野生蘭

2019年10月14日 (月)

プテロスティリス・オブツサ

今日は予報通り、雨が降ったり止んだりでした。明日も、良くないようですね。

かなり前から、ズキンランの一種、プテロスティリス・オブツサが咲き始めましたので掲載します。

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倉庫の中なので、背景が黒くなるように撮ってみました。花の雰囲気には合っていると思いますが、ちょっと暗っぽかったか・・。

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面白い花でしょ?右には、蕾の状態が写っています。

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この植物は、開花株と未開花株で葉の形が違っています。左が開花株で右が未開花株です。開花株は、芽出し後、茎が立ちあがって来ますので、蕾を確認するまでもなく判別できます。

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以前撮った写真ですが・・。空を背景に撮ってみました。

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こちらは、光で透かして撮ってみました。

ラン科プテロスティリス属オブツサ(Pterostylis obtusa)。原産地は、オーストラリア東部だそうです。山間の地でも、庫内に取り込むだけで冬越し出来ます。栄養増殖で塊茎が増えますが、増えた塊茎が深鉢の底にくっついている事があります。親のすぐ隣ではなく、少しでも離れようとうするところが面白いですね。コンニャク芋の栄養増殖を思い浮かべました。

2019年10月 9日 (水)

ヒトツボクロの葉

家族の用事は、無事終わりました。昨日今日と、沢山の書類に署名・捺印をしました。現役時代にも、同じように幾つもの書類を作成しました。問題があるたびに、確認事項が増え書類も多くなります。いろいろな分野で、書類が複雑化しているようですね。「昔はもっと楽だった!」実感する昨今です。

ある植物の確認に行った時、ヒトツボクロの葉を見付けました。

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葉の色が、通常のように緑ではありません。今迄、このような色の葉を稀に見た事はありますが、葉色の変異だと思って、カラス葉と呼んでいました。

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少し色が薄いですが、こちらも・・。この場所では、緑色の葉が見当たりませんでした。

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横顔です。葉裏の色も、一般的に見られる紅紫色ではありません。どうも、この葉は新しく出て来たもののようです。

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まだ緑色の果実がありました。その株元を見ると、葉が見当たりませんでした。以前も、葉の無い果柄を見た事があります。

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こちらが、一般的な葉です。「光沢のある深緑色、中脈は白色、裏面は紅紫色」とあります。

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反則技で裏面を撮ってみました。

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ヒトツボクロは、偽球茎があります。普通は地中に潜っていて見えませんが、稀に左のように露出している事があります。

右は、深山に生える一枚葉のコハクランで、同様に偽球茎があります。全てではないかもしれませんが、コハクランは秋に葉の更新が行われ、新しい芽が偽球茎の根元から伸びて来ます。その途中が膨らみ新たな偽球茎が出来ます。秋に、偽球茎の露出したコハクランを見付け、新しい葉を辿るとそのようになっていました。古い偽球茎の頭から出ていた葉は、黄色くなっていました。

ヒトツボクロと同じくらいの標高に生える一枚葉で偽球茎を持つサイハイランは、「開花の前後から葉を落とし、秋口に新しい葉を展開する」とあります。ヒトツボクロも、同等に秋に新しい葉が出て、若い内は上のように褐色がかっているのではないでしょうか?身近なところで見られる野生ランも、まだまだ知らない事が沢山あります。季節を変えて観察しなければ!

2019年10月 4日 (金)

クロヤツシロラン

昨年、萌の散歩道の新たな場所で、クロヤツシロランの果実を見付けました。そろそろ花が咲く頃だと思い、様子見に行って来ました。クロヤツシロランは、葉緑素が無く光合成で養分を得る事が出来ません。お気に入りのキノコの菌糸から養分をもらって発芽・生育する変わり者です。

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枯れ枝などをそっと取り除くと、咲き始めていました。地際に咲く上にこの色彩ですから、花の時期に新たな場所で出会うのは至難の業です。果柄が長く伸びる果実期に、自生地を見つけておいて、翌年の花の時期に再訪する事になります。

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こちらは、3個とも咲いています。

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左は、咲き始めのようです。どちらも唇弁が閉じて(上がって)います。ショウジョウバエなどが、臭いに釣られて唇弁に止まると、蝶番が動いて花の内部に閉じ込められ、受粉する仕組みになっているそうです。今年追いかけたテンナンショウ属の雌花にも、通ずるところがあります。

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耳のような、側花弁が可愛いでしょ?

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こちらの花は、唇弁が開いています。唇弁の毛も、特徴の一つです。

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唇弁の所に見える白い物体は、花粉塊かな?

ここのようなヒノキの林床では、スギの葉の堆積した自生地より、花茎が更に短く地面に置かれたような咲き方です。クロヤツシロランは、スギ、ヒノキの林、竹林、そして稀(富士市では)に常緑広葉樹林の林床でも見る事があります。多様な共生菌に対応しているのだと思います。古い記録では、アキザキヤツシロランと混同されていたようで、クロヤツシロランの自生地と思われる場所に、アキザキヤツシロランが記載されていました。アキザキヤツシロランの自生地は竹林が多く、稀にスギ林に生える事もあります(昨年確認しました)。

最近、コメントへ返信してもテンプレートの「最近のコメント」だけでなく、記事中への表示が遅い事があります。ココログの不具合だと思います。ご容赦ください。

2019年10月 3日 (木)

着生ランの果実

今日も、仮払い機と耕運機を使ったので、腕が痛い!でも、素人農業も機械があると助かります。「鍬で・・」なんて考えただけで、ぞっとします。

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帰宅して栽培棚を見ると、セッコクの花が咲いていました。セッコクの花期は、5月~6月上旬なので、狂い咲き(返り咲き)ですね。蕾もありました!

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本来の開花時期より、弱々しく感じます。隣の株には、果実が生っていました。我が家では、花数の割に果実は稀です。

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こちらは、カヤランです。とても小さな花をつけますが、こんな細長い果実が生ります。

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山間の地では、風に乗ってやって来た種子が、庭木で発芽する事もあります。左は、アセビの枝に着生しているカヤランです。良く見ると、もう来年の蕾が出来ています。準備が早いですね。果実が裂開して種子を飛ばす頃、花が咲きます。

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左は、ムギランの果実で、右はクモランです。クモランは、葉が無く短い茎から平打ち麺のような根が放射状に出ています。ちょっと不気味でしょ?

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クモランも、風に乗ってやって来ました。針葉樹の盆栽で最初に見つけ、その後サクラやイヌマキでも見付けました。根で光合成をする変わった植物です。

農作物のために、雨が降るのを待っていますが、望むとなかなか降ってくれません。今夜は、降るかな?

2019年10月 2日 (水)

ヤクシマヒメアリドオシラン斑入り葉

市内の山林に生えるヤクシマヒメアリドオシランの、花後の様子と斑入り葉を観察して来ました(混生地なので、掲載写真の中に、ハクウンランが混じっているかもしれません)。

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ヤクシマヒメアリドオシランは、富士市近郊では7月末から8月上旬にかけて咲きます。ハクウンランに似た花ですが、唇弁の裾が斜めに切れ込んでいます。

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果実が膨らんでいました。左は、アルビノに少し緑の残るような葉です。開花株で、通常葉でないものを初めて見ました。茎や萼片・花弁の色が果実にも引き継がれます。この色の違いも気になっています。

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こちらが通常葉です。分岐した茎の多さから、ヤクシマヒメアリドオシランだと思います。スギの葉が覆い被さっていても、もやしのように白くならずにいます。

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もやしのようなアルビノの個体もありました。茎まで白っぽいですね。そして、右が今回気になった葉です。中央付近に置いた通常葉と比べてみてください。もしかしたら、この葉は左のようなアルビノの葉が、時間の経過と共に緑を帯びて来たのでは?なんて思いながら観察しました。

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上右と似たような葉の個体は、結構ありました。

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上と違う、斑入り葉を集めてみました。

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私が知る自生地の中で、斑入り葉の出現率が一番高いのは、今回調べた場所です。他でも見かけますが、稀だと思います。スギの葉が堆積して、湿気を帯びたような場所に多く見られます。

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ヤクシマヒメアリドオシランは、光合成も行っている部分的菌従属栄養植物です。共生菌の状態が良く、依存度を上げられる場所では、斑入り葉の出現率が高くなるのかも知れません。

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スギの葉のマットが厚いところでは、少し摘まんだだけで抜けてしまいます。根は退化して、こんな状態です。ヤクシマヒメアリドオシランは、スギやヒノキのマットの殆ど無い場所にも生えているのを見た事があります。もしかしたら、そこの個体はもっと根が発達しているかもしれません。右は、自生地のスギの葉に絡み付いていた菌子です。共生菌かは分かりませんが・・。

2019年9月27日 (金)

調査で出会った植物

市内の山林に、ある植物の調査に行って来ました。花の時期だけでなく、季節を変えてその変化を見るのも楽しいものです。調査植物?それは秘密です。

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この辺りでは、かなり前に咲き始めたツリフネソウの花が、まだ咲いていました。そして、ヤマホトトギスの花が終盤を迎え、ホトトギスの花期に移り始めたようです。

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少し暗めの林内で目につくのは、シロヨメナの花です。そして、日当りの良い林道脇には、オトコエシの花が咲いていました。萌の散歩道にも咲くこの花は、思ったより長持ちするようです。そういえば、最近オミナエシの花が見られなくなりました。

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近くに行ったついでに、ベニシュスランの果実を探してみました。以前から思っていたのですが、開花株が多い割に、果実を見るのは比較的稀です。薄暗い林床に生え、アヒルの嘴みたいな花をつけるのに、自動自家受粉ではないようです。この植物も、蕾は上を向き、花は横を向いて咲き、果実は上を向いて熟します。ご苦労な事です。

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ベニシュスランの葉の斑も、見歩くと結構綺麗なものがあります。どちらも色が明るく、新たに出現した若い葉でしょうか?


明日は地区の秋祭りです。準備などを手伝いに行きます。なんとか天気が持ってくれると良いけど・・。

2019年9月10日 (火)

不法投棄監視パトロールで出会った植物

今日も暑い一日でした。萌の朝散歩で、Tシャツがびっしょり・・洗濯係は大変です。今日の記事は、不法投棄監視パトロールで、出会った植物を集めてみました。

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林道脇で、飲料水の缶を回収していると、ムカゴイラクサが集団だ生えていました。うっかり触ってしまい、何度痛い目に遭った事でしょう。左が雌花序で右が雄花序です。

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ヤブハギ(と思う)の小さな花が、薄暗い林道脇で目につきました。こうして接写してみると、綺麗な色合いの花ですね。

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ツルリンドウも、花期がやって来ました。冬のパトロールでは、この植物の赤い果実を良く見かけます。

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地面に生えるミヤマウズラと、サクラの木に登ったミヤマウズラです。比較的出会い易い野生ランですが、同じ自生地を複数回見ていると、この植物は結構難しい生き方をしていると思っています。

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左はヤクシマヒメアリドオシランです。数年前なら、この葉を見ても気に留めなかったと思います。このエリアで最初に出会ったのは、このポイントでした。その後、彼方此方探索して、ここにも広範囲に生えている事を知りました。クモキリソウの葉は、そろそろ落葉の準備を始めたのでしょうか?どれもこんな色になっていました。

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ウメガサソウの果実です。初めてこの植物を見付けた時、図鑑(草本の)を調べても掲載されておりませんでした。その後、この植物が木本である事を知りました。APGでは、イチヤクソウと同じくツツジ科に改められました。

他にも気になる植物を撮りましたが、今回はこの辺りで・・。希少植物を追い求めるのも楽しいですが、地域の植物の無事を確認して歩くのも楽しいものです。

2019年9月 3日 (火)

ヒメミヤマウズラとその仲間

ミヤマウズラは比較的低山に生えますが、ヒメミヤマウズラは亜高山帯の針葉樹林に生えます。「ヒメ」の名がつく通りとても小さな葉の野生ランです。

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葉には、綺麗な斑が入っています。見歩くと、個体毎に微妙な違いがあります。

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小さな花ですが、苔むす林床では意外と目を惹きます。

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萼片や花弁、花茎にも細かい毛が生えています。背景様に、黒いスポンジを持って行けば良かった・・。

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かなり画質が落ちますが、デジタルズーム併用で接写してみました。細かい毛は、腺毛のように見えます。

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少し前にも登場しましたが・・。こちらが、低山に生えるミヤマウズラの花です。並べて見ると、かなり違いますね。

少し気になっているものを掲載します。

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こちらは、標高1,200mくらいの所で見付けました。上のように花が接近しておらず、離れています。今年も咲いていたら、また掲載します。

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左が、低山で普通に見られるミヤマウズラの葉です。
右は、標高2,000mを超す針葉樹林で見付けました。最初は、ミヤマウズラかと思ったのですが、一緒に写っているコメツガやカラマツの葉と比べて分かるようにとても小さな葉です。でも、他地域で見るヒメミヤマウズラのように、斑が目立ちません。

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こちらも、標高2,000mを超す針葉樹林内で見付けました。花茎が上がっていますが、タイミングが合わずまだ花を見た事がありません。上右とこちらの個体が生えていたのは比較的近い林ですが、このエリアでは斑の綺麗なヒメミヤマウズラは見当たりませんでした。

2019年8月21日 (水)

ツリシュスラン

樹上に生えるラン科シュスラン属ツリシュスラン(ヒロハツリシュスラン)の記事です。高い所に生えるため、見難い写真ばかりで恐縮ですが・・。

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この野生ラン探索は、木々の葉が落葉した晩秋から冬が一番です。こちらは似た写真ですが、違うブナの木に着生していました。それにしても、過酷な環境のしかも樹上を棲みかに選んだのはどうしてでしょう?

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こちらもブナです。溝の所に生えていて暗めの写真になってしまいました。高倍率のコンデジでデジタルズーム併用で撮ってみました。

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各々別のイタヤカエデの樹上に着生していました。蕾の時の様子です。花序は下を向いて伸びます。

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蕾が膨らみ始める頃には、花序が首をもたげて来ます。

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デジタルズーム併用で・・。かなり画質が荒くなってしまいましたが、右の写真で花の形が少し分かります。やっぱり、同倍率ならストロボの強いSonyの方が良いかな・・。

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こちらは、Sonyのコンデジで・・。終盤を迎え子房が膨らみ始めた頃です。右の写真で分かるように、どの子房も膨らんでいます。自動自家受粉するのでしょうか?

富士市植物仮目録には、ヒロハツリシュスラン(var. brachyphylla)の記載があります。「本州中部以北のものは、一般に葉が広くヒロハツリシュスランとされる」とあります。平成16年版の静岡県版レッドリスト及びRDB検索システムには、ツリシュスランの記載はなくヒロハツリシュスランが記載されておりますが、隣県の山梨県では、RDB検索システムに、ツリシュスランが記載されています。手元の古い図鑑には、詳しく記されておりません。日本のランハンドブック②の発売が待たれます。

ヒロハツリシュスランは、環境省RDB、静岡県共絶滅危惧ⅠB類(EN)に指定されています。

2019年8月20日 (火)

トンボソウ

今日も「天気予報コム」の一時間予報が大当たりでした。萌の夕散歩を、早めにしておいて良かった!

ツレサギソウ属の野生ランは、似たものが多くて迷ってしまいます。我が家の近くで見る事の出来るものに、オオバノトンボソウ(ノヤマトンボ)とトンボソウがあります。この日は、少し標高の高いところでトンボソウに出会いました。

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薄暗いところが好きなようで、スギやヒノキ林の下草の中で見る事が多い野生ランです。老眼には辛い、とても小さな花なので、フラッシュを暗めに調整して撮ってみました。

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隣に生えていたものと別のところで撮ったものです。どこで撮っても、上手く撮れません・・。

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花を接写してみました。T字形の唇弁が特徴です。目のように見えるのは葯(花粉袋)です。

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別のところで撮った花も掲載します。和名の由来は、花の姿をトンボに見立てたそうです。この小さな花からトンボを連想する想像力は、私にはありません。

トンボソウは、まとまって生えている事が多く、実生発芽したものかと思っていたら、「地中の根から不定芽を出して繁殖する」とあります。

ラン科ツレサギソウ属トンボソウ(Platanthera ussuriensis (Regel et Maack) Maxim.)。「トンボソウ属(Tulotis)とされる事が多かったが、DNA情報を用いた解析の結果、ツレサギソウ属に含める事が適当」とあります。日本のランハンドブック、Ylist共に前記を標準学名としています。

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