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2017年8月

2017年8月31日 (木)

亜高山帯の針葉樹林に咲く花

一人下山散策の時、シラビソやカラマツ林で出会った花を集めてみました。

【コバノイチヤクソウ】

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コケモモの中に咲く、コバノイチヤクソウです。

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花茎を観察すると、赤軸と緑軸があります。花は終盤を迎え、場所によっては花柱の付いた特徴ある果実が出来ていました。

この標高では、他にコイチヤクソウ、ジンヨウイチヤクソウ、ベニバナイチヤクソウなどを見る事が出来ます。混在しているところもありますが、全体的には種類ごとに住み分けしているように思います。

【ミヤマフタバラン】

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こちらも、花柄子房が膨らみ始めていました。この植物も花茎が赤軸と緑軸のものがあります。でも、今回は緑軸が見当たりませんでした。

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花を接写してみました。フタバラン類(サカネラン属)は、人形のような花が多いですね。

この野生ランは、駿河の峰よりも甲斐の峰の方がずっと多く見られます。フタバラン類はみんなそうかも?

【アオスズラン】

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散策ルートで、一番標高の高い所には、まだ花が残っていました。少し下ると、右のように花が萎れ子房の膨らみ始めた株が、目につくようになりました。

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しっかり開いた側花弁と側萼片が、立ち合い姿の力士を連想させます。

このエリアで見るアオスズランは、毎年同じ場所で出会う事が少なく、悪い小父さんに連れ去られたのかと思う事が多々あります。特殊な環境に生える野生ランの姿が見えなくなるのは、そればかりではないと思いますが・・。

でも、毎年何処かで出会えると、ちょっぴりだけ安心します。

【ヒメミヤマウズラ】

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下界に生えるミヤマウズラに比べて、ずっと小さな植物です。駿河の峰で見るヒメミヤマウズラは、特に小さい気がします。場所によっては、斑があまり目立たない個体もあります。そして、この野生ランも甲斐の峰の方が個体数が多く、葉の斑もはっきりしています。

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花が咲いていましたが、今年は下旬の散策だったため既に傷み始めていました。右は、この場所より標高1,000mくらい低い所で見つけたミヤマウズラの蕾です。

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カラマツの低い枝の下に咲いていたため、思ったように撮れませんでした

今日も暑かったけど風の強い一日でした。週末には、ボランティアで沼川の草刈りがあります。台風の進路は、どうなるのだろう?

2017年8月30日 (水)

アキザキヤツシロラン実生栽培実験(8月下旬)

アキザキヤツシロランの、実生栽培実験容器を覗いてみました。

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所々に、このような白い菌子束が伸びています。容器内を見まわすと、褐色の菌子束も確認出来ます。キノコの種類により、菌子束の色も違うそうです。

右は竹林の部材ですが、左はスギの球果です。もしかしたらスギの球果にも菌子束が伸びるかもしれないと思い、入れてみました。これが、アキザキヤツシロランに栄養供給するキノコか分かりませんが・・。

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クロヤツシロランの実験容器に比べて、根状器官(仮称)があまり目立ちません。前記事にも書きましたが、部材で塊茎を覆ってあるため、その姿や根状器官を観察し難いのですが、竹の葉や木切れの間に少しだけ姿を現しています。

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左はどうなっているのでしょう?頭(花茎)が下を向いているように見えますが・・。

右はついでに掲載した、コオロギの実生実験容器です。今年で三年目になりますが、姿を現してくれません。コオロギの自生地の菌糸ではなく、ベニシュスランやハクウンランの自生地の菌糸を使用しましたので、どうも菌糸が合わないようです。写真に写っているのは、ベニシュスランかハクウンランの根茎ではないかと思います。部材に紛れ込んでいた種子かプロトコームの成長したものだと思います。

更に容器内を探すと・・。

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①の容器に、花茎の先端らしきものが姿を現していました。

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②の容器にも・・。

各々1本ずつですが、何とか花を見たいものです。ここまで来たら、見守るしかありませんが・・。

地味なものばかりでしたから、目の保養に・・。

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我が家で咲いた、最後のカノコユリです。同じようなところに植えてあったのですが、株によって開花時期にかなりな開きがあります。

◇農薬散布

今日は、シキミの農薬散布をしていました。前回の散布から10日くらいになります。この農家は、7~10日間くらいの頻度で農薬散布しています。文句を言うようになってから、土・日などは避けるようになったみたいですが、うっかり窓を開け放しで置くと室内が農薬臭くなってたまりません。周辺の道にも頻繁に除草剤を散布するし、本当に困ったものです。規制する良い手段は無いものでしょうか?

2017年8月29日 (火)

シダ植物(富士山)

富士山で見たシダ植物を集めてみました。

【ヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属】

(マンネンスギ)

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ヒカゲノカズラが直立したような感じで、スギのミニ盆栽みたいですね。

(マンネンスギ・ヒカゲノカズラ)

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比較のために並べてみました。左がマンネンスギで、右がヒカゲノカズラです。これらは、低地から亜高山帯まで広範囲に見る事が出来ます。

(アスヒカズラ)

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こちらはヒカゲノカズラに似ていますが、アスナロ(ヒバ)の葉のようです。富士山でも、亜高山帯の限られた場所でしか見る事が出来ません。

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数年前に、この群落を見付けました。その後、日陰を作っていたカラマツが倒れて、年々減少しつつあります。日陰を求めて群落が移動している・・そんな印象を受けました。

環境省RDBでは指定がありませんが、静岡県では要注意品目(N)となっています。全国でも、絶滅危惧種に指定された地域が多くあります。

【ハナヤスリ科ハナワラビ属】

(ヒメハナワラビ)

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撮影時期を変えて撮りました。6月半ば頃は、左のように栄養葉が胞子葉を包んでいます。道祖神の舟形光背(ふながたこうはい)のような感じですね。7月になると、胞子葉が伸び栄養葉から離れます。

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8月頃になると、胞子嚢が割れ胞子を飛散します。

ヒメハナワラビは、環境省・静岡県とも絶滅危惧種Ⅱ類(VU)に指定されています。でも、場所によっては、かなりな株数を見る事が出来ます。

(ミヤマハナワラビ)

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写真は、8月下旬の様子です。胞子を飛散するのは、ヒメハナワラビより一月遅れくらいでしょうか?

こちらは、かなり気難しい植物のようで、なかなか増えません。富士山では、極限られた場所でしか見る事が出来ません。小さいので、探すのも大変です。環境省・静岡県とも絶滅危惧種ⅠA類(CR)に指定されています。

2017年8月28日 (月)

ナンバンギセル(裏庭植物園)

家の裏庭に、ミョウガのエリアがあります。数年前より、そこにナンバンギセルが生えるようになりました。

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ナンバンギセルは、ススキ、サトウキビ、ミョウガなどの根に寄生する一年草です。ミョウガが元気をなくしてしまうなら、除去しようと思ったのですが、とても元気なので果実が出来てもそのままにしています。

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一茎一花ではなく、数個の花を付けます。「茎のように見えるのは花柄で、茎はごく短く殆ど地上に出ず・・」とあります。

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下から撮ってみました。モニターを見れないので、感で撮りました。どうした事か、花冠の外れた花がありました。異様に大きいメシベの柱頭(黄色い球形)が見えています。

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花を正面から撮ってみました。其々、花冠の縁と柱頭にピントを合わせたつもりです。

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デジタルズームしてみました。左の写真には柱頭の下部と花筒の内壁に白い花粉が見えています。

オシベは何処にあるのだろう?違う花で柱頭の奥を覗いてみると、オシベがありました。でも、見えない花もありましたから、受粉が終わるとオシベは溶けてしまうのかもしれません。花筒の外れた上の写真を見ると、花柱の下の方に、赤紫の痕跡があります。

花の構造を観察するには、切断してみれば良いのですが、素人なので敢えて傷めるのは控える事にしました。

今夜は、ミョウガの酢味噌和えで一杯です。

2017年8月27日 (日)

気になった果実(富士山)

とても涼しい朝でした。毎日こうだと過ごしやすいのですが・・。

今日の記事は、最近見た果実を集めてみました。植物観察は、花の時期だけでなく果実の観察も面白いです。

【コケモモ】

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下山散策で出会ったコケモモは、まだこんな状態でした。赤く熟す頃にまた行ってみよう!

【マイヅルソウ】

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この大理石のような果実が熟すと、透明感のある赤い果実に変身します。

【トチバニンジン・ソウシシヨウトチバニンジン】

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トチバニンジンの果実は左のように朱色ですが、右のように黒い斑点のある果実を見る事があります。こちらは、少し標高の高い所に生えるソウシシヨウトチバニンジン(想思子様栃葉仁参)です。どちらも、健胃・整腸などに効能があるそうです。

【ミヤマシキミ】

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同じ群落でも、熟す時期に開きがあります。こちらは、全草有毒だそうです。

【タケシマラン・ナベワリ】

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下から撮った花です。どちらもぶら下がって咲きます。左がタケシマラン、右がナベワリです。

(タケシマラン)

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透明感のある赤い果実・・綺麗でしょ?

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下山散策終盤で出会いましたので、ピンボケが激しくなってしまいました

(ナベワリ)

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花は幾度か見ていましたが、果実を見たのは今回が初めてです。勾玉のような形で、扁平な果実です。

【ギンリョウソウ】

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下山散策で、一つだけ見付けました。ゲゲゲの鬼太郎の目玉おやじみたいでしょ?

2017年8月26日 (土)

一人下山散策(2017年)

富士山の下山散策は、2011年8月6日に、当時の観察仲間に連れて行ってもらったのが始まりです。

翌年(2012年)は、計画していた日が雨だったため中止となりました。その翌日、窓から見た富士山が「オイデオイデ」をしていたので、一人下山散策をする事に決めました。以来、2013年、2014年、2015年、2016年と一人下山散策を続けて来ました。

富士宮口5合目から水ヶ塚まで、標高差約1,000mの行程は、下りとはいえ軟弱な私にはかなり応えます。例年行っていた時期に雨が続いたため、今年は下旬の散策となりました。

宝永の火口周辺で撮った写真などを集めてみました。

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富士宮口五合目駐車場(バス停)から、ブルドーザー待機所(宝永火口方面)に向かいます。こちらへ向かうのは私だけ・・。右は山頂を18.8倍ズームしてみました。近くで見る富士山は、下界とは違う姿を見せてくれます。

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左は、宝永火口へ向かう途中で見た愛鷹連峰です。我が家は、その右手方向(西)の裾になります。右は、宝永第二火口の縁から山頂を見たところです。暑さのせいで、ここまで来るのに散歩の後の萌のように息を切らせていました。

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左は、第二火口の縁から第一火口を見上げました。第一火口の下縁から登って行くルートもあるようで、数人の姿が見えました。右は十二薬師岩脈群です。岩脈は、元の地層にマグマが垂直に入り込んだものだそうです。

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この日は、パノラマの撮れるコンデジを持って行きませんでしたので、3枚で見てください。左は山頂を見上げたところ、真ん中は宝永山です。右は、第二火口の下の縁です。

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第二火口と第三火口の境と、第三火口を見下ろしました。今回のルートは、左の写真のカラマツの脇を下りました。

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降りた道を見上げたところです。結構急なので、慎重に歩かないと滑ってしまいます。ハイマツのように見えるのは、風雪に耐えて来たカラマツです。

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上のカラマツの辺りから撮った第二火口と、第三火口を見下ろした様子です。ショートカットで、右の写真辺りを下ろうと思ったのですが、中央付近に野鳥の撮影をしている人がいたので、遠回りして下りました。

似たような写真ばかりですが、後は林の中に入りましたので、景色を撮った写真がありません。毎年「来年も来れるだろうか?」と思いながら続けて来ました。歩ける内は、何とか頑張ろうと思っています。

2017年8月25日 (金)

ハクウンランとアリドオシラン(富士山)

今日も暑かった!水分を取らないと干物になってしまう!

タイトルを見た諸先輩の中には、「今頃?」と思われる方がいるかもしれません。今年は植物の開花が遅れた事もあって、ギリギリセーフでした。

【ハクウンラン】

下界の自生地では、もう花も終わっていると思います。ここは、私が知る自生地で、一番標高の高い所になります。

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咲き始めたばかりようです。

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まだ蕾だけの個体も見受けられました。

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この場所は、ヤクシマヒメアリドオシランと混生はしておらず、ハクウンランのみが生えています。

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御覧のように、萼片などは緑色です。日本のランハンドブックには「萼片と側花弁は淡緑色だが、赤味を帯びる事もある」と書かれています。私は、ヤクシマヒメアリドオシランと混在する自生地以外で、赤味を伸びたハクウンランらしき花を、まだ見た事がありません。

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昨年、別の場所でスギの葉を除けたところ、一緒に抜けてしまった個体の地中部です。「根が退化しているので、菌への栄養依存が強いと思われる」と書かれています。

◇素人の考察

この自生地を見て気が付いた事ですが、昨年と花の咲いている場所がずれていました。最初見つけた時から、少しずつ移動しているようにも思います。そしてこの場所では、冬に地上部が枯れて、上の写真の地中部分だけが残るのだろうと思っています。冬見た時に、葉が一つも確認出来なかったからです。菌への栄養依存が強い・・地中の菌の状態によって、一気に絶えてしまう事があるかもしれません。

【アリドオシラン】

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こちらは、更に標高の高い所に生えています。もう、花も見られないかと思ったら、まだ咲き残っていました。

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とても小さな花なので、撮影時にズームし過ぎ、返って見難くなってしまいました

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ハート形の唇弁が可愛いでしょ?

ところで・・。

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普通に見られるアリドオシランンは、左側のような葉を付けています。でも、ここのホンの限られた場所に、右のような斑入り葉のアリドオシランが生えています。

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実は、この場所で最初に見つけたアリドオシランが、この斑入り葉だったのです。山の神様に感謝しなければいけませんね。

2017年8月24日 (木)

休耕畑①の自然観察

今日は曇りの予報だった・・。昨日よりは涼しいだろうと、喜んでいたのも束の間、日が射して来た!暑い!長靴を履いていたら、足も焼けるように暑い!萌は、暑さのせいで朝ごはんを少し食べただけでした。黒い毛皮を着たままだから、さぞ辛い事でしょう。

休耕田①は、畑として再出発しつつあります。でも、ブログでは暫くこの呼び名を使うつもりでおります。こちらも、作業の合間に自然観察をしてみました。

【自然薯の花】

以前、オニドコロの雄株と雌株を観察したので、今度は自然薯です。同じ場所に生えている場合、オニドコロの方が早く葉が展開して、花もずっと早く咲きます。

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自然薯は、刈り取らずに蔓を誘引してあります。雌株(花)と雄株(花)を見付けたので、撮ってみました。

左が雌株で、花序は下に垂れ下がっています。中は雄株で、花序は上を向いています。右は、自然薯の葉です。オニドコロに比べて、ずっとスリムです。

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雌花を接写して見ました。暑さのせいで、気を抜いて撮ったためピンボケです。一房の花数は、雄花に比べて少ないです。

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こちらは雄花。花数が多いでしょ?殆ど開いていないような感じですが、独特の香りがします。

葉に穴が開いていたので、食べている虫を探したところ・・。

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マメコガネがいました。体の彼方此方に付いているオレンジ色のものは、ダニの仲間です。マメコガネに危害を加えているのではなく、こうしてくっ付いて彼方此方に運んでもらうそうです。横着な奴ですね。

【トウガン】

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植えたつもりはなかったのですが、トウモロコシのエリアにトウガン(冬瓜)が生えて来ました。左はトウガンの花で、右はカボチャの花です。同じ黄色の花ですが、並べて見るとかなり違いますね。

カボチャは、威勢が良く食べ飽きるほど生っています。五月蠅く言って、家族に毎日食べさせています。

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こちらは、トウガンの蔓です。毛深いでしょ?まだ小さいですが、3~4個果実が生っていました。出汁の効いたあんかけが好きです。

【マルバルコウソウ】

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茶ノ木を刈り取ったエリアに生えて来た苗を、二つ残して置きました。カボチャに覆い被さるような勢いで繁茂しています。

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案外綺麗な花でしょ?趣味の果樹畑には、ルコウソウも生えています。そちらは後日・・。

明日も暑いのかな?こう暑い日が続くと、汗をかき過ぎて痩せてしまう!

2017年8月23日 (水)

マネキグサ

今日も暑かった!屋外作業には、最悪の一日でした。たまに吹き抜ける風の涼しかった事・・。

そろそろ咲く頃だろうと思い、マネキグサの様子を見て来ました。自生地には、先行者の痕跡が・・。

まだ蕾の膨らんでいない株も多く、全体的にはこれからのようです。

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薄暗い所に生えているので、フラッシュ撮影です。

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後頭部と横顔・・。

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個体毎に見比べると、花冠の白い縁取りや、3裂した下唇の形に変異があります。

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こちらは、この場所では白い部分が多い花です。稀に白花もあるそうですが、白い縁取りの無い暗紅紫色だけの花もあると思います。いつの日か・・。

中にはこんな変わり者も・・。

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「変でしょ?」3裂した下唇が上を向いています。

人間だけでなく植物の世界にも、変わり者はいるものですね。

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こちらは下唇が丸みを帯びて幅広です。メタボ系の花ですね。

最後に・・。

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ハナアブが、蜜を吸いにやって来ました。

シソ科マネキグサ属(レッドデータープランツ増補改訂新版参照)。環境省、静岡県共に準絶滅危惧種(NT)に指定されています。自生地の様子を見ると、人の手による保護・増殖の難しくない植物だと思います。

2017年8月22日 (火)

ちょっと不気味な植物観察

今日も午後から雨・・困ったものです。

また女性の訪問者を減らすようなタイトルですが・・。

【不明な植物】

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一見、ヤマウツボかと思うような姿でした。

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拡大して見ると、百合の鱗茎のような感じです。

これは何でしょう?

【アキノギンリョウソウ】

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彼方此方で、このような姿が見られました。アキノギンリョウソウは、別名ギンリョウソウモドキと呼ばれています。でも、ギンリョウソウ属ではなく、少し前に登場したシャクジョウソウ属になります。

ついでに付けたような名前ではなく、一茎一花なので、イチリン(咲き)シャクジョウソウなんてどうでしょう?

【ロウタケ】

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林内を歩いていると、このようなものを見かけます。これはロウタケ科ロウタケ属のキノコです。普通のキノコのように、子実体を作らない変わり者だそうです。

【キバナノショウキラン】

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季節の移ろいは早く、少し前に花を掲載したばかりのキバナノショウキランも、果実を付けていました。中には、茎が腐食してしまったものもあります。

ちょっと不気味なものばかりなので、少し可愛い花を掲載します。

【コフウロとゲンノショウコ】

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似た花ですが、こうして並べてみると違いが分かりますね。左がコフウロ、右がゲンノショウコです。ただ花弁の形は、個体毎に違いがありますので、この写真だけでは参考になりません。

◇訪問者の方にお願い◇

富士山南麓、愛鷹山西麓付近で、次の果実(熟したもの)を探しています。

ギンリョウソウ:ゲゲゲの鬼太郎に登場する目玉おやじのような果実

キヨスミウツボ:白い粒に触ると、プニプニするようになった果実

キバナノショウキラン:果実が十分膨らみ、茎や花(果実)柄が腐食し始めたもの

上記解説は、熟した状態の目安を記載しました。この状態になる前でも結構ですので、ご存知の方、おおよその場所を教えてください。

yamabudou@hotmail.com

2017年8月21日 (月)

休耕畑②の自然観察

休耕畑①の伐採は終わり、メンテナンス(草刈り・草取り)段階になりましたので、更に面積の大きい休耕畑②の伐採を再開しました。

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伸びた茶ノ木の上に、クズが繁茂しています。見る度、途方に暮れてしまいます。でも、やるしかありません。

作業の合間に自然観察してみました。

【植物観察】

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難敵・・クズの蕾です。伐採した茶ノ木に蔓が絡みついて、引き出すのに体力が必要です。

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こちらも我が物顔で繁茂しています。ヨウシュヤマゴボウです。

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休耕田①に比べて、異常な大きさに育っているのは、ベニバナボロギクです。私の背丈を遥かに超えています。

この植物は、蕾の初期に上を向き、開花時期になると下を向き、花が咲きます。

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受粉すると上を向き、やがて種を飛ばします。面白いですね。

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こちらは、キツネノカミソリです。

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日照の良いところと薄暗い所では、花色がかなり違います。

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一休みしていて目に入った小さな花・・コカモメヅルでしょうか?

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これは、刈り取らずに保護する事にしました。

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キノコを発見!右はホコリタケの仲間のようです。

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小枝から菌子束が出ていました。右がこの菌子束の子実体だろうか?

【生き物観察】

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イシミカワの蔓に集っていたこの虫は?Web検索すると、ベッコウハゴロモに似ている・・。

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こちらは髭を生やしたような蜘蛛です。頭の上にも目があるようですね。

最後に・・。

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笹を伐採しようと思ったら、カエルがいました。いつも見ているのは模様が無いけど、モリアオガエルだと思います。次回行った時、水場を作ってやろうと思っています。プラ桶でも良いかな?

休耕畑の再生は、孤独で大変な作業です。でも、夢のある作業だと思います。なかなか進まず、夢が遠のいてばかりですが・・。

2017年8月20日 (日)

ランの果実(8月下旬)

家族の用事で、富士宮市長貫(旧芝川町長貫)にある永昌山長見寺へ行って来ました。ちゃんと言う事を聞いておかないと、こちらの頼みごとを聞いてくれませんから・・。

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身延線のすぐ脇で、稲田を見下ろす高台にありました。当初は真言宗の寺だったのが、改宗して日蓮宗の寺になったそうです。身延山の近くには、そういう寺が多いですね。

開創は、延久年間と伝えられている古刹です。延久年間は、西暦1069~1074年で、平安時代になります。この本堂は、230年以上経つと日蓮宗のHPに掲載されていました。

住職一家は、植物がお好きなようで、良く手入れされた鉢植えなどが並んでいました。

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庫裡の前に植えられていたイヌマキを見ると、フウランとセッコクが着生していました。フウランの果実が多いですね。セッコクも果実が一つ確認出来ました。

このイヌマキには、檀家の方がヨウラクラン、カヤラン、クモランなども着生させてあったそうです。今日確認出来たのは、上の二種だけでした。

ため置いたブログネタが少なくなりましたので、続いてランの果実を集めてみました。

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クモランの果実です。

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こちらにも・・。とても小さな花である上に、開花してすぐに萎れてしまいます。こんなに結実率が良いのは、自家受粉するのではないかと思っています。

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カヤランの果実も生っていました。とても小さな花の割に、大きな果実ですね。

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左はヨウラクランの果実で、右はムギランの果実です。ムギランの果実は、バルブと同じくらいの大きさになっています。

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左はオサラン、右はウチョウランです。どちらも植栽です。ホームセンターの園芸コーナーで、手に入れました。

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別株のウチョウラン・・鞘の模様で果実の捻じれが分かります。右は近くの林に生えているエビネの果実です。以前、株の周辺に撒いてみましたが、発芽しませんでした。

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キンリョウヘンの果実も一部黄色くなって来ました。良く見ると、鞘止めの帯(正式な呼称が分かりません)が外れかかっています。種子散布が間もない証ですね。

沢山結実したから、実生栽培に挑戦してみよう!実生床は、シンビジュームの鉢が良いかな?

最後に・・。

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針葉樹の寄せ植えに着生しているクモランにも、果実が生っていました。日本のランハンドブックには「送粉者が分かっていない」と書かれています。やっぱり、殆どが自家受粉ではないでしょうか?

パソコンに「天気予報コム」というアプリを入れてあります。少し前に「一時間以内に雨が降ります」と表示され、今降って来ました。このアプリは、便利だと思います。

2017年8月19日 (土)

龍潭寺の植物観察

龍潭寺とその周辺で、気になった植物を集めてみました。家族にブツブツ言われながら撮りました。まったく五月蠅いんだから・・。

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こちらの蓮は、稲田の中に進出していました。もう終わりかと思ったら、まだ咲き残っていました。

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境内の水連鉢に咲いていたこの黄色い花は?

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タヌキモのようです。小さいけど綺麗な花です。我が家のビオトープにもほしい・・。

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北側庭園に咲いていたヒツジグサ(スイレン)の花とキキョウの花です。我が家のヒツジグサは、かなり前に咲き終わりました。種類が違うのかな?

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左は、かなり丈が大きいけどハンゲショウのようです。右は、シダの仲間・・ヒトツバだと思います。

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カンアオイの仲間が、境内の彼方此方にありました。片方はスズカカンアオイかな?名前の分かる方、SOSです。

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ムクゲの花も盛りでした。

そして意外な植物も・・。

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左はシュンラン、右はフウランです。

フウランの種子は、どこからか風に乗ってやって来たのでしょう。気にして見て歩くと・・。

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実家と思われる群生を発見しました。これは樫木です。樫木にもフウランが着生するんですね。初めて知りました。

ちょっとピンボケですが・・。

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こちらがフウランの花です。ユリのような良い香りがします。

さて、明日の天気はどうだろう?

龍潭寺(浜松市)

先日、家族の希望で、井伊家ゆかりの龍潭寺(りょうたんじ)などへ行って来ました。久々の史跡探訪です。

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井伊直虎ゆかりの地は、各所大人気です。

遠州の古刹「龍潭寺」・・ここを訪れるのは、40年振りくらいでしょうか?小堀遠州作の庭園だけが、微かな記憶に残っていました。

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こちらは、山門の様子です。黒地に赤文字で書かれた「萬松山」の山号額は、朝鮮通信使の雪峯が彦根藩井伊氏の下で書いたものだと解説されていました。

この山門は、1656年(明暦2年)に再建され、下の鐘楼堂の次に古いそうです。明暦は、第4代将軍徳川家綱の時代です。

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左が現在の鐘楼堂で、右が旧鐘楼堂・・現在は東門となっています。約400年前の建物で、龍潭寺では一番古いそうです。井伊家の重臣中野直之の次男が寄進したと書かれていました。

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こちらが本堂です。1676年(延宝4年)に再建されました。

さて、記憶に残る景色は・・。

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微かな記憶がこの画像と重なり、頭の中に再登録されました。

「中央に守護石、左右に仁王石、手前正面に礼拝石が配され、さらに池の形が心字池となっていて典型的な寺院庭園として貴重なもの」というような解説放送が流れていました。参拝者の多くは、縁側に座って見とれていましたよ。

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左は本堂前の庭園です。こちらも落ち着ける景色です。お地蔵さんの後ろに井伊家墓所があります。お地蔵さんの帽子、洒落ているでしょ?

最後に、龍潭寺境内から南へ少し歩くと・・。

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稲田の中に、井伊共保公出生の井戸があります。思っていたより浅い井戸でした。井戸の傍らに橘の木が植えられていた事から、「橘」を家紋とし「井」を旗幕の紋としたそうです。

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井伊氏初代共保公は、直虎のご先祖様になります。1010年(寛弘7年)に生まれたと伝えられているそうです。平安時代から続く、古い家柄だったんですね。

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井戸から南側を見た景色です。正面に見えるのは稲荷山でしょうか?

この日は、朝7時頃家を出て、気賀関所~大河ドラマ館~龍潭寺~竜ヶ岩洞~方広寺とまわって、14時頃には富士へ戻りました。新東名が出来て、とても近くなりました。

2017年8月18日 (金)

ナツエビネの花(富士市)

今日は、屋外の作業でした。午後から雨が降って来ましたが、どうせ汗びっしょりなので、そのまま雨具も着ずに頑張りました。それにしても、良く降りますね。

ナツエビネの花が、咲き始めました。まだ一輪でしたが・・。

【一番目の株】

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花序は2本ありましたが、1本は何ものかに齧られ落下してしまいました。

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反り返った萼片が、この花を誇らしげな表情に変えていると思います。

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横顔を見ると、距がありません。春咲くエビネには、距があるのに・・。

【二番目の株】

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こちらは、花茎の上部が腐り始めています。虫などの食害か、それとも病気か?

遅れて出て来た花序は、まだ無事です。

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花を見比べると、個体(株)毎に違うようです。

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前回追い払った蜘蛛がいました。外敵から守ってくれているのだろうか?右は落ちていた花です。何ものかの食痕があります。

ついでに・・。

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こちらは、このエリアで撮ったエビネ(ジエビネ)です。花は春に咲き、萼片がこのように褐色系の個体と緑系の個体があります。左上の花を見ると、距が写っています。

ナツエビネとエビネの花は、こうして見比べるとかなり違いますね。ナツエビネの花を直に見たのは、もう20年以上前です。出会えて本当に嬉しかった!いつまでも無事でいて、子孫を増やしてほしいと思います。

2017年8月17日 (木)

ヘビウリ(ゴーダビーン)

この不気味な果実の生る植物は、二度目の登場です。

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果実が蛇のようでしょ?初めて見た時、蛇の苦手な私は思わず叫んでしまいました。

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どれを見ても不気味です。しかも、熟すと赤橙色になるそうです。ますます不気味ですね。

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花を撮ってみました。

カラスウリの花に似ています。カラスウリは夜開花しますが、こちらは日中に咲いていました。

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石積みのところに植えられていましたので、接写出来る花が限られます。だから、同じような写真ばかり・・。

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この植物は、インド原産で東南アジアの熱帯雨林地域に生育するそうです。別名は、ケカラスウリ、ゴーダービーンなど。

近縁種の花を掲載します。

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こちらは、日本に自生しています。左はカラスウリ、右はキカラスウリの花です。両方を合わせたような花ですが、どちらかというとカラスウリに似ていますね。

ヘビウリの若い果実は食用になるそうです。種が手に入ったら、趣味の野菜畑に植えてみたいものです。野生動物の被害が減るかも?

2017年8月16日 (水)

キキョウ科の花

また、一日雨降りでした。本当に良く降りますね。

今日の記事は、最近出会ったキキョウ科の花を集めてみました。

【ツリガネニンジン】

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近くの道沿いに咲いていました。この花は、個体によって花色や釣鐘の形に変異があります。

【ヒメシャジン】

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富士山富士宮口5合目付近には、このヒメシャジンとミヤマシャジンが咲きます。ヒメシャジンは、萼片が細長く鋸歯があります。また、花柱が花冠の先端から出ないのもミヤマシャジンとの違いです。でも、これも個体によっては微妙なものもあります。上のツリガネニンジンのように、長く出ていると迷わないのですが・・。

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花の中を撮ってみました。

【ミヤマシャジン】

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同じ場所でも、個体毎の開花時期に差があります。まだ全部蕾の株もありました。

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こちらは萼片に鋸歯がありません。また、「花柱の先端が花冠の先端から僅かに出る」とあります。

※ヒメシャジンとミヤマシャジンは、葉幅が細いものにホソバ〇〇と付けて、区別しているそうです。数字が書かれていましたが、堺の区別が難しいので、私はそのままで呼んでいます。

【ヤマホタルブクロ】

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ヤマホタルブクロの花色も様々です。標高の高い所に生えるものは丈が低く、低い所に生えるものと別種のように見えます。また、亜高山帯の砂礫地などでは、晩秋でも花を見る事があります。

キキョウ科の花・・9月下旬頃になれば、近くの渓谷にお気に入りのイワシャジンが咲き始めると思います。待ち遠しい!

2017年8月15日 (火)

シャクジョウソウとイチヤクソウ

シャクジョウソウとイチヤクソウ・・無関係の植物に思えますが、どちらもツツジ科です。シャクジョウソウは、シャクジョウソウ亜科シャクジョウソウ属で、イチヤクソウは、シャクジョウソウ亜科イチヤクソウ属に分類され、近縁な仲間となるそうです。

【シャクジョウソウ】

昨日、近くの山林でシャクジョウソウに出会いました。数年前、この林内でドライフラワーに出会うまでは、シャクジョウソウは亜高山帯の針葉樹林に生えるものとばかり思っていました。富士山では、標高差2,000m以上の範囲に生えています。

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ここは、落葉広葉樹林内です。針葉樹林にも広葉樹林にも生えるようです。

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この日は、遊歩道脇で十数本の個体を見る事が出来ました。小雨が降っていなければ良かったのですが・・。

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似た種のギンリョウソウやギンリョウソウモドキ(アキノギンリョウソウ)が、一茎一花なのに対して、こちらは複数の花を付けます。良く見ると、細かい毛が生えていますね。

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まだ下を向いていますが、コンデジを地面に置いて花の中を撮ってみました。「オシベは8個あり、子房を囲む」とあります。白いのが花粉のようです。

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左は、シャクジョウソウの傍で見つけた菌糸です。シャクジョウソウは、キシメジ科キシメジ属に栄養依存しているそうです。キシメジ属の代表的なキノコには、マツタケがあります。シャクジョウソウは、マツタケを食べて生きているのか・・贅沢な奴だ!

右は、シャクジョウソウ属のギンリョウソウモドキです。まだ出現したばかりの姿です。ギンリョウソウと似ていますが、こちらは秋に生えて来ます。

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上の写真は、亜高山帯の針葉樹林・・主にカラマツ林で見つけたシャクジョウソウです。時々、右のように色の違う個体が見られます。Web図鑑には、赤い個体も掲載されていました。

標高の低い所の個体と比べると、どことなくか弱い感じで、別種のようにも思えますね。でも、現時点では世界的に一種類とされているそうです。

【イチヤクソウ】

シャクジョウソウの近くに、イチヤクソウも生えていました。

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こちらは、花が終わり果実が膨らんでいました。花柱が残り、面白い形の果実でしょ?

◇少し勉強

シャクジョウソウは、葉緑素を持たない菌従属栄養植物ですが、イチヤクソウは葉緑素を持ちながら菌からも栄養をもらっている部分的菌従属栄養植物であると手元の資料に書かれていました。

今迄、シャクジョウソウやイチヤクソウの種を気にして見た事はありませんでしたが、ラン科植物の種とそっくりだそうです(今度観察してみるつもりです)。という事は、発芽の養分を持たないため、菌類などの助けを借りて発芽するのだろうと思います。イチヤクソウもキノコを食べて生きているんですね。なんか、とても興味深い!

2017年8月14日 (月)

ちょっと不気味な自然観察

薄暗い林内を歩いていると、不気味なものに出会う事が多い・・。

【ヤクシマヒメアリドオシランに集る虫】

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赤っぽい蟻と思ったら、バッタの仲間にも見えます。ヤクシマヒメアリドオシランの萼片と比べてみてください。蟻と間違えそうな大きさです。

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わき腹を撮ってみました。セミの口と似たストローのようなものが見えています。この虫は何でしょう?

【粘菌/変形菌】

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時々見かけるこの黄色い物体は、モジホコリ科の変形菌らしい・・。

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上左をズームしてみました。バクテリアやカビなどの餌を求めて動き回るそうです。もっとも、肉眼では確認出来ないくらいゆっくり移動するそうですが・・。

その近くには、右の物体が生えていました。ヒノキの葉やチョウチンゴケの葉と比べてみてください。

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これも変形菌の子実体だと思うのですが・・。Web図鑑を見ていたら、目が痛くなりました。変形菌の図鑑を買わなくては!

【カメムシタケ(冬虫夏草)】

少し前の記事で、カメムシタケを掲載しました。何と、今日は一時間くらいの間に4本のカメムシタケと出会いました。

◎1本目

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道端でマツカゼソウの写真を撮っていると、隣のヒノキ林で赤いマッチ棒のようなものが目に入りました。少し前にも登場したカメムシタケの子実体(キノコ)です。この個体は、写真だけでカメムシの姿を確認しませんでした(掘り起こしませんでした)。

◎2本目

別の場所で・・。

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こちらはちょっと大きめのカメムシです。落葉広葉樹林に生えていました。

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先端部とカメムシを接写。先端部が、少し変わった形をしていますね。

◎3本目

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針葉樹林・・スギの林に生えていました。

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カメムシは、前回見たものと似た緑色です。

◎4本目

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初めて見るハート形の子実体です。アシボソノボリリュウタケと似た形です。こちらは、落葉広葉樹林に生えていました。

◇1本目以外は、標本採取して来ました。

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2本目と4本目。

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3本目。

変なものばかり掲載すると、女性の方が訪問してくれなくなってしまいますね。でも、自然観察の面白さは、綺麗な花よりもむしろこんなものの中にあると思います。ご理解ください

2017年8月13日 (日)

ナツエビネ(10日後)

10日前に発見したナツエビネの様子を見て来ました。

すると・・。

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別の株を発見!

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こちらが、以前見付けた株です。蕾が一つ増えている!

上の株と葉の幅がかなり違います。エビネは、個体によって葉幅にかなり違いがあると思います。

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こちらはたぶん普通のエビネ・・ジエビネです。左の株は、花茎のドライフラワーが残っています。

コンデジ+LEDライトで撮ってみました。

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今回新たに見付けた株の蕾です。2本あった蕾の一つは、何ものかに切り落とされていました。蕾にも食痕らしきものが見えます。

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コンデジの方が綺麗に写る・・。デジイチのマクロレンズが、曇っているのを気付きませんでした

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最初に見つけた方の蕾です。淡紅紫色になって来ています。

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実はちょっと心配があります。梅雨のような雨続きのせいか、花序や蕾に傷みが見えます。虫などの食害もあるようです。写真の蜘蛛は、摘まんで排除しました。

シカの食害も考えられるし、無事に花を見る事が出来るだろうか?

ナツエビネは、環境省、静岡県とも絶滅危惧種Ⅱ類(VU)に指定されています。エビネは、環境省、静岡県とも準絶滅危惧種(NT)に指定されています。その他、キエビネ、キソエビネ、サルメンエビネなどは、実際にはまだ残っているところもあると思いますが、静岡県では絶滅とされています。園芸採取が一番の要因だと思います。悲しい事ですね。

2017年8月12日 (土)

赤色植物

遅れて来た梅雨のような日々が続いています。でも、物好きは多少の雨なんか気にしません。・・という事で、霧雨降る林内を探索して来ました。

この記事では、薄暗い林内で気になった赤色の植物を集めてみました。

【ツチアケビ】

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このエリアでは、初見です。赤いウインナーのような果実が生っていました。

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果肉の中に種を宿し、野鳥などに食べられて運ばれるそうです。獣道脇で出会う事が多いから、シカやイノシシなんかも食べるのかな?

【タマゴダケ】

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私が知る、数少ない食用キノコです。家族は、いまだに手を出しませんが・・。

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赤い傘を見なければ、そうだと言い切れませんが、左はたぶんタマゴダケです。右は卵の殻(壺)から傘が頭を出したところです。

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こちらは茎(柄)が伸び始めています。

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更に伸びて特徴ある柄が良く見えます。右は、杉の枯葉を取り除いたら傷付いたので、Beforeの写真を掲載します。傘が開くと何かに食べられるようで、他のものは少しずつ傷付いていました。全部で8本見つけました。

【ホンゴウソウ】

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雄花が開花しているか覗いてみました。白い点のようなものが葯です。右の写真の中央下の花は白くなっていますが、カビが付いたと思われます。セミの死骸を覆いつくすカビと同じかな?

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左は開花して間もない雄花と、茶色くなった雄花が写っています。かなり画質が荒くなりますが、10倍ズームしてみました。

上左の写真に、スギの葉(爪)が写っていますので、この花が如何に小さいかお分かりいただけると思います。研究者は、この雄花先端の球状突起の数の違いで、新種を発見したそうです。恐ろしい人達ですね。

明日も天気が悪いようです。きっと、趣味の野菜畑は草だらけ・・覗くのが恐ろしいです。雨なら、車庫内のペンキ塗りでもしようかな・・。萌の小屋は、昨日塗り終りました。人が寝転がれるくらいの奥行きがあるので、結構大変でした。これで、萌と私が旅立つ頃までは、持つと思います。

2017年8月11日 (金)

季節だより観察会(8月)②

②は、主に花を集めてみました。

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ススキに絡みついて、コバノカモメヅルが咲いていました。

右はアキノタムラソウの花です。花や花序軸には軟毛や腺毛が生えています。腺毛の多いものを、ケブカアキノタムラソウというそうですが、この個体は軟毛は多いけど腺毛は殆ど確認出来ません。

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左は、我が家の休耕畑にも咲いているイヌゴマです。右は、ウツボグサの残り花です。シソ科の花は、どれも面白い形をしていますね。

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こちらはウツボグサの果実・・ドライフラワーです。

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白くて小さな花・・左は、ヤマトウバナ、右はシロバナイナモリソウです。この少し下の林内では、すでに花が散ってしまったのに、ここではまだ残っていました。

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カワラナデシコの花も、良く見比べると個体毎に変異が多いと思います。

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ツリフネソウの花がまだ咲いていました。右はサワヒヨドリです。緑の中で、暖色系の花は目を惹きます。

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薄紫系の花・・左はヒメトラノオ、右はマツムシソウです。マツムシソウは、植林されたスギやヒノキが大きくなる前は、近くの林道脇でも普通に見る事が出来ました。

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あの植物は何だろう?

近づいて見ると、ヒキオコシの群落でした。薬草として、消化不良、食欲不振、腹痛などに効能があるそうです。胃腸の薬なんて、苦いに決まっている・・。

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キキョウの花が咲いていました。環境省・静岡県とも絶滅危惧種Ⅱ類(VU)に指定されています。

右はウシタキソウかミズタマソウか?

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①葉の基部が心形ではなくクサビ形②花柄や萼片の背面は毛が殆ど無い事などから、ミズタマソウのようです。ウシタキソウはまだ見た事がありません。いつか出会えたら嬉しいのですが・・。

ついでに・・。

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この花も似ているでしょ?果実を見てミズタマソウと思ったら、タニタデでした。これらにミヤマタニタデを加えた4種は、どれも似た花を咲かせます。神様は紛らわしい植物を作るのがお好きなようですね。

富士自然観察の会の皆様、参加者の皆様、今回も楽しい時間を過ごさせていただきました。有難うございました。

季節だより観察会(8月)①

毎月10日は、富士自然観察の会さん主催の「季節だより観察会」です。今回も参加させていただきました。

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今回の観察会は、富士山こどもの国で行われました。少し霧雨の舞う時もありましたが、皆さん熱心な方ばかりでした。ところで、会のメンバー以外の方はどういう人たちなんだろう?

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一番手は、この地衣類です。遠くから見ると、普通のウメノキゴケのようですが、こうして接写して見ると縁に毛が生えています。前回も教わったマツゲゴケです。

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ススキの刈り取られたところに、食べ頃のワラビが生えていました。園内でなければ夢中で採ったかも?

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こちらは、高級爪楊枝などに利用されるクロモジです。図鑑によると「樹皮に地衣類の一種が付着して、まるで文字を書いたように見える。」とあります。黒いのは地衣類だったんですね。知らなかった・・。

お弁当の箸を忘れた時など、この枝を箸代わりにして使っていました。今更ですが、付着している地衣類は無害なんだろうか?

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こちら、綺麗な果実でしょ?ゴマキの果実です。こうしてちゃんと見たのは、今回が初めてです。ゴマキは、葉を揉んだりするとゴマのような臭いがします。ガマズミ属だそうですから、果実もガマズミに似ていますね。

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サルナシの果実が沢山生っていました。趣味の果樹畑でもキウイフルーツと共に栽培していますが、こんなに大きな果実は生りません。普段、山野で見る果実よりもずっと大きい・・。摘果している様子もないし、個体変異だろうか?

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この季節に蕾がありますからイヌザンショウです。今、ホンザンショウは、ミカンが豆粒のようになった果実を付けています。

右は、ススキの葉にとまっていたセセリチョウの仲間です。この日は、デジイチにマクロレンズを付けたままでしたので、トリミングしてやっとこの大きさです。

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ススキの葉にとまったトンボを撮ってみました。キイトトンボというそうです。お尻の上の部分が黒いから雄のようです。

◇素人の呟き

自然に咲く花といわれますが、地球上で人間が生活している以上、野山の植物達も人とのかかわりの中で生きています。植林した樹木が大きくなれば絶える植物もあり、人がススキや下草などを刈るために生き延びる植物もあります。幼い頃は、普通に見る事が出来たのに、今では絶滅危惧種に指定されてしまった植物が沢山あります。

たとえ園芸採取されなくても、これから絶えていく植物も多い事でしょう。そういう植物を何時までも見て楽しむ事が出来るために、こういう場所での保護は大切な事だと思います。

今年は、神代植物公園、京都府立植物園などの大きな植物園を訪問して来ました。野山の植物を観察して歩く人は「植物園なんて・・」と思われるかもしれません。でも、植物園は、誰でも簡単に珍しい植物を見て楽しむ事が出来ます。

植物の保護は、何のためにするのか?自然公園や植物園に、その答えの一つがあるように思います。

季節だより観察会②に続きます。

2017年8月10日 (木)

クルマユリ

例年なら残り花を見るのですが、今年は開花が遅れたせいでちょうど見頃でした。

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ユリの中では小さめの花ですが、緑の中でとても目を惹きます。橙赤色の花は、この時期の主役です。

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コンデジ+LEDライトで撮ってみました。通常は斜め下向きに咲くので、花芯の様子が撮り難いのですが、この花は斜面に咲いていました。

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「花被片の先は強く反り返る」とあります。この時期に咲く花は、反り返りの強いものが多いですね。オニユリ、コオニユリ、カノコユリなど・・。

花被片の艶も特徴の一つだと思います。また、内側に斑点のあるもの(最上段右の花)と、この花のように無いものがあります。

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和名の由来となった輪生葉です。これも個体毎に違いがあります。今回は見つかりませんでしたが、稀にカラス葉の個体も見る事があります。

車ユリの花にやって来た蝶を撮ってみました。

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シロチョウの仲間です。花粉が翅に付いています。衣類に付けると、洗濯担当に怒られるので気を付けましょう!

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こちらはアサギマダラです。

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同じような写真ばかりで恐縮です。少しの間、翅を広げるのを待っていたのですが、広げてくれませんでした。

この辺りでは、クジャクチョウやキベリタテハなども見る事が出来ます。時々、蝶を捕まえている小父さんを見かけます。場所によっては高山蝶の捕獲は禁止されているようですが・・。

※今日は、午後から「季節だより観察会」があります。夕方も用事があるため、記事は時間指定でアップします。

2017年8月 9日 (水)

トンボソウとカメムシタケ

今日は、彼方此方のお墓参りをして来ました。それにしても暑かった!今夜も熱帯夜で、睡眠不足になるかもしれない・・。

タイトルのトンボソウとカメムシタケ(冬虫夏草)は、同じ林内に生えていただけの関係です。

【トンボソウ】

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この林内では、トンボソウが生えており、道を隔てた隣の林内では、オオバノトンボソウが生えています。オオバノトンボソウの花が萎れ、花柄子房が膨らみ始めた頃、トンボソウの花が咲き始めます。

この野生ランも、老眼泣かせの小さな花を咲かせます。野生ランは、どうして小さな花ばかり咲かせるのでしょう?

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花を接写してみました。図鑑には「唇弁はT字形」と書かれています。唇弁の小さな突起を見ると、牛の舌のような感じがします。

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唇弁の形も、個体毎に少しずつ違っています。

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横顔は、ピンボケが激しくなってしまいました(←老眼のせいです)。唇弁の先が前に反っています。「距は細長く、下垂れしつつ前に反る」とあります。図鑑の解説を書く人も大変ですね。

◇ちょっと勉強

以前は、トンボソウ属とされる事もあったようですが、DNA情報による検証の結果、ツレサギソウ属に含めるのが適当と判断されているそうです。最近では、新種などの鑑定も、楽になったのでしょうか?

【カメムシタケ】

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薄暗い林内で、このオレンジ色のマッチ棒の頭のようなものが目に付きました。そっと引き抜いて見ると、根元にカメムシが付いていました。

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先端部を拡大してみました。

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オレンジ色の先端部に胞子が出来、この形からミミカキタケとも呼ばれるそうです。

右は、キノコの柄が出ている所を写してみました。胸と腹の繋ぎ目の部分から出ています。

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左の写真で、下側の黒い部分が柄になります。冬眠のために地面に潜ったカメムシが、カメムシタケの菌に感染して養分を吸い取られ、やがてこのキノコの姿(子実体)になったものだそうです。菌従属栄養植物はキノコを食べて成長し、このキノコ(カメムシタケ)はカメムシを食べて成長している・・恐ろしいエイリアンのような奴ばかりですね

◇こちらも勉強

私は、虫から出るキノコは、みんな冬虫夏草と呼んでいました。でも、本場の中国や薬学の分野では、オオコウモリガの幼虫に寄生して発生するキノコの一種を冬虫夏草と呼び、他のものと分けて考えているそうです。

冬虫夏草は、薬膳料理や漢方薬として利用されているそうですが、本当に薬効があるのでしょうか?なんか、体が悪くなりそう・・

2017年8月 8日 (火)

タカネアオヤギソウ

駿河の峰で見かけるこの植物・・以前から、シュロソウ属だと思っていたのですが・・。

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花は緑系、花序は茶軸と緑軸のものがあります。

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山渓の「高山に咲く花」に掲載されている、タカネアオヤギソウに似ています。

左の写真の周囲に写っているのは、ホソバキソチドリです。この辺りには、群生しています。

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少し接近してみました。花序には、短毛が生えています。

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花を拡大。

同定のポイントとして「花は黄緑色で、花被片の縁は内側に曲がる」「雄しべは直立し、上半部で外に曲がる」とあります。

また、左右の花を見比べると、左は花柱の先端がとても小さく、右は大きく子房の膨らみが確認出来ます。シュロソウ属は、同一の株に両性花と雄花を付けるそうです。花の特徴も合っています。

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花に集る虫を撮ってみました。左の虫はアオスズランにもやって来ました。

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クロスズメバチの仲間も、夢中で密を吸っていました。

葉を撮ってみたのですが、これで悩んでいます。図鑑で見る葉は、かなり幅広でこれとは違って見えます。諸先輩のWeb写真でも、もっと幅広の葉のものばかりです。

タカネアオヤギソウは、アオヤギソウの高山型だそうです。ここに自生する株の葉が細いのは、地域変異ではないでしょうか?タイトルをタカネアオヤギソウとしましたが、間違っていたら教えてください。

2017年8月 7日 (月)

小雨降る林内で出会った植物

今日は、予報通り昼頃から雨が降って来ました。小休止したと思い気を緩めると、ずぶ濡れになってしまいます。台風、無事通過してくれると良いのですが・・・。

ヒナノシャクジョウを観察に行った林内で、出会った植物を集めてみました。

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コクランの花が、まだ少しだけ残っていました。唇弁や側萼片が緑地に暗紫色です。これが我が家の周りで一般的に見られる花色です。蕊柱の部分を見てください。宇宙人が乗っています!

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こちらは、唇弁や側萼片などが赤紫色の花です。コクランはラン科クモキリソウ属(Liparis)です。比較的目にする事の多い植物ですが、変わり者の多い野生ランですから、花の観察をして歩くのも楽しいと思います。

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左はコクランの蕊柱(ずいちゅう:オシベとメシベが合体したもの)を接写してみました。

そして、近くの杉の枯葉に根状菌糸束が姿を現していました。この子実体(キノコ)は、どんな姿だろう?

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子実体も幾つか見受けられました。左はアカイボカサタケかな?

右は、杉の枝などに出ていたキノコです。名前は分かりません。

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傘と茎(柄)を接写してみました。傘は白く透明感がありますが、付属体が付いています。茎は透明感があり、沢山の腺毛があります。

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ホウキタケの仲間も生えていました。枝先が青色です。Web図鑑では、トビイロホウキタケに似ています。

そして、右はキノコではなく菌従属栄養植物・・根でキノコなどの菌類の菌糸を消化して暮らしている・・一方的に栄養を奪い取る、いわばキノコを食べて生きている植物です。とんでもない奴ですね。

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この植物の名前は、ホンゴウソウです。ヒナノシャクジョウと生育条件が同じなため、かなりの高確率で混生するそうです。上の小さな粒が雄花で、下の毛の生えた金平糖が雌花です。

とっても小さな植物である上に、堆積したスギの葉などの薄暗い林床では、探すのが大変です。ヒナノシャクジョウ→ホンゴウソウの順で探す事になります。

アオスズラン②

アオスズランに、虫がやって来ましたので撮ってみました。

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まだ開花した花は少なかったのですが・・。

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これはハチの仲間でしょうか?

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カメラを気にもせず、夢中で花に潜っていました。お尻の先端がハサミのようになっています。

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咲いている花が少ないため、同じ花に出たり入ったりしていました。

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右のハチは、撮ろうとした瞬間に飛び立ってしまいました。こちらは黒スズメバチの仲間でしょうか?

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この虫は、花の中に興味がなさそうだけど、前記事の花茎を齧った奴かな?

駿河の峰は花盛りです。時間があれば、花に訪れる虫を観察するのも面白いです。虫の名前の分かる方教えてください。

※この野生ランは、エゾスズランの種名で知られていますが、駿河の国にも(全国に)自生しており、違和感があるため私は別名のアオスズランと呼んでいます。

2017年8月 6日 (日)

アオスズラン①

私の探索範囲では、この野生ランは、標高差1,000mくらいの間に生えており、標高に対する順応性の高い植物だと思います。

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今年は、例年より多くの株を目にしています。上の写真は、標高の高い所で7月中旬に撮ったものです。この辺りでは、日照の良い所に生えているからか、下界のものに比べて下の葉がずっと幅広です。

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まだ少し早かったようです。でも、下の幾つかは開花しています。例年なら、8月盆くらいには子房の膨らんだ個体が目に付きましたので、丁度良いかと思っていたのですが・・。

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低山ほどではありませんが、時々このような姿を見かけます。茎を虫に齧られたのでしょうか?左の写真を良く見ると、下の方に同じような株がもう一つ見えます。

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花を接写してみました。まだ開花して間もないため、花弁や萼片があまり開いておりません。まぁ、新鮮な花を掲載したという事で・・

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標高の高いところでは、送粉者が多いようで、低山に比べて結実率が高いと思います。

4年ほど前に撮った写真ですが、こんな葉の個体もありました。

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アルビノと言っても良いでしょう。しかもこの姿で蕾を持っていました。菌への依存度が、高い植物のようです。

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こちらは、2014年に見かけたカラス葉の個体です。この場所に数本ありましたから、固定した変異葉のようです。

次は、アオスズランの花に訪れた虫の観察です。この日も、コンデジの調子が悪く、露出補正をいじっていないのに、暗い写真になったりしまして困りました。

※ヒナノショクジョウの次は、同じ条件下に生えるホンゴウソウの記事を考えていたのですが、こちらを先に作成してしまいましたので、少し後にアップします。

2017年8月 5日 (土)

ヒナノシャクジョウ

そろそろ、この小さな植物が姿を現しているだろうと思い、見に行って来ました。

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堆積したスギの葉と見比べてください。とっても小さいのですが、薄暗い林内では意外と目に付きます。

左は透けた鱗片葉が綺麗です。隣の株には、花が咲いていました!花は一気に咲かないので、咲いている所に出会えない事も多々あります。

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左が開花状態で、右は萎れた花です。白いのはこれから咲く蕾です。

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こちらは2つ咲いていました。茶色くなった花冠が1~2個くらいですから、今が見頃といったところでしょうか?

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上段の左の花を接写してみました。目玉みたいな粒は水滴です。

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黄色い部分が、個体毎に違って見えます。Web図鑑を見ると、もっと全体が黄色く見えるものが掲載されています。

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こちらの花も綺麗でしょ?この植物を初めて見た時は、先端部が全て茶色くなっていました。だから、花を見る事は出来ませんでした。花の寿命がどのくらいか分かりませんが、良いタイミングで見る事が出来ました。撮影時間は、AM9:00頃です。

◇ちょっと勉強・・。

この植物(菌従属栄養植物)は、隣接する樹木(独立栄養植物)から菌根菌(アーバスキュラー菌根菌)を介して、炭素をもらって生活しているそうです。この関係を3者共生系と呼びます。前記事のヤツシロラン類よりも、さらに厄介な植物のようですね。でも、いつか実生栽培実験をしてみたいものです。

2017年8月 4日 (金)

ヤツシロラン類実生栽培実験(8月上旬)

最近、このタイトルの記事が無いので、「実生栽培実験は、止めてしまったのか?」と思われたかもしれません。

初めて挑戦した年は、未知の変化に目を向けて来ました。ところが、観察出来る様な状態にある(部材表面に出ている)塊茎は、途中で成長が失速してしまいます。開花したクロヤツシロランは、部材の中に潜んだ塊茎だけでした。という事で、部材で覆ったため、記事が少なくなってしまったのです。

【クロヤツシロラン】

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根状器官(仮称)が伸びています。昨年は、上を向いて沢山伸びていました。菌糸が上手く繁殖していなかった(菌糸不足だった)のかもしれません。

右の写真を見てください。根状器官の途中に、イボのようなものが出来ています。根状器官や塊茎に、このイボのようなものが出来ると、急に成長するように思います。

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接写してみました。根状器官が、他より太くて分岐している・・。

【アキザキヤツシロラン】

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左だけ、別の栽培容器になります。環境を変えて準備した訳ではなく、シダの仲間が生えて来て、いつも湿り気の多い状態になりました。中央に塊茎が見えています。

この容器内では、根状器官も右のような状態で、上に向かっているものはありません。

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こちらも、クロヤツシロランのようにイボが見えます。

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所々で、二年物と思われる塊茎が確認出来ます。右の塊茎は、無事育てば開花するかも?

目を皿のようにして、容器内を見まわすと・・。

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これって、もしかしたら花茎の頭ではないでしょうか?

クロヤツシロランは、一昨年開花させる事が出来ました。今年は、一本でも良いからアキザキヤツシロランが開花してくれないかな・・。

ところで、アキザキヤツシロランもクロヤツシロランもクヌギタケ属やホウライタケ属の菌種と共生するそうです。竹林には両方のヤツシロランが生えますが、アキザキヤツシロランは、落葉広葉樹林や針葉樹林には生えないようです(※)。属の中の特定の菌と共生するというなら、竹林で採取した菌糸がスギの球果や落葉で繁殖しないだろうか?竹林の部材とスギ林の部材を比べると、後者の方が湿度を保ちやすいし、菌の繁殖力が良いと思ったので、そんな事を考えてみました。

※アキザキヤツシロランの生える竹林に隣接するスギ林を探してみましたが、一株も見当たりませんでした。杉野孝雄先生の著書「静岡県のムヨウラン類とヤツシロラン類」の中に記された調査結果も竹林だけだったと思います。

2017年8月 3日 (木)

ナギラン(富士市)

少し前の記事で、ナギランを掲載しました。それは、私の住む富士市より西の地域に咲いていたもので、友人に案内していただきました。

杉野先生の「静岡県産 希少植物図鑑」に「伊豆・東部・中部・西部に記録がある。西部は各地にある。他地域は少ない。」と書かれています。記録はあっても、富士市では見る事の出来ない野生ランだと思っていました。

ところが・・。

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小雨降る林内を歩いていると、この個体が目に入りました。こんなところで出会うとは・・。花は終盤を迎えていましたが、この2花が残っていなければ気付かなかったと思います。

不思議なもので、前記事のナギランと同じく、このナギランにも幾度かニアミスしていたのです。

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花を接写してみました。白地に紅紫色の斑紋が入ります。

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ナギランは、送粉者によって受粉するそうですが、自動自家受粉もするそうです。そんな訳で、受粉の手助けはしませんでした。無事、果実が生ってくれると嬉しいのですが・・。

ついでに・・。

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近くで、今季初のタマゴダケを発見!このキノコは、低山から亜高山帯まで(標高差2,000mくらいの範囲で)生えます。

この日は、短時間の間にナツエビネとナギランに出会う事が出来ました。正直、この場所で出会えるとは、思いもしませんでした。山の神様に感謝です。

2017年8月 2日 (水)

ナツエビネ(富士市)

この植物を初めて見たのは、20年以上前になります。知り合いの猟師さんが、何処からか大きな株を採って来て見せてくれました。

当時は、現役の渓流釣り師だったため、植物にそれほど興味はありませんでした。記憶しているのは、ナツエビネという名前と近くの山林に咲くジエビネと花の形が違うという事くらいです。

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実は、数年前にこの個体とは出会っていました。でも、その時は普通のジエビネだと思っていたのです。まだ残っているか様子見に行ってみると、蕾が付いているではありませんか!昨年のものと思われる長い花茎も残っています。

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少し近づいて・・。

もう少し葉の緑が薄い印象がありましたが、雨に濡れたせいか濃く見えます。蕾が無かったら、今回もジエビネだと思った事でしょう。

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蕾を接写してみました。花を見るのが楽しみです。

参考までに・・。

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6月8日に、京都府立植物園で撮ったナツエビネの蕾です。こちらは、もうとっくに花は終わっていると思います。

嬉しい出会いは、まだ続きます。ここから近い場所で、富士市では初見の野生ランと出会いました。次の記事で・・。

2017年8月 1日 (火)

トウモロコシ

野菜作りが素人の私は、自分なりに試行錯誤しながら栽培しています。失敗の方が多いけど・・

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左は、実験用に裏庭植物園に余った苗を植えたものです。トウモロコシを栽培し始めた頃は、実の不揃いなものばかりでした。どうも、株間を開けすぎて、受粉が上手く行かなかったのが原因のようです。そこで株間を詰めて植えたところ、実揃いが良くなりました。

でも、畝の数(株数)や畑の風向きによっても、受粉が上手く行かず不揃いになる事もあります。そちらは、栽培場所によって試行錯誤する事にして、株間をどのくらいまで詰めても良いか試しています。あまり詰め過ぎても、生育が悪くなりますので・・。

中は、休耕畑に植えたトウモロコシです。今のところ順調そうですが・・。

右は、少し変わったトウモロコシです。というのは、この実が生っているのは、茎の先端部にある雄花の位置だからです。当然、正規の位置と違い実を覆う皮(包葉)が無いので、剥き出しになっています。

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左は雌花で、右は雄花です。雄花の方が先に開花します。

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オシベは、細い紐のようなものでぶら下がっており、風に揺れ花粉を飛ばしやすいようになっています。

ところで・・。

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少しだけ、野生動物に齧られていました。野鳥かハクビシンなどの小動物か?応急的に対策はして来ましたが、効果があるかは分かりません。まだ未成熟ですが、実揃いはまぁまぁでしょ?

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ホワイトパールのような輝きを持つ、美味しそうな実です。もっと熟してから襲われるかと思っていたのですが、全く腹の立つ!

※栽培法などはインターネットで調べれば、いろいろ掲載されていますが、その方法で必ず上手く行くとは限りません。いろいろ試してみるのも、楽しいものです。

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