ヤツシロラン類実生栽培実験(8月上旬)
最近、このタイトルの記事が無いので、「実生栽培実験は、止めてしまったのか?」と思われたかもしれません。
初めて挑戦した年は、未知の変化に目を向けて来ました。ところが、観察出来る様な状態にある(部材表面に出ている)塊茎は、途中で成長が失速してしまいます。開花したクロヤツシロランは、部材の中に潜んだ塊茎だけでした。という事で、部材で覆ったため、記事が少なくなってしまったのです。
【クロヤツシロラン】
根状器官(仮称)が伸びています。昨年は、上を向いて沢山伸びていました。菌糸が上手く繁殖していなかった(菌糸不足だった)のかもしれません。
右の写真を見てください。根状器官の途中に、イボのようなものが出来ています。根状器官や塊茎に、このイボのようなものが出来ると、急に成長するように思います。
接写してみました。根状器官が、他より太くて分岐している・・。
左だけ、別の栽培容器になります。環境を変えて準備した訳ではなく、シダの仲間が生えて来て、いつも湿り気の多い状態になりました。中央に塊茎が見えています。
この容器内では、根状器官も右のような状態で、上に向かっているものはありません。
所々で、二年物と思われる塊茎が確認出来ます。右の塊茎は、無事育てば開花するかも?
これって、もしかしたら花茎の頭ではないでしょうか?
クロヤツシロランは、一昨年開花させる事が出来ました。今年は、一本でも良いからアキザキヤツシロランが開花してくれないかな・・。
ところで、アキザキヤツシロランもクロヤツシロランもクヌギタケ属やホウライタケ属の菌種と共生するそうです。竹林には両方のヤツシロランが生えますが、アキザキヤツシロランは、落葉広葉樹林や針葉樹林には生えないようです(※)。属の中の特定の菌と共生するというなら、竹林で採取した菌糸がスギの球果や落葉で繁殖しないだろうか?竹林の部材とスギ林の部材を比べると、後者の方が湿度を保ちやすいし、菌の繁殖力が良いと思ったので、そんな事を考えてみました。
※アキザキヤツシロランの生える竹林に隣接するスギ林を探してみましたが、一株も見当たりませんでした。杉野孝雄先生の著書「静岡県のムヨウラン類とヤツシロラン類」の中に記された調査結果も竹林だけだったと思います。
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