2024年4月16日 (火)

ヤマエンゴサク

調査依頼を受けて行った林内で、ヤマエンゴサクの花を見かけました。南麓ではそれほど珍しい植物ではありませんが、生育エリアはある程度限定されています。

Zp4110039

Zp4110040

Zp4110041

花色も様々です。

Zp4110042

紅紫系の花もありました。

Zp4110043

この亀の手のような苞が特徴です。今回は撮りませんでしたが、小葉の形も色々で見比べると楽しいです。

ケシ科キケマン属ヤマエンゴサク(Corydalis lineariloba Siebold et Zucc.)。

Zp4110054

同じ林床に、ジロボウエンゴサク(Corydalis decumbens (Thunb.) Pers.)も咲いていました。花色に濃淡はありますが紅紫色です。ヤマエンゴサクより小形で繊細な感じがします。


ヤマエンゴサクは多年草ですが、新緑のころには地上部が姿を消してしまうスプリング・エフェメラルです。同属で家の周りに生育するムラサキケマンは越年草で、種子の発芽率が高い種のようです。ヤマエンゴサクの発芽率はどうなのか種子繁殖に挑戦してみたいと思っています。

調査依頼を受けた植物?それは研究対象なので秘密です。

午前中、畑行って未耕作エリアの草刈りをしました。キツネアザミの成長が早いこと・・ロゼット状態だと思っていたら、あっという間に花茎が伸びてきました。これから畑に行く度除草が中心作業になります。頭の痛いことです。

2024年4月14日 (日)

コガネネコノメ

植物の探索を始めたばかりのころ、目覚めたばかりのバイケイソウに誘われて入った林内で、この黄色い四角の花に出会い感激しました。

Sp4110034

Sp4110045

花数は個体ごとに様々です。6個前後が多く、中には12個のものもありました。

Sp4110036

林床ではハナバチなどの羽音が聞こえていましたが、この花には写真のような昆虫が集っていました。

コンデジのピント設定を間違えて、いつも以上にピンボケ写真になってしまいました。

ユキノシタ科ネコノメソウ属コガネネコノメソウ(Chrysosplenium pilosum Maxim. var. sphaerospermum (Maxim.) H.Hara)。

「走出枝は花の後によく発達し・・」とあります。早い時期の訪問では、昨年より花が少なく数が減ってしまったような印象を受けることがあります。未確認ですが、走出枝にも花が咲くのではないでしょうか?

2024年4月12日 (金)

ケヤマウツボ

高度1,000m以上の山野を歩く機会は、調査依頼を受けた時くらいとなってしまいました。昨日は、ある目的があって久々に行ってきました。

Ap4110005Ap4110015

ケヤマウツボが姿を現していました。落葉広葉樹林に生育する寄生植物です。宿主はブナ科やカバノキ科などの樹木の根とあります。

この植物は野生動物に好まれるようで、生育地が荒らされアルマジロのような地下茎が露出していることがあります。

Ap4110001Ap4110002

総状に付く沢山の花の先端には、細長い花柱が姿を現しています。

ハマウツボ科ヤマウツボ属ケヤマウツボ(Lathraea japonica Miq. var. miqueliana (Franch. et Sav.) Ohwi)。地上部に軟毛のないものが母種のヤマウツボですが、静岡県内では稀とあります。以前Ylistでは区別しないとなっていたような記憶もありますが、現在は変種としてケヤマウツボの学名が記載されています。

熟して放出(散布)される時期に、この植物の種子を観察したいと思っていますが、タイミングが合わずまだ実行できておりません。亜高山帯のミヤマハンノキの根に寄生するオニクもそうですが、地表に散布された種子がどのような過程を辿り宿主の根に到達するのか興味があります。特に後者は、周辺に沢山のミヤマハンノキがある場所でも、限られた木の根にだけ寄生しているような印象を持っています。

2024年4月 7日 (日)

テンナンショウ属

テンナンショウ属の識別は難しく、私には苦手な種です。数年前、訪花昆虫の調査に協力したのを機会に、少しでも覚えようと思っていますが後退してばかりです。

Aimg_3943Ap4050046

左は家の周りでもよく見られるスルガテンナンショウで、右は西の方に多いムサシアブミです。栽培品の逸出なのか、県東部でも稀にみることがあります。

サトイモ科テンナンショウ属スルガテンナンショウ(Arisaema yamatense (Nakai) Nakai subsp. sugimotoi (Nakai) H.Ohashi et J.Murata)。

サトイモ科テンナンショウ属ムサシアブミ(Arisaema ringens (Thunb.) Schott)。

Ap4050044Ap4050045

さてこちら・・実は実生発芽させた個体です。地域でも一番早く姿を現すスルガテンナンショウよりも更に早く咲きます。種子の採取地は伊豆半島です。Web図鑑より庇の形状が少し短いですが、専門家の方にナガバマムシグサと教えていただきました。地域で見る種に比べて、葉の細さに目が行きました。

サトイモ科テンナンショウ属ナガバマムシグサ(Arisaema undulatifolium Nakai subsp. undulatifolium)。


富士山周辺では、まだ図鑑に掲載されていないミクニテンナンショウ、オオミネテンナンショウ、ホソバテンナンショウ、ヒガンマムシグサ(ハウチワテンナンショウタイプ)、オオマムシグサに似たイズテンナンショウなども写真帳で同定していただきました。

個体変異もあり、私にはまだまだ自信をもって識別することができません。静岡県中部には、テンナンショウ属の素晴らしいWeb図鑑を公開されている方(星山耕一様)がいらっしゃいますので、下記にリンクを張っておきます。メールアドレスも記載されています。

【テンナンショウ属Arisaema】

2024年3月28日 (木)

キブシの花

不法投棄監視パトロールに行った林道で、キブシの花などを撮ってみました。引きこもりのような生活を続けているうちに、春爛漫の季節になっていました。

Aimg_3843Aimg_3852

キブシは雌雄異株です。「雄花より雌花の方が短い」と図鑑の解説にあります。この写真ではちょっと比較しにくいですが、左が雄花で右が雌花です。

Ap3270006

こちらが雄花です。黄色い葯が見えています。

Ap3270008

こちらが雌花です。雄蕊が退化して緑色の柱頭が目立っています。

Ap3270011

花弁を外してみました。退化した雄蕊は花柱の1/3くらいの長さしかありません。

幾つか観察してみると、花序の長さには個体差がありますので、雌雄の区別は花の中を覗いてみるのが一番だと思います。

雌雄異株の植物は、自家受粉が避けられるため、多様な遺伝子を持った子孫が残せる利点があります。同時に、近くに両種がないと種子が出来ないので子孫が増やせない欠点もあります。この場所には、雄木と雌木が混在していました。どういうシステムで、実生苗が雄と雌の木になるのか知りたいものです。

キブシ科キブシ属キブシ(Stachyurus praecox Siebold et Zucc.)。

Aimg_3867

林道から見た下界の様子です。中央右に見える山裾には富士川が流れています。ここは、ササユリの保護区から見える愛鷹山系某所になります。「そんな所に不法投棄物なんかあるのか?」・・あるのです。投棄されたものの大半は、分別してゴミ回収に出せるようなものです。わざわざ山中に持ってきて捨てる人の気持ちが理解できません。

2024年3月24日 (日)

カヤランの苗再び

ツツジの枝に生えてきたカヤランの実生苗を、追跡観察してみました。

Ap3240057Ap3240058

当初は、クモランの葉状体(仮称)かと思っていたカヤランの発芽間もない姿です。

Ap3240052Ap3240053

Ap3240056

こちらは、葉状体の端部から普通葉が出ています。

Ap3240063Ap3240074

左には普通葉が2枚見えます。普通葉だけが2~3枚の個体を見かけますので、そのくらいまで成長すると葉状体は姿を消すようです。クモランでいえば、葉緑素を持った着生根が伸びた頃に姿を消していきます。発芽間もない苗の栄養補助器官のようなものだと思います。

右はカヤランの果実です。一般的なラン科植物の果実と違い、果皮の片側だけが裂開します。種子が飛散するころに、蕾を見ることが出来ます。沢山のカヤランの苗を見て、森町の古民家で見たフウランの実生苗を思い出しました。イヌマキの枝にびっしり生えていました。そういえば果実や種子の形態が似ています。毛糸の繊維のような種子は、風で飛ばされ樹皮に留まりやすいようです。

ラン科カヤラン属カヤラン(Thrixspermum japonicum (Miq.) Rchb.f.)。

ヨウラクランの苗

山間の地にある我が家の庭木では、いろいろな着生ランを見ることが出来ます。種子発芽からどのように成長していくのか、観察してみたいと思っていました。

イヌマキの枝に着生していたヨウラクランの実生苗を撮ってみました。接写用のコンデジを使いましたが、あまりに小さいのでピンボケになってしまいました。

Ap3240065Ap3240068

Ap3240064

こちらの苗は、スケールで測ってみると葉幅が1mmに満たないとても小さなものです。

Ap3240067

こちらが、今回見つかった一番小さな発芽苗です。上に写っているのはセッコクの着生根で、直径1mm程度です。苗がいかに小さいか分かると思います。

ラン科は単子葉植物です。一枚葉の苗を探していますが、まだ発見できません。

ラン科ヨウラクラン属ヨウラクラン(Oberonia japonica (Maxim.) Makino)。


着生ランの根は、水分や養分を吸収・貯蔵する特殊な構造をしているそうです。でも、乾燥により枯れてしまう実生苗も多いと思います。枝に着生する個体は枝の上側ではなく、下側についているものが殆どです。

あるWebページに、温帯から亜寒帯に生育するラン科植物の種子は、完熟すると休眠に入り冬の寒さを経験させないと休眠から覚めない・・というようなことが書かれていました。地域に生育する着生ランは、今頃果皮が裂開し種子を飛散させるものがあります。種子を飛散させる時期によって、例外もあるのではないでしょうか?

2024年3月14日 (木)

姿を消したコクラン

再生畑の隣に、スギ・ヒノキの混合林があります。林床にはコクランが生えていました。様子を見に行くと、姿が見えません。どうしたのだろう?

Ap3130006

上部を何ものかに食べられていました!

Ap3130008

こちらはオオバコのようです。最初はシカかと思ったのですが、他の食痕や足跡からもウサギではないかと思われます。

以前撮った写真ですが・・。

Zp7071757Zp7071753

コクランは、クモキリソウ属(Liparis)とされていて、同属他種は冬に地上部の枯れるものが多いですが、基本的には冬に地上部(葉)が枯れません。

先生から「日本で生育が確認されたラン科植物」の一覧表をあずかり、新記載種やDNA情報の解析により、属名(学名)の変更になったものを追記・訂正しています。少し前までは、コクランは上記のようにクモキリソウ属(Liparis)とされていましたが、最新のYlistでは、下記の二つの学名が標準として記載されていて、従来の学名Liparis nervosa (Thunb.) Lindlは、synonymとなっています。

Empusa nervosa (Thunb.) T.C.Hsu:文献情報(原記載文献など): Orchadian 15: 40 (2005).
Diteilis nervosa (Thunb.) M.A.Clem. et D.L.Jones:文献情報(原記載文献など): in T.C.Hsu & S.W.Chung, Ill. Fl. Taiwan 2: 18 (2016).

2023年4月11日付けの編集によるYlistでは、他の種でも標準学名が2種類記載されたものがあります。これはどうしてでしょう?

2024年3月12日 (火)

ヒイラギナンテン

雨続きや用事が重なって慌ただしい日が続いて、また更新が滞ってしまいました。家族には「ボケなくていい」と言われています。

地域のスギやヒノキ林の中を探索すると、ヒイラギナンテンをよく見かけます。ヒイラギナンテンは、江戸時代に中国から渡来したそうです。

Ap3110001

葉がヒイラギに似ています。触ってみるとヒイラギほど痛くありません。全体の姿がナンテンに似ていることと併せてヒイラギナンテンの和名がつけられたそうです。どちらも魔除けなどの縁起木とされる植物ですから、2倍縁起のいい植物ということになります。

Ap3110011

Ap3110008

萼片9枚、花弁6枚・・どちらも黄色なので全体が花弁のように見えるとあります。萼片は大小があるようです。

Ap3110007

薄暗い林床に生育していることが多い割には、結実率が高いので自動自家受粉するのかと思っていました。「昆虫などが雄しべに触れると刺激で内側に動いて受粉する」そうです。直接雄しべに触れないと動かない(受粉しない)のだろうか?今度確かめてみよう!

メギ科メギ属ヒイラギナンテン(Berberis japonica (Thunb.) R.Br.)。

帰化植物なのに、学名が「japonica」となっているのはどうして?

2024年3月 1日 (金)

ミツマタの花

29日は、委嘱を受けている不法投棄監視パトロールに行ってきました。ポイ捨てゴミばかり見ていると嫌になるので、時々近くの林内を覗いたりしています。

保管庫で眠っていた古い高倍率コンデジで、ミツマタの花を撮ってみました。手振れピンボケ写真ばかり・・カメラのせいです(笑)。

Ap1070218

ここは、テンナンショウ属の調査を依頼されたとき偶然見つけました。林床にはヤマルリソウやアケボノソウなども生えています。この日は、近くでウグイスが鳴いていました。人と出会うこともないので、のんびり自然と触れあえます。

Ap1070215

再生畑ではミツマタの花が咲いていましたが、この場所は比較的高所にあるので開花は少し遅くなります。

Ap2290017

よく見ると、咲き始めたものもありました!

ミツマタの花は花弁がなく、萼筒の先端が4裂して花弁のように見えます。花の形態はかなり違いますが、カンアオイ属と同じですね。

Ap2290011

枝が三つに分かれるのでミツマタの和名がつけられました。でも、二つ又やこのように四つ又になることも稀にあります。図鑑の解説と違うところを探していると、いろいろなことに気づくようになって植物観察が更に楽しくなります。

ミツマタは、中国、ヒマラヤ、東南アジア原産の帰化植物です。日本へは安土桃山時代~江戸時代頃渡来したとあります。富士山周辺では、栽培地の名残と思われる群落を見ることもあります。

ジンチョウゲ科ミツマタ属ミツマタ(Edgeworthia chrysantha Lindl.)。

«カヤランの実生苗