シマクモキリソウとシテンクモキリ
実際に見た事も名前を聞いた事も無かった野生ランを、偶然見る事が出来ました。もう二度と目にする事は無いかもしれません。
左が、その野生ラン・・シマクモキリソウ Liparis hostifolia (Koidz.) Koidz. ex Nakai です。
右は、同じくクモキリソウ属で、駿河の峰で出会った無班のシテンクモキリ Liparis purpureovittata です。こちらもあまり出会えないと思います。
停止線があったため、18.8倍ではこれが限界でした。高倍率のコンデジを持って行けばよかった・・。
この野生ランは、平成29年6月に東京都などが行った南硫黄島自然環境調査により、79年ぶりに採集されたものです。発見当初は、右の写真に掲載されているような葉だけで、種類の同定が出来なかったため、国立科学博物館筑波実験植物園に栽培を託したところ、開花に成功し、花の形や遺伝的特徴からシマクモキリソウであることが確認されたそうです。
東京都のホームページに・・「大変希少であるうえ、栽培が非常に困難で展示中の維持管理が難しいため、展示は11月19日〜26日に筑波実験植物園で開催される「つくば蘭展」での限定公開とします。」と書かれています。
私はこの野生ランが展示されている事を知らずに行って、運よく見る事が出来ました。
撮れた写真が少なかったため、無班のシテンクモキリを掲載します。
こちらも紫点のある方。シマクモキリソウもこのシテンクモキリも、唇弁の裾が普通のクモキリソウのように後ろに強く反り返っておりません。前者は、Web写真を見ると、スズムシソウやコオロギランを思わせる様な形の唇弁でした。
クモキリソウ属は、同じ種類でも花色などに変異があります。変わり者の多い野生ランだと思います。
ところで、少し前に、「光合成をやめた植物3種の種子の運び手をカマドウマと特定 ―風も鳥も哺乳類も手助けしない植物の種まき方法―」の論文の紹介をしましたが、11月17日付の読売新聞及び11月27日付の時事通信にも取り上げられていました。
研究者は、遠い地から我が静岡県に幾度も足を運び、この事実を突き止めました。その熱意に、拍手を送りたいと思います。下記にリンクを貼りましたので覗いてみてください。
※時事通信掲載を追記しました(12/3)。
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