スギ林の野生ラン
不法投棄監視パトロールのついでに、スギ林に生える野生ランの様子見に行って来ました。周辺は霧が立ち込めていましたが、昼を過ぎた頃帰宅すると晴れていました。
数年前の冬、偶然このような塊を1ヶ所見付けてから、付近の林内を幾度も探し回りました。そして、少し離れた場所でかなりな個体数を確認する事が出来ました。私は、当初ハクウンランだと思っていました。花の時期に再訪し、ブログ記事で「以前見たハクウンランと感じが違う」と書いたところ、ヤクシマヒメアリドオシランだと教えてもらいました。
花径が伸びていました。7月下旬ころの開花かな?この自生地より下界では、既に花の咲いている所もありました。ここで出会ってから、他でも数ヶ所見付けました。いずれも、比較的広範囲に分布しており、個体数の少ないラン科植物の中では特異な部類ではないかと思います。
この場所にはハクウンランも混生しています。これはハクウンランかも?ヤクシマヒメアリドオシランは、塊で生えている事が多く、ハクウンランは個体数が少なく一株ずつ点在しています。そして、開花時期が少し遅いような気がします。ハクウンランしか生えていない別の自生地で確認したところ、冬に姿が見えなくなります。根茎だけで冬越しするのではないかと思います。また、翌年見行くと開花株の位置が違っていたり、姿を消してしまう事もあります。同属であっても、より共生菌への依存度が高いからではないでしょうか?
次は、ベニシュスランです。この野生ランは、この場所で始めて見ました。GPSを持って登録しながら調査したところ、こちらもかなり広範囲に分布していました。
蕾は上を向いていますが、横を向いて開花し、結実するとまた上を向きます。ウバユリなんかと同じですね。開花株は、スギの葉の堆積した場所ほど多く見受けられます。
この、ラッパのような花のポリネーターは、どんな昆虫でしょう?一度出会ってみたいものです。
この日は、嫌なものを目にしてしまいました。市内に生える希少植物(植物名は伏せる事にします)の様子を見に行ったところ、無数の人の踏み跡がありました。昨年出会った時は、結構な個体数があったのですが、記憶する数よりずっと少ない感じでした。しかも、踏みつけられて根元から折れたものも数本ありました。踏み跡は新しく、私が訪問する少し前に来たようです。気をつけて観察したとしても、うっかり踏みつけてしまう事はあります。そいう意味では、私を含めて植物観察する人間は、自然破壊をしている事を自覚する必要があります。
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