ナギランとマヤラン
風は少し涼しさを感じますが、まだまだ暑い!今日も、除草作業で汗かきダイエットを行って来ました。
ナギランとマヤラン・・共にシュンラン属で、似た環境に生える少し変わった野生ランです。
【ナギラン】
これは富士市某所で、昨年見付けた個体です。終盤を迎えた残り花で、その存在を知りました。残念ながら、今年は花を付けておりませんでした。
左は、手の届かない断崖に生えていました。中と右は新芽のようです。葉だけ見るとノヤマトンボ(オオバノトンボソウ)に似ています。葉の先端部に細かい鋸歯がありますが、葉の付け根を見るとシュンランと同じように、枯れた鱗片葉が付いています。
細めの萼片は、良く開いています。
ナギランは、光合成を行いますが、菌類に栄養依存している部分的菌従属栄養植物だそうです。しかも菌への依存度が高いと書かれていました。地中の菌の状態で花を咲かせない事もあるようです。
ラン科シュンラン属ナギラン(Cymbidium nagifolium Masam.)。
こちらは、葉を持たない菌従属栄養植物(腐生植物)です。マヤランは、キノコの菌糸から養分をもらい、その菌糸は特定の樹木の根から養分をもらって生きているそうです。少し前に登場した、ヒナノシャクジョウと同じで、三者共生を行っているという事ですね。厄介な生き方をしているものです。
ナギランと同様に、萼片が良く開いています。園芸種のシンビジュームに似た花ですね。
「側花弁は蕊柱を囲み・・」とあります。側萼片や背萼片は開いても、側花弁はこのままです。
右は、鱗片葉です。花径は緑色ですから、葉緑素を持っているようです。私はまだ実物を見た事はありませんが、果実も緑色になるそうです。
小さなアリが訪問していました。山野で見た希少種は、時間のある時には受粉の手助けをしていますが、ナギランとマヤランは自家受粉するそうですので、手を触れませんでした。
Webに掲載されているマヤランの花は、萼片がもっと白いものが殆どですが、この花は珍しい色合いだと思います。
ところで、このマヤランの自生地では、秋に咲く個体もあると聞きました。ナギランの場合は、アキザキナギランが別種登録されていますが、秋に咲くマヤランは品種か変種?或いは別種?とても興味深いです。
ラン科シュンラン属マヤラン(Cymbidium macrorhizon Lindl.)。
一般的に、菌従属栄養植物の野生ランは、地味な花色で目立たないものが多いですが、このマヤランはご覧のように観賞価値があり、盗掘対象にされる恐れがあります。
光合成を行わず、菌類から養分をもらって生きている植物ですので、持ち帰っても栽培出来ません。採取は止めましょう!
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