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2019年7月

2019年7月31日 (水)

ハクウンラン

私の探索エリアでは、ハクウンラン属のヤクシマヒメアリドオシランは、広範囲にかなりな個体数を見る事が出来ますが、ハクウンランは稀です。その上、開花株の位置が年々移動したり、突然姿を消してしまう事もあります。そろそろ咲き出す頃だろうと思い、様子見に行って来ました。

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野生ランセンサーをハクウンラン・モードに設定して、霧の林内を探し回りました。私は以前の記事に「ハクウンランは、点在して生えている」と書きました。ところが、ここには並んで生えていました。

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「萼片と側花弁は淡緑色、赤味を帯びる事もある」とありますが、ここでは、萼片と側花弁が淡緑色で、緑軸の個体はハクウンランです。

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この塵取りのような唇弁を持つ花を始めて見たのは、もう十年近く前になると思います。その時は、何枚も撮りましたが、白飛かピンボケばかりで、まともに見える写真が殆どありませんでした。

ところで、地域のある資料にオオハクウンランの記載がありました。日本のランハンドブックによると、ハクウンランとオオハクウンランは、開花時の高さはそれほど違わないようですが、葉の長さが違います。しかも、オオハクウンランの自生地は「伊豆諸島の山地の常緑広葉樹林」とあります。私は、地域に生えるのはハクウンランだと思っていますが、機会があれば専門家の方に鑑定してもらいたい(染色体数を調べてもらいたい)と思っています。

2019年7月30日 (火)

ヒナチドリ

今日は、身の危険を感じるくらい暑かった!屋外作業に慣れると、少しくらいの暑さは我慢できるのですが、幾度も木陰に退避しました。

3年前の今頃、オニノヤガラの調査に行って、GPSを頼りにいつもと違うルートを歩いてみました。ふと見上げた樹上で、予期せぬ色彩が目に入りました。高倍率のコンデジをズームして見ると、ウチョウランに似た花でした。葉幅の広いその姿から、ヒナチドリだと分かり感激しました。二年ぶりに、無事を確認に行って来ました。

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今年は、ノキシノブの葉が邪魔をしています。とにかく無事で良かった・・。以降に、以前撮った写真も掲載します。

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2016年、発見当初の様子です。開花株が4株見えていました。

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光学50倍ズーム手持ち撮影です。

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デジタルズーム併用で・・。葉の先端が欠けているので、真下から花を見る事が出来ました。

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こちらは、2017年撮影。左には、ツリシュスランとヒナチドリが写っています。裏側に回るとフガクスズムシも着生していました。他に、ヤシャビシャクやマツノハマンネングサも着生している夢のような木です。

この日は、他地域の車両が一台止まっていました。車からはかなり離れた場所ですが、樹下に新しい足跡があったので、この場所を知っている人だと思います。私は、運よく自力でこの場所を見付けましたが、他にも熱心で運の良い探索者がいても不思議ではありません。ヒナチドリは、環境省RDBで絶滅危惧Ⅱ類(VU)、静岡県では絶滅危惧ⅠB類(EN)に指定されていますが、地域にとっては、ⅠA(CR)クラスだと思っています。このところ、地域から姿を消している希少種が後を絶ちません。どうか、見つけても不用意な情報拡散を控えて頂きたいと願っています。

2019年7月29日 (月)

サワトラノオ観察記⑦

今日も蒸し暑い一日でした。屋外作業は、基本的に長袖シャツに長ズボン、手甲と脚絆を巻いて行っています。でも、今日は耐えきれずTシャツで草刈りをしました。腕が赤い・・。

今日の記事は、樹上に咲く野生ランのつもりでしたが、先にサワトラノオ観察記を掲載します。最近の記事は、自生地の観察ではないので、実生栽培記の方が適当かも?

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これは、三種類の実生床の中で一番発芽率が良かった脱脂綿の実生床です。理由があって、挿木・種蒔き用土を振りかけました。

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挿木・種蒔き用土を振りかける前に撮れば良かったのですが・・。発芽した苗を良く見ると、根が下に伸びないで、迷走しているものが結構見受けられました。とても小さな苗なので、根が脱脂綿の中に伸びきれずに表面で丸まっているようです。このままでは、順調に生育してくれないとの思いから、手持ち用土の中で一番細かい用土を選びました。

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白かった根が緑になり、挿木・種蒔き用土に潜っています。今後、苗の成長と共に葉が埋まらない程度に追加していきます。そしてある程度まで生育したところで、プランター等に移植するつもりでいます。

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こちらは、実生苗の中で一番お兄ちゃんの苗です。小粒赤玉土単用の実生床で育っています。この実生床は、土の隙間に種子が入り込むため、脱脂綿のように一気に発芽しないで、時期をずらしてポツポツ発芽して来ます。ただ、生育の様子を見ていると、一番適している培地かもしれません。

ちょっと、試して見た事があります。

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ほろ酔いの元が入っていたカップに水を入れてあります。6月25日に種子採取した時、変色し始めた花穂を引き抜いたところ、根がついて来ました。このまま枯れてしまわずに、芽が出て来ると思っていました。土に植えてみようか悩みましたが、途中の様子を観察したいと思い、水の中に入れておきました。ついでに、同じくサクラソウ科のセイヨウサクラソウの花穂も引き抜いて一緒に入れておきました。

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左がセイヨウサクラソウで、右がサワトラノオです。セイヨウサクラソウは、6月25日の時点で新しい芽が出ていました。あれから一月以上水中で生き続けています。そして、サワトラノオにも小さな芽が出て来ました。この実験で気付いたのですが、水を常に新鮮にしておかないと、植物の傷みが激しいので要注意です。しかも、水温の上がりやすい場所には置けません。

実生苗が無事育ったら、農業用貯水タンクで試して見ようと思っています。昔の自生地は、現在より水位が高く、植物が長期間水中に隠れる事もあったのではないでしょうか?カワヂシャのように、流水中でも生育する沈下性を持っているかを確かめたいと思っています。

2019年7月28日 (日)

フウラン

今日は、フウランの花を掲載します。伊予の国では、7月の上旬に咲いたそうですが、駿河の国の山間地では、やっと咲き始めました。富士市植物仮目録には、1ヶ所だけ記載されていますが、県中西部(の寺社など)では比較的見る事が出来ます。

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我が家で一番早く咲くのは、左のイヌマキに着生させてある短葉のフウランです。右は、父親が鶴の形に仕立ててあったイヌツゲです。私には上手く仕立てられないので、尖がりキノコの傘状に変更しました。足元が寂しいので、フウランなどを着生させたところ、環境が向いていたようで増えて来ました。左右とも、7月20日の様子です。

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イヌマキのフウランは、斑入り葉と短葉の銘品(名前を忘れました💦)で、園芸分野では、富貴ランと呼ばれている変異個体です。距に注目してください。葉と同じく、普通のフウランよりずっと短いタイプです。

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普通種も咲き始めました。上に比べると、距がずっと長いですね。7月28日撮影。

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イヌツゲのフウランです。フウランに気付かない訪問者は、ユリの花の芳香かと思ったそうです。

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フウランのポリネーターとして、スズメガの仲間が確認されているそうです。以前、インターバルカメラを仕掛けましたが、撮影する事は出来ませんでした。でも、昨年、イヌツゲのフウランには果実が生りましたので、夜の訪問者がやって来たようです。

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このフウランは、今年が初花です。軸が赤い・・花色に紅を帯びるかもしれないと期待しています。

Ylistでは、標準学名がNeofinetia falcata (Thunb.) Huとなっていますが、DNAを用いた解析の結果Vanda falcata (Thunb.) Beerが適当である事が分かったそうです。でも、葉の形は似ているけど、花弁や萼片の形は全然似ていない・・。
バンダ属(ヒスイラン属)には、派手な花色のものが多く、フウランと交配すれば、色とりどりの花が見られるかも?そして、小形でフウランの芳香が残り、屋外とまではいかなくとも室内無加温で栽培できれば最高です。

2019年7月27日 (土)

フガクスズムシ

今日は、台風が来るというのに、午後から夕方にかけての地区役員の仕事があります。中止連絡がありませんので、ブログ記事を早めの投稿とします。

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今年はあまり出歩けず、フガクスズムシが未掲載になるかと思ったのですが、懐かしいブナの巨木近くに行ったので覗いて見ました。ここは、かなり高い所に生えているので、デジイチではなく高倍率のコンデジで撮りました。

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光学60倍ズーム手持ちです。薄暗い林内でかなり画質が落ちますが・・。良く見ると、緑花が写っています。

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あまりに遠いので、以前撮った写真を掲載します。通常はこのくらいの花茎ですが・・。

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中には、こちらのような立派なものもあります。

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接写出来るのは、倒木などに生えている個体です。でも、数年後に見に行くと姿を消している場合が殆どです。

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訪問者がいたので撮ってみました。ハナアブの仲間でしょうか?

最近、森林管理者の業務用や遊歩道表示のために付けたものではないようなリボンが、彼方此方で見受けられます。中には、希少植物の位置表示と思われるものあります。自生場所を忘れないために表示しているのでしたら、不用意な情報拡散を招く事にもなりますので、止めて頂きたいと思います。専用のGPSに登録するか、スマホのアプリと写真などを利用して記録してください。このところ、自生地から姿を消している希少植物が多くなり、地域住民としてはとても危機感を持っています。

2019年7月26日 (金)

シロバナイナモリソウ

今日も暑かった!再生畑②の二度目の笹刈を行いました。中に入れないくらい繁茂している笹でも、一度伐採するととあまり出てこなくなります。二度目の伐採を行うと、長く伸びるものは殆ど無くなります。その後は、地上部をマメに切り取れば、やがて地下茎も枯れて来ます。残る笹エリアは、もう少しで伐採終了です。頑張らなくては!

スギ・ヒノキの林に生える野生ランの調査に行った時、シロバナイナモリソウの花を撮りましたので掲載します。

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薄暗い所に生える上にとても小さな白花なので、白飛びして撮り難いです。他地域に咲くイナモリソウは、花期が早く淡紅紫色の花をつけますが、富士市域ではこのシロバナイナモリソウしか見た事がありません。

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一般的には、花冠が5裂していて、オシベ5個とメシベは、花冠から長く突き出ています。左の写真をクリックして、雌しべの先端が4裂しているのが分かるでしょうか?

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こちらは、花冠が6裂しています。オシベの数も裂片と同じく6個です。探し歩くと、幾つか見つかりました。ただ、5裂と6裂の花が同じ株に咲いていましたので、固定した変異ではないようです。

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同じ林の中で、斑入りのミヤマシキミを見付けました。そして、シュウカイドウも・・。シュウカイドウは、ムカゴでも増えますから、今後範囲を広げて行くと思います。どこからやって来たのだろう?

このところ、気苦労な事が重なりお疲れ気味です。まぁ、一つ一つ片付けて行くしかありませんが・・。明日は地区の夏フェスタ、明後日は町内一斉清掃です。台風の影響で大雨らしいけど、どうするのだろう?

2019年7月25日 (木)

オニノヤガラ

オニノヤガラは、葉緑素を持たず光合成を行わない菌従属栄養植物(腐生植物)です。数年前、この植物の調査依頼を受け、開花時期に見に行ったところ、シカの食害(と思われる)に遭っていました。

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今年は、無事なものが見つかりました。オニノヤガラは、発芽の時はクヌギタケ属などを共生菌として、生育時はナラタケ属と共生するそうです。この大きな野生ランは、ヤツシロラン類のような小さな容器では育てられませんから、自生地と似た環境で実生栽培実験をしてみたいものです。中国では、栽培キットが売られているそうです。さすが漢方の国ですね。

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このまま、無事に結実してほしいものです。

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面白い形の花ですね。背萼片、側萼片は合着して壷状になっています。中に側花弁(×2)と唇弁があります。ちょっと分かり難いかな?

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横顔です。

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訪問者は、アリとこの赤いクモでした。

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こちらは、標高が700mくらい低い所で、数年前に撮ったオニノヤガラです。軸や花色が違いますね。標高が高くなると、花が緑っぽくなるようです。

ところで、オニノヤガラは多年草との事ですが、全く同じ位置で、翌年も花を見た事がありません。花後に数年間休眠するのか?或いは、オニクなどと同じように花が咲き結実すると枯れてしまう一捻性(一回結実性)なのか?ご存知の方教えてください。

2019年7月24日 (水)

変形菌(7月下旬)②

今日は、役所で諸手続きを行って来ました。これで一安心です。それにしても暑かった!他地域は梅雨明けのようですが、東海地方はまだ?

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似ているけど、少し感じが違います。どちらもツノホコリ属?

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どちらも、表面に胞子らしきものが見えています。ツノホコリ属のようですが、見比べるとツノの太さが違います。

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こちらも似ているけど・・。左が比較的若い子実体で、右はかびているようだけど胞子を飛散している子実体でしょうか?

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ムラサキホコリの仲間でしょうか?右は、上と同じくカビで覆われたようになっています。

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こちらも、ムラサキホコリに似ていますが艶があります。子実体になったばかりでしょうか?手前には、マメホコリの仲間が写っています。以前見たものより小さいので、コマメホコリでしょうか?

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マメホコリの仲間も、カビで覆われたようになっています。

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透けたように見えるけど、胞子を飛散させた後の姿でしょうか?

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5段目の数日後の様子です。右はモジホコリの仲間?

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モジホコリの仲間?も、カビのようなもので覆われています。全体が白く覆われているのはどれもカビでしょうか?ご存知の方教えてください。

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こちらは変形菌?それともカビ?
いつか誰かが助け舟を出してくれるとの思いから、分からないものでも掲載しています。宜しくお願い致します。

2019年7月23日 (火)

変形菌(7月下旬)①

今日も除草作業を行いました。汗がしたたり落ちて、衣類にいつも以上の重みを感じました。

今年は、家の周りで変形菌を見る機会が多い・・。萌の散歩道でも見付けました。

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こちらは、コナラの切株にいました(動物的な性質を持つので・・)。この不気味なものを見た事は幾度かありましたが、これが変形菌の変形体と知ったのは最近の事です。Web図鑑を見ると、ススホコリ属のようですが・・。

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変形体は移動しながら微生物などを摂取するそうです。大雨が降らなければ、インターバルカメラを仕掛けたかったのですが・・。21日に見つけ、今朝見たら姿を消していました。あまりの大雨に驚いて、何処かへ移動してしまったのでしょうか?所々に見える黄色い塊は「子実体形成を始めた変形体」だそうです。

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木の枝にも・・。不気味でしょ?

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何種類か写っていますが、このヘチマのたわしのようなものが、ずっと気になっていました。

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こちらにも・・。Web図鑑で見ると、ウツボホコリ属の子実体に似ています。

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今日はこの二種だけで・・。名前が分かる方教えてください。

2019年7月22日 (月)

ヨウラクラン

今月は、上旬~中旬慌ただしい日々が続きました。そのため、月2回以上を義務付けられている不法投棄監視パトロールを、まだ一度しかやっておりませんでしたので、本日別エリアを回って来ました。

今日の記事は、ヨウラクランです。花期の植物を追い求めている人からは、「今頃?」なんて思われるかもしれません。

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2011年3月28日・・我が家のシンボルツリーである八重枝垂桜に着生していたヨウラクランを発見しました。斜めに這っている茶色の蔓は、ノウゼンカズラです。邪魔なこの蔓を引っ張ったところ、半分くらいのヨウラクランが落下してしまいました。

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それを、イヌマキの木に着生させたところ、本家よりも大株になって来ました。左上に見えるのは、富貴ラン(フウランの銘品)の根です。

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とても小さいですが、花序には多数の花が輪生しています。一般的に花序の基部の方から開花しますが、この野生ランは先端部から咲きます。面白いですね。

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結実率はとても低く、毎年数個しか果実をつけません。ところが、右のような実生苗が彼方此方に姿を現しています。

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こちらにも・・。良く見ると、いずれもフウランなどの根の近くに生えています。ラン菌が豊富だからでしょうか?
実は、このイヌマキには、鎮守の森で拾ったムギランも着生させてあります。こちらも元気で、年々増えています。ヨウラクランよりずっと結実率は良いのですが、実生苗を確認しておりません。素人の考察では、ムギランは自動自家受粉をし、ヨウラクランはポリネーターによって受粉するのではないでしょうか?そして、ムギランの発芽条件は、ヨウラクランよりずっと難しいのかも知れません。

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こちらは、県中部の渓谷沿いで撮ったヨウラクランです。花序や花の色などが、ちょっと違って見えますね。花色の変異が多く変種や品種も登録されているようです。

2019年7月21日 (日)

不法投棄監視パトロールで出会った植物(7月)

午前中は、参議院議員選挙の投票に行って下界で買い物・・。午後は、役所への提出書類などの準備です。これがまた面倒で、憂鬱になります。土日の方が忙しい・・。

毎日、ブログ記事を更新していると、年中出歩いているように思われるかもしれません。でも、そんな余裕はあまりなく、撮り溜めた写真を小出しにしているのと、畑~散歩道で見かけた植物の記事が主流を占めるようになって来ました。

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家族と一緒に義母の家に行った時、一人だけ寄り道をして歩いた静岡市の里山では、トラノオの花は盛りを過ぎているものもありました。でも、この辺りではこれから見頃を迎えます。

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スギやヒノキ林の縁では、ヤマアジサイの花が見頃でした。

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少し上を見上げると、ノリウツギの花も咲き始めていました。タマアジサイは、フライング咲きしているものも幾つかありましたが、大半はこのような「タマ」の状態です。

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オトギリソウは、名前の由来を聞くと恐ろしいですが、小さいけど綺麗な花です。

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次はキツリフネの花です。私が知る場所で、一番早く咲くのがこの林道脇です。弾き飛ぶ種で、だんだん範囲を広げています。

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この林道を、普段走る事は殆どありません。カツラの木が多いのに驚きました。実生苗を探しましたが、見つかりませんでした。カツラは、雌雄異株だそうですので雌木を見付けなければ・・。そういえば、まだ花を見た事がありません。
彼方此方に、ヤマオダマキの花が咲いていました。この花は萼片が紫褐色ですが、黄色の萼片のものをキバナノヤマオダマキとして品種分類しているそうです。中間色もあり、分類する必要があるのか?なんて素人ながらに思っています。

2019年7月20日 (土)

サワトラノオ観察記⑥

今日は、沼川水系滝川沿い遊歩道で、今年度二回目の草刈りを行いました。ヒガンバナの葉が出る前に、もう一度行う予定です。

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私たちは右岸側(下流に向かって右側)でしたが、左岸側でも川沿いの別の企業が、草刈りを行っていました。地域の企業やいろいろな団体が協力してやるのが良いですね。それにしても暑かった!

サワトラノオ実生栽培実験の記事です。あまり大きな変化はありませんが・・。

【小粒赤玉土単用の培地】

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赤玉土の隙間から、遅れて発芽した苗が、ポツポツ姿を現して来ました。

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本葉が小葉よりも大きくなり、2枚目の本葉が姿を現し始めました。

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こちらが、一番成長の早い苗です。

【種蒔き用土の培地】

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発芽の確認は赤玉土と同じ時期でしたが、発芽率やその後の成長があまり芳しくありません。潅水時に、種子が混合材の中に潜ってしまった事と、土の湿度確保が上手く行っていないためではないかと思います。

下の脱脂綿培地に比べると、赤玉土や種蒔き用土の培地は、初回の発芽率が劣ります。でも、休眠性(発芽抑制作用)があり、種子の寿命が長いとしたら、それも様々な環境変化のある自生地で、子孫を残していく術の一つと言えます。ポツポツと発芽してくる苗にも、注目して観察して行きたいと思います。

【脱脂綿の培地】

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赤玉土や種蒔き用土の培地から10日程遅れて蒔きました。種子が露出していて背景が白いので、発芽の確認が容易です。他の二種の培地との比較からも、サワトラノオの微細種子は、好光性である事が想像出来ます。

この培地の長所は、種子が中に沈んでしまわない事と、脱脂綿であるため保水率が高く、発芽したての苗が水枯れし難い事です。短所は、緑藻類やカビなどが発生しやすい事です。それに関して少し考えがありますが、今回は初回なのでこのまま見守る事にします。

サワトラノオの種子採取は、行政担当部署から許可をもらって行っています。

2019年7月19日 (金)

冬虫夏草と変形菌

今日は雨予報でしたが、降りそうもないので再生畑②の草刈りに行って来ました。明日も、下界でボランティアの草刈りがあります。3日連続だと、流石にきつい!

先日、不法投棄監視パトロールのついでに、ヒトツボクロが多く生えるヒノキ林を覗いて来ました。雨降りが続いた後の薄暗い林内には、女子受けのしない不気味なものが姿を現しています。

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ミミズが立ち上がったようなものは、たぶん冬虫夏草ではないキノコの子実体。右は冬虫夏草のようです。宿主がどんな虫か知るために、掘り起こしてみました。

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名前は分かりませんが、ハチの仲間のようです。3本の子実体が見えますが、まだ伸びて来そうです。

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カメムシタケらしい子実体が並んで立っていました。灯のような色は何のため?

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宿主が並んでいるのかと思ったら、一個体でした。カメムシタケで、一個体から二本の子実体は初めて見たかも?

ところで、冬虫夏草の標本を保管する時は、臭気に要注意です。寄生していた菌が死ぬと、急激に腐食が進むようでとても臭くなります。ちゃんと乾燥してから標本箱に入れた方が良いと思います。懲りました・・。

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遠目に見てロウタケの仲間かと思いましたが、近づいて見ると変形菌のようです。

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これは、ツノホコリの仲間でしょうか?融けたロウのようなものは変形体で、珊瑚のような部分が未熟な子実体ではないかと思います。間違っていたら教えてください。

※ツノホコリ類は、原生粘菌とする説もあるそうです。

2019年7月18日 (木)

ノヤマトンボ(オオバノトンボソウ)

午前中に、2ヶ所の草刈りを行いました。雨続きで、暫く再生畑に行っていなかったため、除去対象植物が繁茂していました。対照的に、野菜はあまり成績が良くありません。日照不足のせいか、期待の星「果実のように甘いミニトマト」は、赤くなりません😿。

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一般的なノヤマトンボ(オオバノトンボソウ)は、こんな姿と葉の色をしています。
ところが・・。

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左のような野生ランが目に入りました。何だろうと思って近づいて見ると、茎に稜があります。葉のかたさなどからも、ノヤマトンボのようです。

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葉が緑色ではなく黄緑色です。しかも、4株(開花株3本、未開花株1本)とも、同じ葉色です。固定した変異なのか、地質なども含めた自生地の環境によるものだろうか?

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ノヤマトンボはこんな花が咲きます。8月上旬になったら、花の確認に行ってみようと思います。

ラン科ツレサギソウゾク属ノヤマトンボ(Platanthera minor (Miq.) Rchb.f.)。Ylistに従い、標準和名をノヤマトンボ、別名をオオバノトンボソウとしました。

2019年7月17日 (水)

スギ林の野生ラン

不法投棄監視パトロールのついでに、スギ林に生える野生ランの様子見に行って来ました。周辺は霧が立ち込めていましたが、昼を過ぎた頃帰宅すると晴れていました。

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数年前の冬、偶然このような塊を1ヶ所見付けてから、付近の林内を幾度も探し回りました。そして、少し離れた場所でかなりな個体数を確認する事が出来ました。私は、当初ハクウンランだと思っていました。花の時期に再訪し、ブログ記事で「以前見たハクウンランと感じが違う」と書いたところ、ヤクシマヒメアリドオシランだと教えてもらいました。

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花径が伸びていました。7月下旬ころの開花かな?この自生地より下界では、既に花の咲いている所もありました。ここで出会ってから、他でも数ヶ所見付けました。いずれも、比較的広範囲に分布しており、個体数の少ないラン科植物の中では特異な部類ではないかと思います。

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この場所にはハクウンランも混生しています。これはハクウンランかも?ヤクシマヒメアリドオシランは、塊で生えている事が多く、ハクウンランは個体数が少なく一株ずつ点在しています。そして、開花時期が少し遅いような気がします。ハクウンランしか生えていない別の自生地で確認したところ、冬に姿が見えなくなります。根茎だけで冬越しするのではないかと思います。また、翌年見行くと開花株の位置が違っていたり、姿を消してしまう事もあります。同属であっても、より共生菌への依存度が高いからではないでしょうか?

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次は、ベニシュスランです。この野生ランは、この場所で始めて見ました。GPSを持って登録しながら調査したところ、こちらもかなり広範囲に分布していました。

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蕾は上を向いていますが、横を向いて開花し、結実するとまた上を向きます。ウバユリなんかと同じですね。開花株は、スギの葉の堆積した場所ほど多く見受けられます。

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この、ラッパのような花のポリネーターは、どんな昆虫でしょう?一度出会ってみたいものです。

この日は、嫌なものを目にしてしまいました。市内に生える希少植物(植物名は伏せる事にします)の様子を見に行ったところ、無数の人の踏み跡がありました。昨年出会った時は、結構な個体数があったのですが、記憶する数よりずっと少ない感じでした。しかも、踏みつけられて根元から折れたものも数本ありました。踏み跡は新しく、私が訪問する少し前に来たようです。気をつけて観察したとしても、うっかり踏みつけてしまう事はあります。そいう意味では、私を含めて植物観察する人間は、自然破壊をしている事を自覚する必要があります。

2019年7月16日 (火)

ハエドクソウ属の花

今日も雨・・原稿のまとめと書類作成をしています。萌は、早朝のわがまま散歩の後、小屋の中で寝ています。最近、寝ている時間が多くなったように思います。

ハエドクソウ属の花・・比較的薄暗い場所に生え、とても小さな花を咲かせます。母種のハエドクソウと、品種のナガバハエドクソウがあるそうですが・・。

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これは、我が家の周りで見かける花です。上唇の両端が肩状に広くなっていないので、ナガバハエドクソウだと思います。

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こちらは、山梨県某所で撮った花とその葉です。上唇の両端が肩状に広くなっていますので、母種のハエドクソウだと思います。
ところで・・。

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県中部、静岡市で撮りました。最上段に比べて、上唇の両端に少し肩状の張り出しがあります。私はこれを母種のハエドクソウと思っていたのですが・・。

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左は山梨県で撮ったナガバハエドクソウと思われる葉で、右は上段の花と同じく静岡市で撮った葉です。どちらも、似ていますね。「ハエドクソウの葉は基部が心形から切形で、ナガバハエドクソウの葉は基部が楔形」とあります。ただ、葉の基部の形は、ついている位置によって変異があります。また、二段目の葉とこちらの葉では、付き方に違いがあります。二段目の写真では、中央の花茎の途中に小さな葉が付いています。

素人考察では、二段目がハエドクソウで、その他はナガバハエドクソウではないかと思います。Web図鑑では、花の上唇の両端の張り出しの有無で区別しているものが多いようですが、ナガバハエドクソウにも、少し張り出す個体があるのではないでしょうか?

2019年7月15日 (月)

県中部低山探索

今日は雲マークだけだと思ったら、朝散歩から降られてしまいました。それにしても良く降りますね。

先日、普段歩く事の無い場所を探索して来ました。家族からは「散策」だろうと言われますが、私にとっては「探索」の方が正しいと思います。

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新たなエリアの探索は、こんな石の標識から始まりました。いきなり藪蚊の襲来に遭い、防虫スプレーをかけましたが、思ったほどの効果はありません。

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獣道のようなルートを少し登って行くと、こんな場所に出ました。古い時代の手掘り道でしょうか?人がやっと歩けるくらいの幅でした。

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断崖を下がるヒノキの太い根が、歴史を感じさせてくれます。

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断崖部を抜けると、ウラジロとコシダの大群落が続きます。県中西部では、こんな光景を良く見かけます。

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この辺りは、落葉広葉樹より常緑広葉樹が多い感じです。右は枯れているのかと思ったら、葉をつけたイヌマキの巨木でした。この先で、車道へ出ました。掲載区間は約1km程度ですが、私にとっては興味深い場所でした。

2019年7月14日 (日)

サワトラノオ観察記⑤

サワトラノオ観察記④(6月18日)から、一月近く経ってしまいました。その間、6月25日に種子を採取して、実生発芽実験を行っていました。

サワトラノオの種子採取は、行政担当部署から許可をもらって行っています。

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こちらが、準備した実生床です。①②は6月25日に、③は7月6日に播種しました。①②の実生床では7月2日に、③の実生床では7月12日に発芽が確認出来ました。いずれも、約1週間ほどで発芽を確認する事が出来ました。

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小粒赤玉土単用の①の実生床では、本葉が大きくなって来たものもあります。無事育ってくれると嬉しいけど・・。

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こちらは、種まき用土の実生床②です。発芽確認日は①とほぼ同じですが、①の方が発芽率が良いように思います。微細種子は、光好性種子である事が多いそうですので、どちらも覆い土をしておりません。②は、潅水時に、細かい土が種子を覆ってしまうのかもしれません。

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7月12日に③の容器を覗くと、数個の発芽が確認出来ました。本日再確認すると、彼方此方で発芽が見られました。既にお気づきの方もいるかと思いますが、①②の発芽に関しては、種名を伏せて掲載しておりました。その理由は、実生床の色が微細種子の色と同系色であり、土の隙間から芽が出てきたりするので、サワトラノオの発芽であると確信が持てなかったからです。
③の実生床は、濡らした脱脂綿を使用しているので、種子が隙間に入り込む事もありません。撒いた種子からの発芽である事がちゃんと確認出来るので、サワトラノオ観察記のタイトルで掲載しました。

サワトラノオの花と果実の様子です。花の写真にマウスを載せてみてください。

この実生発芽実験は、本来の自生地より高度が300mほど高い場所で行っています。当然、気温も低くなるため、今後の苗の成長にも影響があるかもしれません。その辺りを注意深く見守りながら、随時対処していきたいと思っています。

サワトラノオは、環境省RDB、静岡県共絶滅危惧ⅠB類(EN)に指定されています。

2019年7月13日 (土)

トサノクロムヨウラン様子見

今日は、義母の家に行ったついでに、トサノクロムヨウランの様子を見て来ました。いつもは車で近くまで行くのですが、早い時間だったので、途中で降ろしてもらい徒歩で行きました。さすがに義母の家までだと昼までに着きませんので、最寄りの駅から電車に乗りました。最寄りの駅も遠かった・・。

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この付近には、左のようなムヨウラン類の果実期の姿が沢山見られます。丈などからエンシュウムヨウランだと思います。この時期に、右のような花径が伸びているのは、トサノクロムヨウランです。でも、周辺を探しても他には見当たりません。

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この様子だと、花を見る事が出来るのは7月下旬かな?後の花柄子房はやけに長いですね。

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5本くらいの花径が伸びていました。今年は、全開の花を見逃さないようにしなくては!右が一番早く咲くかな?

予想外の距離を歩いたため、とても疲れましたが、徒歩の自由さを満喫して新鮮な散策になりました。「あの距離を、良く歩いたね!」とは、家族の弁でした。「用事が済んだなら迎えに来てくれよ!」

2019年7月12日 (金)

オオカモメヅル

今日も、朝から慌ただしい一日でした。酒飲みは酒で紛らわせるから良いけど、飲めない家族は私に当たってストレス発散しています。酔って寝たふりしよう!

少し前に登場したばかりですが、別のところでオオカモメヅルを見付けましたので掲載します。

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コンデジ顕微鏡モードで(ズームして撮っているので)大きく見えますが、老眼では形を見るのも大変なくらい小さな花です。コカモメヅルに比べて花序が短い事と、花冠表面の綿毛も違いの一つです。

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上の花と比べて、花冠全体に紫褐色が広がっています。カモメヅルの仲間は、花色の変異も多い植物です。中央部分に見える小豆粒のようなものは副花冠です。これが大きくて目立つのも、この花の特徴です。

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葉の様子です。オオカモメヅルは葉が大きく、コカモメヅルは葉が小さいとあります。確かにオオカモメヅルの方が大きいですが、見慣れないと葉のサイズでは分かり難いと思います。ガガイモやイケマくらい大きいと分かり易いのですが・・。花で見比べるのが一番分かり易いと思います。

雨降りが続いて、威勢の良いのは雑草ばかりです。たまに見に行くと、唖然としてしまいます。

2019年7月11日 (木)

種子植物の発芽

この数日、慌ただしい事が続いています。思えば、現役時代は慌ただしい日の連続で、気が休まるのは夜間図面を描いている時だけでした。当時に比べて、ちょっとした物事が億劫になって来たのも、老化現象だと家族に言われています。

季節を変えて、山野の植物を見て歩くのも楽しいですが、種を撒き発芽から観察するのも面白いです。図鑑に書かれていないいろいろな事が学べます。最近では、野菜の苗も実生で育てる事にしています。山間の地では、そこで播種して育てた方が丈夫に育ちます。今回は、実生栽培している野菜ではなく、山野の植物を二種類掲載します。

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昨年の10月に撮ったフジアザミの実生苗です。片手を広げた(20cm)くらいの大きさでした。

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それがこんなになりました!別株のようでしょ?
数年前に、ある方から「下界で育てると凄く大きくなるよ!」と聞かされました。この時点で、富士山や県中西部の山岳地で見る株を凌ぐ勢いです。棘が痛くて、草取りする時には要注意です。

そして、問題のもう一種・・。

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こちらは、7月3日に撮った写真です。まだ、播種した植物の苗なのか確信が持てませんので、種名は伏せておきます。

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本日撮った写真です。野菜の種のように一気に発芽せず、ポツポツ発芽して来ています。左は種蒔き用土、右は小粒赤玉土です。老眼で近視の目を皿のようにして、緑色の部分を探します。こんな小さなものでも、見つかると嬉しいものです。

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双葉(子葉)の間に本葉が見えています。実は、最初の発芽を確認した頃から、気温の低い日が多くなりました。ある考えがあって、発芽温度確保の対策はせずに実験しています。山間の我が家の環境で苗が無事育ち、冬越し出来るのかも確かめたいと思っています。

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こちらは、新たに準備した別の実生床です。この実生床の利点は、微細種子の確認が容易な事と実生床の湿り具合が安定している事だと思います。

2019年7月10日 (水)

ハコネラン

楽しみにしていたトウモロコシの第一期分が、やられてしまいました😿。今年は、風任せではなく、丁寧に受粉の手助けもしました。結実率が良かったようで、花柄の近くまでしっかり食べてあり、昨年のように食べ残しがありませんでした。そろそろ収穫しようと思っていたところです。「バカヤロウ!」です。

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ハコネランの様子を見に行ったら、咲いていました!この野生ランは、とても小さな上に薄暗い林床に生えますので、花の時期でないとなかなか見つかりません。

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こちらは、スズタケの枯れ茎に寄り添って咲いていました。

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こちらは少し離れた場所で・・。

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初めてこの野生ランに出会ったのは、小雨降る林内でした。デジイチ+マクロレンズで撮りましたが、殆どピンボケでした。あれから、十年以上の歳月が経ちます。コンデジでこれくらい撮れれば、重たいデジイチは収納ケースでお留守番ですね。

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蕊柱が、頭を下げているお坊さんみたいです。

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ハコネランは、良く似たコイチヨウランと比較される事が多いので、花を並べて見ました。左がハコネラン、右がコイチヨウランです。ハコネランは、唇弁の両側の切れ込みが特徴として挙げられていますが、ご覧のように唇弁の色や斑紋の不明瞭な点も、コイチヨウランと違うところです。また、上から見た時の萼片や花弁が、ハコネランが緑系なのに対して、コイチヨウランはもう少し白っぽく(クリーム系に)見えます。

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次は葉の比較です。左がハコネランで、右がコイチヨウランです。ハコネランの葉は、丸みを帯びたものや細長いもの、葉柄の長いものなど様々ですが、肉厚でイチヨウランの葉に似た感じです。コイチヨウランの葉は、もっと薄く縁が波打っています。

富士山南面では、ハコネランはブナ帯に生え、コイチヨウランは亜高山帯の針葉樹林などで見かけます。
以前から気になっていたのですが、ハコネランはスズタケの生えている所で良く見かけます。スズタケに共生する菌から養分をもらっているのではないでしょうか?富士山のブナ帯で見るスズタケは、枯れた茎が目立ちますが、株元を見ると小さな葉があって、地下茎は生きている事が分かります。昨年見付けた愛鷹山系のハコネランも、スズタケが生える大岩の上に生えていました。スズタケ(笹)→共生菌→ハコネランの三者共生ではないでしょうか?

それと、同じ個体を続けて見る事が少ないように思います。共生菌への依存度が高く、休眠するのか枯れてしまうのか分かりませんが・・。

2019年7月 9日 (火)

ヤマトキソウ再び

もう遅いだろうと思いつつ、十数年ぶりに再会したヤマトキソウの様子を見に行って来ました。

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「やっぱり遅かったか・・。」前回出会ったのは右端ですが、花弁や萼片が落ちて花柄子房が膨らみ始めていました。この日は時間の余裕もあったため、センサー感度を上げて探しました。未開花株も含めて、予想外の個体数を確認する事が出来ました。
そして・・。

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予期せぬ嬉しい出会いでした。この場所には、9本の開花株と数本の子株が生えていました。

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ヤマトキソウの解説に「花は直立し、ほとんど開かず」とあります。

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このくらいが限界のようです。地域で見る事が出来て本当に良かった!ほとんど開かず目立たない花色が、自身の身を守っているようです。

ラン科トキソウ属ヤマトキソウ(Pogonia minor (Makino) Makino)。

静岡県では、絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されています。

2019年7月 8日 (月)

木に登ったジガバチソウ

ジガバチソウやクモキリソウは、一般的に地面に生えます。でも、稀に樹上に居候する変わり者もいます。

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初めてこの野生ランを見た時は、花が終っていました。エリアからして、フガクスズムシだと思っていました。そして翌年の花期に再訪して良く見ると、フガクスズムシではありませんでした。
フガクに似て木に登るクモキリソウ属(Liparis)・・静岡県でも自生が確認されている超希少種が脳裏に浮かびました。ドキドキしながら、コンデジを持った腕を伸ばして感撮りしてみました。プレビューで見たそれは、残念ながらクモイジガバチではなく普通のジガバチソウでした。

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通常、フガクスズムシはもっと高い所に着生しています。これは、爪先立ちして届きそうなくらいの場所です。もう少し低ければ接写出来るのですが・・。

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片手持ち感撮りです。唇弁の裾が、広がっていたら良かったのに・・。

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こちらは別の場所・・ミズナラに着生していました。少し個体数が減ったかな?

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ジガバチソウは花の変異が多く、同じ場所でも個体毎に様々です。クモキリソウ属(Liparis)は、どれもそうですね。

今日は、先方の手順間違いでみんな振り回されてしまいました。私の現役時代とは別の職種ですが、手順や段取りはどんな職種でも一番大事だと思います。

2019年7月 7日 (日)

シオデの花

家族が家にいると用事がいろいろあり、返って忙しい・・。今日は、シオデの花の観察です。シオデは雌雄異株で、草本ですがサルトリイバラの仲間です。

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蔓性の植物で、新芽は山菜になりアスパラガスのような味だそうですが、私はまだ食べた事がありません。葉柄の基部に、托葉の変化した巻きヒゲが1対あって、周囲の樹木などに絡み付きます。ジネンジョやトコロのように、幹に細かく巻き付かないので、除去は比較的楽です。球形の散形花序が、葉腋につきます。

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こちらは雄花です。釣り針状に曲がった白い葯が目だって、意外と綺麗です。

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こちらは雌花です。緑色の子房の上に、3裂して反り返った柱頭が乗っています。アップで見ると、面白い形ですね。

雌雄とも、淡い黄緑色の花被片が、反り返る特徴があります。全て、家の近くで撮った写真ですが、雄花は6月13日、雌花は7月2日に撮りました。蔓がどんどん伸びて順次花をつけますが、全体的に雄株の成長・開花が早く、少し遅れて雌株が伸びて来るように思います。

2019年7月 6日 (土)

栽培棚の変形菌その後

下界では天気が良くても、山間の地では霧が立ち込めてジメジメした日が続いています。こんな時には、ナメクジやカタツムリそして変形菌が元気になります。栽培棚で見付けた変形菌(粘菌)のその後の様子を観察してみました。

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ムラサキホコリの仲間と思える変形菌は、彼方此方に出没していました。

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子実体を覆っている白い綿毛のようなものはカビ?右は、感じが違うけど別の変形菌でしょうか?

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前回は見当たらなかったアミホコリ属と思える変形菌です。黄土色の球体が、白い粉や綿毛のようなものに覆われて行きます。これもカビでしょうか?

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こちらはツノホコリだと思います。上が幼菌で、下が成長した子実体のようです。

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これは、ある植物の茎に出没していました。キノコ?それとも変形菌?落下した球体は、赤褐色に変色していました。

変形菌は、変形体が移動しながら微生物などを摂食し、小さな子実体を形成して胞子により繁殖するという、動物的な性質と植物的な性質を併せ持つ生物だそうです。昨年、アミホコリの仲間を採取して、飼ってみようとしたのですが、上手く行きませんでした。今度はこの棚の木板に乗せて置いたらどうだろう?

2019年7月 5日 (金)

カラムシとチロリアンランプ・ラミーカミキリと萌

今日は、夕方用事がありますので、早めの投稿になります。
タイトルを見て、不思議に思われた事でしょう。実は、意外な関係があったのです。

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カラムシとチロリアンランプ(アブチロン)の葉です。カラムシはイラクサ科カラムシ属、植物繊維をとるために栽培されていたそうですが、今では、彼方此方の空き地で除草対象植物の筆頭に挙げられています。地上部を刈り取っても、太い地下茎から次々と生えて来ます。
チロリアンランプはアオイ科イチビ属で、ウキツリボクの和名で親しまれ、生け垣などとして栽培されています。イチビ属の植物も繊維をとるために栽培されるものがあるそうで、家畜の下痢止めになるとも考えられているそうです。

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カラムシを食草にしているカミキリ・・ラミーカミキリです。そして・・。

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今朝、チロリアンランプの葉に、ラミーカミキリが集っているのを見付けました。カラムシだけでなく、チロリアンランプも、ラミーカミキリの食草とされているようです。

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こちらは、12歳になって間もない我が家の甲斐犬「萌」です。萌は、散歩の時にカラムシとチロリアンランプの葉を好んで食べるのです。散歩道の千草の中からカラムシを見つけ出し、帰宅すると生け垣にしているチロリアンランプの葉に向かいます。双方の植物から、萌の嗅覚を刺激する匂いがするのか分かりませんが、迷わず駆け寄ります。

と言う訳で、ラミーカミキリの食草は、萌の食草でもあります。

2019年7月 4日 (木)

コクラン

萌の朝散歩は、レインコートを着ていたとはいえ、土砂降りの雨で濡れてしまいました。それにしても良く降りますね。
近くの山林で、コクランの花が咲き始めました。

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これは以前撮った写真ですが、花の時期に果実のドライフラワーが残っている事があります。花は、新芽の方に咲きます。日本のランハンドブックには、「常緑広葉樹林や竹林などの林床の暗い場所・・」とありますが、この辺りでは、スギやヒノキ林の林床で良く見かけます。

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左の下側が昨年の葉と果実で、上側が今年出て来た葉と花序です。葉は、冬の急激な気温の低下などにより、枯れてしまう事もあります。唇弁は中央が凹んで反り返ります。花や花柄・花茎などの色に変異があります。

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花は5~15個とありますが、近隣ではあまり多いものは見かけません。

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蕊柱の上に乗っている豚の鼻のようなものは、花粉塊を覆っていた部材だと思います。面白いですね。右は、果実のドライフラワーです。ギボウシランの記事でも触れましたが、コクランは自動自家受粉するそうです。果実の数が多いドライフラワーを良く見かけます。薄暗い林床を住処にしているための、進化だと思われます。

2019年7月 3日 (水)

新たな実生栽培実験

今迄、実生栽培実験をやって来たヤツシロラン類は、発芽と生育に必要な栄養を共生菌に依存している菌従属栄養植物(腐生植物)です。今回、挑戦したのは、光合成で栄養を得ている植物・・独立栄養植物です。要は、一般的な植物の事ですね。

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実生床を二つ準備しました。鍋焼きうどんのアルミ容器に、種蒔き用土と小粒赤玉土単用を敷いてあります。種子は、6月25日に蒔きました。果皮が裂開する前のものと、裂開し始めた完熟種子の両方を蒔いてみました。完熟種子は、発芽抑制されるかもしれませんので・・。ただ、この植物にとって、この時点の(早い)発芽が良いのかも分かりません。

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昨日、近視で老眼の目を皿のようにして見ると、とっても小さな緑色の物体が確認出来ました。発芽し始めたようですが、これが目的の植物なのかはまだ分かりませんので、植物名は伏せておきます。

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赤玉土と種蒔き用土共に、数個の発芽が確認出来ました。私は、この植物を発芽から観察した事がありませんので、現時点で蒔いた種のものなのかは分かりません。ただ、使用した用土は販売された袋を開封したばかりなので、他の種が入り込む可能性は低いと思います。

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ついでに・・。
左側は、頂いた実生苗でオケラだそうです。鉢の草取りをしようと、出たばかりの芽を摘んでしまい、成長が滞っています。
右は、我が家で発芽生育したヤシャビシャクの子になります。昨年秋に採り蒔きするのを忘れ、残っていた1個の果実を今春に蒔きました。ヤシャビシャクは、環境省RDBで、準絶滅危惧(NT)に指定されていますが、栽培環境下では発芽率が高く、発芽の翌々年には花を咲かせる個体もありました。
種を蒔いた植物も、自生地を凌ぐ生育を見せてくれることを願っています。

2019年7月 2日 (火)

ギボウシラン

小雨の合間をぬって、ギボウシランの様子を見て来ました。

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まだ少し早かったか!と思ったら、一輪だけ咲いていました!昨年見た場所と違い、ここは下草の中に紛れて見付けにくい・・。しかも、あちらはある程度まとまって生えていましたが、こちらは点在しています。

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少し横から・・。

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この平開した唇弁に、送粉者(ポリネーター)が集っている所を見てみたいけど、藪蚊が多くてとてもじっとして居れません。

同じクモキリソウ属(Liparis)のコクランやクモキリソウは、自動自家受粉するそうで、複数の果実が付いたドライフラワーを良く見かけますが、ギボウシランはどうだろう?「群生する事がある」とありましたから、こちらも自動自家受粉するのかも知れません。

環境省RDBで絶滅危惧ⅠB類(EN)、静岡県では要注目種(N)に指定されています。

2019年7月 1日 (月)

栽培棚の変形菌

雨降りなので、報告書と原稿を書いて過ごしました。現役時代と違い、PCの使用時間もある程度制限しないと、目がチカチカします。気分転換に栽培棚を見まわると、木板が腐っていろいろなキノコや変形菌が出現していました。まずは、変形菌から・・。

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白い塊が彼方此方で見られました。肉眼では形も良く分からないくらいです。ズームして見ると、クダホコリの仲間のようです。

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良く見ると、分岐した枝が見えます。エダナシクダホコリではなく、クダホコリのようです。管の外側に見える埃のようなものは胞子だそうです。

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とっても小さな赤い球・・マメホコリの仲間のようです。他の写真を撮っていて、潰してしまいました。図鑑に書かれた「マメホコリの思うつぼ」にはまってしまいました。右の写真は、クダホコリの後ろに別の変形菌が写っています。

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ムラサキホコリの仲間でしょうか?変形菌の大きさは、右端に写っている籾殻と比べてみてください。

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右の写真は、子実体にカビが生えているような感じですね。

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こちらもカビが生えたような感じですね。正しい名前が分かる方、教えてください。

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