クロヤツシロラン
昨年、萌の散歩道の新たな場所で、クロヤツシロランの果実を見付けました。そろそろ花が咲く頃だと思い、様子見に行って来ました。クロヤツシロランは、葉緑素が無く光合成で養分を得る事が出来ません。お気に入りのキノコの菌糸から養分をもらって発芽・生育する変わり者です。
枯れ枝などをそっと取り除くと、咲き始めていました。地際に咲く上にこの色彩ですから、花の時期に新たな場所で出会うのは至難の業です。果柄が長く伸びる果実期に、自生地を見つけておいて、翌年の花の時期に再訪する事になります。
こちらは、3個とも咲いています。
左は、咲き始めのようです。どちらも唇弁が閉じて(上がって)います。ショウジョウバエなどが、臭いに釣られて唇弁に止まると、蝶番が動いて花の内部に閉じ込められ、受粉する仕組みになっているそうです。今年追いかけたテンナンショウ属の雌花にも、通ずるところがあります。
耳のような、側花弁が可愛いでしょ?
こちらの花は、唇弁が開いています。唇弁の毛も、特徴の一つです。
唇弁の所に見える白い物体は、花粉塊かな?
ここのようなヒノキの林床では、スギの葉の堆積した自生地より、花茎が更に短く地面に置かれたような咲き方です。クロヤツシロランは、スギ、ヒノキの林、竹林、そして稀(富士市では)に常緑広葉樹林の林床でも見る事があります。多様な共生菌に対応しているのだと思います。古い記録では、アキザキヤツシロランと混同されていたようで、クロヤツシロランの自生地と思われる場所に、アキザキヤツシロランが記載されていました。アキザキヤツシロランの自生地は竹林が多く、稀にスギ林に生える事もあります(昨年確認しました)。
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unknownさん、今晩は。
コメントありがとうございました。
Webで見ると、サボテンの実生は難しいようですね。
山野に生えるラン科植物は、みんな菌に頼って発芽します。
葉が展開した後でも、種類ごとの差はありますが菌に栄養依存しています。
特に、葉緑素を持たないこのヤツシロランの仲間は、発芽~生育まで100%菌に頼って生活します。
実生栽培するには、其々が好のむキノコの菌糸を繁殖させた培地に種子を撒き、開花まで菌糸の状態を良好に保つ事が必要です。
言い換えれば、自生地を再現する栽培法という事になります。
興味を持たれたようでしたら、この方法を考え出した師匠のサイトを覗いて見てください。
http://corogumame.cocolog-nifty.com/blog/
投稿: やまぶどう | 2020年4月 5日 (日) 19時07分
サボテン実生に菌糸が出てしまい、どういうものなのかと探してるうちに、ここへ来ました。菌に頼って咲く花を初めてみました。実生がダメになったことは残念ですが、貴重なお花の存在を知れたことは、よかったななんて思いました。
サボテンの作業は細かいと思ってましたが、菌とは。すごいです!。
変なコメントすみませんでした。
失礼します。
投稿: | 2020年4月 5日 (日) 11時48分