果実になっていたアキザキヤツシロラン
師匠から近況報告を頂き、久々にヤツシロラン類の実生栽培実験容器を覗いてみました。アキザキヤツシロラン栽培容器の蓋を開けると・・。
あっ、果実が出来ている!実は、昨年途中から無加温にしてみました。ところが、地域における通常の開花時期(9月下旬~10月上旬)になっても、花芽の姿がありませんでした。菌糸の状態は良かったのですが、温度の影響かもしれないと考え、そのまま放置していました。
10月下旬に、ワーディアンケースの配置換えをした時に、すべての容器を確認していますが、やはり花芽は見られませんでしたので、咲いたのは11月~12月頃でしょうか?
花茎と果柄を接写してみました。クロヤツシロランに比べると、花茎がずっと長くなっています。マウスを乗せると、花茎と果柄の境が見えます。
仮称根状器官に虫状器官が出来ています。イボのような虫状器官が出来ると、塊茎の成長が早くなります。共生菌の棲みか・・マメ科植物の根に出来る根粒のようなものだと思います。マウスを乗せると、花を咲かせず腐ってしまった花芽とその塊茎に切り替わります。二つ繋がった塊茎の途中から、小さな塊茎か芽のようなものが見えます。この辺りの変化は、まだちゃんと観察しておりませんので、今後の課題です。
果実の様子です。数えたら、9個ありました。初めて開花に成功した時は、ここまで成長する前に落ちてしまいました。
果皮の裂け目から零れ落ちた種子と菌糸が接触しています。この菌糸が共生菌かは分かりませんが、継続観察するつもりです。
ミミズみたいな写真ばかりでしたので、一昨年咲かせた花を掲載します。
この実生床は、竹林の自生地を再現したものです。次は、2018年に見つけたスギ林自生地の部材で、自生地再現栽培をしてみようと思っています。アキザキヤツシロランが、竹林でばかり見つかるのはどうしてだろう?
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菌吉良菌様、今晩は。
今回はダメだと思っていたら、知らない間に花を咲かせ果実が生っていました。
もっとマメに観察するべきだったと反省しています。
自生地で開花株が減少しつつある野生ランを、試験的に同じ容器に入れて自生地の部材を敷き詰め湿度を確保してみました。
二年目になると、栄養増殖して容器いっぱいになり、自生地で見る個体より花数も多く驚かされました。
共生菌を考慮しての栽培は、部分的菌従属栄養植物においても、とても興味深いです。
自生地の環境変化に伴い、年々姿を消しつつある野生ランの保護に、少しでも役立てれば良いなと思っています。
専門家さんがそういう所に目を向けて、具体的に指導してくれると良いのですが・・。
投稿: やまぶどう | 2020年2月 7日 (金) 18時34分
忘れておった件、万歳! 大成功でしたね。
研究を重ねた結果ですから当然です。この旨の論文の末尾には
決まって"種の保全"を詠いますね、しかしハイテク工法では未だ
種を採取することはできませんね、今後もです。
無菌と自然仕法の違いですかね。フラスコでマヤランX寒蘭以外
で発芽させた記録見ないね。マヤラン(無菌)発芽は易しいですね。
残念ながら純粋な腐生ランはフラスコから出しても意味ないですね
腐生ランの種の保全は一サイクル(実生→開花→結実採取)を完成さ
せて論ずるものと思います。新しい仕法ですので今後、ラン科モデル
植物の最先端に気づいた者のみが救われますね、早いもの勝ち(笑)。
投稿: 菌吉良菌 | 2020年2月 7日 (金) 08時28分