サワトラノオ
浮島ヶ原自然公園のサワトラノオ群生地は、富士市の天然記念物に指定されています。
地元に住んでいますが、私は今迄この植物をあまり興味を持って見て来ませんでした。絶滅危惧種に指定されているとはいえ、生育環境が合えば除去対象植物と同じように大群落を形成するものもあります。この植物も湿地という環境が確保されれば、個体数を増やすのが容易な植物だと思っていたのです。
ところが、この自生地を対象に書かれた論文や、他県の保護団体の調査報告などを見ると、結構気難しい植物のようです。
木道脇に見えるこの赤い葉が、サワトラノオです。冬葉は、このように赤っぽくなります。
左はまだ小苗のようですが、一年株か二年株か?右のように緑色になっている葉もありました。他の葉も、段々緑色になってくると思います。
こちらの双葉は、昨年の種が発芽したものでしょうか?私は、まだ実生苗がどれなのか、良く分かりません。
これが苗だとしたら、親株の近くにばかり見られるようです。微細な種子は沢山出来ますが、親株から離れたところに運ばれる術はあるのでしょうか?また、実生から開花まで、何年かかるのでしょう?不勉強なので、疑問ばかりです。
3月下旬になると、段々茎が伸びて来ます。これらが、「横に這う地下茎」から出たものか、親株から撒かれた種子の成長したものかも知りたい・・。ひしめき合っているので、株分けした方が良いのでは?なんて思いながら見ました。
他地域では、行政機関が主導して毎年3月上旬に植え替えをしている所もあるようです。植え替えが、生育促進に繋がるのかもしれません。また、サクラソウ科の植物は、挿し穂により発根するともありました。希少種の上に、天然記念物指定されているエリアなので、簡単に手出し出来ませんが、チャンスがあれば試してみたいものです。
4月末頃から5月頃に花が咲きます。少し分かり難いですが、右の写真をクリックして見ると、蕾の時に花柱の先端が姿を現していますので、雌性先熟ではないかと思います。
花冠は、普通5裂しますが、変異があります。私は、5裂~10裂のものを確認しています。オシベは、花冠の裂片と同じ数になります。
管理棟に保管されている論文によると、ハナアブ以外に花粉を付けたアリも送粉者の可能性があると記載されていました。また、送粉者とは書かれていなかったと思いますが、アザミウマも花にやって来た事が書かれていました。フタリシズカの送粉者として、アザミウマが挙げられていますので、こちらも送粉者かもしれません。
サクラソウ科オカトラノオ属サワトラノオ(Lysimachia leucantha Miq.)。
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