap4110027Ap4110029

この寒冷紗で覆われた場所で、ベニバナヤマシャクヤクの生育が確認されたそうです。良く見ると、小さな芽が幾つか姿を現していました。ヤマシャクヤクは、既に葉が展開していますので、ベニバナヤマシャクヤクに間違いないと思います。葉裏に毛がありませんので、ケナシベニバナヤマシャクヤク(Paeonia obovata Maxim. f. glabra (Makino) Kitam.)のようです。


この場所は、一般の人が目にする機会はまずないと思います。管理者さんの承諾は得ましたので、これから時々様子見に行って、除草や樹木の剪定などをして見守って行こうと思います。

昨今は、移植も視野に入れた保護活動が行われているようです。でも、生育していた場所で生き残る事が出来れば、それに越したことはありません。

2021年4月 9日 (金)

ツボスミレの仲間

植物園の敷地内で多く見るスミレは、タチツボスミレ、マルバスミレ、そしてツボスミレがあります。ツボスミレの紅紫色の花を見付けました。

Xp3310066Xp3310072

Xp3310040Xp3310057

右下に、通常見る花と並べてみました。

ところで・・。

Xp4290766

これは、以前ブログに掲載したスミレです。ツボスミレのベニバナと書いた所、ムラサキコマノツメと教えていただきました。

山渓の「増補改訂 日本のスミレ」にその名は無く、基本種の高山型として紅色の花をつけるミヤマツボスミレが掲載されています。Web検索すると、ムラサキコマノツメはツボスミレの湿原変形型でミヤマツボスミレの分布域に準ずるとあり、基本種より草丈の高い事が特徴の一つとして挙げられています。地域で見る基本種の中にも草丈の高いものは見受けられ、土壌栄養を含めた生育地の環境によるものだと思っていました。

この場所は高山とは言えませんが、草丈からミヤマツボスミレの方が近いのかな?と思いますが、良く分からないのでツボスミレのベニバナと呼ぶ事にしました。

Btubo2_20210409055701

Btubos1_20210409055701

ツボスミレは、花色や唇弁の形などに変異が多く、見比べるのも楽しいです。Ylistでは、ツボスミレを標準和名、ニョイスミレとコマノツメを別名としてありますので、それに倣いました。

2021年4月 5日 (月)

フジキクザクラ

昨年、初めて八重咲のマメザクラ(フジザクラ)を見ました。写真を撮り忘れたので、開花時期を教えてもらい行って来ました。

原木は、現在大石寺境内にあって、富士宮市の天然記念物に指定されているそうです。この日は、それ以外の3ヶ所で観察して来ました。

【第一の場所】

Aimg_3846Aimg_3847

咲いていました!でも、基本種のマメザクラに比べて花が少ない?

Ap4050210Ap4050209

接写してみました。花だけ見ると、八重咲の枝垂桜かと思ってしまいます。

【第二の場所】

Aimg_3865Aimg_3860

Aimg_3855Aimg_3858

こちらが、この日見たいちばん古い木です。上の場所よりも、少し開花が遅れています。花は一気に咲かず、ポツポツ咲くのも基本種との違いのようです。

【第三の場所】

Aimg_3869Ap4050220

こちらは、まだ咲いていませんでした。

マメザクラは、低山から亜高山帯低域辺りでも見る事があります。それにしても、同じくらいの標高に生える基本種が散り始めたものもあるというのに、まだ蕾ばかりというのに驚かされました。

和名は、日蓮正宗総本山大石寺六十六世日達上人により命名されたそうです。「花弁は、20枚~400枚まで変化し、三段咲の花も見られる」とあります。遅く咲く花ほど、花弁数が多くなると教えてもらいました。

バラ科サクラ属フジキクザクラ(Cerasus incisa (Thunb.) Loisel. var. incisa f. chrysantha H.Ohba)。synonym:(Prunus incisa Thunb. f. plenissima S.Watan.)。


天子ヶ岳で発見されたこのサクラは、富士宮市在住の渡邊定元先生により記載(学会発表)されました。当時は、西欧や北米に倣ってサクラ類をスモモ属(Prunus)としていましたが、現在はサクラ属(Cerasus)に分類するのが主流となっているため、Ylist標準学名はCerasus incisaで掲載されています。

2021年4月 3日 (土)

ランヨウアオイ花の季節

植物園の敷地内に、ランヨウアオイが自生しています。花が咲いている頃だろうと思い、覗いて来ました。

Bimg_3789Bimg_3782

葉に斑の無いタイプ。

Bimg_3781Bimg_3784

亀甲模様のタイプ。亀甲模様にも、変異があって面白いです。

Bimg_3776Bimg_3779

こちらは、少し丸みを帯びたタイプの葉です。ランヨウアオイの葉は「鉾状広卵形」とあり、他種に比べて特徴的ですが、成長してからも丸みを帯びた葉の個体があって識別に迷う事があります。

また、ここの様に明るい場所の個体に比べて、薄暗い針葉樹林内に生育する個体の方が、葉が薄く感じられます。

Bp3310034Bp3310035

株元の落ち葉を取り除くと、花が咲いていました。ランヨウアオイの花は、他種に比べて識別がしやすいと思います。蕾は、新葉に包まれて出現します。

ウマノスズクサ科カンアオイ属ランヨウアオイ(Asarum blumei Duch.)。


時間のある時に、富士市域に生育するカンアオイやオトメアオイの分布調査をして、確認場所を記録しています。ランヨウアオイは、富士宮市に近い地域で見かけますが、それから東の富士市域では、今の所出会っておりません。富士川周辺や伊豆天城辺りでは、かなり個体数を見る事が出来ますが、前記の場所で見かけないのはどうしてでしょう?

« 2021年3月 | トップページ | 2021年5月 »