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2021年2月 6日 (土)

イチヨウラン

亜高山帯の針葉樹林に生育するイチヨウランは、今頃は雪や氷の中に埋もれていると思われます。でも、この季節に観察できる場所もあります。

イチヨウランは、冬でも葉をつけていますので、雪の無い場所ではその存在を確認する事が出来ます。

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2014年5月上旬に、本来の生育地より高度1,000mほど低いヒノキ林で、この3個体と出会いました。その後、シカの食害で全ての葉が姿を消した事もありますが、2個体は復活しました。以来、ずっと見守っています。

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葉は、上記のような無地のものから、白い筋の入ったものや黒い斑点の入ったものもあります。

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深山の薄暗い林床で俯き加減に咲く花には、とても心を引き付けられます。。

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唇弁の形や斑紋に、変異の多い野生ランです。また、亜高山帯高域と低域の花にも違いがあるように思えます。前者の方が草丈が短く、萼片が垂れ気味で唇弁の斑紋も少なく無班を思わせる様な花を良く見かけます。

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イチヨウランは、晩秋に葉の更新があり、花芽を持って厳しい深山の冬を越します。クリーム色の葉が当年活躍した葉で、濃緑色の小さな葉が翌年活躍する葉です。シカに食べられた場合、一年くらいは根茎が生き続けるようです。可憐さと強さを併せ持った野生ランだと思います。

ラン科イチヨウラン属イチヨウラン(Dactylostalix ringens Rchb.f.)。


2020年版静岡県RDBによると、「県内では西部と中部、伊豆に分布する」とあり、分布域を記載した概略地図(地域メッシュ)にも東部の富士市・富士宮市域には記載されておりません。1983年の「植物相調査報告書」には、杉本先生が1929年に東部で確認された記述があります。素人探索人の見解としては、現時点で同資料に記載された他地域に比べて、東部に生育する個体数がそれほど少ないとは思えません。

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コメント

はじめまして、いつも拝見させて頂いています。
イチヨウランの事でお聞きしたいのですが、初めてみた場所で2年見れたのですが、その後2年程見れなくなりました…
が、今年の先日、数メートル離れてる場所で、見ることが出来ました。
※初めて見た場所は杉枝が被さってたりと環境が悪く出なくなったのか、どなたかが採取し移動させてくれたのか、種子?が飛んだのか…気になっています。
その付近には一株した無い状態です。
同じ個体が、数メートル違う個所に咲くこともありますでしょうか?

dewa様、今日は。
イチヨウランに関しては、次のように思っています。

同じ場所で観察すると、年によって花の位置が変わっています。
開花の翌年、花を咲かせない個体があるようです。
バルブが無く根茎だけですが(※)、栄養依存する菌類の状態によって開花に至らないのかもしれません。(※研究者に採取許可を取ってもらい、採取した事があります)

それから、シカの摂食対象になっていて花茎だけでなく葉を食べられてしまう事があります。
運よく晩秋に新葉が出て来ましたが、翌年花を咲かせなかった個体がありました。
また、発芽から何年くらいで開花に至るのか分かりませんが、案外短期間(3年程度)なのかもしれません。
その事も、開花位置が変わる一因ではないかと思っています。

最初は、園芸採取されたのかと思ったのですが、そればかりが原因ではないように思います。
深山に生育する一枚葉の野生ランは、他種においても続けて花を咲かせない事があります。
光合成をしながらも、菌類への栄養依存度が高いものと思われます。

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