ヤマウツボ
葉緑素を持たず光合成をしない植物には、キノコなどの菌類から養分をもらって生きる菌従属栄養植物と、光合成をする植物から養分をもらって生きる寄生植物があります。ヤマウツボは、カバノキ科やブナ科などの植物の根に寄生するそうです。掲載したものは、茎に毛が生えていますのでケヤマウツボになります。
ここは、イノシシに食べられた痕のようです。同じ標高に生えるキヨスミウツボもこんな場面に出くわす事が多々あります。
敷き詰められた落ち葉の色が保護色になっているのでしょうか?でも、あまり効果が無いようですね。
花を接写してみました。「オシベは4個、下側2本がやや長い。メシベは、細長い花柱が1本あり、子房は2室。」とあります。下側のオシベだけ見えています。円内は、花冠が落ちて萼に包まれた果実が見えます。
果実を取り出してみました。図鑑によると、「蒴果は長さ5~7㎜の倒卵形」となっていますが、ずっと小さい・・。まだこれから大きくなるようです。熟した頃、再観察してみます。 数年前に、イノシシに掘り起こされたと思われるヤマウツボを見ました。思ったより地下部が長いので、種子に種沈がついていて、アリに土中へ運ばれるのかと思っていました。この果実は、種沈が付いている種子のように見えるでしょ?ところが、ヤマウツボ属は自動散布(自分で種子を弾き飛ばす)をするそうです。そのまま下に落ちる重力散布でもないところが面白いですね。しかも、2mくらい飛ぶ事もあるようです。
初めて出会った時は、このような不気味な姿に驚きました。撒かれた種子は直ぐに発芽せず、地中で休眠し宿主の根から出る特定の化合物の刺激によって発芽するそうです。宿主の根が近くまで伸びて来るのを待って発芽するのかな?そして、アリや雨水に根の近くまで運んでもらうのではなく、自らも伸びて宿主の根に到達するそうです。ヤツシロランの根状器官を思わせます。種子散布方式も含めて、面白い植物ですね。
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