カゲロウラン花の確認
今迄、地域で発見したカゲロウラン(3個体)の記事を、幾度か掲載しました。でも、まだ確認しなければならない事がありました。
初めて出会った時は、このような状態(果実期)でした。葉の特徴や花の名残からカゲロウランと判断しました。でも、まだこの個体の花を確認した事がありませんでした。
発見時の生育場所が、シカのたまり場になって踏みつけられていたため、別の場所へ移植しました。県中部でしか見た事の無かった別種の野生ランは、踏みつけられた後に姿を消してしまいました。それが分かった時、移植しておけば良かったと今でも後悔しています。
現在の、葉の様子です。真ん中の個体は、栄養繁殖により2本の花茎が上がっていました。まだ大丈夫だろうと思っていた花は、殆ど終盤を迎えていました。遅かったか・・。
先端にまだ無事な花がありました。これで間違いないと思います。このまま無事を見守って行きたいと思います。
この野生ランはとても結実率が高く、花がすぐに終盤を迎える事などから、自動自家受粉をするのではないかと思っています。
ラン科キヌラン属カゲロウラン(Zeuxine agyokuana Fukuy.)。
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もちこさん、お早うございます。
県西部にお住まいでしたか。
そちらには、良く似たヤクシマアカシュスランが生育していると思います。
掲載したカゲロウランを初めて見た時、どちらか迷いました。
ラン科植物の種子は、自身で発芽する養分を持たないため、キノコ(菌類)から養分をもらって発芽します。
その後も、光合成をしながら、キノコからも養分をもらって生活するそうです。
また、ギンリョウソウと同じように腐生植物と呼ばれているランの仲間は、全てをキノコに頼って生きています。
こんな事に興味を持ったのは、神戸大の若い先生との付き合いがあったからです。
希少植物の保全活動もされているとの事、観察だけでなくそういう人が増えてくれる事を願っています。
拙いブログですが、またご訪問下されば嬉しいです。
投稿: やまぶどう | 2020年11月10日 (火) 04時29分
貴重なお話を有り難う御座います。
キノコとの関係、ギンリョウソウでは聞いたことがありました。
なんと興味深い!
今回は素人な質問に丁寧にお答え頂きました事、感謝します。
大変遅れましたが、当方、県西部です。
素人ながら希少植物の保全活動にかかわっています。分からないことばかりです。
また、勉強させてください。ありがとうございました。
投稿: もち子 | 2020年11月10日 (火) 02時27分
もちこさん、今晩は。
日本のランハンドブックには、野生ランの生育林が記載されていますが、地域によっては全然違う樹種の林に生育している事もあります。
クロヤツシロランは、竹林、スギ林、落葉広葉樹林などいろいろな環境に生育しています。
でも、同じヤツシロラン類でも、アキザキヤツシロランは竹林が殆どです(極稀に、スギ林などでも見る事があります)。
もしかしたら、解明されている共生菌とは別種の菌類から養分をもらっている事があるのかもしれません。
ヤツシロラン類の栽培法を考え出したのは、タンザワサカネランの発見者である稲垣さんです。
無菌播種で発芽は可能だそうですが、花を咲かせるまでには至りません。
稲垣さんの方法は、発芽から生育までキノコの菌糸を繁殖させた容器内で育てる自生地再現栽培です。
キノコの菌糸が違っていると、全然発芽してくれませんが、合っていると20日くらいで発芽が確認出来ます。
素人の私は、縁あって稲垣さんの弟子になり、運よく花を咲かせる事が出来ました。
カゲロウランは、温暖な西の方だけに自生していたそうですが、最近では静岡県でも見られるようになりました。
これから、生育範囲を広げて行くと思われます。
また、野生ラン探索のお話を聞かせてください。
投稿: やまぶどう | 2020年11月 9日 (月) 18時13分
おはようございます。ありがとうございます。
アカマツ林内の遷移のやや進んだ感じのところです。ちょうどクロヤツシロランの果実を見付け、周囲を見渡したらカゲロウランを見つけました。
スギの落葉の保湿性や種子の保持にてきしているなら、アカマツでもよいのでしょうか?当地はアカマツと広葉樹の混ざったという感じ。
ヤツシロラン類、栽培できるのですね。
今年見つけたクロヤツシロランはアカマツ・広葉樹でした。
カゲロウラン、クロヤツシロラン、生育環境に幅があるタイプ、とでもいえるのでしょうか。
大変勉強になります。ありがとうございます。
投稿: もち子 | 2020年11月 9日 (月) 10時29分
もちこさん、お早うございます。
スギの葉や球果も落葉樹の落ち葉が堆積した場所も共生菌の適地だと思います。
日本のランハンドブックには、落葉広葉樹林の林床を生育地として挙げています。
でも、富士市ではベニシュスランなどもスギ林に大きな群落をつくっています。
落葉広葉樹林でも確認しましたが、生育範囲はかなり限定されています。
シュスラン属やキヌラン属を探すとしたら、私はまずスギ林に目を向けます。
林床が薄暗い事もあり、堆積したスギの葉や球果は保湿性が高く、共生菌の繁殖に向いていると思います。
私は、光合成をしない野生ランのヤツシロラン類の実生栽培を行っています。
この培地として一番適しているのが、スギの葉と球果です。
飛散した種子が湿度のあるスギの葉の中に潜り易い事も、実生での生育範囲を広げられる要因だと思います。
投稿: やまぶどう | 2020年11月 8日 (日) 09時01分
お早うございます。ありがとうございます。
やはり湿気た環境なんですね。
2ヶ所ともスギは周りにありませんでしたが…それぞれ、20株はありそうでしたから、適所かな、と思われました。
探索ポイントに、スギのある…は良くみる表現ですが、単にスギが多いからなのですか?
質問ばかりですみません。
投稿: もち子 | 2020年11月 8日 (日) 07時53分
もちこさん、お早うございます。
県中部で見たカゲロウランは、細い沢沿いの急峻なスギ林にありました。
掲載したものは、スギが少し混じった平坦な落葉広葉樹林にありました。
思うに、ベニシュスランなどと似た環境を好むようです。
この種は、共生菌への依存度が高いそうなので、土壌湿度の高いスギ林などが向いていると思われます。
投稿: やまぶどう | 2020年11月 8日 (日) 06時35分
はじめまして。
カゲロウラン、今年の春花後の株を見つけ、その後、なんとか花を見ることができました。可愛らし過ぎますね。
それらは、かなりしっとりした、湧水の流れ沿いの谷底にありました。
このブログのカゲロウランはどのような環境にあるのでしょうか。
また、やはり高低差のある別の湧水の流れの斜面にもありました。そこは真っ暗、じめじめ。
生息環境について知りたいので教えていただけませんか?
投稿: もちこ | 2020年11月 7日 (土) 21時29分