腐生植物

2019年10月16日 (水)

スギ林に生えるアキザキヤツシロラン

萌の散歩道で、クロヤツシロランの花を見た時から、アキザキヤツシロランの事がずっと気になっていました。あれから10日以上経ちます。「もう、花は無理かもしれない。しかも猛烈な台風の後だし・・。」そう思いながらも、竹林より標高の高いスギ林の自生地を覗いてみました。

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予想通り、スギの葉が沢山落ちていました。堆積した葉をそっと退かすと、まだ蕾や花の咲いているアキザキヤツシロランが残っていました。

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こちらにも・・。アキザキヤツシロランを、同じ場所で時期をずらして観察した事は殆どありませんが、クロヤツシロランの場合は、同じ場所で半月以上遅れて咲く個体もありました。

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撮っていた時は気付きませんでしたが、右の花には虫が写っています。ヤツシロラン類のポリネーターとして、ショウジョウバエが確認されていますが、この日は出会えませんでした。ところで、この虫は何でしょう?

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大半は子房が膨らみ、果柄が伸び始めていました。茶色い部分が花茎で、白っぽい部分が果柄(花柄)です。花後に果柄が伸び、果実が熟すと果皮が裂開して塵のような種子を飛ばします。

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このスギ林には、クロヤツシロランも生えています。アキザキヤツシロランと似た果実ですが、色が違いますね。

一般的に、アキザキヤツシロランは竹林に生えます。ところがこの場所は、スギ林の上にクロヤツシロランよりも個体数が多く確認出来ました。クロヤツシロランも竹林で見る事はありますが、スギ林に生えるアキザキヤツシロランはかなり稀だと思います。

2019年10月 4日 (金)

クロヤツシロラン

昨年、萌の散歩道の新たな場所で、クロヤツシロランの果実を見付けました。そろそろ花が咲く頃だと思い、様子見に行って来ました。クロヤツシロランは、葉緑素が無く光合成で養分を得る事が出来ません。お気に入りのキノコの菌糸から養分をもらって発芽・生育する変わり者です。

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枯れ枝などをそっと取り除くと、咲き始めていました。地際に咲く上にこの色彩ですから、花の時期に新たな場所で出会うのは至難の業です。果柄が長く伸びる果実期に、自生地を見つけておいて、翌年の花の時期に再訪する事になります。

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こちらは、3個とも咲いています。

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左は、咲き始めのようです。どちらも唇弁が閉じて(上がって)います。ショウジョウバエなどが、臭いに釣られて唇弁に止まると、蝶番が動いて花の内部に閉じ込められ、受粉する仕組みになっているそうです。今年追いかけたテンナンショウ属の雌花にも、通ずるところがあります。

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耳のような、側花弁が可愛いでしょ?

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こちらの花は、唇弁が開いています。唇弁の毛も、特徴の一つです。

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唇弁の所に見える白い物体は、花粉塊かな?

ここのようなヒノキの林床では、スギの葉の堆積した自生地より、花茎が更に短く地面に置かれたような咲き方です。クロヤツシロランは、スギ、ヒノキの林、竹林、そして稀(富士市では)に常緑広葉樹林の林床でも見る事があります。多様な共生菌に対応しているのだと思います。古い記録では、アキザキヤツシロランと混同されていたようで、クロヤツシロランの自生地と思われる場所に、アキザキヤツシロランが記載されていました。アキザキヤツシロランの自生地は竹林が多く、稀にスギ林に生える事もあります(昨年確認しました)。

最近、コメントへ返信してもテンプレートの「最近のコメント」だけでなく、記事中への表示が遅い事があります。ココログの不具合だと思います。ご容赦ください。

2019年9月11日 (水)

アキノギンリョウソウと青いキノコ

今日は小学生との観察会でした。みんな熱心に、私の下手な解説を聞いてくれて嬉しかったです。まだ学校で学んでいない光合成を、ちゃんと言える子がいました。そこで、簡単に光合成をしない植物の話をしました。実物を見ないと分かり難いので、探しながら歩いていると・・。

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子供たちが見つけてくれました!アキノギンリョウソウ(ギンリョウソウモドキ)です。

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良く似たギンリョウソウは、場所によってピンクがかったものを見る事があります。このアキノギンリョウソウも、ご覧のようにピンク系のものがあります。

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アキノギンリョウソウとギンリョウソウは、花期の姿は似ていますが果実が違います。アキノギンリョウソウは蒴果(左)、ギンリョウソウは液果(右)です。シャクジョウソウと似ていますが、シャクジョウソウは複数の果実をつけ、アキノギンリョウソウは一つの果実をつけます。いずれも、旧分類体系ではイチヤクソウ科或いはシャクジョウソウ科でしたが、イチヤクソウと共にツツジ科に改められました。

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次は、青いキノコです。青いキノコには、ロクショウグサレキン(柄が中心にある)やロクショウグサレキンモドキ(柄が偏っている)があるそうです。これは?

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以前撮った写真も掲載します。花もキノコも、青い色のものは不思議な魅力がありますね。

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私の探索範囲では、いろいろなキノコを目にしますが、この色のキノコに出会う事は稀です。

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こちらは、比較的低山出会いました。上のキノコよりずっと小さいタイプです。ヒメロクショウグサレキンと教えて頂きました。

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接写してみました。

このところ、山野を歩く機会が少なく、LAN-DISKの蔵出し画像が多く登場しています。DISK内のフォルダ整理を始めましたが、撮ってすぐにやっておかないと、返って手間がかかりますね。

2019年8月11日 (日)

ギンリョウソウ

少し前に、野生ランの調査に行って、ギンリョウソウの果実を見付けました。

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遅い時期のギンリョウソウは、小さな丈のものが多いように思います。右は、果実が膨らみ始めていました。昨年、一昨年とこの果実を探し歩きました。探すとなかなか見つからないものですが、その必要がなくなると彼方此方で見かけます。

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ギンリョウソウの果実は液果です。数年前に、この果実を食べ種子を運ぶ生き物として、モリチャバネゴキブリが確認され話題になりました。その後、別の研究者によってカマドウマの仲間も種子を運ぶ生き物である事が確認されました。しかも、キバナノショウキランやキヨスミウツボの種子を運ぶ事も、併せて確認されたのです。ゴキブリやカマドウマというと、家の近くで見るだけのような気がしますが、いろいろな種類がいるようですね。

カマドウマの仲間は、富士山南面の標高1,200mを超す辺りで見た事があります。こちらは、コロニーを形成するのか、同じ場所で数十匹確認しました。森林に棲むというモリチャバネゴキブリは、どのくらいの標高まで生息しているのでしょう?ギンリョウソウは、標高2,000mを超す亜高山帯にも生えています。カマドウマの仲間やモリチャバネゴキブリは、亜高山帯にも生息するのでしょうか?

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ギンリョウソウには、左のように花の部分がピンクのものや、青みがかったものもあります。そして、右は鱗片まで紅色の品種ベニバナギンリョウソウです。こちらは極めて稀で、果実も紅色を帯びるようです。

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花の先端部を接写して見ました。メシベの先端は平たく紺色です。その周りに、オシベが並んでいるのが分かります。ギンリョウソウは、APGでツツジ科に分類されています。

2019年8月 5日 (月)

トサノクロムヨウラン

雨続きはジメジメして苦手だけど、晴れれば晴れたで、毎日暑くて大変です。神様は、きっと「我が儘な奴だ!」と思っている事でしょう。

藪蚊に刺されながら、トサノクロムヨウランの様子を見て来ました。ところが、タイミングが悪く全開の花を見る事は出来ませんでした。

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残念、またダメだ!でも、蕾はいっぱいあるから、チャンスはまだある!

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萼片や側花弁が少し開いている所に、的を絞ってみました。

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撮れる方向が限られてしまい、同じような写真ばかりですが・・。でも、蕊柱が見えています。唇弁の先端しか見えなかった昨年に比べれば、かなりな進歩です。

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モニターが見れないので、感で下から撮ってみました。半開くらいには見えるでしょ?懲りずに、また挑戦してみるつもりです。

それにしても、雌の藪蚊に好かれて困りものです。痒くてたまりませんでした。

2019年8月 3日 (土)

ヒナノシャクジョウ

静岡は暑かった!義母の家で、庭木の剪定や植え替えを行いました。汗が目に入り、幾度もタオルで拭いました。予定中半で挫折して、エアコンの効いた部屋でビールで水分補給しました。

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ヤクシマヒメアリドオシランの分布域を調査に行った時、ヒナノシャクジョウの様子を見て来ました。最初の場所では、まだ姿を現したばかりの個体もありました。集っているのは、ダニだろうか?

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蕾の先端部が褐色に変色していませんから、まだ開花前です。こういう新鮮な個体に出会う事は、比較的稀です。

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こちらもまだ開花前で、右の先端部が黄色味を帯びているのが、最初に咲く花です。

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少し標高の低い二番目の場所では、かなり開花が進んでいました。先端が褐色になっているのは、咲き終わった花です。左に、1個咲いています。花は一気に咲かないで、1~2個ずつ咲いて行きます。

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左は1個、右には2個咲いています。2個同時に咲いているのは、あまり見かけません。

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花を接写、デジタルズームしてみました。

ヒナノシャクジョウは、光合成を行わない菌従属栄養植物(腐生植物)です。専門家の研究によって、アーバスキュラー菌根菌と共生する事が明らかになっているそうです。この菌は、光合成をする植物から養分(炭素源)を得て生活しているそうですから、三者共生をしている事になります。今迄、実生栽培実験をやって来た二者共生のヤツシロラン類よりも、更に難しい生き方をしている事になります。光合成をする植物は、大きくないとダメなのかな?

2019年7月25日 (木)

オニノヤガラ

オニノヤガラは、葉緑素を持たず光合成を行わない菌従属栄養植物(腐生植物)です。数年前、この植物の調査依頼を受け、開花時期に見に行ったところ、シカの食害(と思われる)に遭っていました。

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今年は、無事なものが見つかりました。オニノヤガラは、発芽の時はクヌギタケ属などを共生菌として、生育時はナラタケ属と共生するそうです。この大きな野生ランは、ヤツシロラン類のような小さな容器では育てられませんから、自生地と似た環境で実生栽培実験をしてみたいものです。中国では、栽培キットが売られているそうです。さすが漢方の国ですね。

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このまま、無事に結実してほしいものです。

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面白い形の花ですね。背萼片、側萼片は合着して壷状になっています。中に側花弁(×2)と唇弁があります。ちょっと分かり難いかな?

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横顔です。

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訪問者は、アリとこの赤いクモでした。

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こちらは、標高が700mくらい低い所で、数年前に撮ったオニノヤガラです。軸や花色が違いますね。標高が高くなると、花が緑っぽくなるようです。

ところで、オニノヤガラは多年草との事ですが、全く同じ位置で、翌年も花を見た事がありません。花後に数年間休眠するのか?或いは、オニクなどと同じように花が咲き結実すると枯れてしまう一捻性(一回結実性)なのか?ご存知の方教えてください。

2019年7月13日 (土)

トサノクロムヨウラン様子見

今日は、義母の家に行ったついでに、トサノクロムヨウランの様子を見て来ました。いつもは車で近くまで行くのですが、早い時間だったので、途中で降ろしてもらい徒歩で行きました。さすがに義母の家までだと昼までに着きませんので、最寄りの駅から電車に乗りました。最寄りの駅も遠かった・・。

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この付近には、左のようなムヨウラン類の果実期の姿が沢山見られます。丈などからエンシュウムヨウランだと思います。この時期に、右のような花径が伸びているのは、トサノクロムヨウランです。でも、周辺を探しても他には見当たりません。

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この様子だと、花を見る事が出来るのは7月下旬かな?後の花柄子房はやけに長いですね。

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5本くらいの花径が伸びていました。今年は、全開の花を見逃さないようにしなくては!右が一番早く咲くかな?

予想外の距離を歩いたため、とても疲れましたが、徒歩の自由さを満喫して新鮮な散策になりました。「あの距離を、良く歩いたね!」とは、家族の弁でした。「用事が済んだなら迎えに来てくれよ!」

2019年6月30日 (日)

近くに生える野生ラン

野生ランの蕾が、膨らんだり咲き始めています。比較的、身近なところで出会った野生ランを集めてみました

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萌の散歩道に生えるコクランです。軸や花色に変異があって、それを見比べるのも楽しいです。

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ネジバナも、庭先の芝生などで見る事が出来ます。こちらも、花色や花の付き方などに変異があって面白いです。ただ、数年前に比べて個体数は減少しているように思います。

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近くの山林で見る事が出来る、ノヤマトンボ(オオバノトンボソウ)です。沢山の開花株に出会いますが、食害や病気などで、無事花を見る事が少ない野生ランです。

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主として見ている自生地ではありませんが、ベニシュスランの開花も間近なようです。

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こちらは、ヒトツボクロの果実です。結実率が良いですね。毎年花の時期を逃しています。この個体は、葉が見当たりませんでした。偽球茎を持ち、共生菌への依存度が高いそうですから、枯れる事は無いかな?

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こちらは、昨日の外来植物駆除の時見付けたツチアケビです。多年草(地上に姿を現さなくても、根茎が生き続ける)ですが、毎年同じ場所で花を見る事の難しい植物です。場所によっては、5年後に再会した事もあります。

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ツチアケビはこんな花が咲きます。黄色い唇弁のフリルが、洋ランを思わせるようです。

この他にも、ヤクシマヒメアリドオシランやハコネランの蕾が膨らみ始めていました。最近、山野を歩く時間が少なくなりました。でも、たまに行って視点を変えて探索すると、新たな発見があって楽しいです。

2019年6月22日 (土)

ヤツシロラン類根状器官

今日は、野菜だけでなく、いろいろな実生床の準備をしました。
また、女子受けのしない記事ですが・・。

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これは、再生畑②で伐採した笹の葉と茎を細かく刻んだものです。師匠のアドバイスで、ヒメヤツシロランの実生栽培容器に追加するマットとして準備しました。言わば共生菌の餌です。私は自生地に行った事はありませんが、写真で見たその場所は笹が生い茂っていましたので、孟宗竹ではなく笹を使っています。

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ヒメヤツシロランの容器を覗くと、何ヶ所からか根状器官が伸びていました。これを見ると、塊茎の無事が確認出来ます。

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こちらは、プラ容器の壁を這い上がろうとしていた根状器官です。菌糸と接触させるため、部材の上に寝かしました。

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こちらは、菌糸との接触部が変色しています。このまま、菌糸が枯れなければ、やがてイボのようなものが出来ると思います。

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5月29日に撮った、ヒメヤツシロランの様子です。今年は幾つかの蕾がつきましたが、開花に至らず一つ一つ落ちて行きました。

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本日の様子です。もう開花は望めないと判断し、花茎を切断しました。

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次は、ハルザキヤツシロランの容器です。同じく根状器官が伸びていました。それにしても、部材の中の塊茎が上手く育たなかったのか、数えるほどしか見当たりません。ヒトデの触手のように伸びて来た、クロヤツシロランに比べると雲泥の差です。

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こちらも、菌糸との接触部分が変色しています。

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ハルザキヤツシロランの容器に出現した、とても小さな子実体です。傘の感じからすると、ホウライタケの仲間でしょうか?

ところで、疑問に思っている事があります。ヒメヤツシロランとハルザキヤツシロランの根状器官は、花が終わり始めた頃、部材から顔を出しました。ハルザキヤツシロランは今年初めてですが、ヒメヤツシロランは昨年も同じでした。素人考えでは、開花前に根状器官を伸ばして養分を吸収し、花が終ると休眠するのではないかと思っています。ただ、根状器官を伸ばしたのが、開花株ではなく未開花株だけなのかは分かりませんが・・。

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