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2017年7月30日 (日)

ヤクシマヒメアリドオシランとハクウンラン(混生地)

これらの花も、今年は遅れて咲くのだろうかと思いつつ、藪蚊に刺されながら薄暗い林内を覗いてみました。

Ap7290307 Ap7290262k

例年なら、白い小さな花が見られる頃なのに・・やっぱり遅れているようです。でも、足元を良く見ると、上のような塊が彼方此方で確認出来ました。蕾が上がっていますが、御覧のように堆積したスギの葉と同じような色なのでうっかりすると踏みつけてしまいます。

このように固まって生えているのは、ヤクシマヒメアリドオシランだと思います。ハクウンランは、個体毎に点在しており、数数もずっと少ないので・・。

右の写真は、葉緑素の少ない(斑入り)葉が混じっています。他の植物が休眠中の晩秋から冬にかけて林内を歩くと、このような葉を見付けやすくなります。

Af0

こちらは、ヤクシマヒメアリドオシランの斑入り葉です。自生している株数も多いですが、斑入り葉を見付けるのはそれほど大変ではありません。斑入り葉の出やすい植物だと思います。

彼方此方探すと、咲いている株が少しだけありました。

Ap7290287 Ap7290273

唇弁の裾の形から、左はヤクシマヒメアリドオシランで、右はハクウンランだと思います。

Ap7290301 Ap7290299

こちらもヤクシマヒメアリドオシランだと思います。

Ap7290289

唇弁の裾だけでなく肩の部分も撫肩ですね。

Ap7290257 Ap7290258

こちらには、花粉塊が付いています。変なところにありますから、送粉者が落としていったのでしょうか?

そして・・。

Ap7290265

微妙な唇弁を持つ花です。ハクウンランに近いと思います。

Ap7290297

こちらは、ハクウンランだと思います。塵取りのような形の唇弁ですね。

私が知る他の自生地に単独で咲くハクウンランは、萼片や側花弁などが緑色です。そして、ヤクシマヒメアリドオシランだけが自生する場所では、赤味を帯びています。ですから、唇弁の形だけでなく萼片や側花片などの色でも区別出来ると思っていました。

ところが、日本のランハンドブックには、「萼片と側花弁は淡緑色、赤味を帯びる事もある。」と書かれています。赤味を帯びるのは、交雑種なんて事は無いでしょうか?この両者が混在する自生地の個体を、専門家の方に調べてもらえれば良いのですが・・。

観察するのは、花の咲き揃うであろう8月半ば頃がちょうど良いのかも?

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コメント

Hirokenさん、お早うございます。
この場所には堆積したスギの葉が多く、ベニシュスランもかなりな株数が生えています。
ヤクシマアリドオシラン、ハクウンラン、ベニシュスランは菌根共生する菌が一緒なのかもしれませんね。
この中では、ヤクシマヒメアリドオシランが一番勢いが良く、スギの葉が少ない場所でも変わらず花を咲かせています。
菌への栄養依存度が少ないので、大群落を作り領域を広げているのかもしれません。
ベニシュスランは、今年のように梅雨時に雨が少ないと花数も少ないように思います。
ランは、気難し屋が多いですね。
こちらこそ勉強になりました。
有難うございました。

やまぶどうさん
ご丁寧に詳しいお返事をありがとうございます。
研究者の方が解析しているのであれば、
なんらかの答えを期待したいものです。
交雑の可能性もあり得るので、
再度調査をしていただきたいですね。
なぜ近くで咲くのかが私はとても気になります。
私たちの見た地域は標高800~900m位で、
やや湿地のような湿った場所でした。
コケの中からも咲いていたのです。
ハクウンランの地上部が枯れるのを確認しておりませんが、
オオハクウンランの自生地を花の季節でないときに行ったら、
全く見つかりませんでした。
枯れるのであれば見つかりませんし、
栄養源となる菌がいなくなってしまえば咲かせることもできませんね。
とても勉強になりました。
ありがとうございました。

Hirokenさん、お早うございます。
コメントありがとうございました。

私が知る大きな自生地は、2ヶ所あります。
実生発芽率の良い野生ランのようで、どちらもかなりな広範囲に生えています。
この野生ランが生えているような山林を探索するもの好きは少ないようで、案内した先輩方も初見だったそうです。
数年前、DNA情報による解析をするという事で、片方の自生地の個体を採取して、ある研究者に送った事があります。
その研究者達は、全国のヤクシマヒメアリドオシランの解析をしているとの事でした。
結果は聞いておりませんが、時間が出来たら交雑の調査に来てほしいと思っています。

ハクウンランは点在して生えているのに、ヤクシマヒメアリドオシランは握り拳くらいの群生が彼方此方で見られます。
もちろん、点在している個体もありますが・・。
それと、ハクウンランは冬に地上部が枯れるのではないかと思っています。
標高(気象条件)にもよるのかもしれませんが、単独自生地を冬に見ましたが、葉が確認出来ませんでしたから・・。
その上、年々花を見る位置が移動しているように思います。
菌への栄養依存度が、ヤクシマヒメアリドオシランよりずっと高い植物のようです。
一つの自生地からは、姿を消してしまいました。

はじめまして、
時々拝見させていただいております。
貴重なお花の紹介や詳細な観察をされていらして、
とても勉強になっています。

私たちも今年ヤクシマヒメアリドオシランを初めて見ることが出来ました。
自生地は違うのですが・・
ハクウンランと一緒に咲いていることに驚きました。
知り合いの方も富士山麓周辺で見たとおっしゃっていました。
今回ヤクシマを見た場所では赤味を帯びたものでしたが、
唇弁の形があいまいなものもありました。
こちらの発見者の方によりますと、
本州でのヤクシマヒメアリドオシランについては、
専門的な研究がされておらず、特徴がヤクシマと同じということなので、
ヤクシマヒメアリドオシランとしているそうです。
交雑しているのではというのは私もうなづけます。
どなたか調べて頂けたらいいですね。
非常に興味深い自生地だと思いました。

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