最近出会ったヤツシロラン類とムヨウラン類
ハルザキヤツシロランの監視人の方から、「もう種子が飛散し始めた」と聞いて慌てて行って来ました。小雨降る自生地に着くと・・。
「しまった、遅かったか!」莢が割れて、種子の残っていない果実ばかりでした。
私が知る自生地のクロヤツシロランやアキザキヤツシロランに比べると、ずっと少ない個体数です。「せっかく教えて頂いたのに、種子の採取が出来ない・・」。不安な気持ちで、探し回ると・・。
まだ種子の残っている果実がありました!
そして、監視されているところから少し外れた場所に、割れていない莢を幾つか発見しました。私が初めてこの場所を訪れた時、とても気になった辺りです。藪蚊に刺されながら調べてみると、前回花を撮影したところより多い個体数が確認出来ました。白っぽい果柄が長く伸びるこの時期だからこそ、見つける事が出来たのです。
実生栽培実験用に、少し種子を採取させていただきました。
ラン科オニノヤガラ属ハルザキヤツシロラン(Gastrodia nipponica (Honda) Tuyama)。
これって、ムヨウラン類の果実ではないでしょうか?低めの丈からすると、エンシュウムヨウランか、ウスキムヨウラン?他にも数株見付けました。
昨年のドライフラワーの根元を見ると、新しい蕾が姿を現していました。魅力的な軸(茎)の色から、花の咲くクロムヨウラン(※トサノクロムヨウラン)のようです。開花が楽しみです。
ラン科ムヨウラン属トサノクロムヨウラン( Lecanorchis nigricans var. patipetala)。
5月30日、富士市内某所・・エンシュウムヨウランがまだ咲いていました。全開する事の少ない花ですが、右のように綺麗に開いていました。
この場所へは、別の目的で行ったのですが、見事に開いた見納めの花に出会えて良かったです。
ラン科ムヨウラン属エンシュウムヨウラン(Lecanorchis suginoana (Tuyama) Seriz.)。
さて、いよいよ静岡県内に自生する三種のヤツシロラン類中、最難関のハルザキヤツシロランの実生栽培に挑戦です。果実の生育状況を、教えてくださった監視人の方に感謝です。
※トサノクロムヨウランについて
静岡県でクロムヨウランと呼ばれている植物は、白い唇弁の先端が淡い紫色を帯びるとても綺麗な花を咲かせます。ただ、花の寿命は短く直ぐに萎んでしまうと、ハルザキヤツシロランの監視人さんが教えてくれました。ところが、高知の先輩のブログで「クロムヨウランは花が開かない」と書かれていた記事を幾度か見た事があります。そして、今年初旬に下記のような論文が発表されました。
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