スギ林に生えるアキザキヤツシロラン
スギ林に生えるアキザキヤツシロランが気になり、また様子見に行って来ました。
台風の影響で、前回以上にスギの枝葉が積もっていました。これでは、アキザキヤツシロランはともかく、クロヤツシロランを見付けるのは更に難しくなります。
この場所は、クロヤツシロランよりアキザキヤツシロランの方が多いかもしれない・・。
クロヤツシロランよりも花茎が長いので、かろうじて堆積したスギの葉の上に姿を見せています。
クロヤツシロランは唇弁に毛が生えていますが、アキザキヤツシロランの唇弁には毛がありません。また唇弁の色も白っぽい・・。見慣れると、花筒や果実の色でも区別出来るようになります。
この日は、藪蚊の猛攻に遭いませんでしたので、同じような写真を何枚も撮りました。
花筒が落ち、花柄が伸び始めていました。左がアキザキヤツシロランで、右がクロヤツシロランです。
クロヤツシロランとアキザキヤツシロランの共生菌は、クヌギタケ属やホウライタケ属である事が、研究者によって確認されているそうです。自生する林の樹種(竹、常緑広葉樹、スギ)から、クロヤツシロランのほうが、多様な菌類と共生すると思っています。
今迄、アキザキヤツシロランは、竹林の林床に繁殖する菌類としか共生しないと思っていました。日本のランハンドブックにも「モウソウチクやマダケなどの竹林」と書かれています。ところが、この自生地はスギの林です。諸先輩のWeb記事には、「竹林など・・」と書かれていますが、「など・・」がどんな林なのか記載されてたものは見つかりませんでした。
花柄がもっと伸びた頃、また様子見に行くつもりです。このスギ林での、クロとアキの個体数の違いが凡そ分かると思います。
ラン科オニノヤガラ属アキザキヤツシロラン(Gastrodia confusa Honda et Tuyama)。
当初、アキザキヤツシロランとクロヤツシロランは、混同されていた(みんなアキザキヤツシロランと思われていた)そうです。クロヤツシロランは、1980年に高知大の澤先生(故人)によって採取された標本をもとに新種記載されたそうで、それまでアキザキヤツシロランと思われていたものの中に、クロヤツシロランが含まれていた事になります。我が富士市では、アキザキヤツシロランの自生地は、クロヤツシロランよりずっと少ないと思っています。
明日予定されていた〈富士市こどもエコクラブ交流会〉富士山の森を探索しよう!!『世界遺産富士山の大調査』は雨予報のため中止になってしまいました。楽しみにしていたのですが、安全第一・・仕方ありません。
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