実験場のサワトラノオ(3月下旬)
あまり変わり映えしない記事ですが、実験場のサワトラノオの様子を掲載します。
実生床の一つだった、鍋焼きうどんアルミ容器の苗を、植え替えせずに置いたものです。播種時期ではなく、秋口頃に発芽した苗は、先輩株に光を遮られ駆逐されて行きます。間隔を空けての植え替えは、発芽した苗を無駄なく生育させる事が出来ます。
プランターに移植した苗は、個体毎に生育の差はあるものの、枯れるものなく育っています。実生一年に満たない株が、複数本に株立ちする事を知らずに植付したため、ピッチが狭すぎました。
以前の記事で、生育の早かった個体は、秋口に大きな葉を落とし小さな葉のロゼットになると書きました。ロゼットの葉は、葉が短く丸みを帯びています。そしてロゼットにならずに成長した葉は細長く、上部のものは縁が波打っています。今冬は、例年にない暖冬だったため、紅葉もせずロゼットになったのはホンの数個体でした。山間の地とは言え、建物の東向きの庇下に置いたため、寒風に晒される事も少なかったようです。
個体によっては、株元だけでなく葉腋からも次々と茎が伸びて来ます。
茎が1本のものもあれば、3~4本伸びて来たものもあります。自生地で見た時は、障害物のために種子散布が有効に行えず、複数本がくっついて生えていたものと思っていましたが、1個体からの株立ちも多いであろう事が分かりました。ただ、この茎は果実が熟して播種後には枯れますので、元の根っこが枯れて各々の茎から伸びた太い根を従えた新芽が、翌年は独立(株別れ)するのかもしれません。
上で書いた太い根とは、この写真の緑色の根の事を指します。細い根は表層近くを縦横無尽に走っているようです。水中生活しているサワトラノオには、太い根だけで細い根はありません。細い根は、抽水用の器官かな?なんて素人は考えています。この二種類の根が、サワトラノオの生育サイクルに従って、どのように変化するのか知りたいと思っています。
草丈は同じくらいでも、葉腋から出て来た芽がこんなに違うのはどうしてだろう?このサワトラノオ達の兄弟は、既に蕾が姿を現したそうです。実生栽培実験により、播種の翌年花を咲かせる事も分かりました。自生地で、この確認をするためには、単体隔離(単体移植)して観察する必要があります。
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